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第36話

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 俺はダンジョンで暮らし続けた。
 素材を集め続け、ゴブリンキング・モグドラゴン・アースドラゴンを倒し続ける。

 俺は両手に2本のロングナイフを構えてアースドラゴンの頭にジャンプする。
 頭にナイフの連撃を加え、攻撃が来る前に位置を変え、何度も攻撃する。

 アースドラゴンは地を這うように4つ足で歩く竜だ。
 飛べない分飛竜より攻撃力、防御力は高い。

 だが、俺の連撃でアースドラゴンが倒れる。

「もうみんなアースドラゴンでも1人で倒せますね」

 プリンは固有スキルを覚えた事でアースドラゴンを一気に追い詰め倒す事が出来る。
 俺は固有スキルを覚えられなかったが、何とかナイフだけで倒せるようになった。

 俺もプリンも成長した。

「所で俺達は何年ここにいるんだろう?」
「分からないわね」
「ですが、お嬢様の胸を見ると、かなりの年月が経った事は確かです」

 チョコはプリンの胸を後ろから揉んだ。

「ちょっと、やめなさいよ」
「この感触、好きですよ」
「自分の胸を揉めばいいでしょ!」
「お嬢様には完全敗北です」
「揉むのをやめなさい」

 大きな翼の音が聞こえる。

「上から来る!飛竜と、人型が乗っている!強敵だ!」

「大丈夫です。私の親友ですから」
「アーチェリーね」
「アーチェリーは親友の名前です」

 飛竜が地面に着地するとアーチェリーがチョコに抱きついた。

「久しぶりね」
「アーチェリーも元気そうですね」

「バハムート、挨拶をしなさい」
「ギャオオオオオオオ!」

 大きな声を上げて飛竜が頭を下げる。
 飛竜に乗った美人エルフ……
 アーチェリー。
 アーチェリー・ドラゴン公爵か!

「竜の英雄ですか?」
「そうね」
「お初にお目にかかります。私はアキです」

 俺は礼をした。
 いつもなら俺のしぐさに笑う人が多いけど笑わない。
 背が伸びたからか?

「よろしく頼むわね。でも無理な敬語はいらないわ」
「アキ君、アーチェリーに敬語はよくありませんよ」
「敬語はいらないわ」

「そ、そうか。よろしく」

 俺はアーチェリーと握手した。
 アーチェリーは俺の顔をじっと見る。

「あのクラフトに気に入られたものまね士のアキね」
「クラフト?グラディウスさんも言っていたけど知らないな」
「ふふ、今に分かると思うわ」
「そう言えば、今どのくらいたったか教えてくれませんか?」
「いつからここにいるのか分からないのだけれど、チョコの年齢なら分かるわね。今28才よ」

 ん?俺とプリンは18才か!

「俺は4年以上ここにいたのか。だから最近何度ボスを倒してもレベルが上がらないと思っていたんだ」
「アキ君。アーチェリーにスキルを教えて貰いたくありませんか?」
「見たいな」

「良いわよ。と言っても私が得意なのは弓だけなのだけど?」
「お願いします!」
「その前に、ダンジョンを出ましょう」
「バハムート?少し瘦せていませんか?」

「そうね。最近忙しくて苦労を掛けているわ」
「食べてからダンジョンを出ましょう」
「バハムートは肉を食べるのか?」

「肉ならだいたい食べますよ」
「モグドラゴンとアースドラゴンを出すか」

 俺はストレージからモグドラゴンとアースドラゴンを1体ずつ出した。

 バハムートが目を輝かせてアーチェリーを見る。

「バハムート、待て。いいの?どちらも高く売れるのよ?」
「俺だけが倒したわけじゃない。チョコやプリンも倒しているから」
「遠慮せず食べましょう」
「早く食べさせましょう。バハムートが可愛そうよ」

「バハムート、お食べ」

 バハムートが嬉しそうに肉を食べる。
 笑顔でバハムートを見つめた後、アーチェリーの笑顔が消えた。

「ものまね士のアキ、あなたには短剣の英雄から直々に徴兵命令が出ているわ」
「グラディウスさんから……隣国との大戦がはじまるのか」
「そうなるわね。嬉しくは無いと思うのだけれど、あなたをエースとして軍に迎え入れたいそうよ」

 エース、強さで言えばBランク冒険者と同等で、英雄より1つ下のランクとなる。
 俺はFランク冒険者なんだけどな。
 
「私とお嬢様も戦いますよ」
「グラディウスと王は戦って欲しくはないはずよ」
「チョコの親友が英雄で戦争に行くならチョコも参加する事になって、そうなればプリンも参加するか」

「グラディウスは王女様については違う事を言っていたのだけれど?」
「ん?」
「なに?私の事よね?」
「アキが徴兵されるなら王女も参加されると言っていたわ」

 その言葉を聞いた瞬間プリンが赤くなった。

「なんだか暑くなってきたわ」
「アキ君の事が大大大好きなお嬢さんは絶対にアキ君についていきますよね?」

 プリンはジト目でチョコを睨んでいた。

「ふふ、そうだわ。今の内に弓を見せるわね」
「よろしくお願いします!」

 俺はストレージから弓矢を取り出した。

「10000本以上あるのだけれど?」
「10000回はものまねしたいと思っているんだ」
「ここでは100回だけにしましょう」

 そう言ってアーチェリーが弓を引いた。
 俺はものまねで動きをコピーする。
 矢がどんどん岩に刺さって行く。

 俺は何度も矢を放ち、動きをまねしていく。

「レベルが上がったのかしら?」
「うん。どんどん行こう」

 俺は矢を放ち続けた。

「もう終わりね」
「後1000回くらいお願いしたい」
「まずはダンジョンを出てから話をしましょう」

 食事を終えたバハムートが頭を下げると、アーチェリー・チョコ・プリンが背中に乗る。

「俺はバハムートの足に捕まるか」
「背中に乗ってもいいのだけれど?」

 4人で背中に乗ったら絶対触っちゃいけない部分を触るエチエチイベントが起きる。
 大戦が終わるまで性欲は訓練に昇華するのだ!

「遠慮する。それに、一回飛竜の足にぶら下がってみたい」
「変わっているのね」
「よく言われる」

 俺は飛び立ったバハムートの足にぶら下がりながらダンジョンの外に出た。
 短剣の英雄も竜の英雄も奈落のダンジョンを余裕でショートカット出来る。
 羨ましいな。

 俺は約4年半生活したダンジョンから抜け出し、ウォーアップのギルドまで飛んだ。

「ここから別行動です」

 だよなあ、3人は姫と公爵と公爵令嬢だ。
 身分が違う。

「またね」

 プリンが手を振ると、俺は地面に着地して手を振り返す。
 ギルド長のマッチョが出迎える。

「おめえアキか?がはははは!大きくなったなおい!」
「マッスルは変わらないな」
「そりゃそうだ。昔から大人だったからな。所でアキ、俺と一緒に徴兵される事が決まっている。短剣の英雄からの直々の命令だ」

 言われていた通りか。



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