137 / 191
第137話
しおりを挟む
「奇遇だね」
「皆と遊びに来たんです。いやあ、家に来るマスコミに馴れなくて、逃げて来たのもあるんですけどね」
「そうか、ここはリゾート施設で人が来るけど、隣にあるハザマ施設の冒険者専用ホテルならマスコミは入ってこない、そこに住めば落ち着くと思う、でも高校生は学校があるからここに住むのは難しいか」
「あーいいですよ、そんなに真剣に考えなくても」
「暗い話をしてしまった。こういう時は楽しい事を考えよう。僕の夢は特級冒険者全員に握手と写真撮影をお願いする事だ。フトシ君の夢はあるかな?」
「その時によって夢というか目標はその時によって変わりますね。特級冒険者……チュンチュンジャンプならタイミングが合えば来てくれるかもしれません」
「本当か!」
シンさんは俺の背中を掴んで揺さぶった。
「ちょ! ちょ! ちょ! 待ってください! 呼べるかどうか分かりません。今で良ければスマホで連絡してみますけど、ロッカーに行ってきますね」
「よろしくお願いします!」
シンさんはロッカーまで付いてきてハンマさんにメッセージを送ると電話がかかって来た。
「もしもし、スズメさん? ハンマさんじゃなくて?」
『うん、どうしたの?』
「実は……」
事情を説明した。
『1日、私と一緒にハザマに潜るなら、行ってあげてもいい』
「それくらいなら、行けます」
『サードプレイスで、1日一緒にハザマに潜る、OK?』
「わ、分かりました。1日って、12時間くらいですかね?」
『それでいい、3時間以内に着く』
「え? 今日! もう外は暗いですけど。あ、切れた」
「フトシ君、聞いていたよ! ありがとう! 何でも言って欲しい!」
「いや、多分ですけど、シンさんがお願いすれば普通にみんな握手してくれますし、写真も撮らせてくれますよ」
「いや、それは、特級冒険者の方に、し、失礼があってはいけない。僕はすぐに体を清めてこなければ!」
シンさんが乙女のような顔をした。
シンさんは冒険者用の宿泊施設の方に帰って行った。
サードプレイスのハザマ施設。
その上に冒険者と錬金術師専用の宿泊施設がありそこの快適性は有名だ。
ハザマ施設でドロップ品やアイテムなどを納品すればするほど割引きや無料のサービスが増えていく。
飲食店は品数が少し控えめだがバイキング方式で味も接客もいい。
売店には武器や防具、アイテムの販売だけでなく日用品まで揃っている。
部屋は1人部屋で定期的に掃除が入る。
ハザマ施設を出ると武器防具のクリーニングサービスと入浴施設への導線が近い。
ここに住む冒険者は多い。
サードプレイス最大の売りは冒険者の快適性を追求した居住空間にある。
入浴を済ませ、皆で食事を摂り終るとチュンチュンジャンプが来た。
「お待たせ」
「はあ、俺は明日にするって言ったんだがねえ」
「今すぐ、握手と写真撮影」
「今連絡しますね。もしもし、シンさん、来ましたよ」
『ま、待ってくれ、もう一回手を洗ってから行く』
「分かりました」
電話を切った後もシンさんがなかなか来ない。
シンさんが来たがそわそわしだした。
「すまないが手汗が出てしまって、ま、また手を洗って来る」
「いいっていいって、ほい、握手」
「私も、握手」
ハンマさんとスズメさんがシンさんの手を取った。
「きょ、恐縮です! ありがとうございます!」
「シンさん、恐縮ですって……」
「今日はありがとうございました!」
「シンさん! 写真写真!」
「そうだった。あの、申し訳ありません。よろしければ写真を撮らせてもらっていいでしょうか」
「私から!」
「よ、よろしくお願いします!」
カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!
「シンさん、武器を構えた状態じゃなくていいんですか?」
「ああ、ぽ、ポーズをお願いします」
こうしてシンさんが緊張したまま写真撮影が終わった。
「ありがとうございました!」
「どういたしまして」
「シン、あんまり緊張しなくていい、俺達は同じ人間なんだ」
「いえ、特級の方々は僕とは違う人間です! フトシ君、ありがとう、君は僕の恩人だ。何かあれば協力するから何でも、いつでも言って欲しい」
「多分シンさんが声をかければ握手と写真撮影位ならやってくれると思いますよ。シンさんは信頼度が高いですし」
「い、いや、と、特級の方に、失礼があってはいけない、きょ、今日は写真を厳選してSNSにアップします。お疲れさまでした!」
シンさんが去って行った。
じーーー!
