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第31話 ヨウカとあかりは張り合う

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 ヨバイの村に帰ると俺を見るみんなの目が変わった。

「聖獣があんなに懐いているわ!」
「やっぱり、ユウヤは凄いんだよ!」
「私にも触らせて!」

 村人の女性がユキナの周りに集まる。
 懐いているのはユキナで俺じゃないんだけど何故かみんなが俺を尊敬した目で見る。
 何度煮干しとサーモン効果だと言っても聞かない。

 エレメントカワウソはヨウカの家にある飾り物を置く場所に座布団を敷いてその上に置かれた。

「とりあえずエレメントカワウソが起きるまで休もうか」
「そう言えばカニとエビも倒していたわね?」

「海の食材は色々ドロップしたぞ」
「ねえ、カニの身を使って鍋にしたいわ」

 俺はカニとエビの身を収納から取り出した。

「皆で食べよう」

 俺がカニとエビを出すとみんなが驚く。

「凄い!カニとエビよ!」
「あんなにたくさん!」
「ユウヤは聖獣を従えて、カニやエビまで恵んでくれるなんて!」

「男手が無くなってから中々遠くの海に行けなかったのよ」
「私が海に行ってもすぐにカニとエビに襲われるので、海水と海草を収納して逃げてくるくらいしか出来なかったんです」

 ヨウカとあかりがカニとエビを手に取ろうとする。

「あかりは休んでいてください」
「もう休んだよ」
「まだ張り合っているのか」

 そこにけがをした子供が入って来る。

「え~ん、転んで、痛い!痛いよお!」

 あかりが魔法で傷を治そうとするとその前にヨウカが前に出る。

「チャクラヒール!」
「あ!」

 あかりががっかりした顔をした。
 ヨウカとあかりは両方回復スキルを持っている。

 スキルの効果が被っている。

 ユキナが俺の手を握って言った。

「ふふふ、ユウヤの奪い合いね」
「ユキナとは仲が良いのにな」

「そうね、私はお姉さんの役目だからよ」
「ん?」
「ヨウカとあかりは似ているわ。ユウヤに甘えたくて、それでいてユウヤの世話をしたいのよ」

「そう、なのか?」
「そうよ、きっとユウヤがいない所ではもっと仲がいいはずよ。考えが似ているもの」
「ヨウカ、あかり、2人で料理を頼む」

「はい!」
「分かったよ」

「さ、ユウヤは料理が出来るまでに温泉に入りましょう」

 俺は温泉に浸かる。
 洗濯や料理、掃除までみんながやってくれる。
 本当に助かる。

 脱衣所にユキナの気配がする?
 ユキナがタオルを巻いて温泉に入って来た。

 ユキナは温泉の湯を体にかけて、温泉に入る。
 俺の対面に座ってにっこりとほほ笑んだ。

「私はヨウカやあかりとは違うわ」

 そう言って俺と距離を詰めた。

「ヨウカやあかりがユウヤとくっ付いている間は2人に譲って、ユウヤの為に料理を作りたいと言ったら2人に譲るわ。でも私はその間にユウヤの服を作っているわ」

 そう言って俺の隣に座った。

「あかりやヨウカが太陽なのだとしたら私は月のようにユウヤと一緒にいられるわね」

 ユキナが俺の腕にもたれかかった。

「私はあかりとヨウカの邪魔にはならない。でも、そのおかげね。モンスターを倒している時もそうよ。あかりとヨウカが疲れてもユウヤだけは疲れなかった。だから一緒にエレメントカワウソと会う事が出来たわね」

 ユキナが体に巻いたタオルを外して。俺に抱きつく。

「今もそう。2人がユウヤの為に料理を作っている。私はその隙にユウヤと温泉に入るわ。あかりとヨウカはそれを分かっていて私に譲っているのよ。私は2人の邪魔をしないのだから」

 俺とユキナは、長い間温泉に入った。



 ◇



「ユキナ!遅いですよ!」
「いつまで入って……えええ!!」

「はあ、はあ、ご、ごめんなさい。はあ、はあ、カニ鍋が、楽しみ、だわ」
「食事にしよう」

 ヨウカとあかりが戻っていった。

「はあ、はあ、失敗、したわ。ユウヤを独り占めしすぎた、わね。よく、ないわ」

 俺とユキナが戻ると料理が用意され、エレメントカワウソが鍋の横でスタンバイしていた。

「きゅう!」
「早く食べたいと言っています」

 ヨウカがエレメントカワウソの横で通訳をしていた。
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