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第47話

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  ユキナ・メイ・ユヅキとスルようになってから、ヒマリの様子が変わった。
 いつもよりさみしそうな表情を浮かべるようになり、会話への参加も少し緊張して意識しすぎているように見えた。

 その頃から母さんが動き出す。
 毎日ヒマリと5分から10分話をするようになった。
 たまに会話が耳に入って来る。
 僕がいてもお構いなしで講義を続ける。
 しかも何日もだ。

『もしも、ヒマリちゃんがずっと恥ずかしがって積極的にいかなかったとするじゃない?そうなれば、確実に結婚できないでしょうねえ。シュウと結婚出来ない、でも、その原因は逃げ続けたヒマリちゃん自身にあるのよ?もう少し積極的に動いた方がいいと思うわ。今の恥ずかしさを受け入れて、行動するだけで、将来を変えられるかもしれないわ。ねえ、お菓子の話をしましょうか……
「お菓子、ですか?」
「途中まで聞かないと意味が分からないと思うのよねえ。でも、我慢して聞いて欲しいわあ」
「わかり、ました」

「ダイエットをしている人がいたとします。ここにお菓子がありました」

 母さんはお菓子を目の前に置く。
 よくダイエットで走っているヒマリだけに向けた話だ!

「お菓子を食べるとおいしいわよね?でも、何度も我慢すれば痩せる事が出来て、ダイエットをした自分に自信がつくわねえ。お肌も綺麗になっておなかの調子も良くなるわあ。そしてお菓子を食べる癖を無くして習慣にする事で、ダイエットのストレスも無くなるのよ。でも、多くの人はお菓子を食べちゃうのよ。理由は分かるかしらねえ?」

「理由?え、、と……うまく言葉に出来ません」
「答えはねえ、人は今お菓子がおいしく食べられる小さなメリットを大きく見て、将来の大きなメリットを小さく評価してしまうのよお。私はお菓子が好きだけど食べる習慣は無いわねえ。お金もかかるのよねえ、お菓子は」

「だから、肌がきれいなんですね」
「ありがとう。う~ん、言いたいことは、ヒマリちゃんが恥ずかしがって動かないのはねえ、お菓子を食べてダイエットしない道を選ぶ事と一緒なのよねえ。
 置き換えてみるわね。
 お菓子を食べる=シュウにアタックしない
 将来太る=シュウと結婚出来ないしシュウの子供も産めない」

 そう言って母さんが紙に書いた。

「恥ずかしいのが嫌でシュウに積極的に行かないのはねえ、今の小さなメリットを取って、将来の大きなメリットを握りつぶして、将来不幸になる道を選んでいるのよ。
 ヒマリちゃん、ごめんなさいねえ。
 苦しめたいわけじゃないのよお。
 ただ、ヒマリちゃんはルームシェアを選んだわあ。
 あともう一歩なのよお。
 たったもう一歩だけなのよお。

 何度も言うわねえ、皆魅力があっていい子よ、後は積極性だけなのよお。
 シュウは3人と寝て自分が普通じゃなくて、ヒマリちゃんがまともだと思っているわあ。
 こうなってしまえば、シュウからアタックしてくれる未来はもう無いのよお。
 ヒマリちゃんから行かないと未来が変わる事は絶対に無いのよお」

 そう言って母さんは戻っていった。
 母さん、その5分だけの会話が本質を突きすぎていて心をえぐるようだよ。
 しかも母さんは善意で言っている。
 ただ、『絶対』とか『確実に』とか言葉を意図的に強くしている。
 母さんは絶対や確実が無い事を知ってそう言っている。
 母さんの話は次の日も続いた。




 僕がいる前で母さんとヒマリが話をする。

「ねえ、知っている?一人の男性と一人の女性が結婚するルールは明治時代に作られたのよ。それより前はもっと適当だったのよお。

 所で、どうして一夫多妻制が駄目か言えるかしら?
 シュウがメイや、ユズキ先生や、ユキナちゃんと寝るのが駄目ってどうして言えるのかしら?
 全員納得して寝ているのよ?
 これを崩しちゃうと、誰かが不幸になるわよね?
 皆でスルのは誰も傷つけていないわあ。
 ヒマリちゃんもスル事で良くなれるけどその話は置いておくわねえ。
 シンプルに考えましょう。
 どうして駄目か言えるかしら?」

「……えっと、それは、分かりません」
「そうね、私も答えられないわあ。やめる事で不幸になるけど駄目とただみんなが思う事、これが道徳なのよねえ。
 なんとなく、日本のみんなが駄目だと思っているだけで、誰も理由を説明できないのよお。
 無理に理由を出そうとすれば『一人で独占しちゃ結婚出来ない人が出る!』なんて、言う事は出来るわよ?でもねえ、みんな結婚せず子供もあまり産まないまま苦しくなっているのが今の日本じゃない?
 それで日本はどんどん悪い方向に行っているわあ」

「そうかもしれません」

「例を出すわね。大学生が奨学金を使って大学を卒業してローンを返し終わるまでに20代が終わるわあ。その後に30才になってから結婚出来たとしても、そこから子供を産む、そうなっちゃうと1人産めて良い方よねえ?人によっては35才を超えるまでローンを返せなくなっちゃって、責任感から婚期を逃しちゃうわね。そうなっちゃったら結婚出来ないわよねえ?
 まじめで誠実な人は子供を産めずに、生活保護を貰わなくていい図太い人が子供を産んでその子供が増えていくわねえ。
 今の日本はパソコンのバグのようなものを多く抱えているわあ。
 皆バグを直す事はせず、『不倫した!』『隠し子を産んだ!』と言って芸能人なんかを引きずり下ろして皆不幸で貧乏で憎しみ合う社会にしているわねえ。
 意味が分かるかしら?」

「なんとなく、分かります」

 母さんの言っている事は分かるけど、ヒマリのHPはゼロだよ!
 止めよう。

「母さん、もうやめよう」
「シュウ、私はヒマリちゃんの幸せを考えて言っているのよお?」
「そうかもしれないよ、でもヒマリが疲れてしまうよ」

「分かったわあ。所で一夫多妻制や一妻多夫制を導入するニュースは見た?」
「それはそういう法案を通したいです!と政治家が言っているってだけの話だよね?」

「あら、法案は通ると思うわよ。宗教の自由や少子化の脆弱性をうまく突いているわねえ。もし通らなくても、特区で限定的に実施するなら出来ると思うわあ」
「そうなの?」

「所で、特区が出来たら、そこに引越しをしたいのよねえ。ねえ、シュウ」

 母さんはいつものにこにこした笑顔から真剣な顔になって言った。

「もし、一人の子供しか産めないなら美人四天王のメイ、ユヅキ先生、ユキナちゃん、ヒマリちゃんの中で3人を切り捨てることになるわあ。私は4人選ばれる方がいいと思うのよお。
 ただ周りの足を引っ張って気持ちよくなるだけで誰も助けない、そういう人間はより、私は5人に結婚してもらって、私と父さんがすべての矢面に立つ道を選びたいわあ」

 母さんはさらっと言ったけど、その道を選んだら母さんと父さんは多くの攻撃を受けることになるだろう。
 誰かを引きずり下ろしたいマスコミの的になるし、ネットでもバッシングされる。

 父さんも母さんもそれを分かっている。
 分かっていて、その道を選ぼうとしているのが分かった。

「最後に言わせてほしいわあ。ヒマリちゃん、行動すればそれだけで幸せになれるわあ」

 そう言って母さんは去って行った。
 母さんは、子を守る母のような顔をしていた。
 母さんは、本気だ。




 あとがき
 常識とは違う理屈だと納得できない方もいると思いますが、シュウの家族である山田一家は、表には出していませんが

『貧乏から富裕層に昇ろうとしている行動する者』

 の設定なので、僕を含めたほとんどの貧乏人とは違う考えで動きます。
(僕を含めた多くの人が貧乏人ですよ。預金や有価証券3000万持ってない人は貧乏なカテゴリーらしいです)

 お金持ちになる人の性格特性

・人の批判に時間を使わず自分で動く事に時間を使う
・行動して幸せを作っていく
・時間を大切にする
・子供への金融教育や人生への教育には時間を使う

 お金持ちになりそうな人間はそういう原理で動くと思っています。
 後、ラブコメはファンタジーだと思うんです!

 ラブコメ=非日常=ファンタジー=ありえない事が起こる。
 完璧すぎるアリバイなのです!キリ!

 ではまた!



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