スズメさんの視線を感じる。
「何ですか?」
「12時間」
「え?」
「12時間、一緒にハザマに行く」
「それなんですけど、俺今砦のスキルが使えなくて、魔石集めは大して役に立たないと思います。進化を待った方が良くないですか?」
「いい、今から向かう」
「頑張れよ。色んな意味でな」
ハンマさんが手を振った。
「皆と遊びに来たんです。いやあ、家に来るマスコミに馴れなくて、逃げて来たのもあるんですけどね」
「そうか、ここはリゾート施設で人が来るけど、隣にあるハザマ施設の冒険者専用ホテルならマスコミは入ってこない、そこに住めば落ち着くと思う、でも高校生は学校があるからここに住むのは難しいか」
「あーいいですよ、そんなに真剣に考えなくても」
「暗い話をしてしまった。こういう時は楽しい事を考えよう。僕の夢は特級冒険者全員に握手と写真撮影をお願いする事だ。フトシ君の夢はあるかな?」
「その時によって夢というか目標はその時によって変わりますね。特級冒険者……チュンチュンジャンプならタイミングが合えば来てくれるかもしれません」
「本当か!」
シンさんは俺の背中を掴んで揺さぶった。
「ちょ! ちょ! ちょ! 待ってください! 呼べるかどうか分かりません。今で良ければスマホで連絡してみますけど、ロッカーに行ってきますね」
「よろしくお願いします!」
シンさんはロッカーまで付いてきてハンマさんにメッセージを送ると電話がかかって来た。
「もしもし、スズメさん? ハンマさんじゃなくて?」
『うん、どうしたの?』
「実は……」
事情を説明した。
『1日、私と一緒にハザマに潜るなら、行ってあげてもいい』
「それくらいなら、行けます」
『サードプレイスで、1日一緒にハザマに潜る、OK?』
「わ、分かりました。1日って、12時間くらいですかね?」
『それでいい、3時間以内に着く』
「え? 今日! もう外は暗いですけど。あ、切れた」
「フトシ君、聞いていたよ! ありがとう! 何でも言って欲しい!」
「いや、多分ですけど、シンさんがお願いすれば普通にみんな握手してくれますし、写真も撮らせてくれますよ」
「いや、それは、特級冒険者の方に、し、失礼があってはいけない。僕はすぐに体を清めてこなければ!」
シンさんが乙女のような顔をした。
シンさんは冒険者用の宿泊施設の方に帰って行った。
サードプレイスのハザマ施設。
その上に冒険者と錬金術師専用の宿泊施設がありそこの快適性は有名だ。
ハザマ施設でドロップ品やアイテムなどを納品すればするほど割引きや無料のサービスが増えていく。
飲食店は品数が少し控えめだがバイキング方式で味も接客もいい。
売店には武器や防具、アイテムの販売だけでなく日用品まで揃っている。
部屋は1人部屋で定期的に掃除が入る。
ハザマ施設を出ると武器防具のクリーニングサービスと入浴施設への導線が近い。
ここに住む冒険者は多い。
サードプレイス最大の売りは冒険者の快適性を追求した居住空間にある。
入浴を済ませ、皆で食事を摂り終るとチュンチュンジャンプが来た。
「お待たせ」
「はあ、俺は明日にするって言ったんだがねえ」
「今すぐ、握手と写真撮影」
「今連絡しますね。もしもし、シンさん、来ましたよ」
『ま、待ってくれ、もう一回手を洗ってから行く』
「分かりました」
電話を切った後もシンさんがなかなか来ない。
シンさんが来たがそわそわしだした。
「すまないが手汗が出てしまって、ま、また手を洗って来る」
「いいっていいって、ほい、握手」
「私も、握手」
ハンマさんとスズメさんがシンさんの手を取った。
「きょ、恐縮です! ありがとうございます!」
「シンさん、恐縮ですって……」
「今日はありがとうございました!」
「シンさん! 写真写真!」
「そうだった。あの、申し訳ありません。よろしければ写真を撮らせてもらっていいでしょうか」
「私から!」
「よ、よろしくお願いします!」
カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!
「シンさん、武器を構えた状態じゃなくていいんですか?」
「ああ、ぽ、ポーズをお願いします」
こうしてシンさんが緊張したまま写真撮影が終わった。
「ありがとうございました!」
「どういたしまして」
「シン、あんまり緊張しなくていい、俺達は同じ人間なんだ」
「いえ、特級の方々は僕とは違う人間です! フトシ君、ありがとう、君は僕の恩人だ。何かあれば協力するから何でも、いつでも言って欲しい」
「多分シンさんが声をかければ握手と写真撮影位ならやってくれると思いますよ。シンさんは信頼度が高いですし」
「い、いや、と、特級の方に、失礼があってはいけない、きょ、今日は写真を厳選してSNSにアップします。お疲れさまでした!」
シンさんが去って行った。
じーーー!
スズメさんの視線を感じる。
「何ですか?」
「12時間」
「え?」
「12時間、一緒にハザマに行く」
「それなんですけど、俺今砦のスキルが使えなくて、魔石集めは大して役に立たないと思います。進化を待った方が良くないですか?」
「いい、今から向かう」
「頑張れよ。色んな意味でな」
ハンマさんが手を振った。
0
お気に入りに追加
664
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる