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学園に入学しました
31:義兄と友人
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俺とクリム、ルシリアンが席に着くと
すぐに教師が教室に入って来た。
教師の話では、学習内容はクラスごとに
決められるらしく、
Aクラスではかなり高度なことから
教えられそうな感じだった。
しかも10歳から13歳までの初等部は
一般教養の授業と共に
マナーや剣などを学ぶ授業があるのだが
Aクラスだけは、マナーやダンスの
授業はないらしい。
高位貴族はたいてい幼いころから
家庭教師に教えられているからな。
その代わりに、自由時間?
自習時間があり、その時間は
自由に学びの時間に当てることができるそうだ。
なんだそりゃ。
遊び放題か?
と思ったけれど。
教師の話では、各教科ごとに教師が変わるので、
より深い学びを得たいと思った場合は
その教師の所に自ら行き、
教えを乞い、自習時間はその学びのために
使いなさい、と言われた。
なんだかややこしそうだな。
深い学びを得たいと思う教科が
なかったらどうしたらいいんだ?
まぁ、何もなければ
クリムかルシリアンと一緒の科目を
学べばいいか。
教師の簡単な説明を聞き、
この日は終了となる。
明日からは本格的な授業だ。
教科書などはすでに連れて来ている
護衛か、侍従、侍女たちに配っていると言われ
さすが高位貴族のクラスだ、と
やけに感心してしまう。
クリムとルシリアンを連れて
護衛の待機室へ向かうと
キールがすぐに出てきて
クリムとルシアンに挨拶をした。
「アキルティア様を連れて来ていただき
ありがとうございます」
「いえ、ティス殿下にも頼まれていますし
これからちょくちょく出会うと思います」
クリムが笑って言う。
「何かあれば僕とクリムが対応しますので
よろしくお願いします」とルシリアンまで
そう言って頭を下げた。
「えっと、二人とも。
僕の友達だよね?」
護衛じゃないよね?
そう聞くと、二人とも
「もちろん」と言ってくれたので、
まぁ、良しとしよう。
二人ともそこから
連れて来た護衛たちと合流して
俺たちは馬車まで一緒に移動した。
「じゃあ、また」
「明日からよろしく」と
挨拶をして、なんだか友達出来たー、と
ちょっと嬉しくなった。
敬語がいらない友人っていいよな。
「良いご友人ができたようですね」と
馬車に乗り込むと、キールが
優しい口調で言う。
「うん。ティスの側近候補なんだって。
でも、そんなの関係なく
僕と友達になりたいって
言ってくれたんだ」
きっかけはティスかもしれないけれど
そんなのは関係ないよな。
なんか、めちゃくちゃ嬉しい。
あの2人は俺のことを紫の瞳持ちだとか
そんな偏見? で俺のことを見ないし、
恋愛対象とかそういうのでもない。
純粋に友達として
見てくれているのがわかって
たったそれだけのことなのに
俺は嬉しくて仕方がなかった。
俺は自分が思っていたよりも
紫の瞳、ということに
プレッシャーと言うか、
抑圧を感じていたようだ。
だって、クラスの子どもたちは
まだ10歳だというのに。
俺を好奇の視線で見たり、
捕食者の目で見たりしてたんだ。
気持ち悪いと言うか、怖い。
きっと家で、紫の瞳持ちがいるから
絶対に捕まえてこい、とか
言われているに違いない。
俺、絶対にクリムとルシリアンの
そばから離れないようにしよう。
捕食されたらたまったもんじゃない。
タウンハウスに戻ると、
すでに義兄は帰ってきていて、
俺は着替えてすぐに義兄の部屋に行く。
サリーにお茶を淹れて貰って、
俺は夕食までの時間、
義兄に新しいクラスの話と、
初めての友人の話をした。
心配そうにしていた義兄は
クリムとルシリアンの存在に
安堵したようだ。
「騎士団長と宰相の息子か。
良い人選をしたね。
彼らにはすでに婚約者がいるし、
余計な心配はいらないしね」
「10歳なのに、ふたりとも?」
俺は驚く。
「この世界ではそんなもんだよ。
兄貴と俺が特殊なの。
いや、兄貴じゃないか」
義兄はそう言って笑う。
でも俺も義兄に「兄貴」と
呼ばれるのは嫌いじゃないし、
アキと呼ばれるのも慣れている。
どっちでもいい。
ただ、他の人間がいるところで
兄貴、なんて呼ばれると
周囲が大混乱になるとは思うが。
「いいよ、兄貴でも。
適当に呼んでくれれば。
それより、自習の時間、
兄様は何を選択したんだ?」
俺は義兄のことは、兄様と呼ぶ。
だって義兄だしな。
前世の弟だが、今は兄だ。
それに前世弟の名で呼ぶわけにはいかないし。
「僕は剣の稽古にしたけれど、
きっと無理だろうね」
「そうだな」
この体は弱い体質らしいし。
「勉強は問題ないでしょ?
