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ウインの異常性②
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順調にルナのレベル上げが続いた。
朝日で目覚め、いつものように魔物狩りに出かけると、来客があった。
「ウインか、げんきそ……ルナ様、大丈夫ですか?」
「ルナ様、顔色が悪いですよ」
「わたくしは大丈夫ですわ」
「ウォール、メアか」
「そろそろルナを休ませた方がいいと思うわ」
「そうだね、休ませるのがいいよ」
「私もそう思います」
ベリー・エムル・セイラ全員が同じことを言った。
「わたくしは大丈夫ですわ」
「ルナ、本当に大丈夫か?」
「大丈夫ですわ」
俺はウォールに「引継ぎがある」と言われて狩場から引きずられるように離れた。
「ウイン、ルナ様に強く休むように言ってくれ。ルナ様は無理をしすぎる所がある。他の者が言っても聞かん」
「分かった」
「それと、ルナ様が装備している荷物はなんだ?」
「あれはスタミナポーションを入れる為のベルトだ。ベルトにポーション入れを何個も取り付けた」
「おかしくないか?ポーションが何本入るんだ?」
「24本だけ入る」
「多すぎる!いつもルナ様に持たせているのか?」
「そうだ」
「毎日スタミナポーションを24本も飲むのは多くないか?と言うよりスタミナポーションを作るくらいなら普通のポーションを作る」
「認識の違いだな。それと1日24本じゃない。半日で24本飲んでもらっている」
「ますます悪い!そんなに薬ばかり飲んだら食事が食べられなくなる!」
「汗をかくから意外と飲め」
「そういう問題ではない!ルナ様の調子が悪くなるのは当然だ。普通の者が毎日水を50杯飲めと言われたら苦しいはずだ。しかも薬を50本も飲むのは、絶対体に負担がかかる」
「うん、確かにそうかもしれない。3日間休みにしよう」
「それで頼む」
「所で、ウォールが来た用件を聞きたい」
「俺とメアも修行に参加したい」
「分かった」
俺はルナを無理に休ませ、全員3日間の休息を取る事に決めた。
「3日間魔物を狩ってくる!」
俺は暇な3日間を魔物狩りに当てる。
じっとしているのが嫌いなのだ。
久しぶりのソロ討伐か。
腕が鳴る。
【ウォール視点】
ウインが嬉しそうに出かけて行くと、俺は緊急会議を開くことにした。
嬉しそうに魔物りにソロで出かけて行くウインに得体のしれないものを感じた。
俺はログハウスの1階に全員を集め、丸いテーブルをみんなで囲む。
セイラが作ったお菓子と紅茶を囲みながら半分お茶会になっていた。
特にルナ様はケーキをおいしそうに食べ続け、ベリーも意外と食欲がある。
メアはいつものように遠慮なく余った一切れのケーキを自分の皿に取るがこいつは……いつもの事だ。
気にしたら負けだ。
議題は当然ウインについてだ。
「ウインの魔物狩りのペースについてだ。正直ルナ様の顔を見ているとウインには異常なものを感じる」
「確かに普通ではないよ。でもそこがいい、はあ、はあ」
「……」
「ウォールはコーヒーでいいわよね?それとエムル様とまともに話をしない方がいいわ」
セイラがコーヒーの準備をする。
確かにその通りだ。
「……コーヒーで頼む。心配なのはルナ様が倒れてしまう事だ」
「確かに負担はかかっていますわ。ですが、ウインの行動は私に惨めな思いをさせたくない一心から来ていますわ」
「それはそうでしょう。しかし、ウインの動きに皆ついて行けるのか疑問です。レベル900を超える者はどこか普通ではないと思っています。所でルナ様のレベルをお聞きしてもよろしいですか?」
「70ですわ」
「はあ!?」
「70です」
もう70だと!早すぎる!
