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第50話

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【王国歴999年冬の月71日】

 朝起きると、シスターちゃんが俺の顔を見て俺の体を触っていた。

「おはようございます」
「おはよう」

「すぐに食事の準備をするのです」
「うーん、多分誰かがもう作っていると思う」
「乗り遅れたのです」

 俺とシスターちゃんが大部屋に行くと、皆が俺とシスターちゃんを見た。

「おはよう。昨日は声が漏れていたか?」

「思いっきり漏れていましたよ!」
「そうだね。シスターちゃんの声が、凄かったよ」
「わ、私ああいう声初めて聴いたかも」

「あれ、ファルナも大部屋に居るのか。ファルナにも聞かれてたか」
「そう、ですわね」
「不快だったか?」

「いえ、その、そういう行為は、自然な事ですわ」
「そうか、やっぱりファルナもそういう行為に興味はあるのか?」
「そ、そうですわね、って!私にだけ聞いて反応を楽しんでますわね!」

「赤くなって可愛かったからついな」
「そういう意地悪はいけませんわよ」
「そうだな、ファルナにだけ聞くのは良くない。ヒメはそういうのに興味はあるか?」

 俺はヒメがきゅうを回収しに来た瞬間に聞いた。
 ヒメが固まる。

「わ、わた、私!そ、そういえば今日はクラス会議があるわ」

 ヒメが露骨に話題を逸らした。

「そうか、何時からだ?」
「お昼から」

「わたくしとエリス、そしてトレイン娘も参加しますわ」
「それまでダンジョンに行って来るけど、アオイとカインは呼ばない方向に出来るか?」

「私、皆と話してくる」
「危ないだろ。俺も行く」
「わたくしの兵を護衛につけますわ」
「私も護衛しますよ!」
「僕も一緒に行くよ」

「みんなが居れば大丈夫か。シスターちゃん、今日からファルナの指示で動いて欲しい」
「分かったです」
「俺はダンジョンに行って来る」

 俺はダンジョンの前に向かう。

 ダンジョンに入る前にステータスを開いた。




 ハヤト 男
 レベル:1
 固有スキル きゅう:LV8
 ジョブ:サムライ
 体力:1+100  
 魔力:1+150  
 敏捷:7+350  
 技量:1+100  
 魅力:0+100 
 名声:0+100  
 スキル・闇魔法:LV10・刀剣術:LV10・超人体:LV10・罠感知:LV10・敵感知:LV10・偽装:LV10・ステップ:LV10・カウンター:LV10 ・儀式:LV10【NEW!】 ・リカバリー:LV10【NEW!】
 武器 漆黒の刀:250 ・防具 漆黒の衣:150 
 斥候の紋章 ・耐性の紋章 



 俺は聖魔法の儀式を取得した。
 これにより自分でクラスチェンジなどの儀式が出来る。
 今までなぜ取らなかったか疑問に思うだろう。
 聖魔法は回復魔法を使え、需要が高い。
 パーティーの場合は必須だ。

 しかしソロで活動するなら話は変わって来る。
 だが、そうしにくい仕組みが組み込まれている。
 まず大前提として聖魔法は攻撃の観点から見て弱い。
 この世界は攻撃できるスキルを取り、火力を上げた方がレベルを上げやすいのだ。
 序盤の金がない時期にクラスチェンジして貴重なスキルポイントを消費して聖魔法スキルを取るのはレベル上げという点から見てマイナスだ。

 そして聖魔法はスキルの数が多くスキル統合のハードルは高い。
 スキル統合無しで運用する場合貴重なスキル枠を圧迫する。

 俺は聖魔導士にジョブチェンジせず、『敵を速攻で倒す』スタイルでここまでスキルポイントを貯めてきた。
 だが、今、やっとスキルポイントを楽に貯めることが出来るようになり、金の目途もついた。
 
 しばらく6階でスキルポイントと魔石を大量に集める!
 やっとスキルと金、両方を高速で貯められる状態に持ってこれた。

 スキル統合でスキル枠を空ける。
 そして金を貯めてもっといい装備に変える。
 さらにきゅうのLVを上げる。

 きゅうのLVはさすがに上がりにくくなってきたが数日でLVは上がるだろう。
 聖魔法と斥候術をスキル統合する頃には、もっと強くなっているはずだ。

 俺は走った。
 そして午前中はダンジョンの6階で魔物を狩って過ごす。



 うさぎ亭に帰ると大部屋にクラスメートが集まっていた。

「俺待ちか?」
「そうですわね」
「悪い、すぐ始めよう」

「焦らなくても大丈夫ですよ!」
「食事会の意味が大きいよ。そっちの方がメインかも」

 テーブルの上には様々な料理が用意されていた。
 そう言っていた通りクラス会議とは名ばかりの食事会が始まった。
 俺は1人ずつから情報を集めていくが、良い情報は中々集まらない。

 というよりクラスの女子は前と同じで固まって2階や3階で行動している。
 変化があまり無いのだ。
 もちろんレベルは上がっているようだが、2とか3しか上がっていない。

 そこに奴らが来た。

「ぼ、僕が凄すぎて、さ、誘いにくいのは、わ、分かるよ。でも気にせず、さ、さそっていいいんだ」

 カインか!
 呼んでないのに来たか!

「アオイも遅かったな」
「呼ばれてないのよ!ハヤトの差し金ね!」
「さて、クラス会議を始めるか」

 アオイは『ちっ!』と舌打ちをする。
 だから呼びたくないんだ。

 しかもカインは皆とは違うテーブルが用意されている。

「ぼ、僕がいくら特別でも、そ、そこまでしなくて良いんだよ」

 あいつポジティブすぎるだろ!
 席を用意した兵士のお姉さんが苦笑いを浮かべている。

 アオイはヒメとエリスに抱きつく。
 あいつは2人に抱きつかないと気が済まないのか!

 クラス会議が終わるとクラスの女子は帰っていくが、アオイとカインは部屋に入り浸る。

「き、君は、装備もスキルもあ、あまり変わってない、み、みたいだね」

 俺は斥候の紋章を付けてからステータスを偽装している。
 新しく揃えた漆黒装備は黒装備と同じ見た目をしている。
 黒装備と同じ色にすることも出来るので、黒装備に見えるのだ。

「ダンジョンに行って来る。遅れているからな」
「ぷっふー。が、頑張ってね」

 無駄な努力お疲れさんって顔してるな。
 ほんと分かりやすい
 
「アオイ、ヒメとエリスの仕事の邪魔をするなよ」
「しないわよ。ただ眺めているだけ」
「その時点で邪魔か」
「邪魔じゃないわよ!」

「はあ、もういい。ダンジョンに行って来る」

 俺はダッシュでダンジョンに向かった。
 あと少しだ。
 もっと金を貯めてスキルポイントを貯めれば次のステージに行ける。


 俺は魔物を狩って過ごした。
 ダンジョンが薄暗くなり、ダンジョンの外に出るとファルナの兵士が待ち構えていた。

「大変なの!ファルナ様も!みんなも英雄騎士団に攫われたの!すぐうさぎ亭に来て!」

 英雄騎士団!
 ファルナのバッドエンドルートの1つだ!
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