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第一部 1章 ラジオ
第7話
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森を抜けて柔らかい土を踏みしめながら進むとすぐにユースケの家が見えてきた。それを確認するとカズキが「早く横になりて~」と喚きながらユースケの家へ駆けだした。
中高等部の五学年となった今のユースケたちにとっては大した距離もない道のりであったが、初等部の頃のユースケたちにとっては長く感じた道のりであった。ユースケとタケノリは初等部の頃からの仲であり、よくお互いにお互いの家に遊びに行っていたが、その度にその道のりが長く感じられて、早く着くようにと走っていたものである。カズキが走り出したのを見てそんな昔の記憶を思い出したユースケは、ふと隣を歩くタケノリを見やる。
昔のようにユースケの家まで走り出すようなことはなく、「あいつあんなに早く走れるんなら全然元気じゃん」とのんびりした様子でカズキの背中を指差していた。ユースケはそのタケノリの表情の裏にあの頃にはなかった優しさと寂しさを勝手に想像していた。
家に着き「ただいまー」と言うが誰からも返事はなかった。早い時間帯に帰って来られたためまだ母親や妹のユリは田畑から帰ってきていないのだろう。
カズキが靴を脱いで遠慮なく上がっていくと、まっすぐにユースケの部屋へ入っていった。ユースケたちも部屋へ入るとカズキが道中で喚いていた通りベッドの上で横になっていた。
「勝手にベッド使うな。そこは俺の場所だ、穢れるだろ」
「もう疲れたってー良いじゃねえか少しぐらい」
不満を口にしながらもカズキは渋々とベッドをごろごろと転がり、そのまま床に降りて横になった。ユースケはベッドの上に座り、わざとらしく足をカズキのちょうどお腹の上辺りに乗せる。
「んで、そのラジオってやつはどこにあるんだ。早く出してくれよ」
走ってエネルギッシュだったカズキが電池の切れたように大人しくなっているのとは正反対に、ここにきてギアを上げてきたタケノリは、荷物を隅に置くとユースケの部屋をきょろきょろと見回す。ベッドの下まで覗いているがそこには埃やらユースケが捨て忘れた学校のプリントが溜まっているだけであった。
ユースケは比較的綺麗に片付けていた部屋を荒されたくなかったので、タンスを開けラジオを手に取るが、同時に乱暴に積み上げられていた服がなだれ込んできた。部屋が片付いたと言っても散らかっていたものを収納できる場所に仕舞っただけであった。
「ほれよ、そんなに興味あるならあげるって」
ラジオにはもう愛想を尽かしたと言わんばかりにユースケはタケノリに向けて放り投げる。タケノリが片手でキャッチしたのを確認して「そこの飛び出てる棒の横のボタンが電源だから」とだけ説明するとユースケは流れ出てきた服をタンスに雑に仕舞い始めた。「うおー」とカズキも多少は興味があるのか感嘆の声を上げるが、起き上がろうとはしない。
タケノリが早速電源を押すと、ユースケとユズハが昨夜聞いたノイズが部屋に響いた。タケノリはのけぞり、横になっているカズキも耳を押さえた。タケノリは奇怪な音を立てるラジオを不思議そうに見つめたままだがそれで音が鳴り止むわけもなく、堪りかねたユースケがタケノリに詰め寄る。
「お前ラジオ使うの下手くそかよ」
「下手くそも何も今日初めて見たんだが」
「ちょっと貸してみろって」
鼻息を荒くしてユースケは大げさに手を広げて差し出した。タケノリも躊躇いながらもその手にラジオを乗せるとユースケは得意顔で色々といじくるが、音は鳴り止むものの今度は全く聞こえなくなってしまった。初めは調子の良さそうな手つきだったのが次第に鈍っていき、最終的には石化してしまったかのように動かなくなった。
「あれれ~~?」
「何かそんな予感はしたんだよ。お前もダメじゃねえか。ユズハにでも訊いてみるか?」
「いや、アイツには訊かん! 今度は俺がなんとかする!」
「なに意地になってんだよ……あ、じゃあ店のおじさんに訊いてこようぜ」
タケノリはそうと決まればと言わんばかりにさっさと荷物を拾い上げて部屋を出ようとする。ユースケが「えーもうちょい粘ろうぜ~」と文句を垂れるもタケノリは聞く耳持たなかった。ずっと耳を押さえているため状況を飲み込めないでいるらしいカズキは戸惑った様子でタケノリの背中を目で追っていた。それでもなおも起き上がろうとは思わないらしい。
そんな怠けた態度のカズキを見てユースケは「あー」と言い淀むと、カズキに耳の手を外すようにジェスチャーで指示する。
「カズキ、留守番しててくれ」
説明を面倒くさがったユースケも言葉足らずである。しかしそれで納得したようで、カズキは「うぃー」と返事とも鳴き声ともとれる声を上げてのそのそとベッドにあがった。ユースケは自分の鞄をカズキに投げつけてタケノリの後を追った。ユースケの背中で苦しそうな呻き声が聞こえたがユースケは無視した。
