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投資はコツコツ続ける地味な作業だ

ダンジョン消滅無双

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 ドリアード族の前衛的な宿屋が完成すると、エルフが聖地巡礼として木の球体の宿屋に泊りに来る。
 しかも宿屋だと思っていたが、あの場は総合ギルドとして機能するらしい。

 そしてフィルの天眼で盗みを働く者がサクサクと捕まっていった。
 ドリアード族とフィル・リースの相乗効果が出て来たのか?

 俺はうまくいきつつあるその場を立ち去り、グレスの居るダンジョンに向かった。

「わ、わたくしも行きますわ!」
「母さんには連絡したのか?」
「それには及びません」

 エルルのお母さんが現れる。

「今回は、ドリアード族移住の許可を頂き、感謝します。無事にエルルも内政の英雄の眷属となりました。もう、ロングスパン領とこの王都は深いつながりを持った事になります。ドリアード族の移住も当然自然な流れ」

 アルルはどうしてもドリアード族をここに住ませたいようだ。
 アルルは俺の元を何度も訪れ、ドリアード族に移住を勧めてくれたら様々な特典を用意するポイント制度を導入していた。

『他の年頃のエルフを眷属にする権利』
『エルルの夜のプレイ指導』

 などなど様々な特典を付けようとしてくる。
 すでに俺はエルウィン王国の永久宿泊顔パスプランを手に入れている。
 ずっと無料でここに居られるらしい。

「そ、そうか。今ドリアード族の移住の意思はどうなっているんだ?」
「好調です!もう本当に可愛い!こほん、前向きに検討しているようです」

「そうか、ダンジョンに行って来る」
「お気をつけて」

 アルルはほくほくとした笑顔で俺を見送った。



 俺とエルルは王都を出て歩き出す。

「なあ、母さんがエルルをドリアード族移住プランの特典に盛り込んでるけど、これって俺の常識で考えたら相当おかしいぞ」

「そうですわね。ですがそれほどにドリアード族はエルフにとって神聖な存在なのです。それにわたくしはジュン様と結ばれた事で英雄のような扱いを受けていますわ。わたくしにも恩恵はありますの」

 ……元の世界でも聖地をめぐって争いは起きている。
 宗教や思想の問題だから、これ以上言っても良くないか。

「走って向かいたい。おんぶしてもいいか?」
「お姫様抱っこがいいですわ」

「そうか」

 俺はエルルをお姫様抱っこした。

「言っておくけど、走ると風圧が半端ない」
「か、覚悟の上ですわ!」
「走るぞ!」
「はい!」

 俺はダッシュでグレスの元に向かった。




「エルル姫はどうされたのですか?腕を押さえているようですが」
「俺が運んだから風圧で疲れてるんだ」
「そう言う事ですか」

「エルル、少し休むか?」
「だ、大丈夫ですわ。腕なんてただの飾りです。杖を持てて、マジックアローさえ使えれば行けますわ!」

「エルル姫、それとジュン殿は少しお待ちください、今からダンジョンの消滅準備をします」
「分かりましたわ」

 紳士のグレスがエルルを休ませるよう配慮する。

「2時間後にダンジョンの消滅をお願いします」
「分かった。ちょっと女神と連絡を取る。聞きたいことがあったんだ」
「よろしくお願いします」

『女神、聞きたいことがある』
『なーに?』
『このエルウィン王国の件は時間がかかっているけど、大丈夫なのか?』

『本当は早く進められるなら進めたいけど、難しいんだよね?』
『そうだな』
『それに……せかしたら怒るでしょ?』

 女神が俺をせかす場面を想像する。
 ……怒る。
 間違いなく怒る。
 お前が言うなと3回は言うだろう。

『そうだな』
『それに変化が見えないように見えても、良くなる兆しが見えているよ』
『俺の予想だと、数か月かかる』
『十分十分、上出来だよ!』

『と言っても、フロント王国のみんなの力が大きい』
『そのフロント王国を救ったのはジュンだよ』

『そういえば、イツキの居るビッグ王国はどうなってる?』
『魔将が3体居る、はず』
『ん?3体は連携してる?バラバラに動いてる?どっち?』
『連携してるよ』

『やばくね?』
『よくは無いけど、エルウィン王国の件が終わったらジュンは支援に行けると思うよ』

『俺が行こうとしたらイツキが怒って拒否したって聞いたぞ』
『そうだね。でも、その対策をビッグ王国の王とエルク王が話を詰めてるの』
『エルク王が動くなら、大丈夫だろう』

『今はこの国だよ』
『分かった、もう少ししたらここのダンジョンの消滅を頼む』
『うん、またね』

 またね、か。
 まだ終わらないよな。

 その後、俺達はエルウィン王国のダンジョンを1つ残してすべて消滅させた。

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