48 / 98
第48話
しおりを挟む
皆がショックを受ける。
「そんな!」
「言いにくいが負けだ。明日の陣を見れば分かると思う。俺は王と話をして来る」
自陣の森に戻ると俺は王の元に向かった。
すると部屋に通される。
ライダーが叱責を受けていた。
「ふう、もうよい。ライダー。意地でも指揮を明け渡す気が無いか!恥を知れ!下がれ!」
「……はい」
「下がって次の準備をするのだ!」
ライダーは無言で部屋を出て行こうとするが俺を見て「どけよ!」と言って突き飛ばそうとした。
俺はひらりと躱して部屋の中に入るがライダーが怒鳴る。
「アキの無礼者が!」
「ライダー!今は会議中だ!」
ライダーは俺を睨んだ後去って行った。
「アキ、ご苦労だった。唯一右翼だけが大勝したおかげで何とか敗戦は防ぐことが出来た」
「その事で相談があるんだ」
「何だ?」
「夜更けと共に本陣に帰った敵部隊に襲撃を加えたい」
【ワッフル視点】
テーブルにわたくしを含めた4人が座り、後ろにセバスが控える。
武器の英雄にして総司令を務めるウエポン・アーツ、そして拳の英雄と闇の英雄が座る。
武器の英雄、ウエポンが話を始めた。
「まずは我らの勝利だ。ご苦労だった」
ウエポンは30代ほどの男で重そうな鉄の鎧をまとっている。
「フハハハハハ!まだ暴れ足りんが作戦会議なら結果だけ知らせてくれればよい」
「拳の英雄殿は会議には興味が無いと見える」
「僕も眠いよ。僕と拳はどっちも作戦に興味がないんだ」
「うむ、その通りだ!」
「では2人はすぐに休息を取って貰おう」
2人の男が出て行く。
「さて、本題だ」
ウエポンはわたくしではなく後ろにいるセバスに視線を合わせながら独り言のように言った。
「王は大戦の勝利、そしてワッフル様の死を望んでおられるが、両方を天秤にかけるまでもなく勝利が優先される、だが我は王の命を無下にできる立場でもない」
「何が言いたいのか分かりませんわ」
「うむ、失礼した。これから我が話す事はただの独り言として聞いて欲しいのだ」
「ワッフル様、聞きましょう」
「分かりましたわ」
「王はワッフル様には過酷な斥候を命じ、更に初戦の最前線を命じた。そして後2度の過酷な戦いが終わればもう、我はワッフル様を殺す為役目を果たしたと言えるだろう。セバス、意味は分かったか?」
「はい、分かりました。後2回の戦闘は過酷、しかしその2戦を生き延びたのちはひとまず安心です」
「そう言う事ですのね」
私はやっと理解した。
大戦が進めば戦況は乱れ、思いもよらない事態は常に起こる。
そうなれば勝利を盤石にする為、勝利の為わたくしを殺す暇が無くなる。
兄から何か言われても序盤さえ乗り切れば武器の英雄ならば何とでも言い逃れが出来る。
「次の議題に移る。初戦でライダーの弱さと、ボマーの強さが浮き彫りになった。後の2戦はどちらを攻めるかで作戦が大きく変わって来る。強者を潰すか、弱者を潰すかだ。セバス、次の戦いをどう考える?夜更けと共に奇襲する事は決まっている。その上で考えが聞きたいのだ」
「私なら、ライダーをつつき、恐怖を与え続け、逃げるように誘導いたします」
「弱者を潰さず、無能を生かしたまま毒を撒くか」
「はい。軍の配置や動きを見る限り、恐らく敵はライダーに死んでほしいと思っているのでしょう。敵の思惑に乗る必要はないと考えます」
「面白い。ライダーは闇の英雄と影の英雄に攻めて貰おう。姫騎士も一緒にだ。なんせライダーは闇の英雄と影の英雄、そして姫騎士を恐れている。私としてはおとりになってさえもらえれば多少手を抜いても構わん。要はワッフル様が前線で戦い、命を危険に晒したと報告出来ればいいのだ」
武器の英雄も苦労が絶えないようだ。
勝利は絶対譲れない中で兄の言う事をある程度飲む必要がある。
その上でわたくしやセバスに道を与える配慮もしている。
総司令にして英雄、そして先を見る目を持つ偉大な男、それがウエポン・アーツだ。
セバスが最強だとすればウエポンは万能と言える。
「わたくしとセバス、そして闇の英雄が陽動で、本体は拳の英雄と武器の英雄ですわね」
「うむ、その通りだ。森を迂回して本陣に奇襲をかける!わずかな時間でも休んでおくのだ」
この会議は夜襲の会議のみで終わった。
夜襲の結果次第で明日の動きが変わって来る。
アキは単独で敵陣の夜襲を進め、ウエポンは軍を持っての夜襲を進める。
戦いの初日はまだ終わっていないのだ。
「そんな!」
「言いにくいが負けだ。明日の陣を見れば分かると思う。俺は王と話をして来る」
自陣の森に戻ると俺は王の元に向かった。
すると部屋に通される。
ライダーが叱責を受けていた。
「ふう、もうよい。ライダー。意地でも指揮を明け渡す気が無いか!恥を知れ!下がれ!」
「……はい」
「下がって次の準備をするのだ!」
ライダーは無言で部屋を出て行こうとするが俺を見て「どけよ!」と言って突き飛ばそうとした。
俺はひらりと躱して部屋の中に入るがライダーが怒鳴る。
「アキの無礼者が!」
「ライダー!今は会議中だ!」
ライダーは俺を睨んだ後去って行った。
「アキ、ご苦労だった。唯一右翼だけが大勝したおかげで何とか敗戦は防ぐことが出来た」
「その事で相談があるんだ」
「何だ?」
「夜更けと共に本陣に帰った敵部隊に襲撃を加えたい」
【ワッフル視点】
テーブルにわたくしを含めた4人が座り、後ろにセバスが控える。
武器の英雄にして総司令を務めるウエポン・アーツ、そして拳の英雄と闇の英雄が座る。
武器の英雄、ウエポンが話を始めた。
「まずは我らの勝利だ。ご苦労だった」
ウエポンは30代ほどの男で重そうな鉄の鎧をまとっている。
「フハハハハハ!まだ暴れ足りんが作戦会議なら結果だけ知らせてくれればよい」
「拳の英雄殿は会議には興味が無いと見える」
「僕も眠いよ。僕と拳はどっちも作戦に興味がないんだ」
「うむ、その通りだ!」
「では2人はすぐに休息を取って貰おう」
2人の男が出て行く。
「さて、本題だ」
ウエポンはわたくしではなく後ろにいるセバスに視線を合わせながら独り言のように言った。
「王は大戦の勝利、そしてワッフル様の死を望んでおられるが、両方を天秤にかけるまでもなく勝利が優先される、だが我は王の命を無下にできる立場でもない」
