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第110話 魂砕き
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「ブルーホイール、ご苦労だった。後は我1人で十分だ」
「へへへ、そうか、もうこいつは終わりか」
「ああ、終わりだ。こいつはもう、死ぬ。頭の回る者ならこれだけで伝わるはずだが?」
ブルーホイールが兄さん達と戦うために戻っていく。
「さて、画面の向こうで見ているお前たち、そう、スマホやパソコン、モニターでこの配信を見ているお前たちだ。ファンタジーソウルはやっているな? 我の能力も知っているはずだ。我は状態異常を得意とする。多少頭が回るならここまでで理解できるはずだが? まだ分からんか?」
『それがどうしたんだよ! アキラは状態異常耐性を持っている!』
『そうだ、アキラは負けない!』
『お前の状態異常を受けて今アキラは立っている。アキラは最強なんだ! 第13ゲート市はアキラが守る』
「うむ、いい反応だ。我の状態異常は毒・痺れ・脱力・燃焼、そしてもう1つある」
ブラックハンドが口角を釣り上げた。
『まさか、魂砕きか!』
『こいつは魂砕きのブラックハンドだ!』
『だが、魂砕きは1人を戦闘不能、もしくは一定時間麻痺状態にするだけだ』
『魂砕きは大した攻撃じゃないはずだ!』
「確かに! そう、ゲームではその通りだ。戦闘不能、もしくは麻痺を起こすだけ、ゲームでは確かにそうだ。だが現実とゲームは違う。我の強力な魂砕きをゲームで忠実に再現すればどうなると思う? プレイヤーキャラの命が消え、即ゲームオーバーだ。そんなクソゲーはつまらない! ゲーム制作者はどう考えると思う? そう、バランス調整だ。 クソゲー回避の為、我の強力な魂砕きを大幅に弱体し、ゲームでの我は最強の一手を封じられた強さになってしまったのだ! もっともこれは我の予想であり、想像に過ぎない。だが頭があるのなら、このくらいの想像は出来そうなものだが?」
『それが本当だとしてもアキラは状態異常耐性のスキルを持っている! お前には負けない!』
『お前むかつくわ! 人を馬鹿にする話し方が本当にイラつく!』
『アキラはお前の状態異常を跳ね返して来た』
『そうだ! ブラックハンドの状態異常を受けてそれでもアキラは立っている』
「確かに今まではそうだった。だが、状態異常耐性を持っていたとしても、アキラが弱っていたとしたらどうだ? 我がただやみくもに攻撃を仕掛けていた、そう思っているのか? 我の行動を見て観察する事で、頭があるならその意味が分かるはずだが?」
『まさか、弱っていれば魂砕きが通るのか!』
『弱っていれば状態異常耐性を突破する事はある』
『こいつは今まで魂砕きを使っていなかった。炎や雷で弱らせる行動を取り続けていた、魂砕きを使う為か!』
『スケルトンから生命力を吸おうとしているのを止めたのもそのせいか!』
パチパチパチパチ!
ブラックハンドが拍手をした。
「馬鹿な割には頭が回るようだ。褒めてやる。所でアキラ、ソウルアップをしたばかりか? 調子が悪そうに見える。弱ったアキラには魂砕きが効きそうだ」
『まずい! アキラはソウルアップして1日しか経っていない!』
『しかも傷ついて、魔力も少なく、走り過ぎている。まずいまずいまずいぞ!』
『アキラ! 逃げてくれ!』
『アキラ、お前だけでも逃げろ!』
「はっはっはっはっはっはっは、ようやく状況を飲み込み始めたか。それともう1つバカに教えてやろう。アキラ、お前の魂は、ヒビが入っている。我には魂が見える。魂砕きはさぞ効くだろう!」
『アキラはクラックと魂が融合した! つまり魂が脆い可能性があるぞ!』
『バカ! それを言うなよ!』
『だが、ブラックハンドが魂砕きを使うのはもう決めているだろう。言っても言わなくても結果は変わらない』
『今すぐに走って逃げろ! アキラだけでも逃げろ! 勝ち目のない戦いに挑むのは自殺と同じだ! 命より大切なものは無い!』
「うむ、命より大切なものは無い、か、いい言葉だ。命、すなわち魂を砕く瞬間、最強のアキラの魂を砕いた瞬間の雑魚の顔が思い浮かぶ! 最高の絶望が最高の快楽だ!」
『アキラ! 逃げろ!』
『何を言われてもいい、逃げろ! お前はよくやった!』
『六角を3体倒したんだ。 もう充分だ! 逃げてくれええええええええええ!』
「アキラは逃げる気が無いようだ。もっとも、弱ってもうロクに走る事も出来ないようだがな」
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「さようなら、アキラ」
魂砕きのブラックハンド、その右手が顔の位置に掲げられる。
右手が黒く輝くと手の平が俺に向けられた。
「魂砕き!」
ブラックハンドの手が握られた瞬間、俺の意識がぼやけていく。
雨が降る空が見えた。
ああ、そうか、俺は、後ろに、倒れ、たのか。
「魂を砕いた! はっはっはっは! 目を逸らすな! 逃げるな! アキラの死を見つめ続けろ! 後は気合侍達がいたぶられながら死んでいくのを見守るがいい! そして絶望しろ! 恐怖しろ! 自らの未来を想像しながら震え続けろ! 貴様らが死ぬその瞬間までな!」
ここ、までなのか?
目が見えなくなっていく。
頬に当たる雨の感触、そして叫び声と雨音も、聞こえなくなっていく。
遅かった、もう少し早くここに来ていれば良かった。
メイ、せっかく助けたのに、殺されてしまうのか?
兄さんも、みんなも?
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
感覚が無くなって暗くなっていく。
『アキラ』
クラックの声が聞こえる。
ああ、そうか、クラックの心の声か。
『起きて戦え、死んでも起き上がれ』
「へへへ、そうか、もうこいつは終わりか」
「ああ、終わりだ。こいつはもう、死ぬ。頭の回る者ならこれだけで伝わるはずだが?」
ブルーホイールが兄さん達と戦うために戻っていく。
「さて、画面の向こうで見ているお前たち、そう、スマホやパソコン、モニターでこの配信を見ているお前たちだ。ファンタジーソウルはやっているな? 我の能力も知っているはずだ。我は状態異常を得意とする。多少頭が回るならここまでで理解できるはずだが? まだ分からんか?」
『それがどうしたんだよ! アキラは状態異常耐性を持っている!』
『そうだ、アキラは負けない!』
『お前の状態異常を受けて今アキラは立っている。アキラは最強なんだ! 第13ゲート市はアキラが守る』
「うむ、いい反応だ。我の状態異常は毒・痺れ・脱力・燃焼、そしてもう1つある」
ブラックハンドが口角を釣り上げた。
『まさか、魂砕きか!』
『こいつは魂砕きのブラックハンドだ!』
『だが、魂砕きは1人を戦闘不能、もしくは一定時間麻痺状態にするだけだ』
『魂砕きは大した攻撃じゃないはずだ!』
「確かに! そう、ゲームではその通りだ。戦闘不能、もしくは麻痺を起こすだけ、ゲームでは確かにそうだ。だが現実とゲームは違う。我の強力な魂砕きをゲームで忠実に再現すればどうなると思う? プレイヤーキャラの命が消え、即ゲームオーバーだ。そんなクソゲーはつまらない! ゲーム制作者はどう考えると思う? そう、バランス調整だ。 クソゲー回避の為、我の強力な魂砕きを大幅に弱体し、ゲームでの我は最強の一手を封じられた強さになってしまったのだ! もっともこれは我の予想であり、想像に過ぎない。だが頭があるのなら、このくらいの想像は出来そうなものだが?」
『それが本当だとしてもアキラは状態異常耐性のスキルを持っている! お前には負けない!』
『お前むかつくわ! 人を馬鹿にする話し方が本当にイラつく!』
『アキラはお前の状態異常を跳ね返して来た』
『そうだ! ブラックハンドの状態異常を受けてそれでもアキラは立っている』
「確かに今まではそうだった。だが、状態異常耐性を持っていたとしても、アキラが弱っていたとしたらどうだ? 我がただやみくもに攻撃を仕掛けていた、そう思っているのか? 我の行動を見て観察する事で、頭があるならその意味が分かるはずだが?」
『まさか、弱っていれば魂砕きが通るのか!』
『弱っていれば状態異常耐性を突破する事はある』
『こいつは今まで魂砕きを使っていなかった。炎や雷で弱らせる行動を取り続けていた、魂砕きを使う為か!』
『スケルトンから生命力を吸おうとしているのを止めたのもそのせいか!』
パチパチパチパチ!
ブラックハンドが拍手をした。
「馬鹿な割には頭が回るようだ。褒めてやる。所でアキラ、ソウルアップをしたばかりか? 調子が悪そうに見える。弱ったアキラには魂砕きが効きそうだ」
『まずい! アキラはソウルアップして1日しか経っていない!』
『しかも傷ついて、魔力も少なく、走り過ぎている。まずいまずいまずいぞ!』
『アキラ! 逃げてくれ!』
『アキラ、お前だけでも逃げろ!』
「はっはっはっはっはっはっは、ようやく状況を飲み込み始めたか。それともう1つバカに教えてやろう。アキラ、お前の魂は、ヒビが入っている。我には魂が見える。魂砕きはさぞ効くだろう!」
『アキラはクラックと魂が融合した! つまり魂が脆い可能性があるぞ!』
『バカ! それを言うなよ!』
『だが、ブラックハンドが魂砕きを使うのはもう決めているだろう。言っても言わなくても結果は変わらない』
『今すぐに走って逃げろ! アキラだけでも逃げろ! 勝ち目のない戦いに挑むのは自殺と同じだ! 命より大切なものは無い!』
「うむ、命より大切なものは無い、か、いい言葉だ。命、すなわち魂を砕く瞬間、最強のアキラの魂を砕いた瞬間の雑魚の顔が思い浮かぶ! 最高の絶望が最高の快楽だ!」
『アキラ! 逃げろ!』
『何を言われてもいい、逃げろ! お前はよくやった!』
『六角を3体倒したんだ。 もう充分だ! 逃げてくれええええええええええ!』
「アキラは逃げる気が無いようだ。もっとも、弱ってもうロクに走る事も出来ないようだがな」
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「さようなら、アキラ」
魂砕きのブラックハンド、その右手が顔の位置に掲げられる。
右手が黒く輝くと手の平が俺に向けられた。
「魂砕き!」
ブラックハンドの手が握られた瞬間、俺の意識がぼやけていく。
雨が降る空が見えた。
ああ、そうか、俺は、後ろに、倒れ、たのか。
「魂を砕いた! はっはっはっは! 目を逸らすな! 逃げるな! アキラの死を見つめ続けろ! 後は気合侍達がいたぶられながら死んでいくのを見守るがいい! そして絶望しろ! 恐怖しろ! 自らの未来を想像しながら震え続けろ! 貴様らが死ぬその瞬間までな!」
ここ、までなのか?
目が見えなくなっていく。
頬に当たる雨の感触、そして叫び声と雨音も、聞こえなくなっていく。
遅かった、もう少し早くここに来ていれば良かった。
メイ、せっかく助けたのに、殺されてしまうのか?
兄さんも、みんなも?
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
感覚が無くなって暗くなっていく。
『アキラ』
クラックの声が聞こえる。
ああ、そうか、クラックの心の声か。
『起きて戦え、死んでも起き上がれ』
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