上 下
47 / 115

【マリー視点】落ちるマリー

しおりを挟む
 マリーが目を覚ますと、手足を鉄の鎖につながれていた。
 大の字に鎖が張られ、立ったまま身動きを取れない状態にされている。
 周りは薄暗く、壁はごつごつとしていた。洞窟の中だろう。

 下半身がじんじんと痛み、すーすーする。

 着ていたローブの下半分は斬り裂かれ、胸もあらわになっていた。

 周りを見渡すと、ゴブリンに体を奪われる女性の姿があった。

「もうだめえ!ゆるしてえ!」
 泣きながら懇願する女性を弄ぶようにゴブリンは下卑た笑みを浮かべていた。
 中には目がうつろでよだれを垂らしたまま倒れこんでいる女性の姿も目に映る。

 マリーは目の前の光景に驚愕する。
 私が捕まった?聖女であるこの私が?そんなはずはない!こんなこと許されるはずがない!!

 一体のゴブリンが近づいてきた。

「ゲゲゲ、気が付いたか」
 マリーはゴブリンを睨みつけた。
 両手両足をバタバタと動かす。

 ガチャン!ガチャン!ガチャン!
 鎖の音が大きくなるだけで鎖は外れなかった。
 その音に周りのゴブリンも集まってくる。

「ふざけるんじゃないわよ!今すぐ鎖を外しなしよ!」
 マリーの頬に熱い感触!
 殴られた?
 聖女であるこの私が?
 ゴブリンごときに?

 許されない許されない許されない!!
「今すぐ鎖を外しなさいよおお!!!」
 マリーは狂ったように叫ぶ。

 ゴブリンはマリーの腹を殴った。

「がはああ!ゴブリンごときに」
 マリーが言い終わる前にさらに殴られる。

 マリーは自身にヒールの魔法を使おうとするが、うまく発動しない。
「首輪で魔法使えない!」
「間抜け間抜け!」

「「ぎゃへへへへへ」」
 ゴブリンは一斉に笑い出す。
 マリーは自身に首輪をはめられていることに気づく。

「いきのいい女だ!遊んでやれ!」

 マリーは気絶するまでゴブリンに弄ばれた。




 マリーが目を覚ますと、下半身の痛みは前よりひどくなっていた。
 女性が乱暴される音が聞こえてくる。
 マリーはビクンと体を委縮させた。
 鎖がガシャンと音を立てる。

「生きのいいのが目覚めたぞ!」
「げへへ!かわいがってやる!」
「ひいいいいい!!!」




 ◇




 もう何日たったのか分からない。
 犬のような体勢で餌を食べさせられながら体を弄ばれ、気絶するまで体を奪われ続けた。
 ゴブリンの繁殖の道具としてゴブリンを生み続け、魔力が切れるまでゴブリンや女性を回復する道具となり果てていた。

 限界まで魔力を使わされ続け、ステータスを監視され、徹底的に歯向かうことが出来ないように追い込まれ続けていた。

 そこに奴が現れた。
「おれのなは、グラブだ。おまえが、まものに、なるなら、たすけてやっていい、だが、いうことはきいて、もらう」

 ゴブリンごときが私の上に立つの!?
 許せない!
 絶対に許さない!

「は!誰があんたなんかに!」
「たすけは、いらないか。ようはおわった。たっぷりかわいがれ」
 後ろから笑い声をあげるゴブリンが6人入ってきた。
「ひい!」



 ◇



「グラブ!!なんで、こないのよ。何日も何日も待っているのに!早く来なさいよ!魔物にでもなってやるわ!言う事だって聞いてあげるわよ!早く来なさいよ!」
 グラブは来ない。
 呼んでも呼んでも来ない。

「今日も気絶するまで遊んでやる」
「気絶してもずっと遊ぶ」
「いじめてやる」
「や、やめ、やめなさ、あああ」




 そして更に数日後。
「きてやった。まものになるか?」
「なってあげるわよ!!」

「ならせて、くださいだ」
 グラブが去って行く。
 グラブの合図とともにゴブリンが入ってくる。

「また可愛がってやる!」
「げへへへへ!」



 さらに数日後。
 グラブガやってきた。
「まりー、どうしてほしい?」
「魔物に、してほしいです」

「いうことを、きくか?」
「言う事を聞きたいです。私を、使ってください。なんでもします」

「くびわを、つけかえる」
 私に新しい首輪がつけられた。

「まりー。なんでも、いうことを、きくか?」
「聞きます!何でも言う通りにしますうう」
 新しい首輪が輝いて私はグラブの奴隷になった。

「まりー、まものに、なりたいか?」
「なりたいです!魔物にしてください!」
「まものになれば、いまよりじゆうだ」

「魔物にしてください!お願いします!」
「これをくちに、いれろ、のみこめ。それとも、はらをきって、うめてやろうか?」
「の、飲みます!」
 魔石のような形をした石を飲み込む。

「なんとも、ない?」

「……」
「いっていなかったが、まものか、には、くつうが、ともなう」

「は、ぎい、ぎぎぎ、だました、あんた、騙しあがががががが!」
 痛い痛い痛い!

 私は意識を失った。
 目覚めて苦痛で意識を失う。
 それを何度も繰り返した。

 私は、落ちた。
 終わった。





しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

中途半端な私が異世界へ

波間柏
恋愛
全てが中途半端な 木ノ下 楓(19) そんな彼女は最近、目覚める前に「助けて」と声がきこえる。 課題のせいでの寝不足か、上手くいかない就活にとうとう病んだか。いやいや、もっと不味かった。  最後まで読んでくださりありがとうございました。 続編もあるので後ほど。 読んで頂けたら嬉しいです。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

処理中です...