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第9話 上がる評判
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【領主ロレンツ視点】
ロックショットが現れた現場に向かうと領民と兵士が集まって来た。
日差し避けの天幕が張られた草むらでユウタ殿が眠っている。
「ロックショットはどこだ?」
「撤退しました」
「……は?100のゴブリンと狡猾なロックショットをこのメンバーだけで撤退させたのか?」
「そうです」
信じられん。
相手はエースだぞ!
撤退させられたとして、大魔法を使うロックショットが現れたとなれば民に犠牲が出ただろう。
「犠牲者は何人だ?」
「けが人は303名、死亡者はゼロです」
「ゼロ!死者がゼロなのか!?」
「はい」
信じられん、ここにいる者だけでエースを撃退し、しかも犠牲者ゼロとは。
「何があった?」
領民が一斉に話し出した。
何を言っているか分からない。
「一旦副兵士長に話を聞こう」
「はい、経緯は……」
副兵士長の話は驚くべきものだった。
ロックショットが大魔法を3回使えるその事実。
そしてユウタ殿がそれを察知して奇襲を仕掛け、最後は倒れるまで戦い気絶しているのだという。
最弱の遊び人として転生し、転生後間もない状態でエースを撤退させたその奇跡に体が震えた。
更に皆ユウタ殿の遊び人としての幸運が死者ゼロの軌跡を招いたのだと言った。
「ユウタ殿の幸運が招いた結果もあるだろう。だが、転生したその日に運命が変わっていた、私にはそう思えるのだ」
皆が私の話に耳を傾ける。
「私はユウタ殿に転生者は王に会いに行く通例があると言った。だがユウタ殿は私に気を使って修行する道を選んだわけだが、もしユウタ殿が王都に向かう選択をしていた場合、ここにいる者は皆、いや、私も含めて生きていたかどうかわからない」
「どういう事だろ?」
「そりゃあ、ユウタさんが王都に向かえばその分護衛に兵士を割くことになるだろ?兵士が少ない状態で敵が攻めこんできたらやられていただろ?」
「あ、そういう事?」
「そうだ、更にユウタ殿も不在で狡猾なロックショットと闘う事になっていただろう。つまり、ユウタ殿のやさしさが幸福を運んでいた。戦う前からすでにユウタ殿はこの街に祝福をもたらしていたともいえるだろう」
「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
「更にユウタ殿は異質な存在でもあった。遊び人のジョブでありながら遊ばず、努力を続けた。まるでロックショットが現れる私達に幸福を届けるかのように自らを痛めつけるように力を蓄え続けた!」
「た、確かに、言われてみればそうかもしれない」
「だがよ、ユウタにはかなり無理をさせちまった」
ピエールが前に出て言った。
「それすら意味があったのだと私には思える。それと皆は気づいているだろうか?話を聞く限りユウタ殿は意図的にロックショットを挑発して敵の注意を引きつけ自らを危険に追いやった。こうする事で皆が避難と、治療を受ける事が出来た。これは心理戦でもあったのだ!」
「そ、そう言われれば真面目なユウタが今日は不自然なくらいにロックショットを挑発していたぜ!」
「今日のユウタはいつもと違ったっす!」
「そうよ!いつもより口が悪かったわ!」
「幸運だけではない。ユウタ殿は皆を守ろうとして意思を持って守っていたのだ!転生者は学園卒業者レベルの知識を持っている。皆が気付かない部分で誰にも悟られる事も無くおとりとなって皆を守っていたのだ!だからこそ!だからこそ迅速な治療が出来た!だからこその死者数ゼロなのだ!」
ざわざわざわざわ!
「難しく言いすぎたが言いたいことは1つだけだ。幸運だけではない!ユウタ殿は危険を冒して意思を持って皆を守っていたのだ!!」
「ロレンツ様は学園を卒業してて頭がいいわ。気づかない所でユウタ様が私達を守ってくれたのよ!」
「心理戦とか難しい事は分からねえが、ユウタさんは俺達を頑張って守ってくれたって事だな!」
「俺、今度サーカスに行こうかな」
「ユウタ様の幸運を分けて貰いましょう」
「気持ちは分かるが、ユウタ殿は今疲れ果てて眠っている。今はただ、休息を、つかの間の安らぎを邪魔しないようにしようではないか」
私はユウタ殿に手を組み祈った。
全員が眠っているユウタ殿に両手を合わせた。
女神ティア、ユウタ殿に祝福を。
目を開けるとアリーチェがユウタ殿を膝枕していた。
皆がその様子を見つめる。
ロックショットが現れた現場に向かうと領民と兵士が集まって来た。
日差し避けの天幕が張られた草むらでユウタ殿が眠っている。
「ロックショットはどこだ?」
「撤退しました」
「……は?100のゴブリンと狡猾なロックショットをこのメンバーだけで撤退させたのか?」
「そうです」
信じられん。
相手はエースだぞ!
撤退させられたとして、大魔法を使うロックショットが現れたとなれば民に犠牲が出ただろう。
「犠牲者は何人だ?」
「けが人は303名、死亡者はゼロです」
「ゼロ!死者がゼロなのか!?」
「はい」
信じられん、ここにいる者だけでエースを撃退し、しかも犠牲者ゼロとは。
「何があった?」
領民が一斉に話し出した。
何を言っているか分からない。
「一旦副兵士長に話を聞こう」
「はい、経緯は……」
副兵士長の話は驚くべきものだった。
ロックショットが大魔法を3回使えるその事実。
そしてユウタ殿がそれを察知して奇襲を仕掛け、最後は倒れるまで戦い気絶しているのだという。
最弱の遊び人として転生し、転生後間もない状態でエースを撤退させたその奇跡に体が震えた。
更に皆ユウタ殿の遊び人としての幸運が死者ゼロの軌跡を招いたのだと言った。
「ユウタ殿の幸運が招いた結果もあるだろう。だが、転生したその日に運命が変わっていた、私にはそう思えるのだ」
皆が私の話に耳を傾ける。
「私はユウタ殿に転生者は王に会いに行く通例があると言った。だがユウタ殿は私に気を使って修行する道を選んだわけだが、もしユウタ殿が王都に向かう選択をしていた場合、ここにいる者は皆、いや、私も含めて生きていたかどうかわからない」
「どういう事だろ?」
「そりゃあ、ユウタさんが王都に向かえばその分護衛に兵士を割くことになるだろ?兵士が少ない状態で敵が攻めこんできたらやられていただろ?」
「あ、そういう事?」
「そうだ、更にユウタ殿も不在で狡猾なロックショットと闘う事になっていただろう。つまり、ユウタ殿のやさしさが幸福を運んでいた。戦う前からすでにユウタ殿はこの街に祝福をもたらしていたともいえるだろう」
「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
「更にユウタ殿は異質な存在でもあった。遊び人のジョブでありながら遊ばず、努力を続けた。まるでロックショットが現れる私達に幸福を届けるかのように自らを痛めつけるように力を蓄え続けた!」
「た、確かに、言われてみればそうかもしれない」
「だがよ、ユウタにはかなり無理をさせちまった」
ピエールが前に出て言った。
「それすら意味があったのだと私には思える。それと皆は気づいているだろうか?話を聞く限りユウタ殿は意図的にロックショットを挑発して敵の注意を引きつけ自らを危険に追いやった。こうする事で皆が避難と、治療を受ける事が出来た。これは心理戦でもあったのだ!」
「そ、そう言われれば真面目なユウタが今日は不自然なくらいにロックショットを挑発していたぜ!」
「今日のユウタはいつもと違ったっす!」
「そうよ!いつもより口が悪かったわ!」
「幸運だけではない。ユウタ殿は皆を守ろうとして意思を持って守っていたのだ!転生者は学園卒業者レベルの知識を持っている。皆が気付かない部分で誰にも悟られる事も無くおとりとなって皆を守っていたのだ!だからこそ!だからこそ迅速な治療が出来た!だからこその死者数ゼロなのだ!」
ざわざわざわざわ!
「難しく言いすぎたが言いたいことは1つだけだ。幸運だけではない!ユウタ殿は危険を冒して意思を持って皆を守っていたのだ!!」
「ロレンツ様は学園を卒業してて頭がいいわ。気づかない所でユウタ様が私達を守ってくれたのよ!」
「心理戦とか難しい事は分からねえが、ユウタさんは俺達を頑張って守ってくれたって事だな!」
「俺、今度サーカスに行こうかな」
「ユウタ様の幸運を分けて貰いましょう」
「気持ちは分かるが、ユウタ殿は今疲れ果てて眠っている。今はただ、休息を、つかの間の安らぎを邪魔しないようにしようではないか」
私はユウタ殿に手を組み祈った。
全員が眠っているユウタ殿に両手を合わせた。
女神ティア、ユウタ殿に祝福を。
目を開けるとアリーチェがユウタ殿を膝枕していた。
皆がその様子を見つめる。
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