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第94話

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【ガンズ・ペンセイバー視点】

 ギシャアアアアア!

「ブラックウルフを倒すのであーる」

 炎を撃つ力を失った魔道ゴーレムがブラックウルフを殴り倒す。

 城を守るゴーレムを見渡すと、片腕が無くなっていたり、胸が大きくへこんでいたりと、まともな魔道ゴーレムは居なくなっていた。
 皆ボロボロで、動きがおかしくなっている。

 炎を撃つための火炎球を作る余裕はなく、食料も無く、兵士もじわじわと減っていった。

 明らかに城の守りが脆弱になっており皆の顔は暗い。

 ガンズは報告を受ける。

「もう食料がありません!」
「整備を出来る錬金術師が集中的に狙われております!これ以上錬金術師が減れば、いえ、もうすでに魔道ゴーレムのメンテナンスは限界を超えております!もうメンテナンスが出来ません!」
「兵の数も減りました」

「そんな事は分かっているのであーる!各自考えて対応するのであーる!」

「具体的にどうするのですか!」
「出来ないと言っています!どうするのですか!領主としての責任を果たしてください!」
「考えてじゃない!打開策を出せ!」
「どうするんだ!」

 ガンズは皆に責められる。

「黙るのであーる!!!!」 

 どうしてこうなった!
 皆の不満はたまるばかり!
 打開策は無く終わる未来しか見えない!
 無能どもが自分の案も出さず私に何とかさせようとしてくる。

 部下は結果が出るまで何も言わず、良い結果が出ればそれは当然だと思っている。
 悪い結果が出ようものなら急に怒り出す!
 怒り出すなら結果が出る前に案を出すのが当然なのに結果が出るまで何も言わない。
 結果が出るまで何も言わないのは結果が分からないからだ!

 結果が出てから言うのは馬鹿な無能のする事だ!

 どうしたらいいか道があるなら教えて欲しいものだ!



 ガンズが今やられている事は、自分では一切責任を取らず、王をただただ責めるだけのガンズと同じ行動だった。
 そしてガンズが周りの貴族を巻き込み、嫌がらせをした事で王が倒れ、今の状況を生んでいた。

「報告します!シャドウジャイアがこちらに向かってきます!」
「そうか、お前ら!そこまで言うなら自分でシャドウジャイアと対話するのであーる!お前!行く気はあるのであるか?」

「それをするのは領主であるガンズ様の役目でしょう!」
「お前はどうだ!?」
「領主の責任を取れよ!自分でやれ!」

「お前は!口だけではなく行動で示したらどうであーる!?」
「私は関係ないのです!」
「ならばなぜ結果が出るまで黙っていて結果が出てから批判し始めた!?」
「私は意見を言っただけです!」
「そこまで喧嘩を売るように意見を言うなら結果が出る前に言うのであーる!結果が分からない馬鹿だから結果が出てから騒ぎ出すのであーる!それは愚か者のする事であーる!」

「ガンズ様!シャドウジャイアが迫ってきます!すぐにご準備を」
「くう、終わったら覚えているのであーる!文句を言う者には罰を与えるのであーる!」

 私はシャドウジャイアの元に向かった。
 城の窓からシャドウジャイアを見下ろすと、奴は笑っていた。

「もう終わりなのであーる。停戦にするのであーる!」
「停戦?降伏の間違いではないか?」

「い、今こそ2つの力を合わせ、一丸となって帝国との戦いに臨むのであーる!」
「お前は協力しなかった。そしてなぜ私を見下ろしているのだ?それが協力しようとしている者への態度か?」

 ふざけるな、近づいて跪けば首を持っていかれる!
 降りるわけにはいかない。

「ふむ、降伏の意思はないか。才能値はもうすべて上がった。そろそろ死ね!」
「私達の恐怖で才能値を上げた!魔王、お前は魔王なのであーる!!」
「そんなに私の力が見たいか」

 シャドウジャイアが怪しく笑った。
 目が赤く光り、シャドウジャイアの形が変わっていく。

 シャドウジャイアの頭から2本の角が生え、コウモリのような黒い翼が生えた。
 更に肌の色が黒紫に変わった。
 二段階目に変身したのだ。

「ふははははははは!力がみなぎるううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!」

「うあああああああああああああああ!化け物おおおお!」



 その後、ガンズ・ペンセイバーの姿を見た者はいない。


 
 
【シャドウジャイア視点】

 魔王の力は素晴らしい!
 これで言う事を聞かない貴族どもはもういなくなった。

 後はルンバか。
 ふ、最も魔王に比べればゴールデンオークとレベルが高いだけのルンバなど雑魚同然だ。
 同じレベル100なら魔王である私が強いに決まっている。

 この形態ならルンバの居る城まですぐだが、一応この姿は隠しておかねばな。
 ルンバを倒せば決着がつくのだ。
 最後の長旅も、悪くはなかろう。

 私は馬車を使い、時間をかけてルンバの元へと向かった。
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