125 / 136
第125話 揉める兵士
しおりを挟む
俺はナナヤを休ませてすぐに王に報告しに行った。
「……というわけです」
「おさわりじじい封印計画は失敗したか」
「はい」
おさわりじじいの封印計画として、ナナヤを鍛えて貰う案を出していたが失敗した。
「ナナヤなら、おさわりじじいをあしらえるかと期待していましたが、かわいそうな事をしてしまいましたな」
「ええ、ナナヤなら多少触られても適当にあしらうかと思っていましたが、意外とガードが堅いです」
「ユウタにだけ心を許していた、そういう事か」
「ですなあ」
「いえ、口では色々言っていますが、僕がナナヤを抱き着けば、何を言われるか分かりません」
「そうなのか? どう見てもユウタなら大丈夫に見えるが? まあいい、実はまた問題が起きてな。今丁度揉めているのだ」
「おさわりじじいではない問題ですよね?」
「ワルブのギャングを捕まえた際に罪人にしようとしましたが、他の冒険者や兵士のオオカミ族がいまして、反対されました」
「オオカミ族は種族のきずなが強いですからね」
「ええ、そこで兵士として部隊を分散させて管理してもらっていたのですが問題が起きました」
「たまたま任務の都合で部隊を合流させる事態に陥ってな。そこでオオカミ族8人が結束して兵士に暴行を加える事件が起きたのだ」
兵士の任務は不確実性の塊だ。
いつモンスターを倒し終わるか分からない、いつトラブルが起きるか分からない。
工兵の作業も思ったより土が堅かったり、モンスターが出てくれば期限が遅れる。
オオカミ族が群れになると問題を起こす可能性は上がるのは分かっていても部隊を合流させた方が良い場合もある。
オオカミ族をまとめたらまずい、は色々ある問題の1つに過ぎなかった。
今回は部隊を合流させてそれが悪く出たか。
「問題を起こしたオオカミ族に罰を与える、では駄目なんですね?」
100のギャングに重い罰を与えようとして他のオオカミ族が反対した経緯がある。
事はそう単純ではないのだろう。
「帰還した兵士が揉めています。様子を見に行った方が分かりやすいでしょう」
王と大臣に案内されて兵士の所に向かうとオオカミ族の女性が声を上げていた。
「ウチが責任を取るって言ってるだろうが!」
大臣が俺に耳打ちした。
「彼女の名前はブラウ、ワルブの従妹で、今は彼女がオオカミ族のリーダー的存在です」
ブラウを見るとブラウンのショートカットヘアとブラウンの目。
頭からはオオカミの耳とふさふさの尻尾が生えていた。
ぴっちりとしたショートTシャツとショートパンツを着ており上半身は細めだが胸はある。
お尻と太ももがかなりしっかりしている。
蹴りを主体で戦うタイプだろう。
レオナルドさんは困った顔をして諭すように言った。
「だがなあ、問題を起こしたなら、問題を起こした本人が罰を受けるのが普通だ。誰かが変わるとかそういうのじゃないんだ」
「じゃあウチが重い罰を受ける!」
「そういう事じゃないと言っている! ……王が来たようだ」
ブラウか。
同族を守ろうとしているのを見ると愛は深い。
でもその愛は、愛する者が殺されたりひどい目にあった場合、恨みに変わる。
オオカミ族の絆の強さが問題をややこしくしている。
今回の件も難しそうだ。
ブラウは俺を見た瞬間にキッ! と俺を睨みつけた。
ブラウはワルブの従妹だ。
俺はワルブを倒して奴隷にした。
ワルブ1人が罪を被る形になったわけだがその後ワルブが死んだ。
俺が捨て石のように使う事を決めた為だ。
「今回、僕は恨まれているようなので力に離れないと思います」
「待つのだ。案を出すだけでもいい」
「……案、ですか。ブラウは同族を守りたいんだよな?」
「そうだ! なにか文句あるのか!」
「いや、優しいんだなと思っただけだ。仮にだ。罰としておさわりじじいの相手をしろと言ったら受けるのか?」
「それで済むなら……受ける」
その瞬間に周りにいたオオカミ族が怒りだした。
