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第106話
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俺は体力が有り余ていたのと、やりすぎた自分が恥ずかしくなり走って家に帰った。
玄関を開けるとヒトミが待っていた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
「……今日はアマミヤ先生が最期の日でしたね」
「そ、そうだな」
「夏休みでもお迎えに行ったんですね?」
「そうだな?」
「すんすん!」
ヒトミは俺に近づいて匂いを嗅いだ。
まるで犬のようだ。
そして囁くように言った。
「アマミヤ先生の匂いがします」
「一緒に食事に行ったからな」
「帰ってくるまで長かったです」
「車の売却もあった」
「……お風呂と食事が出来ています」
「せっかく作ってくれた料理だ。食べよう」
「食べてください」
今日はそれ以上何も言われなかったが、ヒトミは俺の事を観察しているように見えた。
【次の日】
俺・いのり・ユイで学校前のハザマに行った。
冒険者が不足している為、今は殆ど無料で入れる。
「きゅう!攻撃力強化!」
「きゅう!」
ユイの背中にきゅうが乗って光る。
「魔法弓!」
いのりは昨日、攻撃力を強化するスキルを覚えた。
いのりの強化でユイの攻撃力を上げてユイの弓で倒す。
そしていのりが生き生きしている。
「いいコンビネーションだな」
「アマミヤ先生が、凄く強くなってる!」
「いのりでいいのよ。もう先生じゃないんだし」
「いのりさん?」
「いのりで大丈夫、敬語もいらないわ」
「いのり、強く、なった?」
「ユイ、何で片言なんだ?」
「なんか違和感があって」
「分かる。一緒に慣れて行こう」
「なんで、急に……」
「フトシ君に魔石を食べさせてもらって」
「食べさせてもらって!」
「間違えたわ。貰ったの」
「でも、いのりは前魔石を断っていたような……」
ユイが俺といのりを見る。
「それに、急にすごく強くなって、たくさん食べたの?」
「そう、ね」
「食べさせてもらって?」
ま、まずい。
悪い事をしている気になって来たぞ。
「きゅ、きゅうが魔石を食べたそうだな」
「きゅう♪」
「きゅう、お食べ」
「きゅう♪」
きゅうが魔石を食べた。
「え?これって、どうなるの?」
「私が、食べた事になるわ」
「きゅうは可愛いだろ?昨日は調子に乗ってしまった。ユイも魔石を食べるか?きゅうみたいに食べさせようか?」
これできゅうが食べた感を出せる。
嘘はついていない。
「わ、私はいいよ」
「でも、いのりが強くなって、ユイが食べてバランスを取ってもいいんじゃないか?」
「ユイちゃんはそういうプレイが好きなの?すごく反応していたし」
「アマミヤ先生!」
「からかいすぎたわ。今日は私をいのりと呼べるように慣れていきましょう。ごめんね。ユイちゃん」
いのりがユイの頭を撫でる。
「ユイに食べさせたいのは本当だぞ? 世話になったからな」
「もお、いいよ。それより食事にしよう」
「そうだな」
家に帰ってヒトミと母さんも集まり食事を食べる。
ヒトミは借金を返済した。
いのりには魔石を食べさせた。
ユイだけがまだだ。
「フトシ、また変な事考えてる?」
「ん、いや、まあ」
「何ですか?」
「どうやったらユイが魔石を受け取ってくれるか考えていた。使う分をみんなに使って、お金に換えてから全部自分で食べたいと思って」
アシュラから自衛できるように、魔石は食べておきたい。
出来れば早くユイに食べさせて、残りを自分で食べたい。
「いい考えがあります。私に魔石を貸してください。後で2倍にして返します。外堀りから埋めましょう」
外堀りから埋めましょうの言葉に違和感を感じたが気にしないでおこう。
「うむ、採用だ!食事が終わったら始めよう」
「よろしくお願いします!」
「でも、2倍はいいや」
「いえ、金額相当で2倍、アイテムで直接返してもいいですか?」
「むしろそっちの方が助かるぞ」
「また契約成立ですね」
「うむ、ユイにも魔石をあげよう」
「いいよ」
「……そこは貰う所だろ?」
「悪いから」
「少しだけでも」
「悪いから」
「受けとら、ない、だと!」
「ユイちゃんは遠慮してもらわないわよ。それよりも、ヒトミちゃんに魔石を食べさせてあげましょう」
「フトシに食べさせてもらいます」
「そうしなさい」
冗談だよな?
食事が終わり、テーブルに魔石が置かれると、ヒトミが前のめりになって口を開ける。
ユイと母さんがその様子をじっと見る。
「え?これ本当にやるのか?」
「いいですよ」
「2人が良いなら何も問題無いわよね? ユイちゃん?」
「……」
ユイが何も言わないだと!
この空気何?
