22 / 179
第22話
しおりを挟む【勇者アサヒ視点】
エクスファックにクラスメートがやられ、僕は全力で逃げた。
他のパーティーも僕を追うように逃げだす。
死にたくない!死にたくない!死にたくない!
何だあいつは!
僕の必殺技を3つ使っても倒せなかった。
遠くまで逃げると4人固まって休む。
危なかった。
ヒメは死んだか?
死んだかもしれない。
だが、僕の命が何より大事だ。
今日はなにも良い事が無い。
ヒメに逃げられ、ハヤトの所に逃げ込んだ。
バトルモードで戦ってすぐにやられた。
大勢の前でだ!
その後王が消えて化け物が現れて僕の特別な最高の必殺技を全部使った。
でも倒せなかった。
ハヤトは僕の身代わりになって死んでいるだろう。
ヒメの身代わりに死んでほしい。
周りを見ると3人が僕を睨む。
「お前のせいでひどい目に会った」
「何人もやられた。どうすんだよ!」
「お前、間違ってばかりだな」
こいつら!自分で決めもせず責任だけ押し付けてくる!
こいつらは不良グループだ。
レアスキルを持っていたから一緒にいただけだ。
早く僕にふさわしいパーティーを見つけよう。
アサヒは失敗している事実に気づかない。
不良グループの人間性でこうなる事を予想できなかった。
自分なら操作できると自信満々で決めつけ失敗したのだ。
「あなたたち、こんな所にいたのね」
クラスの女たちだ。
最近はいつも集団で行動している。
「や、やあ、どうしたんだい?」
「どうしたんだい?じゃないわよ。貴方の指示で前に出た男子がやられたのよ。その後逃げ出したあなたたち不良グループは生き延びたわね」
「俺達はアサヒの指示に従って撤退しただけだ!」
「そうだ!アサヒのせいだ!」
一緒に逃げて来たみんなが責任を僕に押し付ける。
皆が僕をさげすむ。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!僕は不良グループじゃない!」
「一緒じゃないの!」
おかしい!おかしいおかしい!
尊敬されるはずの僕がこいつらと同じグループにいる?
僕の指示のせいになっている?
僕はどう説得すればいい?
ハヤトのせいに出来ないか?
「はあ~。もういいわ。最期に、あなたが馬鹿にしていたハヤトがエクスファックを倒したわ」
「何、だって!」
「じゃあね」
「待つんだ!何かの間違いだ!そ、そうだ!僕が倒しかけていた!そうに違いない!」
「アサヒ、あんたよりハヤトの方が強いわよ。私達は今日それを知ったわ」
「なんで決めつける!そうか、僕が油断してスキルを使わずにたまたま負けたからか!」
「違うわ。ハヤトの能力値は全部100だそうよ。レベルは1でも、能力値アップのスキルを持っているようね」
そう言って女たちは去って行った。
相手のステータスを見るスキルが存在する。
誰かがハヤトの能力を見て、女グループ全員に広まっている!?
いや、闘技場にいた多くの者が知っている!?
僕はスキルを使えば余裕で勝つことが出来た!
僕よりハヤトが強い事になっている!?
僕が能力値を晒して負けた噛ませ犬になっている!?
まずい!まずいまずいまずい!
「俺達も帰ろうぜ」
「そうだな」
「アサヒ、お前はのせいだからな!」
パーティーのメンバーも僕を置いて去って行った。
考えろ!考えるんだ!
僕のレベルは30。
ハヤトのステータスが全部100。
ハヤトは何かしらの方法でスキルを上げる方法を手に入れている。
恐らく基本スキルの投てきも持っていた。
能力値アップのスキルを1LV取れば10ポイントの能力アップだ。
レベルアップ時の能力値上昇も10ポイント。
瞬時に答えを導く。
ハヤトの能力値はレベル60と同じ!
能力値は僕より上なのか!
落ち着け。
だが奴は闇魔導士だ。
ハヤトのジョブスキルは癖があり使い物にならない。
現に奴は魔法スキルを使わず、短剣をちまちま投げて僕に勝った気でいる!
ハヤトは僕のように強いジョブスキルを取得できない。
ハヤトの紋章装備も貧弱だ。
レベルを上げられないなら装備も限られる。
ハヤトの成長は頭打ちだ。
すべての能力値アップのスキルをセットすればスキル枠を6枠消費する。
残り4枠のスキルしかセットできずレベルも上げられないなら強くなることは出来ない。
アサヒはスキル統合の事を知らない。
ハヤトはスキル統合により、スキル枠を1枠消費だけで全能力値を100アップさせることが出来る。
!!そうか!
僕は情報戦に負けた。
強さで優位な僕はハンデを与えすぎて負けた。
アーツスキルの威力は通常攻撃の10倍、いや、僕のブレイブアーツはさらにそれを凌駕する。
相手の能力を知らなかったからだが、今はもう知った。
次は僕の圧倒的な勝利が決まっている。
ハヤトのレベルは1のままらしい。
スキルだけでは行き詰るのは目に見えている。
だがそれでも問題もある。
今この状況。
僕の指示でクラスメートが死に、僕が倒しかけたエクスファックをハヤトが倒し、ハヤトの手柄になっている。
そうか!魅力値だ!
