上 下
18 / 191

第18話

しおりを挟む
 夏休み中俺は毎日朝と午後にゴブリンのハザマでゴブリンを狩った。
 最初は数が少ないハザマから入り、消耗していない状態で長く戦えるよう工夫した。

 ゴブリンの数が多い時は門を開けて俺とシャドーランサーで最後の部屋に誘い込んで戦い、疲れると門やシャドーランサーに任せて長く戦えるように工夫した。

 ゴブリンの魔石とゴブリンナイフが何度もドロップした。
 ゴブリンナイフは魔石以上に安い為アイテムボックスに入れて貯めてある。
 魔石はすべて食べて力を高めていった。

 夏休みが終わると、朝はゴウタさんのハザマ施設に走ってゴブリンを狩る。
 その後学校まで走り夏休み明けの学校に向かった。

 少し遅めに教室に入るとみんなが一斉に俺を見たが気にせず挨拶をした。

「おはよう」

「え?だれ?」
「どちら様ですか?」
「クラス間違えてない?」
「夏休み明けだからね」
「でも、見た事無い人だよ?」
「転校生かな?」

 女子生徒が知らないふりをする。

「酷い!それは酷い!オオタフトシだって!そう言ういじり方は良くない」

「「ええええええええ!」」

 クラスのみんなが集まって来る。

「顔つきが全然違う!」
「お前、別人じゃないよな?」
「イケメンじゃね?」
「その清潔感のある髪型はなんだ!」
「お前は俺達の仲間じゃなかったのかよ!」

「そう言ういじりはもういいから」
「冗談じゃなくて、何キロ痩せた?」
「最初は130キロで、今は78キロ」

 俺はまだまだだ。
 目標60キロに対して78キロ、まだ足りないのだ。

「「おおおおおおおお!」」

「胸板が凄くね?」
「冒険者の体だね」
「カッコよくなったよ」

 ガラガラガラガラ!

「ほら!席に着け!ホームルームを始める!早く席に着け!」

 アマミヤ先生が入って来た。
 全員が席に着くと先生はニコッと笑った。

「全員出席、けが人もモンスターの犠牲者も無しか。先生嬉しいぞ。だがな、夏休みが終わって慣れて来た頃に死亡率がまた上がる!何度でも言うぞ!ハザマに入って少しでも嫌な予感がしたらすぐに逃げろ!いつもと違うと思えばすぐに逃げて先生に教えてくれ!何も無かったとして気のせいならそれで構わない!」

 先生はワザと死亡率の言葉を出している。
 ハザマでのモンスター狩りをあきらめた生徒もいる。
 そういう生徒は普通科扱いとして卒業まではこの学校に通える。
 
「ホームルームはこれで終わりだ。今日最初の授業はモンスターの講義だ。気を引き締めて受けるように、以上だ」

 こうしてホームルームが終わった。
 ユイが話しかけてくる。

「フトシ、大分雰囲気が変わったね」

 ユイがまた大人っぽくなった気がする。
 俺も頑張らないとな。

「まだまだだ。ダイエットすら終わっていないからな」
「もう充分じゃない?背が伸びたよね?」

 ユイは優しい。
 俺に対して甘く見てくれているんだろう。
 背が伸びたから体重が重くても良い、そこから甘えが始まる。
 周りのクラスメートも声をかけて来た。

「フトシ、最近凄味が出て来たな」
「死にかけたか?」
「いや、全然、毎日朝と夕方の2回ゴブリンのハザマでぬるく狩りをしているだけだ」

「俺はさあ、モンスター狩りをギブアップしたんだ」
「続けてるだけですげーよ!」
「俺はベビーガーゴイルかリトルスケルトンのハザマだけど、朝も放課後も毎日行く事は無いぞ」
「俺は週に3日だけハザマに行ってる。毎日は戦えないんだ」
「俺は週1から2回だ」
「つーかユイと、隣のクラスのレンは別格だ。普通はハザマに入るのをやめるか休みを挟みながらモンスターを狩っている。みんなそうなんだ」

 ガラガラガラガラ!

「ほら!席に着け!授業を始める!」
 
 みんなが席に着くと授業が始まった。
 ホームルームでも思っていた、アマミヤ先生はやっぱり美人だな。
 ユイとどっちが美人だろう?
 ユイと先生を交互に見る。

「今日はモンスターのクラスについて話をする。各モンスターにはキング、クイーン、そして4騎士がいる。これらはボスを超える力を持っている」

 う~む、甲乙つけがたい。

「休み明けでぼーっとしているオオタ、ボス・キング・クイーン・4騎士の特徴と見分け方を答えて見ろ」
「ふぁ!はい!」

 びっくりした!
 先生に見とれてたなんて言えない。
 クラスから笑い声が聞こえる。

「見分け方は角で判断します。ボスは1本角で、4騎士は2本角、キングとクイーンは3本角です」
「うむ、次は各クラスの特徴を答えてくれ」

「ボスは主に拠点を守っていて雑魚の上位互換の力を持っています。次に4騎士のビショップはバリアや回復の力を持ちます。タンクは防御に優れます。ファイターは近接戦闘に優れていて、マジシャンは魔法攻撃に優れています」

「キングは同族の使役能力と強化能力を持ち、各クラスで最強の戦闘能力を持ちます。クイーンは戦闘能力は強くないものの、同族を召喚か生み出す能力を持っていると言われていて、まだどちらなのか分かっていません」

「100点満点だ」
「「おおおおおおおおお!」」

 魔石を飲み込むうちに記憶力も良くなっていた。
 能力値のアップは勉強の効率も上がる。
 そこまで勉強をしたわけじゃないが教科書や資料を1回見るだけで勉強は終わった。

「角付きを見たら逃げろ!ゴブリンの角付きでもだ!戦闘力が弱いクイーンにも近づくな。クイーンが出て来た時点で100のゴブリンに包囲されると思っていい!モンスターに包囲される脅威は分かるな!?しかもモンスターを倒せてもまたすぐに次のモンスターが現れる!2本以上の角付きが出たらすべて逃げろ!絶対にだ!」

 大事な事なんだろうな。
 俺如きが強いモンスターと戦おうとは思わない。
 俺は確実に逃げる。
 逃げるのは得意なんだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす
ファンタジー
 病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。  時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。  べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。  月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ? カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。 書き溜めは100話越えてます…

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...