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第61話

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【白金豪己視点】

「炭の用意が出来ましたよ」
「おばあちゃん、皆で食べていてくれ、ウエイブウォークのみんな、もう少し配信を使わせてくれ」

 ウエイブウォークの配信力を使い達也に誘導したい。
 この1本の配信だけで達也を連続でバズらせる事が出来る。

「大丈夫だよ」
「いいよ」
「いいぜ」

 俺は後ろにバーベキューの姿が見えるように位置取りをした。

「豊香、厳しい事を言った。今はバーベキューでくつろいでくれ、ゆっくりでいい、変わる事を期待している」
「はい」

 豊香がおとなしい。
 相当ショックだったようだ。
 だが人はある程度痛い目に合わなければ変わらない。
 豊香、変わってくれよ。

「豊香の話は終わりだ。次は達也がデュラハンキラーの童子に対して言った感想を伝えたい。これは童子だけでなく、すべての冒険者にとって大事だと思った」

『おお! 聞きたいぜ』
『しろまろが家の影からこっちを見ている、可愛い』
『今日はたくさんバズる気がする』
『すでにしろまろがバズってるからな』

「まずは達也の言葉を伝える。『童子は自分と向き合ってたまに人を教える事で自分の個性が見えてくるはずだ、そうなればレベル7だろう』、そう答えた。この言葉の説明をさせて欲しい、聞いて分かる人間と勘違いして受け取る人間に分かれると思ったからだ」

『説明も何もそのままだろ』
『人に教える必要ある? 俺なら教えないね』
『上の者は皆を導くべき見たいな思想なのかもしれん』

「まず自分の内面と向き合って訓練を続けるのが大事な話は前回の達也の指導訓練で説明した。自分と向き合い個性を知る事でそれが固有のスキルとなる。そうはいったがそれだけでは不十分だ。もう1つ、大事な事がある」

『なんだ、何も思いつかないぞ』
『教えてくれ、何なんだ!』
『マジで気になるわ』

「それが人に教える事だ。人に教えている内に自分には出来て他の人には出来ない点、自分は苦手でも他の人は出来る点、その差が見えてくる。自分の個性を掴むには鍛錬を積み上げて自分と向き合うだけでは足りない。もう1つ、他者との差を知る事も大事だ。なぜならその差が個性であり強みを知る事に繋がるからだ」

『深い!』
『ワイ、自分の事で必死で教えてなかった件』
『そう言えば達也も兄貴も人に教えてるよな』
『達也の童子に対しての言葉をわざわざ配信で言った意味が今分かった』
『童子は圧倒的に教えるのが足りない。人を見て教えとけよって事ね』

「ほとんどの時間を訓練と自分に向き合い、週に1度でもいい、人に教える事で自分を高める事が出来る。ん? 工藤からか」

 デュラハンキラーの工藤から電話がかかって来た。
 このタイミングは、配信を見ていたな。
 電話を取るべきだろう。

「すまない、工藤から電話だ、もしもし」
『もし、もし、豪己さん、配信、見ていました』
「お、おい、泣くなよな」

『それは、無理です、ありがとうございました、本当にい、本当に、ありがとう、ござい、ましたああ!』
「お、落ち着け、お礼なら達也に言ってくれ」

『達也さんが、帰れば、すぐに、直接、豪己さんにも、お会いして、いえ、お礼をさせてくだざあああいい!』
「わ、分かった。来てくれ」
『あ、あい、ありがどうございまずう!』

『あの泣かなそうな工藤さんを泣かせるとは、流石兄貴と達也さん!』
『工藤が来るまでずっと見てるわ』
『達也のバズリ散らかしが凄い』

『ナイスバズリ散らかし!』
『ナイスバズリ散らかし!』
『ナイスバズリ散らかし!』
『ナイスバズリ散らかし!』

 達也は新しい言葉を流行らせつつある。
 おばあちゃんが焼けた肉を持って来た。

「豪己さん、食べましょう」
「おう、後でな!」
「ダメですよ、達也さんも言っていました。豪己さんは人助けで食事を抜きすぎだって、冒険者は健康が大事ですよ」

「そうか、おばあちゃんに言われちゃ食わねえわけにはいかねえな。貰うぜ」
「ええ、座って食べましょう」
「配信は終わりだ。また会おうぜ!」

 俺は配信を切って食事を楽しんだ。
 その後工藤が来て俺にお礼を言う所を新が配信した。

 これだけ達也をバズらせておけば達也が何もしなくても達也に更なるスポットライトが当たる。
 途中からは俺にお礼を言う事態にしてしまったが後から俺の動画で解説をする事で今後みんなが作る達也解説動画のヒントを与える。

 達也は更に注目されるだろう。

 


 豪己は達也がバズる種に水をあげた。
 この事で達也関連の動画が作られ『ナイスバズリ散らかし!』の流行語が作られた。
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