上 下
126 / 136

第126話 狙われたブラウ

しおりを挟む
 周りにいたオオカミ族が怒りだした。

「あんたああ! 人の心は無いのかよおおおお!」
「おさわりじじいにブラウを差し出すって言うのか! おかしいだろうが!」
「ブラウは悪くねえよ! あんたが責任を取る必要は無い!」

 オオカミ族がブラウを庇いだした。

「ブラウ、悪かったよ。つい、気が大きくなってボコッちまった。俺達が鉱山でも、バンパイアの献血要員でもやって罰を受けるからよお」
「そうだぜ、庇う事はねえって。俺達の問題は俺達が片を付ける」

 ブラウが罪を被る→他のオオカミ族がブチ切れる

 オオカミ族が普通に罰を受ける→他のオオカミ族がブチ切れる

 罪を無しにする→他の種族がずるいと反発する

 何をやってもうまくは行かない。
 いや、1つ方法がある。

「お金で、解決できませんか?」
「1人金貨5000枚、8人で4万枚で罰を回避できますなあ」
「ぐ! ……でも出せない額じゃないです」

 この国の法律は重罪でなければお金で解決できる。
 金貨4万枚=日本円にして4億円相当だ。

「じゃあ、僕が金貨を出しますね。帰ります」

 俺は4万枚の金貨を出した。
 クルシュタと方向転換して俺は素早くこの場を離れていく。
 こうする事で意味不明な雰囲気が漂い、怒りは沈静化するはずだ。


「待ちな! なんでウチを助けたんだ!」
「今日はいい天気だよな」
「え? え?」

 俺は意味が分からない事を言って困惑させつつ帰った。
 普通に受け答えをすれば話が終わらない。
 まともに答えない、それが正解だ。



【次の日】

 玄関を開けるとブラウが立っていた。

「昨日の今日はいい天気だよなの意味が分からなかった。教えてくれ」
「ただ、意味不明な事を言って喧嘩にならない空気を作っただけだ。じゃあな」

「待て! 借りを返す必要がある。このままじゃ帰れない」
「……じゃあ、ナナヤを守って欲しい。今おさわりじじいに狙われるかもしれないからな」

「ウチがナナヤの部下になって守ればいいのか?」
「うん、まあ、部下じゃなくてもいいけど守って欲しい」
「分かった、案内してくれ」

「ブラウ、俺の事が嫌いじゃないのか? ワルブの件があっただろ?」
「嫌いだけど、義理は守る」
「兵士の仕事はいいのか?」
「辞めてきた」
「はあ!」
「私が辞めて、少しでも責任を取る事にしたから」
「……ブラウ、いい奴だな」
「べ、べつに」

 俺はナナヤの所にブラウを紹介しに行った。

「……というわけで一緒に行動して欲しい」
「ウチが守ってやる!」
「おお! 心強いです! いいですね! いいですよ!」

「この前は、悪かったな。多分、おさわりじじいに見つかればまた追われるぞ」
「噂をすれば、来ましたよ」

「見つけたわい! ナナヤ! ワシが揉んでやるでのう! きえええええええい!」

「ウチがやる!」
「ブラウか! 聞いておるわい! 軍を辞めたようじゃのう! じゅるり! レオナルドの管理を外れた今、ブラウは揉み放題じゃあああ!」

「追尾の矢! ツタの矢! 分身の矢! 衝撃の矢!」
「ナナヤの固有スキルはもう見たわい!」

 おさわりじじいがすべての矢を避けていく。

「ウチもいるんだ!」

 ブラウが蹴りを連続で放った。

「ぐべええ! ぐふううう!」

 ブラウの蹴りが連続でヒットした。

 おさわりじじいはゾンビのように蹴られながらもブラウの足を掴んだ。

「ひゃっひゃっひゃ! 捕まえたわい!」
「やめ!」
「遅いのう! むっちりな太もも、じゅるり! おさわり!」

 おさわりじじいの手がブラウの太ももを捕えた。

「んおん! ぎいいいいいいいい!」

 俺は後ろからおさわりじじいの腕を殴るが、木に張り付いたカブトムシのように手を離さない。
 俺はステッキの連撃を繰り出した。

 おさわりじじいが倒れようとして、ゾンビのように起き上がろうとする。

「ミサイル手裏剣!」

 俺はミサイルナイフから進化した固有スキルを使った。
 ナイフの刃が4つ繋がった手裏剣が1つ出現し高速で回転する。

 キュイイイイイイイイイイイイイイイイイン!

 ミサイルナイフは10本だったがミサイル手裏剣は1つしか出せない。
 でもその分威力と耐久力は大幅に上昇した。
 ミサイル手裏剣がおさわりじじいをどこまでも追いかける。

「やめ! これはやば! やばいやつじゃ!」
「手裏剣の耐久力が無くなれば消える! 頑張ってくれ!」
「きえええええええええい! ぐっふぉおおお!」

 おさわりじじいが逃げ出すが、どこまでも追いかけていった。


 ナナヤだけじゃなく、ブラウも狙われたか。
 ナナヤとブラウは、美人だ。
 おさわりじじいに狙われるのも分かる。
 サーラの所に連れて行かないと危ないかもしれない。

 俺は2人をサーラのいる食料都市マリンに送った。



しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

アレキサンドライトの憂鬱。

雪月海桜
ファンタジー
桜木愛、二十五歳。王道のトラック事故により転生した先は、剣と魔法のこれまた王道の異世界だった。 アレキサンドライト帝国の公爵令嬢ミア・モルガナイトとして生まれたわたしは、五歳にして自身の属性が限りなく悪役令嬢に近いことを悟ってしまう。 どうせ生まれ変わったなら、悪役令嬢にありがちな処刑や追放バッドエンドは回避したい! 更正生活を送る中、ただひとつ、王道から異なるのが……『悪役令嬢』のライバルポジション『光の聖女』は、わたしの前世のお母さんだった……!? これは双子の皇子や聖女と共に、皇帝陛下の憂鬱を晴らすべく、各地の異変を解決しに向かうことになったわたしたちの、いろんな形の家族や愛の物語。 ★表紙イラスト……rin.rin様より。

目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~

白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。 目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。 今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる! なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!? 非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。 大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして…… 十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。 エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます! エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒
ファンタジー
 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

処理中です...