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王はハルトを英雄にする

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 王城会議室
 王は側近に報告を受ける。

「まずはホワイト家の報告です。孤児や無職者を大量に受け入れつつ、ブック家への支援を行っています。」

「うむ、傘下の両家はどうなっている?」

「傘下のガード家は部隊を編成し、新たなダークスフィアを鎮圧中とのことです。ホワイト領、ブック領関係なく魔物討伐に動いています。ロック・ガードの指揮能力、周りの精鋭ともに優秀との事です。」

「続いてウィッチ家の当主、アリス・ウィッチですが、ポーションレベル8となり、順調にポーションの増産を進めております。皆を定期的にダンジョン合宿に参加させ、さらにポーション作りの講習を行うことで、息の長い成長を続けているとの事です。」

「テイカーからリコの元に移ったとたんに頭角を現してきたな。いや、元々優秀だったのだろう。」
 やはりテイカーは人のやる気を無くさせる。


「ブック家ですが、カイは学校と学園・魔物の納品という2つの柱を掲げ、ホワイト家の支援を受けつつ順調に収益を上げ始めております。更にテイカーに恨みを持つ者が集まり、ブック領の発展を支えております。」

「うむ、ブック領が発展すれば、テイカーの処罰を重くするという噂を流してある。
 実際そうするのだが、噂もうまく機能しているな。」

「ジークは剣スキル7に到達し、冒険者や兵の力の底上げに努めているようです。効果が表れるのは時間の問題でしょう。」

「うむ、ジークが居るのだ。うまくやってくれるだろう。」

「ただ、ジークは自身の力を高めたいという願いがありますが、ジーク無しでは今のブック領の発展は遅れるでしょう。」

「ジークには謝っておいて欲しい。今はブック領の冒険者と兵の力の皆の底上げが急務なのだ。皆のレベル上げを続けて欲しい。」

「かしこまりました。少し休憩にしましょう。コーヒーと紅茶、どちらにいたしますか?」

「コーヒーを頼む。」

 側近も同じコーヒーを飲みつつ休憩する。

「ふう、私にもっと力があれば、ジークには存分に力をつけて欲しいのだが、難しいものだな。」

「この国は貴族の癖が強すぎるのです。ですが、テイカーの資金が底をつき、やっと一人はおとなしくなるでしょう。」

「ああ、だがまだ一人、いや、リコとカイが力をつけつつある。贅沢は言えんな。」

 コンコン

「入れ。」

 そこには文官が立っていた。
「進言したいことがあります。」

「なんだ?」

「今パーティーキュキュクラブのハルトは大投資家となっております。その資産を没収することで、王家の復興が実現できます」

 王の顔が怒りに歪む
「ならぬ!貴様!何を言っているか分かっているのか!文官として恥を知れええい!!」

「今すぐ下がりなさい!」
 普段冷静な側近も怒りが見える。

 普段あまり怒らない2人の怒りにふれ、文官は慌てて退出する。
「し、失礼しました。」

 王は深いため息をついた。

「まったく、文官の、それも王都の内政を進める者でありながらハルトが居る意味を分からんとは。」

「ええ、ハルト君の力は戦闘能力だけでなく、あの粘り強さと、内政の強さにあります。ひたすら自身の力を蓄え、投資を続け、ホワイト領を粘り強く健全化し、さらに他の領の健全化も進めております。あの手数の多さと粘り強さで今の我々がある事を伝える必要がありますな。」

「今度は我々がハルトを守る番だ。ハルトの英雄的行いを新聞に載せる。更に兵や文官にも教育を実施する。」

「ハルト君は嫌がりますが?」

「かまわん。私が嫌われるだけでハルトが守られるのならば進める。最終的にはハルトの絵本を作る。」

「かしこまりました。」

「今日からしばらく日付が変わるまで仕事漬けになる。苦労を掛けるな。」

「それは王も同じこと。外の貴族、中の教育、やることが多すぎてままなりませんな。」

「さらに次の手を打つ。テイカー、リコ、カイ、キュキュクラブを呼べ。」



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