「何が言いたいのか分かりませんわ」
「うむ、失礼した。これから我が話す事はただの独り言として聞いて欲しいのだ」
「ワッフル様、聞きましょう」
「分かりましたわ」
「王はワッフル様には過酷な斥候を命じ、更に初戦の最前線を命じた。そして後2度の過酷な戦いが終わればもう、我はワッフル様を殺す為役目を果たしたと言えるだろう。セバス、意味は分かったか?」
「はい、分かりました。後2回の戦闘は過酷、しかしその2戦を生き延びたのちはひとまず安心です」
「そう言う事ですのね」
私はやっと理解した。
大戦が進めば戦況は乱れ、思いもよらない事態は常に起こる。
そうなれば勝利を盤石にする為、勝利の為わたくしを殺す暇が無くなる。
兄から何か言われても序盤さえ乗り切れば武器の英雄ならば何とでも言い逃れが出来る。
「次の議題に移る。初戦でライダーの弱さと、ボマーの強さが浮き彫りになった。後の2戦はどちらを攻めるかで作戦が大きく変わって来る。強者を潰すか、弱者を潰すかだ。セバス、次の戦いをどう考える?夜更けと共に奇襲する事は決まっている。その上で考えが聞きたいのだ」
「私なら、ライダーをつつき、恐怖を与え続け、逃げるように誘導いたします」
「弱者を潰さず、無能を生かしたまま毒を撒くか」
「はい。軍の配置や動きを見る限り、恐らく敵はライダーに死んでほしいと思っているのでしょう。敵の思惑に乗る必要はないと考えます」
「面白い。ライダーは闇の英雄と影の英雄に攻めて貰おう。姫騎士も一緒にだ。なんせライダーは闇の英雄と影の英雄、そして姫騎士を恐れている。私としてはおとりになってさえもらえれば多少手を抜いても構わん。要はワッフル様が前線で戦い、命を危険に晒したと報告出来ればいいのだ」
武器の英雄も苦労が絶えないようだ。
勝利は絶対譲れない中で兄の言う事をある程度飲む必要がある。
その上でわたくしやセバスに道を与える配慮もしている。
総司令にして英雄、そして先を見る目を持つ偉大な男、それがウエポン・アーツだ。
セバスが最強だとすればウエポンは万能と言える。
「わたくしとセバス、そして闇の英雄が陽動で、本体は拳の英雄と武器の英雄ですわね」
「うむ、その通りだ。森を迂回して本陣に奇襲をかける!わずかな時間でも休んでおくのだ」
この会議は夜襲の会議のみで終わった。
夜襲の結果次第で明日の動きが変わって来る。
アキは単独で敵陣の夜襲を進め、ウエポンは軍を持っての夜襲を進める。
戦いの初日はまだ終わっていないのだ。
0
お気に入りに追加
306
あなたにおすすめの小説
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~
鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」
未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。
国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。
追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!
こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。
ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。
最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。
だが、俺は知っていた。
魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。
外れスキル【超重量】の真の力を。
俺は思う。
【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか?
俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。
エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します
一色孝太郎
ファンタジー
女神見習いのミスによって三十を目前にして命を落とした茂手内猛夫は、エルフそっくりの外見を持つ淫魔族の一種エロフの女性リリスとして転生させられてしまった。リリスはエロフとして能力をフル活用して異世界で無双しつつも、年の離れた中高生の弟妹に仕送りをするため、異世界系VTuberとしてデビューを果たした。だが弟妹は世間体を気にした金にがめつい親戚に引き取られていた。果たしてリリスの仕送りは弟妹にきちんと届くのか? そしてリリスは異世界でどんな景色を見るのだろうか?
※本作品にはTS要素、百合要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※本作品は他サイトでも同時掲載しております。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜
北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。
この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。
※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※
カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!!
*毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。*
※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※
表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる