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エピソード集<R18>
聖夜にホゴシャーズと6(後始末)
しおりを挟む浴室で散々抱かれた後、
私はくたくたになって、
一人で立ち上がることもできなかった。
洗い場で。
浴槽の湯の中で。
私は何度も貫かれた。
どれぐらい時間が流れたのかもわからない。
最後に体内に注がれたのは
誰の精液だったのか。
涎や精液、蜜でドロドロだった私の身体を
3人は湯を掛け流してくれた。
けど。
カーティスに体を拭いてもらって
ベットに連れて来てもらった時、
独りになった瞬間、私の身体は輝き、
火照った熱も、べとついた体の感覚も消え去った。
きっと抱かれた後、
他の人の体温が無くなったら
私の『祝福』は発動するに違いない。
この『祝福』が発動すると、
私の身体はリフレッシュされるようで
体のべたつきどころか、
体力まで復活する。
でも体が元気なのと、心の状態は別だ。
私の心は……たぶん『器』も、
愛情多寡で、おなかいっぱい。
満たされすぎて苦しいぐらいだ。
だから私は甘い空気はそのままに、
3人をベットに誘う。
「一緒に、寝よう?」
と毛布をめくってみせると
3人とも嬉しそうな顔をした。
が。
「ユウの隣に寝る権利は二人分だな」
とヴァレリアンが言った途端、
空気が一変した。
「えっとじゃあ……」
とカーティスが口を開こうとすると
「権力を使うのは却下だ」と
スタンリーがけん制する。
「仕方ない、ならどう決める?」
カーティスが肩をすくめた。
「剣でもいいぜ」とヴァレリアン。
そんな、寝る場所ごときで
剣なんてとんでもない!
私が剣はダメ、と言ったら
じゃあユウが選べ、なんて
ヴァレリアンに言われる。
それもちょっと……困る。
どうしようかと思っていると、
部屋の扉を遠慮がちに叩く音がした。
「なんだ?
この部屋に入ったら
誰も来ないように言っていたはずだが」
ヴァレリアンが首を傾げる。
カーティスが私を隠すように
シーツを掛けてくれて、
ベットの前に立った。
スタンリーがドアを開けると、
侍従さんが何やら言っている。
「ヴァレリアン、陛下がお呼びだそうだ」
スタンリーの声にヴァレリアンが顔をしかめる。
「おまえ、この部屋にユウを泊めるって
了承を得てたんじゃないのか?」
「王家の了承は得たが、
神殿との仲裁は範疇外だ」
スタンリーが言うと
ヴァレリアンは嫌そうな顔をする。
「ユウを連れだしたことが
神殿に漏れたのか?」
大丈夫かと心配してしまうほど
ヴァレリアンの顔が歪む。
でもそんなヴァレリアンに
「しょうがないから、行ってきなよ。
隊長はこういうとき大変だよね」
と、他人ごとのようにカーティスが笑いながら言った。
「おまえなぁ」
「だって隊長はこんなとき
責任を取るためにいるんだろう?」
ヴァレリアンは嫌そうな顔をしたが
仕方がない、と呟いた。
「ちょっとおさめてくるから、
待っててくれ」
ヴァレリアンはシーツ越しに
私の額に唇を落とす。
「うん。待ってる」
と返事をするとヴァレリアンは
部屋の外へと出て行った。
扉が閉まる音が聞こえ、
「待ってるけど、起きて待ってるとは
いってないよね」
なんてカーティスは笑った。
そしてシーツをめくって
私の隣に入ってくる。
え?いいの?
と思ったけど、気が付いたら
カーティスと逆隣にはすでに
スタンリーの気配がする。
何時の間に私の隣に入って来たのか。
両側から二人の腕が伸び、
私の腹や腕に絡みつく。
暖かい独占欲に私は顔をほころばせた。
「じゃあ、ちょっとだけ……
眠ってもいいよね?」
2人の体温が心地よい。
酔いはいつのまにかさめたけど、
人肌が心地よくて、眠たくなってきた。
「ヴァレリアンが戻ってきたら起こしてね」
「いいよ」
「わかったから、ゆっくり休め」
と言われて私は目を閉じる。
体の疲れは『祝福』で解消されていたから
ほんの少しだけ眠るつもりだった。
カーティスもスタンリーもそばにいるし
ヴァレリアンが戻ってきたら
誰かは気が付くと思っていた。
なのに。
誰も気が付かず、朝になるなんて
誰が予想できただろうか。
翌朝、一人ソファーで寝たらしいヴァレリアンが
ものすごく不機嫌な顔でカーティスや
スタンリーを責め立てたり。
一日中、ヴァレリアンの膝の上に乗り、
抱っこされて。
ヴァレリアンのご機嫌を取るために
「大好き」を言い続けなければ
ならなくなるなど、誰が予想できただろう。
この時の私はそんな未来が
来ることなど知らず、
ただ満足して。
ただ満たされた気分で、
ぐっすりと眠ったのだった。
おやすみなさい。
聖夜にホゴシャーズ<完>
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