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テイカーは王の逆鱗に触れる

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 テイカーは王都に逃げこんだ。

 後ろに魔物の軍団を引き連れ、王都に連れ込んだのだ。




 すぐ王に連絡が入る。
「テイカーがダークスフィアを斬り壊し、魔物の大軍勢を連れて王都に逃げてきたようです。」

「はっはっは!何の冗談だ?いくらテイカーでもそんな馬鹿なことは・・・」

 側近は真顔で答える。
「本当です。冗談ではありません。」

 王は目頭を押さえ、大きなため息をついた。

「今すぐ4騎士団すべてと王都の兵、冒険者を集め対応せよ。それと、ホワイト領のハルト達にも協力してもらう。後は全権を任せる。」

「かしこまりました。」
 側近は早歩きで退出し、近衛に通達する。

 城内が騒がしくなる




「ハルト、今から王都に向かう。」
 ロックが声をかけてくる。
「テイカーがダークスフィアを斬って、王都に魔物が群り戦闘になっている。」

「冗談だよな?」

「俺が冗談を言うと思うか?」

「・・・一大事だな、すぐに向かうぞ!」

 こうして俺は大食堂を設置し、料理を作り続けた。
 備蓄が回復しつつあったポーションはすぐ無くなり、大食堂は回復の要となった為だ。

 大食堂のはケガ人・回復魔法持ち・精鋭のみが使用した。

 戦闘の様子は分からないが、こちら側は多くの被害を出したようだ。
 俺も戦おうとしたが、騎士に止められた。

「ハルト君のカレーが生命線なんだよ!」

「ハルト殿のカレーが無いと回復が追い付かないんだ!分かってくれ!」

「もうポーションが無いのだ!ハルト殿の料理ブーストが要になっている。」

 俺は数日料理を作り続けたが、その間にテイカーは王の逆鱗に触れていたようだ。

 仕える戦力全てを使い、魔物の群れは討伐された。



 テイカーは謁見の間に向かうが、謁見の間に入る前に王と近衛・側近・4騎士団の大隊長に囲まれた。
 王が謁見の間から飛び出して来た為だ。

 王がテイカーの胸倉を掴む。
「何をしたかわかっているのかああ!」

「わ、私は」
「だまれえええ!お前は星一つはく奪だ!」

「な!」
 話を始めようとするテイカーの口を近衛が抑える。
 テイカーは罪人のように拘束される。

「良いか黙って聞け!ブラック領でダークスフィアが何個も発見されている。黙って戻り、すべて鎮圧せよ!失敗し逃げ帰ったら許さんぞ!さっさと動けえええ!」

 テイカーは解放されると走って逃げ帰った。
 テイカーが王を激怒させたことは、瞬く間に国中に広まり、テイカーの記事は新聞でも大きく報道される。




 ◇



 料理が落ち着くと俺は謁見の間へと呼ばれる。

 謁見の間の前には、リコ・ジーク・ロック・アリスが居た。

「ホワイト領の偉い人がみんな揃ってるな。」

「そういっていますが、呼ばれた理由はきっとハルトを偉くしたいのですわ。」

「ま、言われても断るけどな。」
 謁見の間の扉が開く。

「ハルト、今回なぜ呼ばれたか分かるか?」

「分からないけど俺を貴族にするつもりなら断るぞ。」

「分かっておるではないか。テイカーのダークスフィア鎮圧が終わったのちに、領地を切り取り、その領地の管理をハルトに命ずる。」

 俺は早口で言った。
「提案がある。カイに貴族の星を1つ与え、テイカーの領土を与える。更に騎士ジークをつける。これでどうだ?」

「なるほど、カイか。ブラック領の事にも詳しく、人望も厚い。確かに悪い選択ではないが、一番良いと思うのはハルトが貴族になる事だ。」

「断る!」

 王はため息をついた。
「分かった。カイに貴族の星を授与し、ジークも付いて行ってもらう。」

「そうと決まればホワイト領の強化が必要だ。カイとジークが居なくても回るようにしないとな。ブラック学園入学試験の後俺に1000億渡されて、ホワイト領の投資に使ってたんだけど、1000億全部ホワイト領の寄付に回すぞ。王都のポーション不足問題も発生した。ホワイト領でポーションの増産も必要だよな。騎士不足もさらに深刻になった。ホワイト学園の増築と定員増加も必要だよな。ホワイト領に早く帰ってリコに動いてもらわないと困るよな。俺に貴族の地位を押し付けている時間は無いはずだぞ。王様、もう用はないよな?」

「・・・・・貴族になる気はないのか?」

「無いな。俺はサポートすることで輝く人間だ。管理する人間ではない。」

「分かった。帰って励め。」

 皆が退室した後。

「まったく、うまくいかないものだ。貴族の地位をはく奪したいテイカーは貴族の地位にしがみつくが、貴族になって欲しいハルトは頑なに貴族になることを拒む。」
 王はすぐにテイカーの領地と星すべてをはく奪して処刑したいが、そうは出来ない理由があった。

「ですが、カイが貴族になる選択も悪くは無いと思います。もちろんハルト君も優秀ですが、カイが貴族になって旧ブラック領を統治することで、ブラック領の人材はカイの元へと流れ、テイカーはさらに力を失うでしょう。」

「うむ、だがその提案をしたのもハルトなのだ。」

「仕方がありません。カイが統治することで、ハルト君の力も旧ブラック領に流れるはずです。」

 こうして、テイカーは星を1つはく奪され、さらに領地没収の準備も進められた。
 これは、テイカー対策が進められた結果、星のはく奪より、力を奪い無力化する方針が取られた為だ。


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