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第50話

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 俺達はゴーレムに食料を貰うと、城に帰還し、王に報告する。
 謁見の間に重鎮が並び、ゼスじいもそこに立っていた。

「おお、大量の魔物を狩った事で、ダンジョンから魔物があふれ出す危険を未然に防ぐ事が出来た。礼を言うぞ」
「お父様、顔色が優れませんわ」

「うむ、帝国6将の内2人がここを真っすぐ目指し向かっている。骨のエムルは単身で3日以内にここに来るだろう。剛腕のブルベアは軍を指揮して、遅れてここを目指しておる」

「ここを目指すと見せかけて他の拠点を潰す可能性はないか?」
「それは考えにくい。すでに前回のクグツ戦で奪還して貰った城を無視してこちらに向かっているのだ。兵には手を出させず、斥候だけは継続している状態だ」

 それが賢明だ。
 兵士の平均レベルは10で、剣や槍LVも10程度が平均だ。
 王都ではゼスじいが訓練を行ったことで多少強くなってはいるかもしれないが、修行時間が短すぎる。
 帝国6将の前では歯が立たないだろう。
 それ以前にこの国で兵士は貴重だ。
 勝てる見込みのない相手に突撃させるような事は悪手だ。

「ゼス、どう思う?」
「現状この近くに迫っているのは骨のエムルです。骨のエムルは女性魔導士として強力な力を持ちますが情報を見る限り、ゲットのパーティーだけで何とかなるかもしれません」

 ゼスじいは人がいる時は王に敬語を使う。
 だけど、笑いながら俺を見ていた。

「ゲット、お前なら倒せるじゃろう」
「何と!ゲットなら倒せると!ゼスのお墨付きだ!皆、安心するのだ!今回もゲットがやってくれるだろう!」

 辺りが歓声に包まれた。
 んん?
 まだ戦ってもいない。
 勝った気になるのはどうかと思う。
 対エムルの戦い方は思いつくけど、うまくいくかどうかは分からないのだ。

 

 俺は修行をして過ごした。
 と言っても、セーフゾーンにいる時から修行していたから49階に進んだ時より多少スキルを鍛えた程度だ。



 ビフォー。
 裏ダンジョンセーフゾーン到達時

 ゲット 人族 男
 レベル:  68
 HP:  680   SS
 MP:   680   SS
 物理攻撃:544    A
 物理防御:680   SS
 魔法攻撃:680   SS
 魔法防御:340    D
 すばやさ:544    A
 固有スキル:炎強化
 スキル:『メイスLV68』『盾LV64』『ファイアLV72』『ハイファイアLV67』『エクスファイアLV54』『ヒールLV28』『リカバリーLV11』『トラップLV22』『宝感知LV29』『ストレージLV34』『ファイアエンチャントLV58』『ファイアシールドLV41』
 武器 炎のメイス:250 炎魔法+30%
 防具 守りの円盾:150 HP微回復 赤のローブ:90 ハイブリッドブーツ:60
 エステル:好感度75
 クレア: 好感度53
 アリシア:好感度56


アフター

 ゲット 人族 男
 レベル:  68
 HP:  680   SS
 MP:   680   SS
 物理攻撃:544    A
 物理防御:680   SS
 魔法攻撃:680   SS
 魔法防御:340    D
 すばやさ:544    A
 固有スキル:炎強化
 スキル:『メイスLV68』『盾LV64』『ファイアLV75』『ハイファイアLV67』『エクスファイアLV64』『ヒールLV28』『リカバリーLV11』『トラップLV22』『宝感知LV29』『ストレージLV34』『ファイアエンチャントLV58』『ファイアシールドLV41』
 武器 炎のメイス:250 炎魔法+30%
 防具 守りの円盾:150 HP微回復 赤のローブ:90 ハイブリッドブーツ:60
 エステル:好感度76
 クレア: 好感度59
 アリシア:好感度58


 セーフゾーンではファイアを、王都ではファイアとエクスファイアの訓練をした。
 だが、俺がエクスファイアを使う様子を見物しに来る者が多くなり、多少の混乱はあった。
 ファイアのLVを上げていたためエクスファイアのLVはすぐに上昇した。

 俺・アリシア・エステル・クレアは防壁の外に出ると、美しい女性が笑いながら俺を見つめている。
 骨のエムルと俺は対峙した。
 防壁はゼスじいの指揮の元、兵が防御を固める。

 エムルが笑顔で笑う。
 その後ろには100のスケルトンが剣を持って立っていた。

「ゲット、やっと会えたね。待ちに待ったよ」
「俺は歓迎しない!女性を殴る趣味は無い!帰ってくれ!」

「んあ!そのさげすむような目!はあ、はあ、素晴らしいよ。想像以上だ」

 骨のエムルはゲーム2週目で仲間になるが、勇者ダストから一歩距離を置いているキャラだった。
 いつもニコニコしてはいるけど、どこか距離を取り、仲良くなりきれない。
 笑顔の裏にはどこか陰があった。
 
 エムルの能力は1度に100体のスケルトンを発生させる、シンプルだが強い。
 スケルトン1体だけで一般兵を上回る強さを持ち、100体が一斉に襲い掛かって来るのだ。
 スケルトンを全滅させる頃にはエムルは消えており、次の日にはまたスケルトン100体が攻めてくる。

「戦う前に契約を結ぼうじゃないか」
「何だ?」

 なんだ?
 本当になんなんだ?
 ゲームではこういう展開は無かった。

「僕とゲットで戦い、僕が負けたら君の奴隷になるよ」

 この場が一瞬固まった。

「確認するけど、俺が負けたら俺をエムルの奴隷にするのか?」
「そうじゃないよ。僕が負けたら僕が君の奴隷になるんだ」

 意味が分からない!




 あとがき
 エムルは他の作品、

『「打倒してしまっても構わんのだろう?」と魔王城へと向かい、逃げ帰ってきた勇者に追放された俺、その後英雄となり、美女たちと幸せライフを送る。~え?勇者?もう助けないし関わらないからご自由に~』

 に出てきたやばいキャラでもあります。
 知っている方は少ないと思いますが、遊び心で入れてみました。

 
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