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第132話

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【王国歴1000年春の月61日】 

 朝になり、目が覚めるとカムイとファルナが訪ねて来た。

「おはよう」
「おはよう。苦しい思いを、させた」
「おはようですわ。危ない目に合わせてしまいましたわ」

「問題無い。どんどん攻めて魔物を減らすのは正解だと思う」

 ファルナやカムイはトレインクエストをこなし、国の周りにいる魔物を狩っていたのだ。

 運が悪く、今回は獣の群れが攻めてきたけど、それを無くすための対策がトレインクエストだ。
 もしガチガチに守りを固めたら、危機の芽を野放しにする事になり、不利な状況に追い込まれる。

 それに危機は外だけじゃない。
 ダンジョンの魔物・教会の動き・犯罪者ギルド・アサヒやドリルの動向、1つ解決すればすべてがよくなるような状況ではない。
 まるでもぐらたたきのように1つの対策を進めれば他の問題がひょっこり顔を出す、今はそういう状況だ。

 俺は貢献できるほどの力が今は無い。
 ここで2人を責めるほど俺は無能ではないつもりだ。
 そんな事をするのは、アサヒや教会の上層部、それと犯罪者たちの異常な者に絞られるだろう。

 このままだと、ファルナは何度も謝って来る。
 話を変えよう。

「所で報告がある。レベル100になってレベルリセットし、女神の結界効果が消えた」

 俺は今までの経緯を説明した。



「話は分かりましたわ。所で、今日は会議がありますのよ。出席して欲しいですわ」
「すまない。もう少し、休みたいんだ」
「分かりましたわ」

 俺は何も言わずダンジョンに行って一気にレベルを上げたい。
 だからここはやり過ごすのだ。
 後で会議のまとめを教えてもらう事にしよう。



【ファルナ視点】

 私は会議を招集した。

 カムイ、そして、

「大体分かったわ。すべての問題をおさらいして、どの件に取り組むか方向を決めるのでしょう?確かに少ない人数で行うのは効果的ね」

 アオイだ。
 アオイは頭が良い。
 少人数で会議をする事で結論を導きやすくする狙い、こちらの意図を紙の資料をぱっと見るだけですべて把握した。

「その通りですわ。アオイは最近、問題無く活動できていますの?」
「つけ狙われているわ。ドリルの所属する盗賊ギルドの目が厳しくてダンジョンに入れないわね」

「やはりドリルは盗賊ギルドと繋がっていますのね?」
「繋がっているわ。確実にね。しかも私をつけ狙うやり方がスティンガーにそっくりね」

「犯罪者組織の問題から話しますわ。
 5つの犯罪者ギルドが力をつけていますわ。更に後述するドリル、教会ギルド候補と闇のつながりもありますわ。

 次に魔物問題ですが、国の外にいる魔物とダンジョン内にいる魔物の活性化と変容が確認されていますわ。

 3つ目は教会問題ですが、4人いるギルド長候補の内、2人は暗殺され、しかも候補者の中には犯罪者ギルドとつながりが疑われる者もいますわね。

 そして最後が学園内の問題ですわ。
 アサヒとドリルが問題を起こしていますわ。特にドリルは後1回問題を起こせば退学ですわね」

 カムイが口を開く。

「魔物、犯罪者、教会、それと学園のアサヒとドリルか。魔物以外の、連携が、厄介だ」
「私からも情報があるわ。教会ギルド長候補のデーブと、アサシンギルドのファングは確実に繋がっているわ。それとファングはヒメを狙っているわね」

「ファングか」
「短剣使いのファングね」

 2人もファングの情報は知っているようだ。

「次は良いニュースも出しますわ。セイコウコウボウが教会を抜けましたわ。戦士特化となり、回復魔法を使えなくなった事を理由にうまく抜けたようですわね」

「それは、良いニュース、なのか?」
「教会にいるよりはいいと思いますわよ?」



 その後話は続き、新兵を鍛えつつ、斥候により情報を集めつつ魔物を狩って力を蓄える方針が決まった。

 教会に手を出しても敵対される可能性があり、最悪こちらが潰されるため後回しになる。

 犯罪者ギルドは襲撃してもバラバラに逃げられ、効果をうまく上げられなかったのと、アジトの情報が集まっていない為動くことが出来ない。

 アサヒとドリルは法で縛りルールで締め上げたい点や女神の意向などの理由で、殺す事は出来ない。

 消去法で魔物を狩ることになったのだ。
 だが、斥候により情報は集め、チャンスがあれば動く。

 会議が終わるとアオイが出て行こうとする。

「もう行きますの?折角ですわ。一緒にお食事でも摂りません?」
「私はドリルに狙われているわ。目立ちたくないわね」

「そうでしたわね」
「それと、うまく行きそうなら情報を手に入れるわ」

「アオイのよく見える眼には、期待していますわよ」

 アオイが出て行く。
 こうして会議は終わった。








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