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金持ちは株か不動産だよな

隣接する領地

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「そろそろ食事の時間なのです。皆で食べてくるですよ」
「そうだな。ウサットが帰って来るまで何が起きているか分からない」



 俺達が食事を終える頃、ウサットが戻って来る。

「報告します」
「頼む、ウサットの食事を持ってきてくれ」

 メイドが動き出す。

「新しく建設中の建物は新たな領地の建設現場のようです」
「領地の近くに違う領地を作るのはありなのか?」
「問題ありません。未開地の開拓は早いもの勝ちです」

「誰が建てているんだ?」
「どうやらインサイダー侯爵派の4貴族のようです」
「だから4カ所で建設しているのか」

「ロングスパン領の邪魔をしていると考えていいか?」
「そうだと思います」

「ウサット、他に気づいた事はあるか?」
「いえ、報告は以上となります」
「助かった。食事を摂ってくれ」

 ウサットは失礼しますと言って食事を始める。

「俺の領地を囲むように領地を作るか。領地周辺の魔物狩りの費用は浮くか」

 周りの領地を建てられるのは邪魔だが、良い面もある。
 周囲の魔物狩りのコストが浮くのだ。

「他に気になるのは奴らが領地を拡大して包囲されたら通行税を取ってこないか?」
「やってくるかもしれません」

「後は、この領地の拡張を妨害するように領地を拡大されたら厄介だ」
「きっとそれが狙いなのです!頭にくるです!」

「俺達の領地に火をつけたり、物を盗んだり、人を誘拐したりしないか?」
「さすがにそこまではしないでしょう。命令した者も実行した者も幸運値は下がっていきますから」

「あくまでルールを守って嫌がらせをしてくるか」
「そうなるでしょう」

 食事を終えたウサットが口を拭ってから発言する。
 もう食べ終わったのか。

「ジュン様の危惧されている点は4貴族の領土の拡大によるロングスパン領の領土拡張の阻害と高い通行税の徴収についてですな?」

「そうだな」
「では、私が王に報告してきましょう」
「馬を使うなら出すぞ」

「馬など不要にございます。私の足は自身の肉体!馬よりも速く駆け、即報告しに戻ってまいります」

 そう言ってウサットは走り去った。

「そう言えば4貴族の元の領地ってどうなっているんだ?」
「確か、すべて王都にあったはずです」
「王都の人口問題は解決したのか?」

「4貴族が王家に土地を返上していればそうなりますが、恐らくは」
「インサイダー侯爵に譲渡した、か」
「そうだと思います」



【インサイダー視点】

「4貴族の領地建設は順調か?」
「はい、しかしこのような事をしていてはインサイダー様の幸運値に悪い影響が出てしまうのでは?」
「ふん。執事風情が気にする問題ではない。口を慎め」

「……失礼しました」
「くっくっく、このままロングスパン領を包囲し、高い通行税をむしり取る。更に領土の拡大も防止出来る。その上通行税の値段を操作する事で王都へのポーションの供給すら操作可能となる」

 ワシは投資家だ。
 一手で最大の効果が得られる策を打つ。
 
 もちろん貴族に援助した資金の分最初は資産を減らす。
 だが、ロングスパン領のポーション供給を操作出来ればすぐに元は取れる。
 ワシの領の一番の収入源はポーションの販売だ。

 この勝負は王都へのポーション販売の覇権を握っている。
 王もワシの有能さに気づけばワシに頭を下げるしかなくなる。
 ワシに誰も意見できなくなる。

 じわじわと苦しめ。
 内政の英雄。

 そしてワシに泣きついてこい。
 フィルとリースを差し出し、泣いて懇願すれば許してやろう。
 4貴族の包囲が終わったらロングスパン領からのポーション供給を止める。

 そしてポーションを高値で売りつける。
 ポーションの値段は需要と供給で決まる。

 売るポーションの数が減ればポーションの値段は高騰する。
 王都へのポーション供給量を絞り、高値で売ってやろう。
 皆はポーションのありがたさを知るだろう。

「くっくっくっく!がはははははははは」




【ジュン視点】

「なあ、思ったんだけど、港はすでにロングスパン領の領地なんだ。海路を使えば良くね?」

 もし陸路を包囲されても海は抑えている。
 陸が包囲されても海で運べばいい。

「それは難しいのです。浅瀬はまだ良いのです。でも深い海にはアイランドタートルが居るのです」
「そうか、今日はゆっくり休もう。後は明日考える」



【次の日の朝】

 ロングスパン領の精鋭が集まる。

「ジュン殿、話は聞いております」
「何がだ?」
「ネコ族の漁業発展の為、憎きアイランドタートルを討ち取りに行きますぞ!」

 ネコ族が畏怖の念で俺を讃える。
「私達を助けてくれてたのに、また助けてくれようとしているんですね」
「私の体でよければいつでも差し出します」

「船の準備は出来ているのです!出発なのです!」

 ラビイ、お前か!

 3隻の大型船でアイランドタートルの元へと迫る。

「本番はこれからなのです!アイランドタートルの背中にはヒトデの魔物がいるです」
 ヒトデの魔物は回転し、空を飛びながら手裏剣のように船に襲い掛かる。

「私の手裏剣で全部撃ち落とすにゃあ!」
「ウッドニードル!」
「ファイア!」
「マジックアロー!」

 あっという間にヒトデが全滅する。

「船が、無傷だと!」

 俺は過剰戦力という言葉が頭をよぎった。

「我々マッチョ部隊も負けてはいられませんな!」

 マッチョ達が船を蹴って海にジャンプする。
 そして海の水を蹴って海上を走る。
 海の上って走れるのか。

 そして空に飛ぶマッチョ。
 海が大きな水しぶきを上げ轟音を打ち鳴らす。

「きえええええええええいいい!」

 急下降したウサットのクワがアイランドタートルの甲羅を直撃し、甲羅にひびが入った。

「まだまだああ!」

 その後、空から落下するマッチョがモリやスコップ、更には斧をヒビに突き立てていく。

 アイランドタートルが消え、魔石が海に沈んでいく。

「まずは1体」
「残り11体!すべて沈める」

 その後、12体のアイランドタートルはすべてマッチョ部隊に沈められた。

 ウサット率いるマッチョ部隊はさわやかな笑顔で船に戻って来る。

「はっはっは、私としたことが、魔石の回収を後回しにしました。すぐに回収してきます」

 マッチョ達が魔石を回収し、すぐに帰路につく。
 俺はただマッチョの活躍を眺めていた。

「いい天気だな」

 俺は遠い目で空を眺めた。
 そして帰るといつものように俺が称賛され、すべての手柄が俺のものになっていた。
 浅瀬だけでなく船で魚を取れるようになりネコ族に喜ばれた。

 魚がたくさん取れるようになったのは良かった。
 だが、まだ4貴族の領地建設は終わっていない。

「今はまだ陸路でいいよな」









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