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番外編
生真面目な王子の側近は今日も頭を悩ます 後編
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溜まった執務を手早く済ませ、庭園へと歩みを早めた。
今日はエリオット殿下との見合いの為に、マリー嬢が登城していた。
初めから側で控えているつもりだったのに、今朝になってエリオット殿下から急ぎの仕事をたくさん言いつけられたのだ。
その時のエリオット殿下の笑顔を思い出すと…私がマリー嬢の登城に間に合わない事を見越していたんじゃないかと思わせる。
殿下がマリー嬢と2人きりになりたいとは…。
お見合いに前向きになってくれた事は喜ばしいはずなのに、何故だか胸がモヤモヤとして私の足は自然と早歩きになっていた。
ふと、足を止めて廊下の窓から外を窺えば、丁度眼下でエリオット殿下とマリー嬢がティーテーブルを囲み、和やかに微笑み合っている。
マリー嬢は鮮やかな赤いデイドレスに身を包み、髪の先まで艶々と太陽を浴びて輝いている。
対するエリオット殿下は金糸の刺繍の施された白の礼服に、いくつかの勲章を身に付け、マリー嬢と同じく太陽の光に輝きを放っている。
何と…豪華でお似合いなお二人か。
その光景に何かズンっと胸が掴まれた様な衝撃を覚える。
とにかく…あそこに行かなければ。
どう見ても、今回のお見合いに前向きになっているだろうお二人に、私は今後のことを調整したり…と、やらなくてはならない仕事は多い事だろう。
なのに、先程より前へ進む足が重たい。
「あぁ、ユーリス。仕事は全部片付いた?」
庭園に足を踏み入れた私に目敏く気付いたエリオット殿下が、片手を上げて出迎えた。
「マリー嬢、本日はお越しいただき、ありがとうございます。仕事はもちろん片付きました。今頃、殿下の執務室で承認待ちの山になってますよ。」
私は2人に近付き、まずはマリー嬢に頭を下げた。
その見事なまでの装いを褒めたい気もしたが、エリオット殿下の手前、それは私の仕事じゃないだろう。
「それは大変だ。ユーリスも来た事だし、私はこの辺で失礼しよう。山積みの仕事をしなくては。マリー嬢、今日はとても楽しかったよ。」
エリオット殿下が優雅とも言える動きで、マリー嬢の手の甲に挨拶のキスを落とす。
その流れるような動きに、一瞬殿下が去るのを見送りそうになり、慌てて我に返る。
「エリオット殿下!?何を仰っているんですか?マリー嬢は今日は殿下との見合いの為に来られているんですよ!」
呼び出しておいて、仕事を理由に去るなど、先日のマリー嬢の言葉を借りれば無礼そのものだ。
「マリー嬢とはもう話は付いている。」
笑顔でそう言うエリオット殿下に、頭が混乱して付いていけない。
「では…今回の見合いはどうなるのですか?」
どう話が付いたと言うのか、説明して貰わなくては…。
慌てる私を、エリオット殿下は面白そうに笑って言った。
「あぁ、その事…。ユーリスには決まるまで言わないでいたんだけど、隣国の姫君との婚約が正式にまとまったから。」
「は…?」
何と…言われた??
隣国の姫君とご婚約…?