兄貴は元々頭が良かったし、
この世界と前の世界では
知識レベルの水準が全然違う。
前の世界の兄貴の知識を披露したら
世の中がひっくり返るんじゃない?」
と義兄は笑うが、それはパソコンが
あったら、という話だ。
誰かパソコン、作ってくれないかな。
だったら、面白いゲームとか作ってやるのに。
「でもなー。というか、だからというか。
特別学びたいことってないんだよな」
「たいていのことは前世で
学んできたことと同じだしね」
「そのレベルも低いし」
「じゃぁ、前の世界に無かったことを
学んでみたら?」
「前に無かったこと?」
「魔法とかさ。
兄貴はファンタジーとかあまり
興味は無かったかもしれないけれど
この世界には希少とはいえ
魔法を使う人間がいるし、
魔石だってある。
興味湧かない?」
そう言われたら、そうかも。
知らないことを調べるって
結構面白いしな。
「いいな。
そうしてみようかな」
新しい目標ができたぞ。
そう思うと、明日から
学園に通うのが楽しみになって来た。
俺はそれからサリーが夕食だと
呼びに来るまで、義兄に
学園のことをひたすら聞いてしまった。
すぐに教師が教室に入って来た。
教師の話では、学習内容はクラスごとに
決められるらしく、
Aクラスではかなり高度なことから
教えられそうな感じだった。
しかも10歳から13歳までの初等部は
一般教養の授業と共に
マナーや剣などを学ぶ授業があるのだが
Aクラスだけは、マナーやダンスの
授業はないらしい。
高位貴族はたいてい幼いころから
家庭教師に教えられているからな。
その代わりに、自由時間?
自習時間があり、その時間は
自由に学びの時間に当てることができるそうだ。
なんだそりゃ。
遊び放題か?
と思ったけれど。
教師の話では、各教科ごとに教師が変わるので、
より深い学びを得たいと思った場合は
その教師の所に自ら行き、
教えを乞い、自習時間はその学びのために
使いなさい、と言われた。
なんだかややこしそうだな。
深い学びを得たいと思う教科が
なかったらどうしたらいいんだ?
まぁ、何もなければ
クリムかルシリアンと一緒の科目を
学べばいいか。
教師の簡単な説明を聞き、
この日は終了となる。
明日からは本格的な授業だ。
教科書などはすでに連れて来ている
護衛か、侍従、侍女たちに配っていると言われ
さすが高位貴族のクラスだ、と
やけに感心してしまう。
クリムとルシリアンを連れて
護衛の待機室へ向かうと
キールがすぐに出てきて
クリムとルシアンに挨拶をした。
「アキルティア様を連れて来ていただき
ありがとうございます」
「いえ、ティス殿下にも頼まれていますし
これからちょくちょく出会うと思います」
クリムが笑って言う。
「何かあれば僕とクリムが対応しますので
よろしくお願いします」とルシリアンまで
そう言って頭を下げた。
「えっと、二人とも。
僕の友達だよね?」
護衛じゃないよね?
