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難民を救うキュキュクラブ

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 俺は四天王の恨みのこもった視線を無視して講義へと戻る。

 四天王は、リコ・メイ・エステルから異様に距離を取られるようになった。

 本音を吐き出しすぎなんだよ。

 俺のうんざりしたような顔に、キュキュクラブ以外の全員が俺から距離を取り、その日は無事学園生活を終えた。

 ギルドに向かうと美人受付嬢がしばらく笑い続けた。

 みんなに四天王と対戦した経緯を聞いた為だ。

 呼吸が苦しくなるほど笑い続けているが、さすがに笑いすぎだ。
「はあ!はあ!ハルト君は、モテモテで大変だね。ぷ、ふふふ、あはははは!」

 そういってまた笑い始める。

 キュキュクラブとリコはテーブルに座って話を始めた。
 俺が受け渡した大量のお菓子は早速ギルド職員に配られる。
「ああなるともうしばらく止まりませんわ。投資のお願いをしたいのです。1億ゴールドを貯めて、ハウス工場を建てたいのです。」
 言い終わると、リコはテーブルのケーキと紅茶を楽しみ始める。

「金が無いから今からダンジョンに潜って魔物を狩ってからになるぞ。」

「行こうよ!お勉強は疲れたよ!」

「私たち半日しか学園の講義を受けていませんよ。」

「ハルトの言う通り、ダンジョンで魔物狩りをしてお金を作ってほしいのです。理由ですが、今ブラック領から難民が多く押し寄せています。家・雇用・食料すべてが不足しつつあるのです。緊急事態と言って良いでしょう。もちろんキュキュクラブだけでなく、冒険者、学園の生徒の皆様にも協力を呼びかけますわ。」
 そういえば、さっきギルドに来るとき難民っぽい人が街に入ってきてたな。
 朝までは少なかったのに・・・・

「今難民の方にお話を聞いた所、これからさらに難民が流れてくるようですわ。ブラック領の領主が赤字地域の魔物狩りを止めさせ、良心ある家臣達が危険地域の領民を逃がしたようですわ。」

「分かった。すぐに向かう。」

「ふふ、行動が早くて助かりますわ。わたくしも今日から難民の対応でギルドのお仕事を続けますわ。それと、メイはエステルの勉強を見てほしいのですわ。」

 エステルの顔が曇った。




 ◇




 ダンジョン
「最近手伝いが多くて、魔物狩りをあまりできなかった。とりあえず10階で勘を取り戻すか。」

「ハルト、楽しそうですね。」

「ああ、感知スキルを4から5に上げれば職業が上級になる。」
 上級職への条件は職業スキルのレベルをすべて5以上に上げることだ。

「上級職、になれば、非戦闘職でも一目置かれますよ。」

「非戦闘職は上級が少ないよね。」
 非戦闘職で上級の者は少ない。
 理由は戦闘が苦手なだけでなく、覚える職業スキルが多いためだ。

 非戦闘職、俺の場合初級で包丁・料理、中級でストレージ、感知と4つの職業スキルを覚える。
 上級にクラスアップするためには4つのスキルレベルを上げる必要がある。

 対してテイカーのような戦闘職の場合、
 初級で剣、中級でスラッシュと、
 2つの職業スキルのみを覚えるため、この2つのレベルを上げるだけで上級職にクラスアップ出来るのだ。


 俺は全員のステータスを確認する。

 エステル 女
 レベル19
 職業 中級木こり 
 ノーマルスキル
 健康        レベル10
 回復力アップ    レベル10  
 職業スキル
 斧         レベル5
 採取        レベル4
 木材加工      レベル4
 テイム       レベル2


 メイ 女
 レベル17
 職業 中級メイド
 ノーマルスキル
 睡眠学習      レベル10
 ショートスリーパー レベル10
 職業スキル
 短剣        レベル4
 メイド       レベル5
 操作魔法      レベル3
 生活魔法      レベル5

 ハルト 男
 レベル 29
 職業 中級料理人
 ノーマルスキル
 経験値上昇・超 レベル10
 職業スキル
 包丁    レベル6
 料理    レベル7
 ストレージ レベル5
 感知    レベル4


