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本編
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「よく似ているから、そうかと思ったのだけど…違いましたか?」
驚きのあまり私が言葉を発せずにいると、エリオット殿下が首をコテンと傾けながら尋ねて来る。
首を傾けた事でサラサラと流れる銀髪に夕陽があたり、その姿は幻想的な程美しい。
「…サラサ嬢?大丈夫ですか?」
男性では他で見たことが無い程の美しさに見惚れていた私は、殿下の言葉にハッとしてコーテシーの形を取る。
「エリオット殿下、ご機嫌よう。クリーヴス伯爵家のサラサと申します。」
何故、エリオット殿下がここに?
しかもお一人で?
視線を床に落とし、頭をフル回転させるが、答えは一向に浮かんで来ない。
それどころか、焦りでどんどん訳のわからない事が思い浮かんで来る。
私が貴族令嬢の端くれと言っても、所詮は伯爵家。
王宮で開かれる夜会でも、遠く壇上にいらっしゃる殿下と会場でも端の方に居る私では、同じ空間に居ると言うにも無理がある程関わりがなく、王族と直接言葉を交わす機会など、今まで一度だって無かった。
こ…ここは、不敬にならないようにご挨拶をして、早々に失礼しよう。
そう思い当たった所で、眼前に立つエリオット殿下から、プッと小さな笑いが漏れた。
「顔を上げて下さい、サラサ嬢。丁寧なご挨拶ありがとうございます。貴方の事は存じています。私はブランドッツ王国 第二王子のエリオット ブランドッツです。以後、お見知り置き下さい。」
何が面白いのか、殿下はあははと笑った後に、公の場でも見たことがある優雅な辞儀をされた。
見惚れてしまうほど美しい所作だが、本来であれば私のような伯爵令嬢に行う物ではない。
「お辞め下さい!」
殿下に頭を下げされる訳には行かないと、咄嗟に手を伸ばすと、エリオット殿下の手が私の手を包み込む形で止められる。
あっ…殿下にいきなり触れようだなんて、不敬に当たる…。
「も…申し訳ございません。」
「いや、驚かせてしまった私が悪いのです。サラサ嬢、よければ座りませんか?私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
覗き込まれれば、握られた手と頬に急激に熱を感じる。
「は…はい。」
何とかそう返答すると、流れるようなエスコートで元いたソファーへ誘導され、
エリオット殿下も向かいの席に腰を下ろした。
な…何?この状況は。
ニコニコとした様子でこちらを眺めるエリオット殿下の視線と被らないように注意しながら、こちらも殿下の様子を伺う。
エリオット ブランドッツ殿下、ご本人に名乗られるまでもなく、このブランドッツ王国の第二王子で…確か年齢はお兄様と同じ3歳年上だ。
その麗しい外見と物腰の柔らかさに親近感を抱く者は多いが、勉学や政治に無関心で、その無気力さから影では穀潰し王子などと呼ばれている。
王子に対して穀潰しなど…万が一耳に入ればそれだけでも不敬罪に問われかねない恐ろしい呼び名だが、エリオット殿下はそれを聞いて笑い飛ばしたらしい。
「私にぴったりですね。」と。
そのエリオット殿下が、目の前に座っているのだ。
驚きのあまり私が言葉を発せずにいると、エリオット殿下が首をコテンと傾けながら尋ねて来る。
首を傾けた事でサラサラと流れる銀髪に夕陽があたり、その姿は幻想的な程美しい。
「…サラサ嬢?大丈夫ですか?」
男性では他で見たことが無い程の美しさに見惚れていた私は、殿下の言葉にハッとしてコーテシーの形を取る。
「エリオット殿下、ご機嫌よう。クリーヴス伯爵家のサラサと申します。」
何故、エリオット殿下がここに?
しかもお一人で?
視線を床に落とし、頭をフル回転させるが、答えは一向に浮かんで来ない。
それどころか、焦りでどんどん訳のわからない事が思い浮かんで来る。
私が貴族令嬢の端くれと言っても、所詮は伯爵家。
王宮で開かれる夜会でも、遠く壇上にいらっしゃる殿下と会場でも端の方に居る私では、同じ空間に居ると言うにも無理がある程関わりがなく、王族と直接言葉を交わす機会など、今まで一度だって無かった。
こ…ここは、不敬にならないようにご挨拶をして、早々に失礼しよう。
そう思い当たった所で、眼前に立つエリオット殿下から、プッと小さな笑いが漏れた。
「顔を上げて下さい、サラサ嬢。丁寧なご挨拶ありがとうございます。貴方の事は存じています。私はブランドッツ王国 第二王子のエリオット ブランドッツです。以後、お見知り置き下さい。」
何が面白いのか、殿下はあははと笑った後に、公の場でも見たことがある優雅な辞儀をされた。
見惚れてしまうほど美しい所作だが、本来であれば私のような伯爵令嬢に行う物ではない。
「お辞め下さい!」
殿下に頭を下げされる訳には行かないと、咄嗟に手を伸ばすと、エリオット殿下の手が私の手を包み込む形で止められる。
あっ…殿下にいきなり触れようだなんて、不敬に当たる…。
「も…申し訳ございません。」
「いや、驚かせてしまった私が悪いのです。サラサ嬢、よければ座りませんか?私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
覗き込まれれば、握られた手と頬に急激に熱を感じる。
「は…はい。」
何とかそう返答すると、流れるようなエスコートで元いたソファーへ誘導され、
エリオット殿下も向かいの席に腰を下ろした。
な…何?この状況は。
ニコニコとした様子でこちらを眺めるエリオット殿下の視線と被らないように注意しながら、こちらも殿下の様子を伺う。
エリオット ブランドッツ殿下、ご本人に名乗られるまでもなく、このブランドッツ王国の第二王子で…確か年齢はお兄様と同じ3歳年上だ。
その麗しい外見と物腰の柔らかさに親近感を抱く者は多いが、勉学や政治に無関心で、その無気力さから影では穀潰し王子などと呼ばれている。
王子に対して穀潰しなど…万が一耳に入ればそれだけでも不敬罪に問われかねない恐ろしい呼び名だが、エリオット殿下はそれを聞いて笑い飛ばしたらしい。
「私にぴったりですね。」と。
そのエリオット殿下が、目の前に座っているのだ。
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