【R18】完結・女なのにBL世界？！「いらない子」が溺愛に堕ちる！

たたら

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エピソード集＜R18＞

甘い奉仕は王子様と

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ひゃっほーっ！

って大はしゃぎな私は、
目の前のお菓子に釘付けだった。

目の前には小さなクラッカーや
クッキーみたいなものに、
ジャムとかクリームとか、
チョコレートとかが置いてある。

先日、バレンタインデーに
気が付いて、うっかり
チョコレートを作ったら。

この世界でチョコレートは
媚薬になるらしく、
大変な目にあった。

それからチョコレートは
食べない！って決めたけど、
私はもともと、お菓子が好きだ。

元の世界では、
お菓子は私にとって
贅沢品だったから、

食べるのは
お盆とお正月ぐらいだったけど
特にチョコレートが大好きだった。

そんな話を
この国の第三王子で
私がお世話になっている
金聖騎士団の副隊長のカーティスに
話をしたら、任せておいて、
と笑顔で言われて…

今に至る。

きっと王宮の料理人が
頑張ってくれたんだと思う。

チョコレートも媚薬じゃないよ、
って言ってくれたし。

ここは王宮にある
カーティス専用の宮だ。

私は、女神ちゃんの愛し子だから
個人的に、王宮に行ったり、
神殿に行ったりは
あまりしない方が
良いみたいなんだけど。

でも「皆に内緒のお菓子がある」
って言われたら、
行かないわけにはいかなものね？

王宮と神殿のパワーバランスを
崩さないように、と
私も言われているから
最初は遠慮したんだけど。

この宮はカーティス専用だから
誰も来ないし大丈夫、って
言われたのよ。

凄いよね？
王子様って。
自分の宮殿があるんだもの。

目の前のカーティスは
さらさらの茶色がかった金色の髪に、
琥珀色の目をしたまさしく
ザ・王子様！なんだけど。

最初は私を物凄く甘やかして
お世話をしてくれたから
私はママみたい、って
思ってた。

でもちょっとだけ。
カーティスは意地悪なところが
あるって最近、気がついた。

好きな子をいじめる男の子、
みたいな感じかも。

優しくキスしてくれて、
嬉しくなったら、ちょっとだけ
唇に咬みついてきたり。

侍従さんがいるときに
わざと私を膝の上に乗せて
身体を触ったりしてくる。

嫌じゃないけど、
困るし…そのギャップが。

爽やかな笑顔で
やらしいことをしたり、
いじわるをしてくるギャップが
大きすぎて……参ってしまう。

今日も、目の前の
クリーム尽くしに喜んでいると
侍従さんがお茶を入れてくれて
いるのに、私に「おいで」って
手を伸ばしてきた。

膝に座れ、ってことだ。

拒否してもどうせ
抱き上げられるのはわかってる。

素直にカーティスの上に
移動したら、侍従さんが
やんわりと微笑った気がした。

これ、ラブラブカップルみたいだよね？

侍従さんたちを、人払いをして
カーティスは膝の上の私に
クッキーの上に色んな
クリームを乗せて
食べさせてくれた。

ひとりでできるもん。

なんて、言わない。

カーティスは私を
甘やかしたいみたいで、
以前、自分でできるから！って
頑張ったら……

それはそれは、大変なことになった。

「ユウは私のこと、
嫌いになったんだね？」

みたいな話から、

「ユウを甘やかすことが
できないのなら、
私は生きる意味を無くしてしまう」

なんてことになって。

カーティスの侍従さんたちから
必死な形相でカーティスが
落ち込んで部屋から出てこないので
何とかして欲しい、と
泣きつかれたのだ。

それ以来、
私はカーティスには
逆らわないようにしている。

甘やかされるのは嫌ではない。

愛されてるって思えるし、
もともと、愛情不足だった
私にしてみれば、
ご褒美みたいなものだ。

ただ、あまり迷惑かけたら
ダメだと思って遠慮しただけで、
私の世話を焼きたいと言うなら
ぜひ、甘やかして欲しいと思う。

気恥ずかしい、という気持ちは
とっくに無くなっている。

だって。
この世界に来たばかりで
言葉も通じないし、
男性の体にも慣れてなかった頃、

カーティスには、
散々、お世話になった。

お風呂の介助から
トイレ…まで。

もう、恥ずかしいことなんて、ない。
カーティスには、
メーターが振り切ってる状態なのだ。

「次は、これ。
チョコレートだっけ？

