上 下
16 / 113
投資の基本は節約と自己投資だよな

デーモンの復讐

しおりを挟む
 城の外に走って戻ると、強そうなガイコツが遠くに見えた。
 2メートルほどの身長で、肋骨は丸みを帯びていた。
 その中に小さいガイコツが収まっており不気味に笑う。

 気色悪!
 肋骨の中に小さいガイコツが収まっている。
 しかもどっちも笑っている。

 大きい方のガイコツが勇者の方を向いてしゃべりだした。
「くくく!我は魔将、スカルボーン!勇者を殺しに来た」

「は!いくらこようが返り討ちにしてやる!」
「くくく、勇者、貴様を殺すために用意はしてある」
 スカルボーンが手で合図する。
 後ろから6体のデーモンが現れてそのすべてが勇者に迫った。

 デーモンが腕の振り下ろし勇者タケルが壁に吹き飛ぶ。
 更に後ろからデーモンが迫る。
 完全に勇者だけが狙われていた。
 外で戦う兵士も元勇者パーティーも誰も勇者を助けない。

 勇者は孤立していた。
 このままでは壁に追い詰められる。

「リン!援護しろ!」
「無理です!死霊部隊に囲まれています!自分で倒してください!」
 リンには余裕がありそうに見えた。

「くそが!イツキ!大楯で俺の前に立て!」
「黙れ!命令するな雑魚が!」

「お前ら!周りで見てないで助けろよ!」 

 勇者タケルは周りの兵士に向かって叫ぶが兵士は一切反応しない。
 グレス兵士長をぼこぼこにしたのが良くなかったな。

 いや、それ以前に大技で兵士を巻き込みすぎだ。

 俺と目が合うと、勇者は瞬時に城の中に逃げ出す。
「ジュン!お前の役目はデコイだ!デーモンを引きつけろ!」
 そう言って城の奥に消えた。


「……逃げるのか!待てえええ]
 デーモンは俺を無視して勇者を追って城の中に入っていく。
「逃げるのか!卑怯者が!」
「追え!必ず殺す!」
 デーモン達は激怒していた。

 俺は後ろからデーモンを追いかける。
「く!迷路のようだ!」
「分かれて追うぞ!」

 俺は分散したデーモンの内1体を追いかけた。
「おい!待て!」
 
 デーモンが振り返るとがっかりしたような顔をした。
「なんだ、勇者ではないのか」
「俺と闘え」
「は?」

「……」
「……ふざけているのか?」
 俺は高速で距離を詰めてデーモンにパンチを連打した。
 デーモンが霧のように消えて魔石が落ちる。
 地面に落ちる前に魔石をキャッチする。

 苦痛は発生しないか。
 勇者を助けた事にはならないようだ。
 勇者を助ける事で1時間の苦痛を受ける可能性を心配していた。
 倒しても問題無しか。

「1体目!この調子で孤立したデーモンを叩く!」



 俺は5体のデーモンを倒した。
 俺を警戒するデーモンは1体も居なかった。
 普通にパンチで倒せる。
 しかも俺の動きに反応出来ていない。
 ただの作業だ。



【勇者タケル視点】

 くそくそくそくそ!
 何で6体も居るんだ!
 いくら勇者でも6体のデーモンに狙われるのは少しきつい。
 
 俺は全力で走る。
 5体のデーモンは撒いたが、1体のデーモンがしつこく追いかけてくる。
 いや、1体だけなら俺一人で十分倒せる。

 俺は振り返りながらデーモンの腕を斬りつけた。
「ぐう!逃げるのは終わりか?」
 デーモンが不気味な笑みを浮かべる。

「お前1体程度、余裕で倒せる。勇者の力を見せてやる!」

 俺は剣を構えた。
 デーモンの肘から指先までが黒く染まる。

 デーモンの爪と俺の剣で打ち合う。
「なんだ、その程度か!勇者一人だけなら大したことは無い」

 デーモンの爪が俺に当たるが大した傷はつかない。
 痛くもない。
「大したことねーのはお前だ!全然効いてねーんだよ!」

 デーモンは口角を釣り上げた。
「今に分かる」

 何度もデーモンの攻撃を受けると異常が起きた。

『戦闘力+25から+24に減少しました』
 スキルの戦闘力アップ効果が減っている!?

「何をした?」

 デーモンは口角を釣り上げたまま答えない。
 デーモンは何度も爪を振り下ろす。

『戦闘力+24から+23に減少しました』
「何をしたああああああ!!!」

「くくくくく、はははははははははははは!この黒い爪の攻撃を受ければお前の女神の加護は消えていく。じわじわと加護を削り取られえええ!そして普通の人間に戻って最後は死ねえええええええええ」

「まずいまずいまずい!」
 俺は走って逃げ出した。

「な!待てえええええ!それでも勇者かああ!逃げるな外道があああ!」




 俺は全力で走り、城の外へと戻った。
 俺を見たスカルボーンが叫ぶ。

「デーモンはどうした!!!」
「は!お、俺にかかれば、デーモンなんて、敵じゃ、はあ、はあ、ねえん、だよ!」

 後ろからデーモン1体が迫って来る。
「勇者あああ!残り5体のデーモンはどうした!」
「お、俺の、敵じゃねーんだよ!」
「ばかな!5体のデーモンを倒したか!」


 俺は聖騎士イツキの後ろに回り込む。
「俺を盾にするな!」

 デーモンが奇声を上げながらイツキに飛び掛かる。
 イツキの大楯が光り、飛び掛かってきたデーモンの動きを止めた。

 その隙にリンが炎の魔法でデーモンを火だるまにする。
 俺は息を整えながらイツキの後ろにただ立つ。
 あの黒い光で染まった爪が薄くなっている。
 魔力切れか。

 デーモンはイツキと戦わせて俺は体力を回復させる。
 イツキが剣でデーモンを何度も斬りつけ、デーモンの攻撃を大楯でブロックする。
 リンが何度も攻撃魔法を放ち、デーモンを弱らせる。



 そろそろ頃合いだ。
 デーモンの腕の黒い光が弱まるのを確認し、俺は全力で攻撃を繰り出した。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
 連撃を叩きこんでデーモンを倒した。

「俺には!効かねええんだよおおおおお!」
 勇者が雄たけびを上げた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。 城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。 速人は気づく。 この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ! この世界の攻略法を俺は知っている! そして自分のステータスを見て気づく。 そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ! こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。 一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。 そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。 順調に強くなっていく中速人は気づく。 俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。 更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。 強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 カクヨムとアルファポリス同時掲載。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。 ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。 身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。 そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。 フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。 一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。

辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~

有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。 主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。

ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで日間・週間・月間総合1位獲得!ありがとうございます。 社畜として働き、いつものように寝て起きると、俺はゲーム『ブレイブクエストファンタジー』とよく似た世界のモブ『ゲット』に転生していた。俺は物語序盤で盗賊に襲われて死ぬ運命だ。しかも主人公のダストは俺を手下のようにこき使う。 「主人公にこき使われるのはもうごめんだ!死ぬのもごめんだ!俺がゲームのストーリーを覆してやる!」 幼いころから努力を続けていると、ゲームヒロインが俺に好意を寄せている? いや、気のせいだ。俺はしょせんモブ! 今は死亡フラグを解決する!そして次のステップに進む! 一方、同じく転生したダストは主人公キャラを利用して成り上がろうとするが、ダンジョンのお宝はすでに無く、仲間にするはずの美人キャラには見限られ、努力を嫌ったことでどんどん衰退していく。

処理中です...