「フトシ君、私の口に直接食べさせてください。ユイはいらないみたいなので私にだけ食べさせてください」
「わ、分かった」
ヒトミの胸元が見える。
「おいひいです。遠慮しないでどんどん入れていいですよ」
ヒトミの言い方がエロい。
母さんとユイは黙って俺とヒトミを見つめる。
俺は変な空気のままヒトミに魔石を食べさせた。
玄関を開けるとヒトミが待っていた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
「……今日はアマミヤ先生が最期の日でしたね」
「そ、そうだな」
「夏休みでもお迎えに行ったんですね?」
「そうだな?」
「すんすん!」
ヒトミは俺に近づいて匂いを嗅いだ。
まるで犬のようだ。
そして囁くように言った。
「アマミヤ先生の匂いがします」
「一緒に食事に行ったからな」
「帰ってくるまで長かったです」
「車の売却もあった」
「……お風呂と食事が出来ています」
「せっかく作ってくれた料理だ。食べよう」
「食べてください」
今日はそれ以上何も言われなかったが、ヒトミは俺の事を観察しているように見えた。
【次の日】
俺・いのり・ユイで学校前のハザマに行った。
冒険者が不足している為、今は殆ど無料で入れる。
「きゅう!攻撃力強化!」
「きゅう!」
ユイの背中にきゅうが乗って光る。
「魔法弓!」
いのりは昨日、攻撃力を強化するスキルを覚えた。
いのりの強化でユイの攻撃力を上げてユイの弓で倒す。
そしていのりが生き生きしている。
「いいコンビネーションだな」
「アマミヤ先生が、凄く強くなってる!」
「いのりでいいのよ。もう先生じゃないんだし」
「いのりさん?」
「いのりで大丈夫、敬語もいらないわ」
「いのり、強く、なった?」
「ユイ、何で片言なんだ?」
「なんか違和感があって」
「分かる。一緒に慣れて行こう」
「なんで、急に……」
「フトシ君に魔石を食べさせてもらって」
「食べさせてもらって!」
「間違えたわ。貰ったの」
「でも、いのりは前魔石を断っていたような……」
ユイが俺といのりを見る。
「それに、急にすごく強くなって、たくさん食べたの?」
「そう、ね」
「食べさせてもらって?」
ま、まずい。
悪い事をしている気になって来たぞ。
「きゅ、きゅうが魔石を食べたそうだな」
「きゅう♪」
「きゅう、お食べ」
「きゅう♪」
きゅうが魔石を食べた。
「え?これって、どうなるの?」
「私が、食べた事になるわ」
「きゅうは可愛いだろ?昨日は調子に乗ってしまった。ユイも魔石を食べるか?きゅうみたいに食べさせようか?」
これできゅうが食べた感を出せる。
嘘はついていない。
「わ、私はいいよ」
「でも、いのりが強くなって、ユイが食べてバランスを取ってもいいんじゃないか?」
「ユイちゃんはそういうプレイが好きなの?すごく反応していたし」
「アマミヤ先生!」
「からかいすぎたわ。今日は私をいのりと呼べるように慣れていきましょう。ごめんね。ユイちゃん」
いのりがユイの頭を撫でる。
「ユイに食べさせたいのは本当だぞ? 世話になったからな」
「もお、いいよ。それより食事にしよう」
「そうだな」
家に帰ってヒトミと母さんも集まり食事を食べる。
ヒトミは借金を返済した。
いのりには魔石を食べさせた。
ユイだけがまだだ。
「フトシ、また変な事考えてる?」
「ん、いや、まあ」
「何ですか?」
「どうやったらユイが魔石を受け取ってくれるか考えていた。使う分をみんなに使って、お金に換えてから全部自分で食べたいと思って」
アシュラから自衛できるように、魔石は食べておきたい。
出来れば早くユイに食べさせて、残りを自分で食べたい。
「いい考えがあります。私に魔石を貸してください。後で2倍にして返します。外堀りから埋めましょう」
外堀りから埋めましょうの言葉に違和感を感じたが気にしないでおこう。
「うむ、採用だ!食事が終わったら始めよう」
「よろしくお願いします!」
「でも、2倍はいいや」
「いえ、金額相当で2倍、アイテムで直接返してもいいですか?」
「むしろそっちの方が助かるぞ」
「また契約成立ですね」
「うむ、ユイにも魔石をあげよう」
「いいよ」
「……そこは貰う所だろ?」
「悪いから」
「少しだけでも」
「悪いから」
「受けとら、ない、だと!」
「ユイちゃんは遠慮してもらわないわよ。それよりも、ヒトミちゃんに魔石を食べさせてあげましょう」
「フトシに食べさせてもらいます」
「そうしなさい」
冗談だよな?
食事が終わり、テーブルに魔石が置かれると、ヒトミが前のめりになって口を開ける。
ユイと母さんがその様子をじっと見る。
「え?これ本当にやるのか?」
「いいですよ」
「2人が良いなら何も問題無いわよね? ユイちゃん?」
「……」
ユイが何も言わないだと!
この空気何?
「フトシ君、私の口に直接食べさせてください。ユイはいらないみたいなので私にだけ食べさせてください」
「わ、分かった」
ヒトミの胸元が見える。
「おいひいです。遠慮しないでどんどん入れていいですよ」
ヒトミの言い方がエロい。
母さんとユイは黙って俺とヒトミを見つめる。
俺は変な空気のままヒトミに魔石を食べさせた。
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