無能の料理人と言われ領地を追い出されたが、何故か料理じゃなく戦いで頭角を現し無双します。俺を追い出したあいつは没落していくが、仕方ないよな

ぐうのすけ

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シーフ盗賊団

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 少し前の話
 王の元に元ブラック領傘下のクリムとリンが謁見する。

「なるほど、テイカーがシーフ家を使い、ホワイト家を潰そうとしているか。しかも盗賊に偽装し、盗賊に見せかける、か。」

 クリムはいつもと違い、上品に受け答えする。
「はい、よろしければわたくし共に依頼していただきたいのです。盗賊の討伐、もしくは足止めを行います。その隙にホワイト領の防備を固め、対策を取ることが出来ましょう。」

「うむ、それでは依頼を出そう。直ちにホワイト領に向かってくれ。」

「「かしこまりましたわ。」」

 こうして、クリム、リンと同じくテイカーに恨みを持つ者が集まり冒険者による討伐隊が結成され、ホワイト領に向かう。




 そして、レイドボス討伐2日後、シーフ家が動き出した。
 王はすぐにキュキュクラブを呼ぶ。

「ハルト、ブラック家傘下のシーフ家が、ホワイト領を潰すため盗賊に偽装し、進軍を始めた。」

「止めさせることは出来ないのか?」

「再三ブラック領とシーフ家に辞めるよう連絡はしたが、知らぬ存ぜぬで話にならぬ。だが、盗賊なら、ホワイト領に入った瞬間に殺されても問題はあるまい。あくまで奴らはシーフ家ではなく、盗賊だ。」
 今王都はレイドボスでボロボロだ。
 レイドボス討伐の為に魔物狩りが止まっている。
 すぐに魔物狩りを再開しないと王都も危ない。

 キュキュクラブだけで行くしかないか。

「ハルト、思いつめなくても良い。兵は出せないが、テイカーに恨みを持つ者、クリムやリンなどの冒険者達がホワイト家の守りに入っている。」

「分かった、詳しい資料はあるか?」

「用意してある。」

「今から行ってくるぞ。」

 俺が部屋を出ようとすると王が玉座から立ち上がる。
「ハルト!、力が無くてすまんな。」
 そしてため息をついた。

「気にするな。」





 シーフ家はホワイト領に侵入した。

 指揮を執るのはシーフ家当主、ブンドル・シーフだ。

「ブンドル様、情報通りホワイト家は武力に問題があるようですね。」

「まだ侵入して1日目だ。油断するなよ。」

「そうは言いますが、我がシーフ家、感知や潜伏能力に優れた者が多く居ります。奇襲の心配は少ないかと。」

「その通りだぜ、たんまり金と女を奪って、いい思いをしましょうぜ。」

「確かに感知と潜伏能力は高いが、油断は禁物だ。いつもより斥候は厳重にな。」

「分かってますよ。」

「うおおおおん!」

「ち、またスカウトウルフか!ホワイト領は魔物を狩っていないのか!」

 シーフ家の侵攻タイミングはホワイト家に筒抜けだった。
 斥候以前の情報戦ですでにシーフ家は不利な状態に追い込まれている。
 ホワイト家は侵入予想地点の魔物狩りをあえてしなかった。

 斥候能力が高い者が多いシーフ家とは言え、全員が潜伏スキルを持っているわけではない。
 大軍の移動はそれだけ魔物との遭遇率を上昇させる。





 シーフ家、夜の野営地

 シーフ家の斥候が異変に気付く。
「これは!魔物の餌!」

 王は部隊を出すことは出来なかったが、斥候能力の高い近衛を1人援軍に向かわせていた。
 近衛は王国のエリート、シーフ家より高い斥候能力を持っていた。
 近衛の働きにより、周囲の魔物をシーフ家にぶつけることに成功したのだ。

「ブンドル様!敵の罠です!魔物の餌が発見されました!」

「何だと!俺達を出し抜いたのか!」

「ぎゃおおおおおおお!」
「ぐるるるるる!」
「うおーーーーん!」
 魔物の叫び声が聞こえる。

 朝まで魔物との戦闘は続き、シーフ家の軍は疲弊した。





 朝
「はあ、はあ、や、やっと倒したぞ。」

「ぶ、ブンドル様!500の傭兵と思われる部隊が突撃してきます!」

「バカな!こっちは2000の兵が居るんだぞ!」

「連戦で今まともに戦えるものは1000も居ません!しかも皆疲弊しています!」

「くそがあああああ!」
 ブンドルは怒りで絶叫する。

 クリムは攻撃魔法を撃ちまくり、リンは斧を振り回す。

「ファイア!ファイア!ファイア!ははは、とろとろしてんじゃねーわよ!」
「おらおらあ!どんどん倒すんだぜ!」
 500の傭兵は、元ブラック領の傘下貴族やブラック領の部下など、ブラック領に恨みを持つ者が集まっていた。

 多少の死者が出ようが構わず突撃してシーフ家の人間を殺して回る。

 全員の息が切れてくるタイミングで、リンが撤退を指示する。
「そろそろ撤退だぜ!」
 笛の音が鳴り響き、皆が撤退を始める。

「はあ、はあ、はあ、はあ、や、やっと撤退したか。」

「撤退する反応とは別に、500の集団が迫ってきます!」

「あ、あれは!前にいるのは不死身のジークだ!」

「て、撤退だ!もう無理だ!」

 こうしてシーフ家は撤退を開始する。

 撤退するシーフ家をジーク達は執拗に追い回し、後ろから斬りかかっていく。

 シーフ家は狩るものから狩られる者へと変わっていた。
 追っ手を撒き、あらかじめ決められていた避難ポイントの森へと避難する。


 ブンドルは後悔する。
 くそ!失敗した!
 ホワイト家の資産や女に目がくらんだ!
 ホワイト家は内政には強いが武力が低い。テイカーの言う事を信じた俺がばかだった。


 回復したらシーフ領に帰る。ここに居たら危険だ!
 俺はテイカーに騙された。ホワイト家は力をつけている。
 俺達2000の軍を使っても歯が立たなかった。

「ブンドル様!大変です!」

「今度はなんだ!」
 ブンドルは何度も続くトラブルに感情をむき出しにして怒鳴る。

「通常の3倍のスピードでこちらに人が向かってきます!」

 黒髪、黒い瞳、そして肩にキュキュを乗せる。
 両手に刃物を握り、こちらの首を1撃で刎ねていく。

「ああああ!あれは!疾風の料理人ハルトだ!」

「ジェイド達を!シーフ三連撃を呼べえええ!」
 ブンドルは声を荒げて叫ぶ。
 シーフ三連撃はシーフ家の精鋭ではあるが、すでに疲弊していた。

「ジェイド!お前ら3人でジェットストレートアタックを仕掛けろ!」

 ジェイドを先頭に縦一列に並ぶ。
「「身体強化」」
 全員が短剣を構え、ハルトに突撃を仕掛ける。

 ハルトはジェイドのを踏み潰すように頭を蹴る。

「俺を踏み台にした!」

 ハルトは後ろの2人を一瞬で斬り捨てる。

 素早く振り返りジェイドに3連撃をお見舞いする。

 シーフ三連撃は一瞬で倒される。

 周りの仲間の数はあっという間に減り、ブンドルだけが残る。

「な、なめるなよ!俺の短剣レベルは6だ!」
 ブンドルは短剣を二刀に構える。

「疾風迅雷!みじん切り!」

 ブンドルは一瞬で倒され、シーフ軍団の侵攻はここで止まる。






 キュキュクラブは街道を移動し、ジーク達と合流する

 そこには意外な顔があった。

「げ!クリムとリンか!」

「もう私も子供じゃねーんだから何もしねーわよ!」
「何もしないんだぜ。」

 俺はエステルとメイを守るように颯爽と立ち去ろうとする。

「待つんだぜ!」

 俺は面倒に思いながらクリムとリンを見る

「今まで悪かったんだぜ!」
「悪いことしたわよ!」

「・・・なんか雰囲気が変わったな。でも、思いは伝わった。」
 前のような強引さのようなものは残っているが、少し顔が柔らかくなった気がする。
 平民になったことで色々あったのかもしれないな。

 冒険者達は王都に向かい歩いていく。

 ジークの部隊とキュキュクラブはホワイト領へと歩き出す。

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