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第20話 プロパガンダ
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俺はおさわりじじいを放置して魔物狩りを続けた。
何を言っても「セリアがマッサージを受けるまでワシは動かん!」と言って聞かないのだ。
最近魔物の発生報告が多く、特に食料都市マリンでは魔物の発生率が高い。
レオナルドさんは王都に帰った。
街の兵士団も連日忙しそうだ。
副兵士長に力を認められた俺はアリーチェ、セリアの3人パーティーで魔物を倒していった。
賢者のセリアは兵士ではなく冒険者だ。
一時的にアリーチェを兵士団から除隊扱いにして俺とアリーチェがセリアの付き人扱いにする事で冒険者にならなくても3人で報酬を平等に分配されるようにしてくれた。
セリアはかなり頭がいい。
前日にセリアが設置した魔物を呼び寄せる罠に3人で向かった。
「チャージボアが7体います、アリーチェ、やってみますか?」
チャージボアは突進のアーツを使うイノシシだ。
「やるわ!残像剣!」
アリーチェの速度が増した。
一気に4体の魔物を魔石に変えた後は残った3体を危なげなく倒していく。
このように俺かアリーチェ、もしくは2人で戦い、セリアは出来るだけ戦わない方向で修業している。
おさわりじじいが制御不能な分実戦で俺とアリーチェを鍛えてくれている。
「いいですね。残像剣の動きが良くなっています。次の罠に移動しましょう」
セリアが設置した罠のおかげで効率的に魔物と闘う事が出来た。
「チャージボア21体ですね」
「次は俺がやる」
「ナイフ!」
9本のナイフをチャージボアに突き刺すと突撃して来た。
突撃してくるチャージボアの攻撃を躱しつつ確実にステッキで打撃を与えていく。
1撃では倒せないが、チャージボアが突撃を繰り返すたびに弱っていきすべてが魔石に変わった。
「あ、レアアイテムだ!」
魔石と一緒に大きな肉がドロップした。
「走って持って帰りましょう」
3人で走り、街に帰った。
肉と魔石を納品するとセリアと別れて家に向かう。
道の途中でおさわりじじいがステッキをマイクに変えて演説を行っていた。
思わず立ち止まった。
「今この世界には危機が迫っておる!遊び人ユウタには狂気の修行が必要なんじゃ!おなごは恥ずかしがっていてはいかん!おなごはただ横になりマッサージを受けるだけで世界はいい方向に向かうんじゃ!常識を捨てるんじゃ!おなごの恥ずかしさよりも何よりも命が大事じゃ!」
思ったよりおさわりじじいの演説を聞く人が多い。
……そうか、教育レベルが日本より低いんだ。
政治家のような議論のすり替えにみんな気づいていないのか。
それと、おさわりじじいの演説が異様にうまい。
表情とか言い方とか、よく分からないけど何故か引き込まれる。
これも遊び人の力なのか?
俺はまた歩き出し、食事を終え、魔物狩りを続けた。
◇
数日経ち、夜になると領主のロレンツさんが訪ねて来た。
「ユウタ殿、明日からおさわりの修行をして欲しい」
「それ、嫌がっている女性におさわりするとかじゃないですか?」
「説明不足だった。……おさわりじじいと交渉してユウタ殿のおさわりレベルが1つ上がる度に娼館の特別チケットを渡す契約を結んだ。当然マッサージの相手は男だ」
「良かったです。受けさせてもらいます」
「……実はな、おさわりじじいの演説で皆が不安になっている。ユウタ殿がおさわり修行を始めないと魔物に殺されると本気で不安に感じる者が多くなったのだ」
「そういう事情なんですね。分かりました。早めにレベルを上げます!」
俺は礼をした。
「うむ、明日から頼んだ」
おさわりじじいの修行か。
大丈夫か?
おさわりじじいの修行は俺の予想とは違っていた。
何を言っても「セリアがマッサージを受けるまでワシは動かん!」と言って聞かないのだ。
最近魔物の発生報告が多く、特に食料都市マリンでは魔物の発生率が高い。
レオナルドさんは王都に帰った。
街の兵士団も連日忙しそうだ。
副兵士長に力を認められた俺はアリーチェ、セリアの3人パーティーで魔物を倒していった。
賢者のセリアは兵士ではなく冒険者だ。
一時的にアリーチェを兵士団から除隊扱いにして俺とアリーチェがセリアの付き人扱いにする事で冒険者にならなくても3人で報酬を平等に分配されるようにしてくれた。
セリアはかなり頭がいい。
前日にセリアが設置した魔物を呼び寄せる罠に3人で向かった。
「チャージボアが7体います、アリーチェ、やってみますか?」
チャージボアは突進のアーツを使うイノシシだ。
「やるわ!残像剣!」
アリーチェの速度が増した。
一気に4体の魔物を魔石に変えた後は残った3体を危なげなく倒していく。
このように俺かアリーチェ、もしくは2人で戦い、セリアは出来るだけ戦わない方向で修業している。
おさわりじじいが制御不能な分実戦で俺とアリーチェを鍛えてくれている。
「いいですね。残像剣の動きが良くなっています。次の罠に移動しましょう」
セリアが設置した罠のおかげで効率的に魔物と闘う事が出来た。
「チャージボア21体ですね」
「次は俺がやる」
「ナイフ!」
9本のナイフをチャージボアに突き刺すと突撃して来た。
突撃してくるチャージボアの攻撃を躱しつつ確実にステッキで打撃を与えていく。
1撃では倒せないが、チャージボアが突撃を繰り返すたびに弱っていきすべてが魔石に変わった。
「あ、レアアイテムだ!」
魔石と一緒に大きな肉がドロップした。
「走って持って帰りましょう」
3人で走り、街に帰った。
肉と魔石を納品するとセリアと別れて家に向かう。
道の途中でおさわりじじいがステッキをマイクに変えて演説を行っていた。
思わず立ち止まった。
「今この世界には危機が迫っておる!遊び人ユウタには狂気の修行が必要なんじゃ!おなごは恥ずかしがっていてはいかん!おなごはただ横になりマッサージを受けるだけで世界はいい方向に向かうんじゃ!常識を捨てるんじゃ!おなごの恥ずかしさよりも何よりも命が大事じゃ!」
思ったよりおさわりじじいの演説を聞く人が多い。
……そうか、教育レベルが日本より低いんだ。
政治家のような議論のすり替えにみんな気づいていないのか。
それと、おさわりじじいの演説が異様にうまい。
表情とか言い方とか、よく分からないけど何故か引き込まれる。
これも遊び人の力なのか?
俺はまた歩き出し、食事を終え、魔物狩りを続けた。
◇
数日経ち、夜になると領主のロレンツさんが訪ねて来た。
「ユウタ殿、明日からおさわりの修行をして欲しい」
「それ、嫌がっている女性におさわりするとかじゃないですか?」
「説明不足だった。……おさわりじじいと交渉してユウタ殿のおさわりレベルが1つ上がる度に娼館の特別チケットを渡す契約を結んだ。当然マッサージの相手は男だ」
「良かったです。受けさせてもらいます」
「……実はな、おさわりじじいの演説で皆が不安になっている。ユウタ殿がおさわり修行を始めないと魔物に殺されると本気で不安に感じる者が多くなったのだ」
「そういう事情なんですね。分かりました。早めにレベルを上げます!」
俺は礼をした。
「うむ、明日から頼んだ」
おさわりじじいの修行か。
大丈夫か?
おさわりじじいの修行は俺の予想とは違っていた。
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