淀みなく進んでいくタケノリの後ろをユースケはふらふらと頼りない足取りで追っていた。タケノリも振り返ってユースケに呆れながらため息をつくも、ペースを合わせる気はなく淡々と歩いていた。
ユースケの家から商店街まではそこまで遠くなく、ユースケののんびりとした足でもすぐに到着した。タケノリはユースケが追いついてくるのを待ってから「いつものあの店で良いんだよな?」と確認をした。ユースケもこくこくと頷く。
二人はまだ賑わっていない寂れた商店街の通りをぼんやり歩いた。ユースケたちと同い年ぐらいのカップルが物色していたり、寒さの抜けきっていないこの時期に薄そうな肌着一枚のまま店の前でしゃがれた怒鳴り声を上げる中年の男がいたりした。ユースケはそれらを遠い世界の出来事であるかのように聞き流していた。
目的の店にたどり着くと、店主がピンク色の籠を片手に出てくるところであった。
「おうお前たち。また学校サボってんのか」
「おじさんそれしか言わねえじゃん」
ユースケが不満げに鼻を鳴らす。店主もあまりユースケたちのことを構う余裕がないのか、それっきり何も言わずズボンのポケットをまさぐっていた。タケノリは怪訝そうな目つきで店主の持つ籠を見た。
「おじさん、そんな籠持ってどうしたんだ。俺たちおじさんに訊きたいことがあったんだけど」
「あ? ああ、これか……悪い、ちょっと急いでるから手短に頼む」
どこか上の空で答える店主は手を止めることなく鍵を取り出して店のシャッターに手を伸ばしていた。その様子にユースケは何があったのかを直感した。
「猫、そんなにやばいのか?」
「猫?」
「ああ……あれからますます悪化する一方でな。今日は早めに店じまいして病院に連れてってやろうと思ってたところだ」
店主は昨日と同じように困ったように苦笑した。店主の腕には新しいひっかき傷が出来ていた。これだけのやり取りで大まかに事情を把握したらしくタケノリも押し黙った。ユースケは店主の持つ籠の前に座り込み、その中を覗き込んだ。籠の中では猫が手足を伸ばして横になっている。ユースケの視線に気づかず身じろぎ一つしない。
「お前が元気にならんとおじさんの店もおしまいだ。だから、早く元気になれよ」
ユースケの普段よりも高くした声に反応するかのように猫はしっぽをふわりと振った。ユースケは思わず笑みを零したが突然頭に拳を押しつけられる感触がしてその笑みを歪めた。
「お前は一言余計だっつの」
店主の拳がぐりぐりとめり込み、ユースケは頭を押さえながら逃げるように後ずさった。そのユースケと入れ替わるようにタケノリが一歩前に出てラジオを店主に見せる。
中高等部の五学年となった今のユースケたちにとっては大した距離もない道のりであったが、初等部の頃のユースケたちにとっては長く感じた道のりであった。ユースケとタケノリは初等部の頃からの仲であり、よくお互いにお互いの家に遊びに行っていたが、その度にその道のりが長く感じられて、早く着くようにと走っていたものである。カズキが走り出したのを見てそんな昔の記憶を思い出したユースケは、ふと隣を歩くタケノリを見やる。
昔のようにユースケの家まで走り出すようなことはなく、「あいつあんなに早く走れるんなら全然元気じゃん」とのんびりした様子でカズキの背中を指差していた。ユースケはそのタケノリの表情の裏にあの頃にはなかった優しさと寂しさを勝手に想像していた。
家に着き「ただいまー」と言うが誰からも返事はなかった。早い時間帯に帰って来られたためまだ母親や妹のユリは田畑から帰ってきていないのだろう。
カズキが靴を脱いで遠慮なく上がっていくと、まっすぐにユースケの部屋へ入っていった。ユースケたちも部屋へ入るとカズキが道中で喚いていた通りベッドの上で横になっていた。
「勝手にベッド使うな。そこは俺の場所だ、穢れるだろ」
「もう疲れたってー良いじゃねえか少しぐらい」
不満を口にしながらもカズキは渋々とベッドをごろごろと転がり、そのまま床に降りて横になった。ユースケはベッドの上に座り、わざとらしく足をカズキのちょうどお腹の上辺りに乗せる。
「んで、そのラジオってやつはどこにあるんだ。早く出してくれよ」
走ってエネルギッシュだったカズキが電池の切れたように大人しくなっているのとは正反対に、ここにきてギアを上げてきたタケノリは、荷物を隅に置くとユースケの部屋をきょろきょろと見回す。ベッドの下まで覗いているがそこには埃やらユースケが捨て忘れた学校のプリントが溜まっているだけであった。
ユースケは比較的綺麗に片付けていた部屋を荒されたくなかったので、タンスを開けラジオを手に取るが、同時に乱暴に積み上げられていた服がなだれ込んできた。部屋が片付いたと言っても散らかっていたものを収納できる場所に仕舞っただけであった。
「ほれよ、そんなに興味あるならあげるって」