「……というわけです」
「おさわりじじい封印計画は失敗したか」
「はい」
おさわりじじいの封印計画として、ナナヤを鍛えて貰う案を出していたが失敗した。
「ナナヤなら、おさわりじじいをあしらえるかと期待していましたが、かわいそうな事をしてしまいましたな」
「ええ、ナナヤなら多少触られても適当にあしらうかと思っていましたが、意外とガードが堅いです」
「ユウタにだけ心を許していた、そういう事か」
「ですなあ」
「いえ、口では色々言っていますが、僕がナナヤを抱き着けば、何を言われるか分かりません」
「そうなのか? どう見てもユウタなら大丈夫に見えるが? まあいい、実はまた問題が起きてな。今丁度揉めているのだ」
「おさわりじじいではない問題ですよね?」
「ワルブのギャングを捕まえた際に罪人にしようとしましたが、他の冒険者や兵士のオオカミ族がいまして、反対されました」
「オオカミ族は種族のきずなが強いですからね」
「ええ、そこで兵士として部隊を分散させて管理してもらっていたのですが問題が起きました」
「たまたま任務の都合で部隊を合流させる事態に陥ってな。そこでオオカミ族8人が結束して兵士に暴行を加える事件が起きたのだ」
兵士の任務は不確実性の塊だ。
いつモンスターを倒し終わるか分からない、いつトラブルが起きるか分からない。
工兵の作業も思ったより土が堅かったり、モンスターが出てくれば期限が遅れる。
オオカミ族が群れになると問題を起こす可能性は上がるのは分かっていても部隊を合流させた方が良い場合もある。
オオカミ族をまとめたらまずい、は色々ある問題の1つに過ぎなかった。
今回は部隊を合流させてそれが悪く出たか。
「問題を起こしたオオカミ族に罰を与える、では駄目なんですね?」
100のギャングに重い罰を与えようとして他のオオカミ族が反対した経緯がある。
事はそう単純ではないのだろう。
「帰還した兵士が揉めています。様子を見に行った方が分かりやすいでしょう」
王と大臣に案内されて兵士の所に向かうとオオカミ族の女性が声を上げていた。
「ウチが責任を取るって言ってるだろうが!」
大臣が俺に耳打ちした。
「彼女の名前はブラウ、ワルブの従妹で、今は彼女がオオカミ族のリーダー的存在です」
ブラウを見るとブラウンのショートカットヘアとブラウンの目。
頭からはオオカミの耳とふさふさの尻尾が生えていた。
ぴっちりとしたショートTシャツとショートパンツを着ており上半身は細めだが胸はある。
お尻と太ももがかなりしっかりしている。
蹴りを主体で戦うタイプだろう。
レオナルドさんは困った顔をして諭すように言った。
「だがなあ、問題を起こしたなら、問題を起こした本人が罰を受けるのが普通だ。誰かが変わるとかそういうのじゃないんだ」
「じゃあウチが重い罰を受ける!」
「そういう事じゃないと言っている! ……王が来たようだ」
ブラウか。
同族を守ろうとしているのを見ると愛は深い。
でもその愛は、愛する者が殺されたりひどい目にあった場合、恨みに変わる。
オオカミ族の絆の強さが問題をややこしくしている。
今回の件も難しそうだ。
ブラウは俺を見た瞬間にキッ! と俺を睨みつけた。
ブラウはワルブの従妹だ。
俺はワルブを倒して奴隷にした。
ワルブ1人が罪を被る形になったわけだがその後ワルブが死んだ。
俺が捨て石のように使う事を決めた為だ。
「今回、僕は恨まれているようなので力に離れないと思います」
「待つのだ。案を出すだけでもいい」
「……案、ですか。ブラウは同族を守りたいんだよな?」
「そうだ! なにか文句あるのか!」
「いや、優しいんだなと思っただけだ。仮にだ。罰としておさわりじじいの相手をしろと言ったら受けるのか?」
「それで済むなら……受ける」
その瞬間に周りにいたオオカミ族が怒りだした。
0
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる