上 下
30 / 116

第30話 ファンタジーソウル

しおりを挟む
 報酬で混乱した俺は皆になだめられつつ車に乗った。
 きゅうが俺の肩に乗って佇む。

「リツカの家でゲームをしましょう☆」
「うん、面白そうだね」
「私は、弾丸を作りたいわ」
「アキラもやりましょう。ヘッドセットは全員分有りますから」

「そうだな、いいタイミングだ」
「マナ以外の3人でプレーしますか」
「……私もやるわよ」
「4人でやりましょう」

『俺が悪役貴族になっている所を見せろ』
「クラックが悪役貴族の所を見たいって」
「序盤なので丁度いいです、4人プレーでクラック討伐までやりましょう」

「クラック、ブチ切れるなよ」
『ふ、俺を誰だと思っている? お前より過酷な人生を歩んできた自負がある』
「ふ、俺を誰だと思っている? お前より過酷な人生を歩んできた自負がある。だって」

「クラックって、アキラよりも中二病ですよね?」
「そうだな、それより、気になっていたのは、クラックは3人を殺さないと言った。それは信じよう。でも、クラックは3人をどう思っているんだ?」

 3人が一斉に俺に振り向いた。
 家の前に着き車が止まるが皆が俺に注目し続ける。

『恨んではいない。それに、皆前世の記憶が無いのだろう?』
「恨んではいない、それに皆前世の記憶が無いのだろう、だって」

「皆記憶は無いよ。でもゲームみたいに領地を奪ったのに?」
『まずはそのゲームを見せろ』
「まずはそのゲームを見せろだって」

「そうだね、どこまで前世と一緒か分からない」
「あ、皆前世のキャラで、名前は今の名前にしましょう。そうじゃないとアキラとクラックは混乱しますよ」
「アキラはVRゲームをした事はある?」

「無い」
「ええええ! 一回も!?」
「一回も無い」
「じゃあ、家に入ってサクッとキャラクリしましょう」

  屋敷に入り部屋に入ると背もたれが少し倒れたコックピットのような椅子がずらりと並んでいた。

「皆座って」

 椅子に座るときゅうが俺に膝に乗る。

「ヘッドセットを被って」
 
 俺は皆のマネをする。

「ファンタジーソウルスタートって言って」
「行きますよ、せーの☆」

「「ファンタジーソウルスタート」」

『このゲームは魔道具の力で魂の記憶を読み取り、その内容を改変したものです。このゲーム世界はあなたの前世かもしれません』

 きれいなお姉さんの声が頭に響く。

『キャラクタークリエイトをスタートします』
「サポートしますよ☆」

 黒髪清楚モードのメイがノーマルメイド服を着て現れた。
 頭の上に『メイ』と表示されている。

「見た目がほぼまんまなんだな」
「ですです、まず名前はアキラにしましょう」

『キャラ名を決めてください』
「アキラ」

『次にキャラクターを選択してください』
「スペシャルアバターを選んでください」

 押すと選択肢が出てきた。

「クラックを選択です」

 クラックが目の前に現れた。

「くっくっく、暗黒の力を見せてやる!」

 クラックが中二病のポーズを取った。

『俺はこんなことは言わない』
「クラック、今は黙っててくれ。最期に感想を聞くから」

「決定です」
「ほい」
「詳細変更は無しでそのまま決定です」
「終わった」

『ファンタジーソウルの世界へあなたを導きます』

 俺はワープした。

 目の前には自然が溢れ、そして、コスプレをした3人がいた。

「コスプレか」
「アキラもコスプレですよ」

 俺は黒い貴族服と腰にはいつもと違う剣が装備されていた。
 実際は途中から目立たない外套を着ていたんだけどな。

「普通にやると他のキャラもいるのか?」
「普通にやると私達3人と、プレーヤーアバターでゲームが進むわね」

「お前ら、まさか……」
「アキラ、どうしました?」

「ヒロインクラスか!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

才能オールF冒険者の俺は遭難してバリア魔法が覚醒した~胸糞NTRされたヒロインが嫁になった上、むかつくあいつはざまあされる~

ぐうのすけ
ファンタジー
※注意 胸糞NTRのダークファンタジー要素有り 現代に異界が出現して魔力が溢れ人類は覚醒した。 それから5年が経ち、冒険者高校の卒業をまじかに控えた仙道優也は無能と馬鹿にされながらも異界探索に向かう。 そこで突如、大量のモンスターが発生しクラスメートを襲う。モンスターの群れに飛び込みクラスメートを助ける優也だったがクラスメートは優也をおとりにしてその場から逃げ出した。 遭難し、力尽きかけた優也の前にタワーが出現し、そこに避難する。 「そうか、クズを助けても意味がない!俺が馬鹿だった!」 攻撃スキルを持たない優也のスキルが覚醒し、成長していく。 キツネ耳の不思議な女性、雪女のような女性、幼馴染、ギルドの受付嬢を助け、ハーレムを築いていく。 一方優也をバカにしていたクラスメートの勇也は衰退し追い詰められていく 最弱のオールFランクが覚醒して成り上がる現代ダークファンタジーが今始まる!

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。 このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。 しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。 地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。 今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話

猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。 バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。 『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか? ※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です ※カクヨム・小説家になろうでも公開しています

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。 ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。 しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。 他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。 本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。 贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。 そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。 家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。

処理中です...