ラジオにはもう愛想を尽かしたと言わんばかりにユースケはタケノリに向けて放り投げる。タケノリが片手でキャッチしたのを確認して「そこの飛び出てる棒の横のボタンが電源だから」とだけ説明するとユースケは流れ出てきた服をタンスに雑に仕舞い始めた。「うおー」とカズキも多少は興味があるのか感嘆の声を上げるが、起き上がろうとはしない。
タケノリが早速電源を押すと、ユースケとユズハが昨夜聞いたノイズが部屋に響いた。タケノリはのけぞり、横になっているカズキも耳を押さえた。タケノリは奇怪な音を立てるラジオを不思議そうに見つめたままだがそれで音が鳴り止むわけもなく、堪りかねたユースケがタケノリに詰め寄る。
「お前ラジオ使うの下手くそかよ」
「下手くそも何も今日初めて見たんだが」
「ちょっと貸してみろって」
鼻息を荒くしてユースケは大げさに手を広げて差し出した。タケノリも躊躇いながらもその手にラジオを乗せるとユースケは得意顔で色々といじくるが、音は鳴り止むものの今度は全く聞こえなくなってしまった。初めは調子の良さそうな手つきだったのが次第に鈍っていき、最終的には石化してしまったかのように動かなくなった。
「あれれ~~?」
「何かそんな予感はしたんだよ。お前もダメじゃねえか。ユズハにでも訊いてみるか?」
「いや、アイツには訊かん! 今度は俺がなんとかする!」
「なに意地になってんだよ……あ、じゃあ店のおじさんに訊いてこようぜ」
タケノリはそうと決まればと言わんばかりにさっさと荷物を拾い上げて部屋を出ようとする。ユースケが「えーもうちょい粘ろうぜ~」と文句を垂れるもタケノリは聞く耳持たなかった。ずっと耳を押さえているため状況を飲み込めないでいるらしいカズキは戸惑った様子でタケノリの背中を目で追っていた。それでもなおも起き上がろうとは思わないらしい。
そんな怠けた態度のカズキを見てユースケは「あー」と言い淀むと、カズキに耳の手を外すようにジェスチャーで指示する。
「カズキ、留守番しててくれ」
説明を面倒くさがったユースケも言葉足らずである。しかしそれで納得したようで、カズキは「うぃー」と返事とも鳴き声ともとれる声を上げてのそのそとベッドにあがった。ユースケは自分の鞄をカズキに投げつけてタケノリの後を追った。ユースケの背中で苦しそうな呻き声が聞こえたがユースケは無視した。
淀みなく進んでいくタケノリの後ろをユースケはふらふらと頼りない足取りで追っていた。タケノリも振り返ってユースケに呆れながらため息をつくも、ペースを合わせる気はなく淡々と歩いていた。
ユースケの家から商店街まではそこまで遠くなく、ユースケののんびりとした足でもすぐに到着した。タケノリはユースケが追いついてくるのを待ってから「いつものあの店で良いんだよな?」と確認をした。ユースケもこくこくと頷く。
二人はまだ賑わっていない寂れた商店街の通りをぼんやり歩いた。ユースケたちと同い年ぐらいのカップルが物色していたり、寒さの抜けきっていないこの時期に薄そうな肌着一枚のまま店の前でしゃがれた怒鳴り声を上げる中年の男がいたりした。ユースケはそれらを遠い世界の出来事であるかのように聞き流していた。
目的の店にたどり着くと、店主がピンク色の籠を片手に出てくるところであった。
「おうお前たち。また学校サボってんのか」
「おじさんそれしか言わねえじゃん」
ユースケが不満げに鼻を鳴らす。店主もあまりユースケたちのことを構う余裕がないのか、それっきり何も言わずズボンのポケットをまさぐっていた。タケノリは怪訝そうな目つきで店主の持つ籠を見た。
「おじさん、そんな籠持ってどうしたんだ。俺たちおじさんに訊きたいことがあったんだけど」
「あ? ああ、これか……悪い、ちょっと急いでるから手短に頼む」
どこか上の空で答える店主は手を止めることなく鍵を取り出して店のシャッターに手を伸ばしていた。その様子にユースケは何があったのかを直感した。
「猫、そんなにやばいのか?」
「猫?」
「ああ……あれからますます悪化する一方でな。今日は早めに店じまいして病院に連れてってやろうと思ってたところだ」
店主は昨日と同じように困ったように苦笑した。店主の腕には新しいひっかき傷が出来ていた。これだけのやり取りで大まかに事情を把握したらしくタケノリも押し黙った。ユースケは店主の持つ籠の前に座り込み、その中を覗き込んだ。籠の中では猫が手足を伸ばして横になっている。ユースケの視線に気づかず身じろぎ一つしない。
「お前が元気にならんとおじさんの店もおしまいだ。だから、早く元気になれよ」
ユースケの普段よりも高くした声に反応するかのように猫はしっぽをふわりと振った。ユースケは思わず笑みを零したが突然頭に拳を押しつけられる感触がしてその笑みを歪めた。
「お前は一言余計だっつの」
店主の拳がぐりぐりとめり込み、ユースケは頭を押さえながら逃げるように後ずさった。そのユースケと入れ替わるようにタケノリが一歩前に出てラジオを店主に見せる。
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