いや、それ自体はめでたい。
ブランドッツ王国にもこれ以上ない良縁となるだろう。
「でも…、それでは、マリー嬢はどうなりますか!?」
せっかく頭を下げて来てもらっていると言うのに…。
「お父上であるコリンズ公爵が相宰を務めるマリー嬢が、私の婚約について知らないはずが無いだろう。」
エリオット殿下の言葉に慌ててマリー嬢を見れば、彼女は笑顔で頷く。
本当に了承しているようだ。
じゃあ…この現状は何だと言うのか。
「マリー嬢は、本日はユーリスに会いにここへ来たんだよ。」
「は…?私に…ですか?」
エリオット殿下が何を言っているのか、全く理解出来ない。
何故、マリー嬢がわざわざ私などに会いに来るのか…。
「以前…一度、こちらから申し込んだお見合いをお断りした後に、私からマリー嬢にお詫びの手紙を送ったんだ。そしたら、丁寧な返書をいただいた。これだ。」
エリオット殿下が内ポケットから小さな手紙を取り出して、マリー嬢に目線だけで確認を取ると、私に手渡した。
「失礼します。」
エリオット殿下とマリー嬢の両方に断りつつ、封筒の中身を取り出した。
そこには小花柄のいかにも女性らしい便箋に、几帳面な字が並んでいる。
私はその手紙の内容に目を見張った。
内容はこうだ。
『この度は丁寧にお便りをいただき、ありがとうございます。
お見合いの話は、エリオット殿下からお断り頂けて、実は安堵しております。
お恥ずかしい話ではありますが、お見合いのやり取りの過程で、殿下の側近の方が気になるようになりました。
王家がお相手と言うこともあり、お見合いはお受けすると返答しておきながら、今更この様な告白をする事をお許し下さい。
残念ながらエリオット殿下とのご縁はありませんでしたが、殿下とのお見合いのお話が、私とユーリス ディサントス様のご縁を結んでくれたのでは…と勝手ながら、殿下には感謝しております。
ただでさえ、公爵家の娘という肩書がある私です。殿下のお口添えなどあれば、彼は嫌でも話を受けざるを得なくなるでしょう。
ですので、この件は殿下の御心にのみ留めて、一切の口出しは不要にてお願い致します。
そして、私の切願が叶いました後は、快く認めていただければ、それ以上に幸せな事はございません。
この様に勝手なお願い申し上げるご無礼を、どうぞお許し下さい。
マリー コリンズ』
一度読んだだけでは、その内容が理解出来ず…いや、正確に理解出来ているのに、信じる事が出来ず、慌ててマリー嬢を確認すれば、照れたように視線を伏せられた。
本当に…?
「そういう事だ。この前、ユーリスがコリンズ公爵家へ行くと行った時には、私と隣国の姫君との婚約についての話が出ていたが、コリンズ公爵家へ行ってマリー嬢と話す事は、ユーリスにとってもいい機会になるのではないかと思って見送ったんだ。ただ、まさか見合いの話を成立させて帰って来るとは思ってなくてね…。それで、今日は序盤にマリー嬢と2人で話す機会を作ったんだ。彼女の今の気持ちを確認する必要があったから。」
今朝、大量の仕事を押し付けて来た時のエリオット殿下の表情を思い出す。
「そんな事が…。」
理論だった話をここまで説明されれば、私の中でも、これが嘘や冗談ではない事はわかって来ている。
でも、まだどんな反応を取ればいいかわからず、言葉が少なくなる。
「結論として、彼女の気持ちは変わっていない。私とマリー嬢はこれ以上話す必要はないから、後はユーリスが彼女の接待をするように。今日やってもらう仕事は全て終わらせて貰ったから、午後はこっちに気遣う事なくゆっくりしてくれ。」
え…っと思っている間に、ユーリス殿下に肩を押され、先ほどまで彼が座っていた席に座るように促され、侍女達がその見事な仕事ぶりを発揮するかの様に、ティーテーブルの上の茶器を一新し、私の前に並々と注がれた紅茶が差し出される。
「いや…あの…。」
ヒラヒラと手を振り去っていくエリオット殿下を引き止める言葉も浮かばないまま見送る。
「私とお茶をするのは、そんなにお嫌ですか?」
遠慮も卑下もない真っ直ぐな声に、そこで初めて正面に座るマリー嬢を見る。
「いえ…ただ、まだ事態に付いて行けていないだけで…。」
断じて彼女が嫌などと言う事はない。
マリー嬢とティータイムを共にするなど、恐れ多いくらいだ。
私が混乱状態なのは承知の上なのか、彼女は何も言わずに、ゆっくりと紅茶を口に含んだ。
私も真似するように喉を潤せば、いくらか冷静さが戻ってくる。
「でも…先日コリンズ公爵邸を訪問した折は、怒っておいででしたよね…?」
無礼だの、失礼だのと言い負かされた事は忘れてはいない。
「それは…気になっている殿方に、他の男性との縁談を頭を下げて頼み込まれれば…あのような反応にもなります。」
少し拗ねたような仕草で頬を染めたマリー嬢を、あぁ、そういう表情もされるのか…と冷静に考えている自分と、何故か速まる鼓動が、自分の中でアンバランスに揺れ動いている。
「では…冗談では無いのですね…?」
ドクン、ドクンと早まった鼓動が耳元で聞こえる。
「それを…女性に言われるのは不粋と言うものですわ。今は諦めて、ティータイムを楽しまれてはいかがですか?」
そう言ったマリー嬢の笑顔は、初めて見せる少女の様な表情だった。
エリオット殿下のお相手を探すはずが、まさかこんな事になるとは…。
でも、今は仕事を忘れて目の前の紅茶を楽しむのもいいかもしれない。
幸い、今日の仕事は全て片付いているようだ。
Fin.
