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第103話 小細工

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【ジョーカー視点】

 今回の戦いで不確定要素になるのは遊び人ユウタと遊び人のさわりじじいだった。
 2人の能力がよく分からない。

 分からないなら足止めをすればいい。
 駒とぶつけて消耗させる。
 王都さえ落とせば後でどうにでもできる相手だ。
 レオナルド、セリア、殺しやすい順に殺せばいい。
 しかし、ユウタは見事に引っかかってくれた。

 5000の駒を足止めに使ったがそれでも20000の駒がここにいる。

 ユウタとおさわりじじいのいない王都の戦力なら、すべて計算出来る。
 厄介なのは上にいる弓兵だが、門さえ壊して突入してしまえば圧倒的に僕が優位に立てる。

 僕は走った。
 矢を躱して門にたどり着く前に叫んだ。

「アタックダイス!」

 6の目、運がいい。

 門を小型の爆発が襲った。
 門が歪んだ。

 更に後ろからはブリーザとオーガスが迫る。

「アイススティング!」
「シールドラッシュ!」

 アイススティングとシールドラッシュで門に穴が開いた。
 後ろからオークが突撃して斧で門を破壊していった。

 門の向こう側は上り坂になっていた。
 矢を放ちやすい様にでもしているんだろう。



 オークは矢に強い。
 何体か倒れはするが勢いを止める事は出来ない。

 バキャ!ボキャ!バキベキバキ!

「門の破壊、終了~! 突撃だ~!」

 僕とオーガス、ブリーザは防壁の下に潜り込んで指揮をした。
 これで向こうは防壁の上から僕たちに矢を放つ事が出来ない。

 オークの軍勢が門の中に攻め込んだ。

「「ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」」

 レオナルドの声がした。

「総員! 魔法攻撃を放て!」

 ドゴーン!
 チュドーン!
 キュイーン!

 魔法攻撃か、確かにオークには効果的だ。
 だが、この戦力差でオークを倒しきれるわけがない。

「ひるまず突撃だ~! 魔法攻撃には限りがある!」

 ……おかしい、さっきからオークが坂を上っては魔法を受けて転がってくる。
 オークが魔石に変わり、魔石が転がり落ちてきている。

 オークの犠牲が出るのは想定内だが、それにしてもやられ過ぎている。
 セリアが後先考えずに魔法を放ったか?
 その可能性もあるが、この違和感は何だ?

「オーガス、ブリーザ、前に出る」

 3人で前に出た。

 坂を上り、そして状況を理解した。

「池を掘ったか!」

 坂をぐるりと囲うように池が掘られており、魔法使いは安全に魔法を放つ事が出来た。
 そしてオークの突撃が途中で止まり、密集したところに効率よく魔法を放たれた。

 ユウタか、やられた!

 小細工ではあるが効果的にオークを倒された。

 前からはバンパイアや魔法部隊、セリアの魔法攻撃、後ろからは防壁の上にいるエルフたちスカウトによる矢の雨、少ない労力でここまで駒を減らしたか。

 だがまだ策はある。

「ブリーザ、リザードマンなら水の上を走れる、そしてブリーザの氷魔法で池を凍らせろ!」

 ブリーザと僕は後ろに下がった。
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