上 下
26 / 116

第26話 ウサギ狩りの成果

しおりを挟む
 日の光で目が覚めると全身が痛い。
 喉が渇いてお腹が空いた。
 きゅうは俺の上ですやすやと眠っている。

 広い部屋でベッドの横には水が置いてある。

「おおおお! いてててて!」

 水を飲むために動くだけで体中が痛い。
 栄養失調からの短期間で2回のソウルアップ。
 更にウサギの群れに突撃した。
 この程度で済んでラッキーか。

 でも、そのおかげでソウルランクDになれた。
 これは嬉しい。
 成長出来ないと諦めかけていた。
 でも、成長できる、もっと上に行ける!

 スマホを手に取った。
 丸1日は寝ていたのか。
 今は早朝。

 しっかし、広い部屋だな。
 歩くときゅうが眠りながら浮いてついてきた。
 窓を開けて建物を見る、豪低か。
 部屋を出ても広い。
 
「アキラ様、食事の用意が出来ております」
「あ、はい?」

 メイドだ! 
 リアルメイドを初めて見た!
 緊張してきたぞ。

 俺はメイドさんに案内されて部屋に入った。
 リツカだけが座っていた。

「おはよう」
「おはよう」
「調子はどお?」

「普通のソウルアップ後と同じだ」
「良くないか、まずは座ろう」

 リツカが隣の席に座るように手で促す。
 俺が座ると笑った。

「クラックと話は出来る?」
『入れ替わるか?』

「入れ替わるかと言っているけど」
「すぐに変われる?」
「変われるけど」
「変わろう」

「急に襲い掛かったらまずいのと、周りのメイドさんが慌ててるだろ?」
「私のソウルランクはCで、アキラのソウルランクはDだよね?」
「俺の方が弱いけども」

「メイドさんは大丈夫だから」
『俺を信頼しろ』
「俺を信頼しろと言っている、前よりは信頼できるけどもう少し休んでからでもいいか? あ!」

「どうしたの?」
「クラック、記憶を見せてくれ」
『約束だったな。食事が終わったら見せる』
「食事が終わったら記憶を見せるらしい」

「魔道具で私にも記憶を見せてもらっていいかな?」
『問題無いが、あまり気持ちのいい記憶ではない』
「問題無いがあまり気持ちいい記憶ではないって言ってる」

「うん、早く食事にして記憶をみたいよ。すぐにみんなを呼んで来て、食事にしよう」
「「かしこまりました」」

 リツカはきゅうを見つめた。

「触ってもいい?」
「いいぞ」

 きゅうは撫でられても気にしていないようだ。
 まだ寝ているが、今に起きるだろう。

 マナが部屋に入ってきた。

「……おはよう」
「「おはよう」」

「マナ、大丈夫か?」
「アキラよりは大丈夫よ、アキラは2番目に酷い怪我だったんだから」
「そうだったのか」

「それに、体調が悪いのは、ソウルアップしたからよ、Eになったわ」
「おめでとう」
「どういたしまして」

 ガチャリ!

「おはようございます」
「メイ、調子が悪そうだな」
「酔拳で体が痛いのと、眠いです」

 メイは椅子に座ると目を閉じた。
 また寝るんじゃないか?

 ガチャリ!

 兄さんがゆっくりと部屋に入ってきた。

 体がプルプルと震えておじいちゃんのような歩き方で歩く。

「「……」」

「おはよう、みんな、大丈夫、だったか?」
「兄さんの方が大丈夫なのか!」
「「おじいちゃん!」」

「だ、大丈夫だ、私は、ソウルアップをして、少し成長痛なだけだ」

 一番ひどいのは兄さんか。
 兄さんがプルプルと震えながら椅子に座るとすぐに食事が運ばれてくる。
 ガラスの容器にジェルのような何かが入っている。
 ナイフとフォークが多い。

「ど、どれを持って食べればいいんだ?」
「好きに食べていいよ」

 メイは半分寝ながら口にずっと物を入れてもぐもぐしている。
 マナはきれいなしぐさで料理を食べる。

 俺は適当にスプーンですくって食べる。
 うまい、ナニコレ? 
 食べた事が無い味だ。
 よく分からないけど美味しい。
 スーパーで売ってある味付けじゃないやつ。
 俺はすぐに食事を平らげた。

「どんどん出して欲しい」
「かしこまりました」

 次はスープが運ばれてきた。
 これもスーパーの調味料と違う味付けだ。
 いや、高い調味料はこんな味なのか?

 次に魚料理、肉料理、ステーキが運ばれてきた。

「これって高いやつじゃ」
「わ、私は、払えそうにない」
「お金は取らないから大丈夫」

 俺は周りを見つつ食べ方を真似する。
 どれもおいしいが緊張してしまう。
 これ、フルコースのやつだ。
 絶対高いやつだ。
 出してもらった皿はすべて平らげた。


「ふう、美味しかった。アキラとキドウ、お代わりはいいの?」
「は、半ライスをお願いします」
「わ、私はパンの耳で十分だ」

「大きなステーキを2つとライス2つ、パン2つをお願い」
「な! 俺は普通でいいんだ!」
「そ、そうだ、私も普通でいい!」

「皆が集まった時はこれが普通だよ。メイドさん、気にせず持って来て」
「かしこまりました」

 俺は緊張しながら食事を食べた。


 俺と兄さんが出てきた食事をすべて平らげると、リツカが袋を取り出した。

「これは拾っておいた魔石だよ、皆で分配してあるからね。はい」

 袋に入った魔石はずっしりと重くどんなに少なくても10万以上にはなるだろう。
 収納してある分も合わせれば、一気にお金持ちだ!

「さて、クラックの記憶を見せてもらうよ。ゲームデータに使ってもいいかな?」
『構わない』
「構わないって」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

才能オールF冒険者の俺は遭難してバリア魔法が覚醒した~胸糞NTRされたヒロインが嫁になった上、むかつくあいつはざまあされる~

ぐうのすけ
ファンタジー
※注意 胸糞NTRのダークファンタジー要素有り 現代に異界が出現して魔力が溢れ人類は覚醒した。 それから5年が経ち、冒険者高校の卒業をまじかに控えた仙道優也は無能と馬鹿にされながらも異界探索に向かう。 そこで突如、大量のモンスターが発生しクラスメートを襲う。モンスターの群れに飛び込みクラスメートを助ける優也だったがクラスメートは優也をおとりにしてその場から逃げ出した。 遭難し、力尽きかけた優也の前にタワーが出現し、そこに避難する。 「そうか、クズを助けても意味がない!俺が馬鹿だった!」 攻撃スキルを持たない優也のスキルが覚醒し、成長していく。 キツネ耳の不思議な女性、雪女のような女性、幼馴染、ギルドの受付嬢を助け、ハーレムを築いていく。 一方優也をバカにしていたクラスメートの勇也は衰退し追い詰められていく 最弱のオールFランクが覚醒して成り上がる現代ダークファンタジーが今始まる!

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。 このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。 しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。 地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。 今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話

猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。 バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。 『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか? ※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です ※カクヨム・小説家になろうでも公開しています

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした

田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。 しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。 そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。 そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。 なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。 あらすじを読んでいただきありがとうございます。 併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。 より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!

死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。 ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。 しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。 他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。 本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。 贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。 そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。 家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。

処理中です...