上 下
52 / 105

第52話

しおりを挟む
 エムルはベッドの上で座ってぺらぺらと話し出す。
 
「やあ、ゲット、君はやはり素晴らしいよ。エクスファイアを持ち対スケルトン戦での圧倒的優位を知りながら、それでも女性である僕と4対1で戦い、万が一エクスファイアを僕が突破しても、4人がかりで確実に僕を倒そうとするそのやり方、僕好みだよ。僕のご主人様にふさわしいね。君はSの究極だよ」

 嬉しそうに笑いながら話すエムルにムッとした。
 俺はエムルの言葉に答えず、王に聞いた。

「用と言うのは?」
「うむ、エムルに今後魔物を狩ってもらうよう頼んだのだが、いう事を聞かないのだ」
「僕はゲットの奴隷であって他の人の奴隷になった覚えはないよ!いう事を聞かせたいなら、ゲットから僕に強い口調で命令すべきなんだ。それと、もう1つの提案を飲むなら僕は受け入れるよ」

「提案ってなんだ?」
「僕をゲットの花嫁として婚儀に参加させてほしいんだ。調べたところによると、君は3人と結婚するようじゃないか。3人が4人に増えても問題はないはずだよ」
「問題あるだろ!」
「具体的に問題点を言ってもらえるかい?出来る事なら善処するよ」

 エムルか、こいつ頭が良いんだよな。
 エムルの言う事は悪魔契約的なやばさを感じる。

「俺は訓練の時間がある」
「時間が無いなら、条件を飲むのがいいよ。それに考えて欲しいんだ。僕ほどのスケルトン使いは他にいないよ。僕が王の言う通りに動くことで、君の時間を節約できるよ。それにクレア・エステル・アリシアと僕がパーティーを組んでスケルトンが魔物を狩る事で皆自動的にレベルアップ出来るんだ。更にスケルトンは訓練においても有効なんだ。スケルトンを倒してもレベルアップの経験値は入らないよ。でもね、スキルLVを上げるには有効なんだ。君が僕と結婚の契約を結ぶだけで、スケルトンが魔物を狩る事が出来て、スケルトンが倒した魔物の経験値で皆のレベルも上がり、君は時間を節約できるよ。更にスケルトンを訓練に使う事で武器LVも上げられるんだ。それに僕は女性として見た目は良いみたいだしね。夜は君を満足させることが出来るサキュバスでもあるからね。断る理由はあるのかな?」

 エムルは早口になって話すし話が長い。
 悪魔契約のように感じる。
 エムルはサキュバスだし、悪魔契約にしか見えない。

「検討しよう」
「検討する必要があるのかな?もっと言うよ。君は剛腕のブルベアと闘う事になるよね?最前線で剛腕と闘いつつ、僕に指示を出す余裕はあるのかな?それよりも、僕と結婚する事で僕が王やゼス卿の指揮下に入る。それだけで戦いを優位に進める事が出来るよ。君は戦う前から優位を捨てるのかい?君はそういう人間じゃないはずだよ。戦いが始まる前から準備を整え、戦いが始まる時にはドS的優位に立てるよう工夫を凝らし、一切の妥協をしない、そういう人間だよね?僕は人を見る目を磨き続けてきたんだ。6将に上り詰めるのは生半可な事じゃないからね。僕はご主人様を探す為、より優位に立てるように6将に上り詰めたんだ」

 ドS的優位ってなんだ?
 訳が分からない。

 王は深刻な顔をして言った。

「ゲット、頼む。エムルと結婚して欲しい。この国は今余裕が無いのだ。少しでも有利な状況を作りたいのだ!」

 ゼスじいも言った。

「害にはならんじゃろ。結婚するんじゃ」

 残る3人も言った。

「結婚しないとエムルはずっと嫌がらせのように足を引っ張り続けるにゃあ」
「ゲット、エムルはしつこいと思いますわ。結婚するのですわ。この決断が国の命運を左右しますのよ」
「剛腕のブルベア戦で、骨のエムルが寝返ったと分かれば、敵は精神的な打撃を受けるでしょう。この結婚はチャンスです!」

 エムルが口角を釣り上げて笑った。
 エムルは意図的に結婚から国の命運に論点をすり替えている。
 俺は全員から説得される状況に陥り、議論は白熱した。



「結婚、しよう」

 俺は、敗北した。
 エムルの見た目は良いんだ。
 でも、ゲームと違って見えるあの性格と、相手の逃げ場を塞いで契約を迫る悪魔のような怖さを感じた。
 エステルの『特殊な性格ではありますが、害はありませんわ』の一言が決め手になり、俺は悪魔契約を結んだ。


 その後エムルはスケルトンで魔物を狩り、パーティーを組んだアリシア・エステル・クレアのレベルが上がり、俺とのレベル差も縮まる。
 王都の近くにいる魔物は減少し、戦の準備も進んだ。

 そして、俺のスキル上げも進んだ。
 100のスケルトンが俺を包囲する。

「エムル、いいぞ」
「もっと強い口調で見下しながら言うんだ!」
「早くしろ!」

 エムルの言う事を聞かせる為にはコツがいるのだ。
 強い口調で見下すように言わないとへそを曲げる。
 奴隷の力で無理に命令するとこいつは喜び思うつぼだ。
 どちらにしてもエムルの思い通りに事が運んでいる気がしていい気はしないのだ。

 スケルトンが盾とメイスを構えた俺に攻撃を仕掛ける。
 俺は包囲され、攻撃を受けながら盾とメイスを使いスケルトンを攻撃する。

 一般兵より強いスケルトン100体はメイスと盾のLVを上げる為に役に立つ。
 俺は何度もスケルトンと闘いスキルを積み上げていった。
 更にエムルも好感度アップ装備を身につけた。

 出来るだけ準備をし、剛腕戦の準備を整えた。



 ゲット 人族 男
 レベル:  68
 HP:  680   SS
 MP:   680   SS
 物理攻撃:544    A
 物理防御:680   SS
 魔法攻撃:680   SS
 魔法防御:340    D
 すばやさ:544    A
 固有スキル:炎強化
 スキル:『メイスLV74』『盾LV73』『ファイアLV77』『ハイファイアLV69』『エクスファイアLV67』『ヒールLV28』『リカバリーLV11』『トラップLV22』『宝感知LV29』『ストレージLV34』『ファイアエンチャントLV63』『ファイアシールドLV58』
 武器 炎のメイス:250 炎魔法+30%
 防具 守りの円盾:150 HP微回復 赤のローブ:90 ハイブリッドブーツ:60
 エステル:好感度77
 クレア :好感度63
 アリシア:好感度66
 エムル :好感度81(奴隷)


 おかしいよな!?

 エムルの好感度おかしくね!?

 いや、集中だ。
 剛腕のブルベア、奴は強い。
 もっと強くなる必要がある。
 ゲームで帝国6将は次の順番で出てくる。

 知略のクグツ
 骨のエムル
 竜化のリリス
 剛腕のブルベア
 黒騎士のダイヤ

 残る疾風のガルウインは何回もちょっかいを出すように現れる。
 黒騎士ダイヤは1周目のラスボスな点を考えると、ラスボスの次に強いのが、剛腕のブルベアで、その次に成長した疾風のガルウインが来る。

 ブルベアは帝国6将の中で2番目に強い。

 竜化のリリスと疾風のガルウインを飛ばして2番目に強い剛腕が攻めてくる。

 俺は気を抜かずにスキルの修行を続けた。



『新しいスキルを取得しました』

 このスキルは!

 俺はこのスキルを口外せず戦いに臨むこととなった。






 あとがき

 エムルは女性です。
 自分の事を僕と言いますが女性です。
 混乱させ申し訳ありません!

 ではまた!
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

処理中です...