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伝説装備

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 ロックが俺達と合流した。

 明らかに俺ときゅうに対する獣人族の反応が特殊だ。
 俺に手を合わせ祈るものが多いのだ。

「何があった?」

「話がちょっと食い違っている。きゅうがレベル60になったらこうなった。」

「精霊化か。なるほど、良く分かった。」
 察しが良いな。良すぎるだろ。

 ホワイト領に到着すると、すぐに獣人族の住む場所が決まる。
 リコが考えてあったんだろう。

 南よりこの地は寒いのだが、しばらくテントで大丈夫という事で、妊婦と赤ちゃんだけ家に住むことになった。

 俺は声をかけられた。
 振り向くと獣人族が集まっている。

「精霊様のご尊顔を賜りたいのです。そして精霊使い様には、我々の額に手を当てて欲しいのです。」

 きゅうに服を着せ、テーブルにクッキーとミルクを置く。
 そして俺は行列の一人一人の額に手を当てていく。

「ありがたいです!」

「これでこの赤ちゃんも幸せになります。」

「これでご主人様にパワーを貰えたにゃあ。」
 ニャムも行列に参加していた。

 終わった後リコと話す。
 きゅうには人化を解いてもらい、俺の肩に乗る。
「これ絶対意味ないだろ。何の御利益も無いからな。」

「あら、気の持ちようは大事ですわよ。」

「どういう経緯で精霊使いが崇められてるんだ?」

「レベル60を突破し、使い魔を精霊まで育てた伝説の勇者が獣人族を助けたのですわ。」

「俺勇者じゃないんだけどな。」

「精霊使い自体伝説の存在ですわ。」

「そんなに珍しいか?」

「珍しいですわね。まず強くなる方は使い魔を持たない方が多いのです。魔物を倒した時の経験値が半分になりますもの。それに、勇者でさえ、レベル60を超える方が少ないのですわ。」

「きゅうが人化すると全裸になるんだけど、勇者はどうしてたんだ?」

「ダンジョンの50階にワープポイントがあり、そこに入ると伝説の装備がもらえますわ。精霊は服を装備したようですわね。」

「それってどのダンジョンからでも行けるのか?」

「行けると思いますわ。勇者が他のダンジョンからワープポイントに入っても同じ場所にワープしたようですから。」

「行ってくる。」

「50階はどのダンジョンもボスが多いみたいですわ。」

「何だと!」

「諦めますの?」

「経験値がたくさんもらえるじゃないか!」
 簡単にレベルが上がるじゃないか。
 ボスの経験値は多い。
 ワクワクが止まらない!

「そっちですのね。その前に、お願いしたいことがありますの。」




 俺は教会の祭壇の前に立ち、きゅうは人化してシスター服を羽織って俺におんぶされている。
 獣人族は入れるだけ教会に入ってもらっていた。

「戦えるものはホワイト領のダンジョン合宿に参加して欲しい。」

「分かったにゃあ。」
「お言葉に従うぴょん。」
「精霊使い様のご意志のままに。」
 3家の貴族たちは素直に言葉を聞く。

「外の係の者に従ってすぐに行動して欲しい。」

 すぐにみんなを集め、ダンジョンの中に入っていった。

「獣人族は行動が早いな。」
 精霊使い便利だな。

「お疲れ様ですわ。」

「今回すんなり受け入れが終わったんじゃないか?」

「そうですわね。精霊使い様のお言葉ですもの。」

「まったく、俺が悪い奴だったら全員ひどい目に合ってるぞ。」

「ですが、精霊使いの方に悪い人はいないと思いますわよ。自分だけの為に強くなる方は使い魔を持ちませんわ。奪う者ではなく、与える者が精霊使いになるのですわ。」

「良く分からないが、ダンジョンの50階に行ってくる。」
 きゅうが人化を解く。







 ダンジョン40階

「きゅう、走って向かう。魔物は無視するぞ。」
 きゅうが俺の背中に移動する。

 走ってあっという間に50階にたどり着き、ワープポイントに入る。
 レベルが高いうえに敏捷アップを2つ持っているから出来る方法だ。

 丸い部屋の中心に大きな球体。そこに手をかざす。

 2本のマグロ包丁が現れ、意識を込めると自在に消したり出したりできた。

「おー!きゅうもやってみてくれ。」

 きゅうが人化し手をかざす。
 白いローブがきゅうの体を覆う。

 きゅうはローブを出したり消したりして遊ぶ。

「きゅう、人化を解いてもローブを出せるか?」
 興味があった。きゅうのまるっぽい体にローブは合わない。
 出せるのか出せないのかもわからない。

 きゅうが人化を解くと、きゅうの上にローブがふよふよと浮いている。
 ローブというより、マントのように見える。

「帰ろうか。」

 俺はあっさりと伝説の装備を手に入れた。





 ◇




 ダンジョンから戻ってきた。
 きゅうの服問題はなんとかなった。

 次は伝説装備の強さだ。
 伝説装備はすぐに実践で使えるわけではない。
 自身の魔力を与え、育てる必要がある。
 最初はあまりに弱くて使えないらしい。

 試しに岩を斬ろうとしたが、包丁がぐにゃっと曲がった。

「予想以上に弱いな。」

 俺ときゅうは伝説装備に魔力を与え、さらに俺は余った時間で料理を作った。

 次の日、伝説装備で岩を斬る。
 包丁がぐにゃっと曲がる。
 昨日とあまり変化が無い。地道に魔力を与える必要があるか。

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