僕の方が魅力は圧倒的に上。
だが、根暗のハヤトでも魅力を100に上げれば僕より魅力が高くなる!
魅力値の差!
魅力のあるように見えるハヤトがたまたま運よく、死にかけたエクスファックに止めを刺した。
するとどうだろう?
魅力の値が高いハヤトは凄い事をしたように映ってしまう。
印象は大事だ。
悪い顔をして良い事をしても善人には見られない。
何もせずニコニコして「大変だね」と言っている方が善人に見える。
魅力によるカリスマの強化は必要だ。
実際は僕の素晴らしすぎる必殺技が勝利の決め手になっているが、魅力の高いハヤトがたまたま倒して運よく凄い人間に見えている。
魅力値のせいでやった事が更によく見えている。
対して僕は運の無さと魅力の値を上げなかった事が重なってみんなにさげすんだ目で見られている!
魅力を上げよう。
レベルアップが必要だ。
ダンジョンの上に行く必要がある。
だが、上の階はトラップの魔法陣が多い。
やはり罠感知をステータスにセットする必要がある。
100万魔石あれば僕のスキルを入れ替え出来る。
100万魔石を貯めればすべてが解決する。
待っていろ!ハヤト!
次は倒す。
皆のいる前で無様な姿を晒してあげるよ。
勇者アサヒは執念深い。
そして強くなる為進むが、たまに間違えた判断をする。
魅力より行動を見直すべきだが、それをしない。
22
お気に入りに追加
2,666
あなたにおすすめの小説
深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった
ぐうのすけ
ファンタジー
日本の社会人として暮らす|大倉潤《おおくらじゅん》は女神に英雄【ジュン】として18才に若返り異世界に召喚される。
ジュンがチートスキルを持たず、他の転移者はチートスキルを保持している為、転移してすぐにジュンはパーティーを追放された。
ジュンは最弱ジョブの投資家でロクなスキルが無いと絶望するが【経験値投資】スキルは規格外の力を持っていた。
この力でレベルを上げつつ助けたみんなに感謝され、更に超絶美少女が俺の眷属になっていく。
一方俺を追放した勇者パーティーは横暴な態度で味方に嫌われ、素行の悪さから幸運値が下がり、敵にマークされる事で衰退していく。
女神から英雄の役目は世界を救う事で、どんな手を使っても構わないし人格は問わないと聞くが、ジュンは気づく。
あのゆるふわ女神の世界管理に問題があるんじゃね?
あの女神の完璧な美貌と笑顔に騙されていたが、あいつの性格はゆるふわJKだ!
あいつの管理を変えないと世界が滅びる!
ゲームのように普通の動きをしたら駄目だ!
ジュンは世界を救う為【深刻な女神力不足】の改善を進める。
念のためR15にしてます。
カクヨムにも先行投稿中
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで日間・週間・月間総合1位獲得!ありがとうございます。
社畜として働き、いつものように寝て起きると、俺はゲーム『ブレイブクエストファンタジー』とよく似た世界のモブ『ゲット』に転生していた。俺は物語序盤で盗賊に襲われて死ぬ運命だ。しかも主人公のダストは俺を手下のようにこき使う。
「主人公にこき使われるのはもうごめんだ!死ぬのもごめんだ!俺がゲームのストーリーを覆してやる!」
幼いころから努力を続けていると、ゲームヒロインが俺に好意を寄せている?
いや、気のせいだ。俺はしょせんモブ!
今は死亡フラグを解決する!そして次のステップに進む!
一方、同じく転生したダストは主人公キャラを利用して成り上がろうとするが、ダンジョンのお宝はすでに無く、仲間にするはずの美人キャラには見限られ、努力を嫌ったことでどんどん衰退していく。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
神様に転生させてもらった元社畜はチート能力で異世界に革命をおこす。賢者の石の無限魔力と召喚術の組み合わせって最強では!?
不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)
ファンタジー
●あらすじ
ブラック企業に勤め過労死してしまった、斉藤タクマ。36歳。彼は神様によってチート能力をもらい異世界に転生をさせてもらう。
賢者の石による魔力無限と、万能な召喚獣を呼べる召喚術。この二つのチートを使いつつ、危機に瀕した猫人族達の村を発展させていく物語。だんだんと村は発展していき他の町とも交易をはじめゆくゆくは大きな大国に!?
フェンリルにスライム、猫耳少女、エルフにグータラ娘などいろいろ登場人物に振り回されながらも異世界を楽しんでいきたいと思います。
タイトル変えました。
旧題、賢者の石による無限魔力+最強召喚術による、異世界のんびりスローライフ。~猫人族の村はいずれ大国へと成り上がる~
※R15は保険です。異世界転生、内政モノです。
あまりシリアスにするつもりもありません。
またタンタンと進みますのでよろしくお願いします。
感想、お気に入りをいただけると執筆の励みになります。
よろしくお願いします。
想像以上に多くの方に読んでいただけており、戸惑っております。本当にありがとうございます。
※カクヨムさんでも連載はじめました。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる