101 / 179
第101話
しおりを挟む
大部屋にみんなが集まる。
だが、一人知った顔がクラスメートから質問を受けていた。
「え?誰?」
「カムイだ」
「なんでいるの?」
「俺も、転生する事になった」
間違いない、クサナギ・カムイ。
ゲームの主人公だ。
女神が現れ、3つの扉が現れる。
「今回も入る扉を選ぶことが出来ます。前回と同じで数日後の未来までしか分かりませんが、【苦行】の道を選べば苦しい思いをするでしょう。ですが、魂を鍛える為には苦しい道を通りなさい」
カムイは迷わず苦しい道を選んで通っていった。
さすが、迷いが無い。
主人公っぽい。
「アサヒは楽な扉を通って文句を言っていた。苦行を選ぶか」
「何を言っているんだい?楽な道を通るに決まっているよ」
アサヒは【楽】の扉をくぐって行った。
結局そっちに行くのか。
他の者は【普通】の扉を通っていく。
残されたのは俺とヒメと、アオイだけ。
「俺は、試練を受けて苦行の道を進むと決まってるんだ。ここでお別れだな」
「私も、苦行の扉を通るよ」
「みんな普通の道を通っているだろ?」
「いいよ」
「アオイは?どうするんだ?」
「私は、最後に通るわ」
「そうか、ま、いつ通っても同じ時間、同じ場所に出るんだ。俺以外はな」
「ハヤト君、試練の事は、みんなに伝えておくね」
「助かる。俺は遅れていくからな」
俺とヒメは手を繋いだ。
そして、一緒に【苦行】の扉をくぐった。
ハヤトはトレイン娘の事で頭がいっぱいになり大事な事を聞き忘れた。
なぜゲームの世界に転移する事になったのか?
なぜ1度転移し、能力値をリセットして転生するのか?
それを知るのはハヤトが転生してからの事になる。
【ヒメ視点】
まぶしい光に包まれて、目を開けると庭園に立っていた。
転生したのは生き残ったハヤト君以外の全員。
死んでしまったみんなは蘇らないのかな?
松明の炎で周りが照らされ、ファルナ達が立っていた。
日付を確認する。
【王国歴1000年春の月1日】
アオイはそっとその場から離れようとする。
「どこに行くの?」
「ちょっと用事があるのよ」
そう言ってアオイはその場から立ち去った。
ファルナ達が私に抱きつく。
「ああ!無事に帰ってきましたのね!」
「僕たち皆心配したんだよ!」
「アオイはどうして離れて行ったのです?」
「分からないのよ」
「ハヤトさんはどこなのです?トレイン娘はどうなったのです?」
「全部、話すよ。ハヤトの試練の事、あった事全部を」
◇
「そういう事がありましたのね」
「僕たちはハヤトが来るまでに出来る事をやるしかないんだね」
「その前に、ここってどこかな?」
「は!失礼しましたわ。ここはダンジョン学園の庭園ですわ。ようこそ、ダンジョン学園へ」
日の光が昇り、庭園が照らされる。
転生した私達全員が、その時から学園生になった。
その日私達は学園の案内と入園式を、寮生活の準備をしてその日を過ごした。
【王国歴1000年春の月2日】
次の日も学園で過ごす。
廊下を歩いていると、後ろから肩を掴まれた。
アサヒの顔を見た瞬間、小さく悲鳴を上げた。
「久しぶりじゃないか。ヒメ、最近話していなかったよね」
「わ、私忙しいから」
逃げようとすると腕を掴まれた。
「どこに行くんだい?学園生なのに忙しい用事かい?詳しく話を聞こうじゃないか」
「は、離して!」
「ようやく2人きりになれたんだ。もっと話をしようじゃないか」
そう言ってアサヒは私の腰に手を回す。
私のお尻と胸を物のように触った。
「ひい!」
「あの木の茂みに行こうか。良くしてあげるよ」
「誰かあ!助け!ふぐ!」
犯される!
口を塞がれて逃げられない!
「安心していいよ。媚薬と僕の技で良くしてあげるよ。1度体験したら僕無しではいられなくなるんだ」
怖い!
ハヤト君!
助けて!