媚薬効果は無いけど、
甘くて、トロリとした感じに
仕上がったって、
料理長が言ってたよ。
自信作だって」

そう言って、
カーティスはクラッカーに
チョコレートを乗せてる。

この世界には
スポンジは無いみたいで
ジャムやクリームは飲み物に
入れて食べるのが主流みたいだった。

ケーキもパイとか
ちょっと固い生地のものばかりだ。

でも私は、どうしても
ケーキが食べたくて。

元の世界でケーキなんて
子ども用のぺコリンちゃんの
ケーキしか食べたことが
なかったから、
本物の生クリームの味なんて
わからなかったけど

でも、
クリームのお菓子が食べたい、
ってお茶に入れる用の
ジャムを舐めてたら、

カーティスとヴァレリアンが
笑って、クッキーやクラッカー
みたいなものに、
ジャムやクリームを
付けて食べることができるように
してくれたのだ。

さすが王族。
嬉しすぎる。

この部屋は日当たりのよい
とても広い部屋だった。

壁一面、大きなガラスの
出入り口があって
部屋の中から花が咲き乱れる
お庭も見える。

座っているソファーは
3人掛けのものだったけど、
私はカーティスの膝に
乗っているから、
まだまだ余裕がある。

私が膝に乗る意味は、ない。

だって3人掛けのソファーの
前には、一人用のソファーが
２つ、並んでいるんだもの。

調度品はアンティークっぽくて
なんだか落ち着く部屋だ。

王子様ってこんな部屋で
日々、過ごしてるのねー。

「ユウ？どうしたの？」

私が食べるのをやめたからか
カーティスが私の顔を覗き込んできた。

「お腹いっぱいになった？」

「ううん。
そうじゃなくて…この部屋、
居心地良いな、って思って」

「へぇ。そう。
嬉しいな。なんならずっと
この部屋にいてもいいんだよ」

って笑顔で言ってくるけど、
できないのはわかってるから。

「嬉しいお誘いだけど、
ちゃんと『大聖樹の宮』に
帰らないと、怒られちゃうからね」

って笑って見せた。

王宮とか神殿とか関係なく
自由に生きたいと思うこともある。

でも、私が女神ちゃんと
深くかかわりがある以上、
政治的な話はついて回る。

それは仕方がないと納得はしているのだ。

「帰したくないなー」

カーティスは私を背中から
ぎゅっと抱きしめた。

「でも、独り占めしたら
ヴァレリアンたちに
殺されそうだしね」

って、カーティスも笑う。

「でも今日は独り占め。
いいよね？　ユウ」

って、カーティスは
私の顎に指を添えてキスをする。

知ってる。
こうなるって、思ってた。

でも、私はカーティスのことも
好きだったから。

カーティスが求めてくれるなら
応えようって思ってた。

それに。
カーティスに触れられるのは嬉しい。

カーティスの少し高い体温が
私を安心させてくれる。

この世界にいてもいいんだ、って。
ここはもう、私の生きる世界だって
思わせてくれるから。

何度も唇が重なって、
私はカーティスの膝から下された。

身体の力が抜けて、
ぺたん、って絨毯の上に座ってしまう。

「ユウ、どうぞ？」

カーティスが指先に
黄色いクリームを乗せて
私の前に差し出してきた。

舐めろってことかな？

私は舌を出して、
カーティスの指を舐めた。

「いい子。可愛い」

カーティスは私の髪を撫でる。

「じゃあ、次は、これ」

別のクリームが
カーティスの指に…
今度は2本だった。

私はまた、舐める。

カーティスの指が
3本になって。

今度は手のひらに
チョコレートが乗せられた。

私はぺろぺろと
カーティスの手を舐める。

行儀悪いと思ったけど、
でも、美味しい。

クラッカーとかに
わざわざ乗せなくても、
どのクリームも美味しかった。

カーティスはクスクス笑う。

「美味しい？
ほんと、ユウは可愛い」

カーティスは私がさっきまで
舐めていた手のひらを
ぺろり、と舐めた。

「ねぇ、もっと舐めてくれる？」

うん。って私は頷く。

いつも沢山甘やかして、
愛してくれるカーティスに
何かしたい、って思ってたから。

カーティスが求めるなら
何でもしてあげたいと思う。

……いや、思っていた。

あんな大人な行為になるとは
この時は思ってなかった。

私はこの後、
めちゃめちゃ後悔することになる。

だって。
目の前にあるのは
とっても意地悪な、
そして情欲に濡れたカーティスの
瞳だったのだから。

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