 きゅう メス
 レベル 22
 スキル
 経験値の祝福 レベル10
 風魔法    レベル 3
 水魔法    レベル 4
 光魔法    レベル 1


 きゅうは水魔法のヒールに加え、光魔法の状態異常解除を覚えたことで、治癒士的な能力を持つ。






 ダンジョン10階

 俺はきゅうを肩に乗せ、いつものように魔物を呼び寄せてくる。

 50体ほどの魔物を引き連れ、メイとエステルの元へと戻る。

「今日は勘を取り戻すのではないのですか!?」

「軽く流すだけだと思ってたよ!」

「ん?肩慣らしだよな?」

 俺は8割の魔物を倒す。

「そっか、ハルトがほとんど倒すんだね。」
 エステルはほっとしたような表情を浮かべた。

 次は150体ほどの魔物を引き連れてきた。

「「!!!」」

「すこしずつ慣らしていくぞ。」

 その後メイが疲労でダウンし、ハウスへと運ばれる。

 その後はエステルがダウンした。回復力アップと健康のスキルがフル発動するが、空腹状態となり、スキルの効果が弱まってしまったのだ。
 エネルギー切れである。

 ハルトは二人がダウンした後もきゅうを連れてどんどん魔物を狩っていく。

 次の日以降もハルトのペースで魔物狩りを行い、メイとエステルが動けなくなってくるまで魔物を狩り、ハウスに連れて帰りハルトが魔物を狩り続ける生活が続く。

 エステルとメイがボロボロの状態でギルドへと帰還する。

 受付嬢とリコは哀れんだような目で二人を見る。

「やはりボロボロになって帰ってきましたわね。」
「可愛そうに、黒い悪魔のペースについていくのは大変よね。」

「服がボロボロなだけで、まだまだいけるぞ。」

「きつかったです!」
「苦しかったよ!」

 リコと受付嬢は二人をやさしく抱きしめる。

「エステルとリコはサウナでゆっくり休みましょ。今日はお休みよ。」

「二人には木材加工とメイドのお仕事をお願いしますわ。心の傷を癒すのですわ。」

 こうして俺だけがサウナに行けず、魔物の素材受け渡し、1億の投資、さらに余った分も投資に回す。

 その間にホワイト領の状況の説明を受けた。

 ゲンさんの大工レベルが7になり、さら腕を上げた
 鉄、皮素材の不足
 ダンジョン合宿専門チームの規模拡大が行われた
 難民の増加により治安が悪くなった

 良い事悪い事両方が起こり、ギルドは対応に追われている。

「ハルト、次は鉄とブル系の皮素材を持ってきて欲しいのですわ。」

「ああ、サウナに行った後に、ブルと、ゴーレムを狩ってくるぞ。」

 リコが真剣な顔をする。
「すぐに行って欲しいのですわ。正直今余裕がありませんの。難民への食事は一日1回のみ、苦しくなった難民が盗みを働き、盗賊化する者も出ております。ハルト一人だけで本気で魔物を倒してきて欲しいのですわ。」
 エステルとメイを他の仕事に割り当てたのは、俺に本気で魔物狩りをして欲しかったというのがあったようだ。

「分かった。」
 こうして、必要な物資を渡され、俺ときゅうだけでダンジョンへと向かった。

 すぐに15階までのブル系の魔物と、ゴーレムを中心に倒し、ギルドに戻るが、まだ素材が足りず、俺は上の階の魔物狩りを始めた。

 学園が2期に入るまで魔物狩りを続け、ダンジョンを出る。

「もう昼だな、きゅう、食事にするか。」

「きゅう~。」



 ハルト 男
 レベル 32
 職業 中級料理人
 ノーマルスキル
 経験値上昇・超 レベル10
 職業スキル
 包丁    レベル6
 料理    レベル7
 ストレージ レベル5
 感知    レベル4


 きゅう メス
 レベル 27
 スキル
 経験値の祝福 レベル10
 風魔法    レベル 3
 水魔法    レベル 5
 光魔法    レベル 1

 ギルドの方を見ると、人だかりができている。
 明らかに事件が起きている。

 リコに問いかける

「何があった?」
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