その瞬間、アサヒは殴り飛ばされた。
「カムイ、君?」
「大丈夫か?」
「う、うん、ありがとう」
「ファルナの所まで送ろう」
私は、ファルナの所まで送られて、その日から私に護衛がついた。
そしてアサヒはしばらく学園を停学になった。
その日の夜、学園の食堂で食事を摂る。
スープとパン以外はビュッフェスタイルでおしゃれな雰囲気で護衛と一緒に食事を楽しむ。
でも、人が倒れ始める。
私はパンを落とした。
「あれ、手が、痺れる。体が、熱い」
私は椅子から倒れ、護衛も地面に倒れて行った。
ガラの悪い男が入って来る。
「へっへっへ、媚薬にこんなに簡単に引っかかるとはな」
「みんなちょろいぜ。おい!見ろよ!ヒメがいるぜ!」
「ひゅー!確かに噂通りの上玉だぜ」
「運んで楽しもうぜ」
「やめとけ!お頭に殺されるぞ!黙って運んでお頭に届けりゃいいんだよ!他の女で我慢しろ!」
私は、薬を飲まされて、ドロドロの薬を体にもかけられて布袋に詰められた。
途中で気を失う。
私はベッドで目覚める。
ファルナが私の手を握った。
「危ない所でしたわね。レベル1のままでは危険ですわ。明日の学園は休んで、クラスのみんなと一緒に合宿に行きますわよ」
「そう、だね。この世界は、怖い所。何度もハヤト君に守ってもらってたんだ」
「まだ、騎士団の数も質も法整備も治安維持も全部整っておりませんの。しばらくの間は苦労をかけますわ」
ファルナが申し訳なさそうに私の顔を見る。
ああ、私は【苦行】の道を、ハヤト君と一緒に選んだんだ。
合宿が終わる頃に、ハヤト君に生きたまま会いたいな。
だが、一人知った顔がクラスメートから質問を受けていた。
「え?誰?」
「カムイだ」
「なんでいるの?」
「俺も、転生する事になった」
間違いない、クサナギ・カムイ。
ゲームの主人公だ。
女神が現れ、3つの扉が現れる。
「今回も入る扉を選ぶことが出来ます。前回と同じで数日後の未来までしか分かりませんが、【苦行】の道を選べば苦しい思いをするでしょう。ですが、魂を鍛える為には苦しい道を通りなさい」
カムイは迷わず苦しい道を選んで通っていった。
さすが、迷いが無い。
主人公っぽい。
「アサヒは楽な扉を通って文句を言っていた。苦行を選ぶか」
「何を言っているんだい?楽な道を通るに決まっているよ」
アサヒは【楽】の扉をくぐって行った。
結局そっちに行くのか。
他の者は【普通】の扉を通っていく。
残されたのは俺とヒメと、アオイだけ。
「俺は、試練を受けて苦行の道を進むと決まってるんだ。ここでお別れだな」
「私も、苦行の扉を通るよ」
「みんな普通の道を通っているだろ?」
「いいよ」
「アオイは?どうするんだ?」
「私は、最後に通るわ」
「そうか、ま、いつ通っても同じ時間、同じ場所に出るんだ。俺以外はな」
「ハヤト君、試練の事は、みんなに伝えておくね」
「助かる。俺は遅れていくからな」
俺とヒメは手を繋いだ。
そして、一緒に【苦行】の扉をくぐった。
ハヤトはトレイン娘の事で頭がいっぱいになり大事な事を聞き忘れた。
なぜゲームの世界に転移する事になったのか?
なぜ1度転移し、能力値をリセットして転生するのか?
それを知るのはハヤトが転生してからの事になる。
【ヒメ視点】
まぶしい光に包まれて、目を開けると庭園に立っていた。
転生したのは生き残ったハヤト君以外の全員。
死んでしまったみんなは蘇らないのかな?
