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第22話

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 俺とアリシアは完全に余裕が出来て、移動しつつ魔物を大量に倒す生活を送っていた。
 途中からはアリシアと同棲できるボーナスタイムだ。
 
「温泉に行きたいにゃあ」
「魔呼びの効果が切れたら温泉に行こうか」

 アリシアは温泉に入っても10分もせずに上がると思う。
 暑がりだからな。

 温泉か、温泉っぽい風呂なら川があれば作れるんじゃね?
 
「試しに川風呂を作ってみようか」
「面白そうにゃあ」

 俺は川の流れが遅く、深い場所に石と泥で壁を作り、川と隔離する。
 炎の魔法で壁を陶器のように焼いて固め、時間をおいてからそこに川のきれいな水を入れた。
 朝から作り始めてもう暗くなってきた。
 泥を見つけるのに時間がかかったのだ。

 粘土を持っていれば早かったんだけどな。

「ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!」

 炎の火球を爆発させないように水に沈める。

 ぼこぼこぼこぼこ!

 焼き石を入れたように水が暖まり、即席の温泉が完成した。

「温泉だにゃあ!」

 正確には温泉ではないが、気分が大事だ。

「今日は焚火をして魚をあぶりつつ、温泉に入ろう」

 ざばーん!
 アリシアが服を脱いで温泉に飛び込む。
 おお!全裸か!

「俺は火を起こそう」

 焚火をストレージから出して、魚を串にさし、地面に突き刺していく。
 アリシアの方を何度もちらちら見てしまう。
 だが、アリシアは大事な部分を巧みに尻尾で隠している。

 どうしてもちらちらと見てしまう。
 
 アリシアはすぐに温泉から上がった。


 だが俺は見えなくてもドキドキしてしまう。

 着替え終わると、アリシアは焼けた魚をおいしそうに食べていく。

「ここは居心地がいいにゃあ」
「そうだな、しばらく拠点をここに固定しようか」

「それがいいにゃあ」


 俺はアリシアと川辺の入浴施設をおしゃれに改良しつつ、魔物を狩ってすごす。
 何気ない生活が楽しい。

 毎日エクスファイアを3回使い、その後は拠点に戻っておしゃれなお風呂を作る。


 こうして俺はざまあチケットの効果が切れた。

 いや、ダストのざまあチケットには勝利した。
 ダストが馬鹿なおかげで助かったか。

 始まりの村周辺で俺は前に魔物をたくさん狩っていた。
 そのおかげで魔物がそこまで集まってこなかったんだ。
 皆の依頼を受けて魔物を狩って助けた事で、俺に帰ってきたように思う。
 そのおかげで俺は死ななかった。

 ざまあチケットはストーリーのイベントで2回使い、使う相手はどちらも1周目のラスボスだ。
 一回目は魔物が大量にいる森の近くでざまあチケット1枚を使い、2回目はざまあチケット3枚を同時に使い違う効果をもたらす事でラスボスとの絶対敗北イベントを阻止する流れだ。
 
 考えを戻そう。
 アリシアは俺を助けたら帰ってしまうかもしれない。

 もっと、一緒にいたい。

 だが、嘘はつけない、俺はアリシアに魔呼びの効果が消えた事を伝えた。

「良かったにゃあ!」
 
 アリシアが俺に抱きつく。
 俺はドキドキしてしまう。

 他のパーティーメンバーも魅力的で、アリシアと思い出を作れただけで奇跡が起きたように思う。

「アリシア、今までありがとう」
「次はどこに行くかにゃ?」
「ついて来て、くれるのか?」
「行くにゃあ」

 アリシアが俺について来てくれる!
 俺は頭をフル回転させる。

 俺は次の事をしっかりと考えていなかった。
 18才の盗賊イベントが近づくにつれて、生き残る事に意識が持って行かれる。
 それが終わるとすぐにざまあチケットを使われて魔物と闘い続ける事になった。

 だが今は状況が変わった!
 ……思いつくのは2つだ。

 ・ダストにやり返す。
 ・アリシアや他のパーティーキャラと結ばれる。

 細かい事は他にもある。
 村に俺達の無事を伝えておきたいし、もう少しここでゆっくりしてから出発したいってのもある。

 だが、大きい部分を1つ1つ考えてみよう。

 まず、ダストにやり返す件だが、いちいちダストをつけ狙って動くのは嫌だ。
 奴の為に時間を浪費するのも気に入らない。
 後あいつ生きているのか?
 死んでいる可能性もあるんじゃないか?

 だが、生きていると仮定して考えよう。
 やるならダンジョンの宝を全部手に入れてダストが活躍しにくいようにする。
 3枚あるざまあチケットはまだ使わない。
 ここぞというタイミングを見極める。
 また邪魔をしに来たらメイスで殴ってやる。
 もう死んでも文句は言えないよな?

 もう1つのアリシアや他のパーティーキャラと結ばれる件だが、ゲーム1周目では、

 アリシア、

 それとダストに訓練指導をしに来た女剣士のクレア、

 そして、回復魔法を使いこなすエステルがパーティーメンバーとなる。

 全員美人で魅力があり、一緒にいたら多くの男性が皆を好きになるだろう。

 俺はモブでみんなと結ばれる事は無いかもしれない。
 だが、出来るだけ動く。

 例え駄目でもやらない後悔より、やって後悔したいのだ。
 やれる事は、全キャラの好感度アップ装備を取り、みんなに装備してもらうのが目標か。
 好感度アップ装備を取得する時点で難易度は高く、取ったとしても装備してもらえるか分からない。
 でも、出来るだけのことはしておきたい。

「アリシア、何日かここでのんびりしたら村に戻って無事を伝えよう。その後は街をめぐりつつダンジョンの宝を集める旅に出たい」

 ダンジョンで好感度アップ装備を取るのだ!
 そしてアリシアに装備してもらう!
 
「……ゲットは今までダンジョンに入った事があるのかにゃ?」
「今まで隠していたけど、あるんだ。宝をたくさん手に入れてきた」
「次からは私も行くにゃあ。ダンジョンに1人で行くのは危険にゃあ」

「ありがとう。でも、ダンジョンに行くとみんな心配するから皆には内緒にしたいんだ」
「言わない方がいいにゃあ」

「そうだよな」
「ここで何日か休むにゃあ」
「ああ、今は美味しい物をたくさん食べて、ゆっくりしよう」



 俺とアリシアは2日ほど魔物と闘わず過ごした。
 だが、お風呂に入っていたアリシアが急に動き、武器を手に取る。

「人の気配がするにゃあ」
「ここに!こんな奥地になぜ!」

 そこに現れたのは、ダストの剣術指南をしたクレア、そしてゲームの回復役、エステルだった。

 パーティーメンバーが揃った!


 ゲットはアリシアに告白をする勇気が無く、回りくどい方法を選択した。



 あとがき
 ギャグパートのつもりでこの話を執筆しましたが、『主人公の性格が変わった』と取られたようです。
 少しマイルドに文章を変えました。
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