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第57話

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 ごうのおごりで焼肉に行く、ごうが予約をしていたのだ。
 ごうはとにかく俺を持ち上げる。
 俺の右に豊香、左にごう、前にハンドスピナーの5人が座る。
 俺は皆に提案した。

「ごうが俺の事を持ち上げ過ぎる。配信をしてごうの凄さを語っていきたい。配信して良いかな?」

 デュラハンキラーのみんなとウエイブウォークの3人も頷く。
 ハンドスピナーの5人もハンドスピナーを回して頷いた。
 配信をしなくても回す時は回すのか。
 ハンドスピナーを回すタイミングが分からなくなってきた。

「やめてくれ」
「多数決で決まりだ、あ、店の方に確認を」
「お店の宣伝をお願いします」
「「お願いします」」 

「ごう以外OKか、配信スタート」

 俺はテーブルにスマホを置いてコメントをチェックようにした。

「どうも、今焼肉キングホーンに来ています。親睦を深める為にごうのおごりで焼肉をご馳走になっています。ごう、ゴチになります!」
「「ゴチになります!!」」

 みんなは分かっている。
 この会話だけでごうが影では焼肉を奢っているメッセージになる。
 これでごうの株が上がる。

『3回目の配信、来ると思ってた』
『今回は予告無しの不意打ちスタートだった』
『焼肉テロか、行きたいぜ』

「今回はごう、白金豪己の凄さについて言っておきたくて配信を始めました。さっきのやり取りで分かる通り、ごうは何も言わずみんなをまとめ、焼肉を奢っても誰にも言いません。丁寧に配信や動画を見られている方ならごうの凄さを分かっているとは思います。ですが分かっておられない方もいるようなので語っていきます。ごうは裏で様々な苦労があります、最初に思いつくのが……」

 俺はごうの凄さを語り続けた。


 俺はごうの裏で行っている苦労を話した。
 話が終わるまでハンドスピナーの5人は正座をし続けている。

「ハンドスピナーのみんなは正座しないで食べて欲しい」
「兄貴と達也さんの言葉はすべて聞きます」
「もう終わったから大丈夫」
「「聞きます」」

 5人は正座したままハンドスピナーを回した。

『兄貴の凄さが分かった』
『凄いとは思ってたけどそこまでみんなをまとめているとは、御見それしました』
『てか、ハンドスピナーが尊敬している時点で凄いのが分かるよな』
『ハンドスピナーの対応でその人の人間性や凄さを予想出来るよね?』

『ワンキルの兄貴は自分の訓練に集中していればレベル7になっている事がよく分かった』
『確かに、言われてみればワンキルは兄貴専用の個性だよな、皆をまとめず、自分の訓練を続けていればワンキルが昇華した何かしらの技を覚えてレベル7になってた気はする』
『俺は人を育ててまとめる。達也は自分を高めてくれの言葉に震えた』

「うん」
 
 みんなは分かってくれたようだ。
 良かった、これでごうの株が上がる。
 配信を終わらせて焼肉を食べよ。

「話は終わりですね?」

 豊香が話しかけてきた。
 こいつはごうの凄さを最初から分かっている。
 意外と人を見ているのだ。
 嫌な予感がした。

「豊香、炎上するなよ? コメントに喧嘩を売らないでくれ」
「分かりました、でも、豪己さんと達也さんの話を聞いて分かりました」

「なんの、話だ?」

 嫌な予感がする。
 てか豊香が何もしてないのにコメントに豊香アンチのコメントが流れた。
 やっぱり聞かないでおこう。

「いや、やっぱりいいや」

『炎上の匂いがする』
『炎上まだあ?』
『豊香が達也に近づきすぎてる、もうすでに香ばしい匂いがする』

「いえいえ、大したことではありません。私は固有のメガボムを使えるので尖った部分よりもウエイブウォークのみんなと一緒に達也さんの教えを受けるべきかと思いました」
「おま、やめろ! 炎上するだろ!」

『放火焼け死ね』
『放火、自分の基礎が出来ていない駄目な部分を利用して達也さんに近づくな、もうほんとにクズだよ』
『達也さんがしゃべるなって言っただろ!』
『色目使って気色悪!』

 コメントが滝のように流れる。

「おまえ! コメントのミラー返し無しでも炎上するのか」
「豊香はしょうがない」

 多分他の人なら同じことをしても炎上しなかった。
 豊香が言ったから炎上した。

 童子と同時に新が肉に箸を伸ばす。

 シュシュ!
 童子が新の狙った肉を取る。

「新、甘い!」
「く、やられた!」

 豊香が炎上して他のメンバーが申し訳なさそうに頭を下げる。

 新と童子が焼けた肉を奪い合う。
 そして凜と樹がそれを止めようとする。
 ハンドスピナーは正座をやめない。

「はい、配信は終わりです。ハンドスピナーのみんな、正座はやめて欲しい」
「「了解です」」

 ハンドスピナーが5人でハンドスピナーを回す。

『ここで終わりは無いな』
『焼肉が食べ終わるまで継続希望』
『継続継続継続!』

「い、いやいや、皆リラックスして食べたいので」

『ハンドスピナーはリラックスしてる』
『継続だな』

「達也、食べ終わるまで続ければいい」
「そ、そっか。分かった。童子、新、肉を取り合うのはやめてくれ。樹と凜に気を使わせて焼かせるのはやめてくれ」

「ははは、いいじゃねえか、所で達也の訓練が行き詰まってるんだって?」
「そうなんだ、いくら基礎訓練を積んでも訓練の成果が出なくなってな。 もう年だな」

 みんなが一斉に俺を見た。

「え? な、何? なんで俺を見て、る?」
「「レベルマックス!」」

「いやいや、違う、年だ年」
「「レベルマックス!!」」

「まさか、ごう」
「がははははは! 達也の凄さを示して終わりになりそうだな」
「誘導、されただと!」

 コメントが滝のように流れる。
 ごうを褒めるつもりが俺が目立って終わるのか。

「……ふう、またごうにやられた」

 俺の言葉で全員が笑った。

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