ルナ様の疲れたお顔と異常なレベルアップの早さを見ればウインの異常性が分かる。
エムルがまじめな顔で言った。
「ウォール、確かにウインは普通じゃないよ。でも、人の力が弱まっている暗黒の時代に、ウインの存在は希望をもたらすよ」
暗黒の時代、今この大陸は多くの未開地の脅威を抱え、魔物の討伐隊以前に斥候すら未開地に送る余裕が無い。
確かにウインの存在には希望を感じる。
だがルナ様をお守りする使命もある。
正直に話そう。
「ウインの存在は希望だ。だが出来ればルナ様の心配をせず俺は修行に専念したい。何かいい案は無いか?」
「ルナのレベルが100を超えるまでは、無理だと思うわ」
ベリーは迷いなく答えた。
「ウォール、あなたはまじめすぎるのですわ。わたくしはセイラの護衛もあります。わたくしの事は気にせず修行に専念するのですわ」
「ウォール隊長はまじめすぎです。もっとお菓子でも食べて楽しみましょう」
そう言いながらメアは手掴みでタルトを食べだした。
メア、お前はもう少し真面目にしろと何度も言っている。
何度言っても聞かないだろうな。
結局緊急会議は何も解決しないまま終わった。
ウインが居ない間俺は魔物を狩るが、ウインのスキルが無いと魔物を探すだけで時間が過ぎる。
そして、3日後の朝、ウインが戻ってきた。
俺とメアが修行に参加する。
ウインはどんどん魔物を呼び、俺達が疲れると1人だけ移動して魔物を引っ張って戻ってくる。
時間が出来ると猪や熊をルナ様の近くに回転させながら投げつけ、補助魔法をかける。
とにかく出来ることすべてを実行してルナ様のレベルを上げようとしているのは伝わってくる。
だがペースが早すぎる。
ウインはその日の内に俺の装備とメアの装備を全交換した。
特に大剣は竜の素材を使っているようで切れ味が段違いだ。
ウインの行動が早すぎてついていけなかったが、ついて行けるよう必死で戦い、俺のレベルが200になった。
次に選択したのは斥候のジョブ。
俺はこの修行に手ごたえを感じていた。
だが、ルナ様が倒れてしまわれないか心配だ。
朝日で目覚め、いつものように魔物狩りに出かけると、来客があった。
「ウインか、げんきそ……ルナ様、大丈夫ですか?」
「ルナ様、顔色が悪いですよ」
「わたくしは大丈夫ですわ」
「ウォール、メアか」
「そろそろルナを休ませた方がいいと思うわ」
「そうだね、休ませるのがいいよ」
「私もそう思います」
ベリー・エムル・セイラ全員が同じことを言った。
「わたくしは大丈夫ですわ」
「ルナ、本当に大丈夫か?」
「大丈夫ですわ」
俺はウォールに「引継ぎがある」と言われて狩場から引きずられるように離れた。
「ウイン、ルナ様に強く休むように言ってくれ。ルナ様は無理をしすぎる所がある。他の者が言っても聞かん」
「分かった」
「それと、ルナ様が装備している荷物はなんだ?」
「あれはスタミナポーションを入れる為のベルトだ。ベルトにポーション入れを何個も取り付けた」
「おかしくないか?ポーションが何本入るんだ?」
「24本だけ入る」
「多すぎる!いつもルナ様に持たせているのか?」
「そうだ」
「毎日スタミナポーションを24本も飲むのは多くないか?と言うよりスタミナポーションを作るくらいなら普通のポーションを作る」
「認識の違いだな。それと1日24本じゃない。半日で24本飲んでもらっている」
「ますます悪い!そんなに薬ばかり飲んだら食事が食べられなくなる!」
「汗をかくから意外と飲め」
「そういう問題ではない!ルナ様の調子が悪くなるのは当然だ。普通の者が毎日水を50杯飲めと言われたら苦しいはずだ。しかも薬を50本も飲むのは、絶対体に負担がかかる」
「うん、確かにそうかもしれない。3日間休みにしよう」
「それで頼む」
「所で、ウォールが来た用件を聞きたい」
「俺とメアも修行に参加したい」
「分かった」
俺はルナを無理に休ませ、全員3日間の休息を取る事に決めた。
「3日間魔物を狩ってくる!」
俺は暇な3日間を魔物狩りに当てる。
じっとしているのが嫌いなのだ。
久しぶりのソロ討伐か。
腕が鳴る。
【ウォール視点】
ウインが嬉しそうに出かけて行くと、俺は緊急会議を開くことにした。
嬉しそうに魔物りにソロで出かけて行くウインに得体のしれないものを感じた。
俺はログハウスの1階に全員を集め、丸いテーブルをみんなで囲む。
セイラが作ったお菓子と紅茶を囲みながら半分お茶会になっていた。
特にルナ様はケーキをおいしそうに食べ続け、ベリーも意外と食欲がある。
メアはいつものように遠慮なく余った一切れのケーキを自分の皿に取るがこいつは……いつもの事だ。
気にしたら負けだ。
議題は当然ウインについてだ。
「ウインの魔物狩りのペースについてだ。正直ルナ様の顔を見ているとウインには異常なものを感じる」
「確かに普通ではないよ。でもそこがいい、はあ、はあ」
「……」
「ウォールはコーヒーでいいわよね?それとエムル様とまともに話をしない方がいいわ」
セイラがコーヒーの準備をする。
確かにその通りだ。
「……コーヒーで頼む。心配なのはルナ様が倒れてしまう事だ」
「確かに負担はかかっていますわ。ですが、ウインの行動は私に惨めな思いをさせたくない一心から来ていますわ」
「それはそうでしょう。しかし、ウインの動きに皆ついて行けるのか疑問です。レベル900を超える者はどこか普通ではないと思っています。所でルナ様のレベルをお聞きしてもよろしいですか?」
「70ですわ」
「はあ!?」
「70です」
もう70だと!早すぎる!
ルナ様の疲れたお顔と異常なレベルアップの早さを見ればウインの異常性が分かる。
エムルがまじめな顔で言った。
「ウォール、確かにウインは普通じゃないよ。でも、人の力が弱まっている暗黒の時代に、ウインの存在は希望をもたらすよ」
暗黒の時代、今この大陸は多くの未開地の脅威を抱え、魔物の討伐隊以前に斥候すら未開地に送る余裕が無い。
確かにウインの存在には希望を感じる。
だがルナ様をお守りする使命もある。
正直に話そう。
「ウインの存在は希望だ。だが出来ればルナ様の心配をせず俺は修行に専念したい。何かいい案は無いか?」
「ルナのレベルが100を超えるまでは、無理だと思うわ」
ベリーは迷いなく答えた。
「ウォール、あなたはまじめすぎるのですわ。わたくしはセイラの護衛もあります。わたくしの事は気にせず修行に専念するのですわ」
「ウォール隊長はまじめすぎです。もっとお菓子でも食べて楽しみましょう」
そう言いながらメアは手掴みでタルトを食べだした。
メア、お前はもう少し真面目にしろと何度も言っている。
何度言っても聞かないだろうな。
結局緊急会議は何も解決しないまま終わった。
ウインが居ない間俺は魔物を狩るが、ウインのスキルが無いと魔物を探すだけで時間が過ぎる。
そして、3日後の朝、ウインが戻ってきた。
俺とメアが修行に参加する。
ウインはどんどん魔物を呼び、俺達が疲れると1人だけ移動して魔物を引っ張って戻ってくる。
時間が出来ると猪や熊をルナ様の近くに回転させながら投げつけ、補助魔法をかける。
とにかく出来ることすべてを実行してルナ様のレベルを上げようとしているのは伝わってくる。
だがペースが早すぎる。
ウインはその日の内に俺の装備とメアの装備を全交換した。
特に大剣は竜の素材を使っているようで切れ味が段違いだ。
ウインの行動が早すぎてついていけなかったが、ついて行けるよう必死で戦い、俺のレベルが200になった。
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俺はこの修行に手ごたえを感じていた。
だが、ルナ様が倒れてしまわれないか心配だ。
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