松明の炎で周りが照らされ、ファルナ達が立っていた。
日付を確認する。
【王国歴1000年春の月1日】
アオイはそっとその場から離れようとする。
「どこに行くの?」
「ちょっと用事があるのよ」
そう言ってアオイはその場から立ち去った。
ファルナ達が私に抱きつく。
「ああ!無事に帰ってきましたのね!」
「僕たち皆心配したんだよ!」
「アオイはどうして離れて行ったのです?」
「分からないのよ」
「ハヤトさんはどこなのです?トレイン娘はどうなったのです?」
「全部、話すよ。ハヤトの試練の事、あった事全部を」
◇
「そういう事がありましたのね」
「僕たちはハヤトが来るまでに出来る事をやるしかないんだね」
「その前に、ここってどこかな?」
「は!失礼しましたわ。ここはダンジョン学園の庭園ですわ。ようこそ、ダンジョン学園へ」
日の光が昇り、庭園が照らされる。
転生した私達全員が、その時から学園生になった。
その日私達は学園の案内と入園式を、寮生活の準備をしてその日を過ごした。
【王国歴1000年春の月2日】
次の日も学園で過ごす。
廊下を歩いていると、後ろから肩を掴まれた。
アサヒの顔を見た瞬間、小さく悲鳴を上げた。
「久しぶりじゃないか。ヒメ、最近話していなかったよね」
「わ、私忙しいから」
逃げようとすると腕を掴まれた。
「どこに行くんだい?学園生なのに忙しい用事かい?詳しく話を聞こうじゃないか」
「は、離して!」
「ようやく2人きりになれたんだ。もっと話をしようじゃないか」
そう言ってアサヒは私の腰に手を回す。
私のお尻と胸を物のように触った。
「ひい!」
「あの木の茂みに行こうか。良くしてあげるよ」
「誰かあ!助け!ふぐ!」
犯される!
口を塞がれて逃げられない!
「安心していいよ。媚薬と僕の技で良くしてあげるよ。1度体験したら僕無しではいられなくなるんだ」
怖い!
ハヤト君!
助けて!
その瞬間、アサヒは殴り飛ばされた。
「カムイ、君?」
「大丈夫か?」
「う、うん、ありがとう」
「ファルナの所まで送ろう」
私は、ファルナの所まで送られて、その日から私に護衛がついた。
そしてアサヒはしばらく学園を停学になった。
その日の夜、学園の食堂で食事を摂る。
スープとパン以外はビュッフェスタイルでおしゃれな雰囲気で護衛と一緒に食事を楽しむ。
でも、人が倒れ始める。
私はパンを落とした。
「あれ、手が、痺れる。体が、熱い」
私は椅子から倒れ、護衛も地面に倒れて行った。
ガラの悪い男が入って来る。
「へっへっへ、媚薬にこんなに簡単に引っかかるとはな」
「みんなちょろいぜ。おい!見ろよ!ヒメがいるぜ!」
「ひゅー!確かに噂通りの上玉だぜ」
「運んで楽しもうぜ」
「やめとけ!お頭に殺されるぞ!黙って運んでお頭に届けりゃいいんだよ!他の女で我慢しろ!」
私は、薬を飲まされて、ドロドロの薬を体にもかけられて布袋に詰められた。
途中で気を失う。
私はベッドで目覚める。
ファルナが私の手を握った。
「危ない所でしたわね。レベル1のままでは危険ですわ。明日の学園は休んで、クラスのみんなと一緒に合宿に行きますわよ」
「そう、だね。この世界は、怖い所。何度もハヤト君に守ってもらってたんだ」
「まだ、騎士団の数も質も法整備も治安維持も全部整っておりませんの。しばらくの間は苦労をかけますわ」
ファルナが申し訳なさそうに私の顔を見る。
ああ、私は【苦行】の道を、ハヤト君と一緒に選んだんだ。
合宿が終わる頃に、ハヤト君に生きたまま会いたいな。
10
お気に入りに追加
2,646
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
<完結済>画面から伸びて来た手に異世界へ引きずりこまれ、公爵令嬢になりました。
詩海猫
恋愛
「今日こそ、クリアしてやるんだから……!」
そう意気込みながら手にしたコントローラを振りかざしてモンスターをぶっ飛ばしていたら、突然画面が真っ暗になり、のびてきた手に画面の中の引きずりこまれた女子高生・紫亜は目が覚めたら知らない場所にいた。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
彼は誰
Rg
BL
戸嶋朝陽は、四年間思い続けていた相手、高比良衣知がとある事情から転がり込んできたことを“最初で最後のチャンス”だと思い軟禁する。
朝陽にとっての“愛”とは、最愛の彼を汚れた世界から守ること。
自分にとって絶対的な存在であるために、汚れた彼を更生すること。
そんな歪んだ一途な愛情が、ひっそりと血塗られた物語を描いてゆく。
[完結]悪役令嬢様。ヒロインなんかしたくないので暗躍します
紅月
恋愛
突然の事故死の後、なんでこんなアニメか乙女ゲームのヒロインの様な子に転生してるの?しかもコイツ(自分だけど)事故物件。
家とか周りに迷惑かけない様にしようとしたら……。
可愛い悪役令嬢様とも出会い、ヒロインなんてしたくないので、私、暗躍します。
悪意か、善意か、破滅か
野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。
婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、
悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。
その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる