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第121話

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【王国歴1000年春の月33日】

 俺は3日間ダークフィールドの近くでレベルを上げ続け、レベル20に到達した。
 スキルポイントのすべてを経験値取得増加に費やし、更に魅力と敏捷を上げることで継続戦闘能力を意識した。

 俺がダークフィールドの近くで魔物狩りをしている事はファルナにすぐばれたが、怒られる事は無かった。
 だけど、ファルナから手紙が届いて色々書いてあった。

『ルールの脆弱性を意図的に狙うのはやめて欲しいですわ』とか色々書いてあったが多分大丈夫だ。
 確かにダークフィールドのどこまで近づくなとは言われていないからその点を突いてグレーゾーンを攻めるようにダークフィールドから微妙に離れたポイントで魔物狩りをしていた。

 何回か包囲されかけたけど結果助かったんだ。
 次は気を付けるよう対策するから大丈夫だろう。



 ハヤト 男
 レベル:20
 ステータスポイント:0
 スキルポイント:9
 ジョブ:ハイブリッド
 体力:20
 魔力:20
 敏捷:70  
 技量:20  
 魅力:70  
 スキル・攻の紋章LV3・防の紋章LV3・銃の紋章LV3・収納の紋章LV3・カートリッジの紋章LV3・リジェネLV3・経験値取得増加LV10・強化の紋章LV0・きゅう???
 武器 刀:90 ハンドガン:30(最大10発) 防具 ミリタリージャケット:60

 残ったスキルポイントが9ポイントか。
 強化の紋章を解放するか?でも、解放条件はハイブリッドスキル全部をLV5にする必要がある。
 攻の紋章をあと少し上げれば魔物を1撃で倒せて安定した戦いが出来るし刀の耐久力も上がる。
 カートリッジの紋章を上げれば耐久力を回復できる、継続戦闘能力は上がるだろう。
 ……決めた。


 ハヤト 男
 レベル:20
 ステータスポイント:0
 スキルポイント:3
 ジョブ:ハイブリッド
 体力:20
 魔力:20
 敏捷:70  
 技量:20  
 魅力:70  
 スキル・攻の紋章LV3・防の紋章LV3・銃の紋章LV3・収納の紋章LV3・カートリッジの紋章LV3・リジェネLV3・経験値取得増加LV10・強化の紋章LV0・感知LV3・きゅう???
 武器 刀:90 ハンドガン:30(最大10発) 防具 ミリタリージャケット:60

 感知を取得した。
 今俺が死ぬとしたら包囲されるパターンだ。
 このスキルを覚える事で。罠も敵も感知できる。
 基本スキル枠を使ってしまった。
 本当はカウンターとステップも覚えたいけど、スキル枠がもう無い。

 ダークフィールドで危ないと思ったのは魔物が大量に押し寄せてきて包囲されそうになった事だ。
 感知があれば包囲されて死ぬリスクと奇襲を避けられる。

 さて、帰ろう。


 学園寮に帰ると、女性兵士が待ちかまえていた。

「こんばんわ、ハヤトさん、遅かったですね」
「こんばんわ。疲れているので今日は寝ます」

 嫌な予感がする。
 女性兵士が待ち構えているパターン。これは大体悪い事だ。

「ま、待って下さい!クエストのお願いがあるんです!」
「話を聞こう」

 フー!てっきりファルナが怒っているかと思った。

「最近LVが上がったようなので、殲滅クエストを受けて欲しいんです。クエスト開始は36日からです。学園登校日の午後限定のクエストになります」
「分かった」
「それと、ファルナ様が怒っていましたよ。ファルナ様が忙しくて出てこれないからと言って、無茶はしないでくださいね」
「分かった」

 俺はファルナに手紙を書いた。
 俺のステータスを紙に記入し、ダークフィールドから微妙に離れても安全に魔物を狩れると訴えたのだ。

 これがまずかった。


【王国歴1000年春の月36日】

 休日は疲れてゆっくり休み学園に登校すると、俺は強制クエストを食らった。

 笑顔で女性兵士が言う。

「ハヤトさん向けの強制クエストです。理由はハヤトさんが警告を無視して危ない事をしたためです」
「お断りします」
「断るのは駄目です。依頼内容は地下の下水施設に生息するスライム処理です。スライムジェルを100個納品してください」

 スライム狩りか、下水にはスライムが生息している。
 スライムが少ない内は下水の汚れを分解し、役に立つが、スライムはすぐに増殖する。
 定期的にスライム狩りが行われるのだ。

 スライムジェルのドロップ率は1%だから、10000体を倒すまで終わらないか。
 いや、中ボスがいればドロップも多いからそれよりは早く終わるだろう。

 でも、スライムって死ぬために突っ込んで来てくれるから思ったよりは大変じゃない。

「それと、スライムも変容して、ガードスライムに変化しています。とにかく固いので倒すのは面倒ですよ。ガードスライムのレベルは10程度ですが。たまにレベル20に近い個体もいるようです」

 思ったよりレベルが高い。
 レベル上げにはいいか。

「分かった。行ってみよう」

 俺は午後になると女性兵士に連れられて下水に向かった。

「ここから入ってスライムを倒せばいいんだよな?」
「そうです。最近スライム狩りが進まず困っていたんです」

「そうか、ま、戦ってみないと分からない」

 俺は前に進み、女性兵士が後ろからついてくる。

「ついてくるのか?」
「はい、大丈夫だとは思いますが、最初だけは安全を確認したいんです」
「そっか」

「あ、いましたよ!」

 3体のガードスライムがうにょうにょとうごめいていた。

 スライムが近づいてくる。
 動きが遅い。
 攻撃範囲に入ると急にジャンプしてタックルを仕掛けてきた。
 変わった動きは無いか。

 俺はスライムを斬りつけた。
 1撃では倒せず、すべてのガードスライムが2回攻撃してようやく倒せた。
 あ~分かった。

 こいつらは固くて倒しにくいんだ。
 今期間限定で一回だけクラスチェンジできる権利を使い魔導士になるものが増えた。
 そしてカースウォー&攻撃魔法が流行っている。
 こういうしぶとい敵にはすぐに息切れしてしまうだろう。

 要するに相性が悪いのだ。

 カースウォー&ファイアの場合、カースウォーを使って一気にファイアを連射すればMPが枯渇し、呪いを受ける。
 そうなった魔導士は最弱だ。

 MPが50ある場合、転生後性能がマイルドになったカースウォーの消費MPは20で、カースウォーを使うだけで残り30ポイントのMPとなる。
 更に消費MP5のファイアを6発撃てばMPはゼロになる。

 一気に畳みかけるプレイスタイルにはガードスライムのようなタフな相手は相性が悪い。
 

「魔導士のカースウォー&ファイアとかと相性は悪いか」
「その通りです!」
「そしてカムイとかの強い者は高難易度のクエを受けるからこのクエに手が回らない」
「その通りです!」

「そして、スライムは比較的逃げやすくて安全だから俺を安全なクエストを受けさせつつ、不人気のクエを消化させたいと」
「その通りです!そして強制的にこのクエストに縛り付ける事でハヤトさんは安全になりますよ!」

「ファルナが俺をダークフィールドに近づけたくないんだろ?」
「そうです」

「ま、いいんだけどな。ファルナが困っているクエなら消化しよう」
「おお!男らしいですね。流石イケメン!」

 俺は褒めてくる女性兵士の話を聞き流しつつクエをこなす。
 ガードスライムか、意外とレベルが高い。

 刀は攻撃力が高く、攻撃速度も速い。
 魔物にかなり接近する必要はあるが俺との相性は悪くない。
 それに目標が出来た。

 こいつらを1撃で倒す!

 レベルアップをした時の方針も決まった。







 あとがき
 お気づきの方もいるかもしれませんが、他の作品もここ数日で連続投稿しております。
 時間があれば見てくれると嬉しく思います。


 ではまた!


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