今日はエリオット殿下との見合いの為に、マリー嬢が登城していた。
初めから側で控えているつもりだったのに、今朝になってエリオット殿下から急ぎの仕事をたくさん言いつけられたのだ。
その時のエリオット殿下の笑顔を思い出すと…私がマリー嬢の登城に間に合わない事を見越していたんじゃないかと思わせる。
殿下がマリー嬢と2人きりになりたいとは…。
お見合いに前向きになってくれた事は喜ばしいはずなのに、何故だか胸がモヤモヤとして私の足は自然と早歩きになっていた。
ふと、足を止めて廊下の窓から外を窺えば、丁度眼下でエリオット殿下とマリー嬢がティーテーブルを囲み、和やかに微笑み合っている。
マリー嬢は鮮やかな赤いデイドレスに身を包み、髪の先まで艶々と太陽を浴びて輝いている。
対するエリオット殿下は金糸の刺繍の施された白の礼服に、いくつかの勲章を身に付け、マリー嬢と同じく太陽の光に輝きを放っている。
何と…豪華でお似合いなお二人か。
その光景に何かズンっと胸が掴まれた様な衝撃を覚える。
とにかく…あそこに行かなければ。
どう見ても、今回のお見合いに前向きになっているだろうお二人に、私は今後のことを調整したり…と、やらなくてはならない仕事は多い事だろう。
なのに、先程より前へ進む足が重たい。
「あぁ、ユーリス。仕事は全部片付いた?」
庭園に足を踏み入れた私に目敏く気付いたエリオット殿下が、片手を上げて出迎えた。
「マリー嬢、本日はお越しいただき、ありがとうございます。仕事はもちろん片付きました。今頃、殿下の執務室で承認待ちの山になってますよ。」
私は2人に近付き、まずはマリー嬢に頭を下げた。
その見事なまでの装いを褒めたい気もしたが、エリオット殿下の手前、それは私の仕事じゃないだろう。
「それは大変だ。ユーリスも来た事だし、私はこの辺で失礼しよう。山積みの仕事をしなくては。マリー嬢、今日はとても楽しかったよ。」
エリオット殿下が優雅とも言える動きで、マリー嬢の手の甲に挨拶のキスを落とす。
その流れるような動きに、一瞬殿下が去るのを見送りそうになり、慌てて我に返る。
「エリオット殿下!?何を仰っているんですか?マリー嬢は今日は殿下との見合いの為に来られているんですよ!」
呼び出しておいて、仕事を理由に去るなど、先日のマリー嬢の言葉を借りれば無礼そのものだ。
「マリー嬢とはもう話は付いている。」
笑顔でそう言うエリオット殿下に、頭が混乱して付いていけない。
「では…今回の見合いはどうなるのですか?」
どう話が付いたと言うのか、説明して貰わなくては…。
慌てる私を、エリオット殿下は面白そうに笑って言った。
「あぁ、その事…。ユーリスには決まるまで言わないでいたんだけど、隣国の姫君との婚約が正式にまとまったから。」
「は…?」
何と…言われた??
隣国の姫君とご婚約…?
いや、それ自体はめでたい。
ブランドッツ王国にもこれ以上ない良縁となるだろう。
「でも…、それでは、マリー嬢はどうなりますか!?」
せっかく頭を下げて来てもらっていると言うのに…。
「お父上であるコリンズ公爵が相宰を務めるマリー嬢が、私の婚約について知らないはずが無いだろう。」
エリオット殿下の言葉に慌ててマリー嬢を見れば、彼女は笑顔で頷く。
本当に了承しているようだ。
じゃあ…この現状は何だと言うのか。
「マリー嬢は、本日はユーリスに会いにここへ来たんだよ。」
「は…?私に…ですか?」
エリオット殿下が何を言っているのか、全く理解出来ない。
何故、マリー嬢がわざわざ私などに会いに来るのか…。
「以前…一度、こちらから申し込んだお見合いをお断りした後に、私からマリー嬢にお詫びの手紙を送ったんだ。そしたら、丁寧な返書をいただいた。これだ。」
エリオット殿下が内ポケットから小さな手紙を取り出して、マリー嬢に目線だけで確認を取ると、私に手渡した。
「失礼します。」
エリオット殿下とマリー嬢の両方に断りつつ、封筒の中身を取り出した。
そこには小花柄のいかにも女性らしい便箋に、几帳面な字が並んでいる。
私はその手紙の内容に目を見張った。
内容はこうだ。
『この度は丁寧にお便りをいただき、ありがとうございます。
お見合いの話は、エリオット殿下からお断り頂けて、実は安堵しております。
お恥ずかしい話ではありますが、お見合いのやり取りの過程で、殿下の側近の方が気になるようになりました。
王家がお相手と言うこともあり、お見合いはお受けすると返答しておきながら、今更この様な告白をする事をお許し下さい。
残念ながらエリオット殿下とのご縁はありませんでしたが、殿下とのお見合いのお話が、私とユーリス ディサントス様のご縁を結んでくれたのでは…と勝手ながら、殿下には感謝しております。
ただでさえ、公爵家の娘という肩書がある私です。殿下のお口添えなどあれば、彼は嫌でも話を受けざるを得なくなるでしょう。
ですので、この件は殿下の御心にのみ留めて、一切の口出しは不要にてお願い致します。
そして、私の切願が叶いました後は、快く認めていただければ、それ以上に幸せな事はございません。
この様に勝手なお願い申し上げるご無礼を、どうぞお許し下さい。
マリー コリンズ』
一度読んだだけでは、その内容が理解出来ず…いや、正確に理解出来ているのに、信じる事が出来ず、慌ててマリー嬢を確認すれば、照れたように視線を伏せられた。
本当に…?