そう聞くと、二人とも
「もちろん」と言ってくれたので、
まぁ、良しとしよう。
二人ともそこから
連れて来た護衛たちと合流して
俺たちは馬車まで一緒に移動した。
「じゃあ、また」
「明日からよろしく」と
挨拶をして、なんだか友達出来たー、と
ちょっと嬉しくなった。
敬語がいらない友人っていいよな。
「良いご友人ができたようですね」と
馬車に乗り込むと、キールが
優しい口調で言う。
「うん。ティスの側近候補なんだって。
でも、そんなの関係なく
僕と友達になりたいって
言ってくれたんだ」
きっかけはティスかもしれないけれど
そんなのは関係ないよな。
なんか、めちゃくちゃ嬉しい。
あの2人は俺のことを紫の瞳持ちだとか
そんな偏見? で俺のことを見ないし、
恋愛対象とかそういうのでもない。
純粋に友達として
見てくれているのがわかって
たったそれだけのことなのに
俺は嬉しくて仕方がなかった。
俺は自分が思っていたよりも
紫の瞳、ということに
プレッシャーと言うか、
抑圧を感じていたようだ。
だって、クラスの子どもたちは
まだ10歳だというのに。
俺を好奇の視線で見たり、
捕食者の目で見たりしてたんだ。
気持ち悪いと言うか、怖い。
きっと家で、紫の瞳持ちがいるから
絶対に捕まえてこい、とか
言われているに違いない。
俺、絶対にクリムとルシリアンの
そばから離れないようにしよう。
捕食されたらたまったもんじゃない。
タウンハウスに戻ると、
すでに義兄は帰ってきていて、
俺は着替えてすぐに義兄の部屋に行く。
サリーにお茶を淹れて貰って、
俺は夕食までの時間、
義兄に新しいクラスの話と、
初めての友人の話をした。
心配そうにしていた義兄は
クリムとルシリアンの存在に
安堵したようだ。
「騎士団長と宰相の息子か。
良い人選をしたね。
彼らにはすでに婚約者がいるし、
余計な心配はいらないしね」
「10歳なのに、ふたりとも?」
俺は驚く。
「この世界ではそんなもんだよ。
兄貴と俺が特殊なの。
いや、兄貴じゃないか」
義兄はそう言って笑う。
でも俺も義兄に「兄貴」と
呼ばれるのは嫌いじゃないし、
アキと呼ばれるのも慣れている。
どっちでもいい。
ただ、他の人間がいるところで
兄貴、なんて呼ばれると
周囲が大混乱になるとは思うが。
「いいよ、兄貴でも。
適当に呼んでくれれば。
それより、自習の時間、
兄様は何を選択したんだ?」
俺は義兄のことは、兄様と呼ぶ。
だって義兄だしな。
前世の弟だが、今は兄だ。
それに前世弟の名で呼ぶわけにはいかないし。
「僕は剣の稽古にしたけれど、
きっと無理だろうね」
「そうだな」
この体は弱い体質らしいし。
「勉強は問題ないでしょ?
兄貴は元々頭が良かったし、
この世界と前の世界では
知識レベルの水準が全然違う。
前の世界の兄貴の知識を披露したら
世の中がひっくり返るんじゃない?」
と義兄は笑うが、それはパソコンが
あったら、という話だ。
誰かパソコン、作ってくれないかな。
だったら、面白いゲームとか作ってやるのに。
「でもなー。というか、だからというか。
特別学びたいことってないんだよな」
「たいていのことは前世で
学んできたことと同じだしね」
「そのレベルも低いし」
「じゃぁ、前の世界に無かったことを
学んでみたら?」
「前に無かったこと?」
「魔法とかさ。
兄貴はファンタジーとかあまり
興味は無かったかもしれないけれど
この世界には希少とはいえ
魔法を使う人間がいるし、
魔石だってある。
興味湧かない?」
そう言われたら、そうかも。
知らないことを調べるって
結構面白いしな。
「いいな。
そうしてみようかな」
新しい目標ができたぞ。
そう思うと、明日から
学園に通うのが楽しみになって来た。
俺はそれからサリーが夕食だと
呼びに来るまで、義兄に
学園のことをひたすら聞いてしまった。
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