「そういう事だ。この前、ユーリスがコリンズ公爵家へ行くと行った時には、私と隣国の姫君との婚約についての話が出ていたが、コリンズ公爵家へ行ってマリー嬢と話す事は、ユーリスにとってもいい機会になるのではないかと思って見送ったんだ。ただ、まさか見合いの話を成立させて帰って来るとは思ってなくてね…。それで、今日は序盤にマリー嬢と2人で話す機会を作ったんだ。彼女の今の気持ちを確認する必要があったから。」
今朝、大量の仕事を押し付けて来た時のエリオット殿下の表情を思い出す。
「そんな事が…。」
理論だった話をここまで説明されれば、私の中でも、これが嘘や冗談ではない事はわかって来ている。
でも、まだどんな反応を取ればいいかわからず、言葉が少なくなる。
「結論として、彼女の気持ちは変わっていない。私とマリー嬢はこれ以上話す必要はないから、後はユーリスが彼女の接待をするように。今日やってもらう仕事は全て終わらせて貰ったから、午後はこっちに気遣う事なくゆっくりしてくれ。」
え…っと思っている間に、ユーリス殿下に肩を押され、先ほどまで彼が座っていた席に座るように促され、侍女達がその見事な仕事ぶりを発揮するかの様に、ティーテーブルの上の茶器を一新し、私の前に並々と注がれた紅茶が差し出される。
「いや…あの…。」
ヒラヒラと手を振り去っていくエリオット殿下を引き止める言葉も浮かばないまま見送る。
「私とお茶をするのは、そんなにお嫌ですか?」
遠慮も卑下もない真っ直ぐな声に、そこで初めて正面に座るマリー嬢を見る。
「いえ…ただ、まだ事態に付いて行けていないだけで…。」
断じて彼女が嫌などと言う事はない。
マリー嬢とティータイムを共にするなど、恐れ多いくらいだ。
私が混乱状態なのは承知の上なのか、彼女は何も言わずに、ゆっくりと紅茶を口に含んだ。
私も真似するように喉を潤せば、いくらか冷静さが戻ってくる。
「でも…先日コリンズ公爵邸を訪問した折は、怒っておいででしたよね…?」
無礼だの、失礼だのと言い負かされた事は忘れてはいない。
「それは…気になっている殿方に、他の男性との縁談を頭を下げて頼み込まれれば…あのような反応にもなります。」
少し拗ねたような仕草で頬を染めたマリー嬢を、あぁ、そういう表情もされるのか…と冷静に考えている自分と、何故か速まる鼓動が、自分の中でアンバランスに揺れ動いている。
「では…冗談では無いのですね…?」
ドクン、ドクンと早まった鼓動が耳元で聞こえる。
「それを…女性に言われるのは不粋と言うものですわ。今は諦めて、ティータイムを楽しまれてはいかがですか?」
そう言ったマリー嬢の笑顔は、初めて見せる少女の様な表情だった。
エリオット殿下のお相手を探すはずが、まさかこんな事になるとは…。
でも、今は仕事を忘れて目の前の紅茶を楽しむのもいいかもしれない。
幸い、今日の仕事は全て片付いているようだ。
Fin.
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