上 下
20 / 71

20. 山賊に襲われるソフィア

しおりを挟む
(ソフィア視点)

 初めての料理! 緊張して指がうまく動かず、いびつな切り方になってしまった。ケイトさんが皮を剥いたものと雲泥の差だが、だれからも文句は出なかった。私とケイトさんが野菜を向いている間に、カラシンさんとマイケルさんはテントを張り、焚火を起し、湧き水を組んできてくれる。後は鍋を火にかけ水が沸騰したら野菜と肉を入れて煮込むらしい。出来上がった物を味見すると、村長さんの家で食べていた料理より一味落ちる。でも、初めて自分で作った料理だ、その感激が味を引き上げている気がする。何より、ここには私達4人だけだ。村長さんの家には私達以外にも沢山の人がいたから食事の時は常に緊張していた。リラックスして食べる料理は良いものだと知った。今度村に帰るときには、今朝見て来た家が私達4人の住むところになるらしい。毎日4人だけの食事ができる! それを考えると思わずほほが緩む。そうだ、そのためにもケイトさんにはいっぱい料理を教えてもらおう。

 食事が終わると皆の昔話が始まった。カラシンさんとケイトさんは姉弟で同じ孤児院で育ったらしい。ええっと、姉弟というのは同じ親から生まれた子供だったよね。孤児院について質問すると、親の居ない子供が送られるところだと返事が返って来た。孤児院では子供に食べさせるので精一杯で、教育なんかとてもじゃないが手が回らない。だから子供達が大きくなってもろくな仕事に就けない。その中では冒険者に成れたというのは恵まれている方だと言う。なにせ、冒険者は実力次第でたくさんの金が稼げるのだ。孤児にとっては唯一夢が見られる仕事だそうだ。

「もっとも現実は厳しいけどね。」

とケイトさんが言う。

「本当に金が稼げる冒険者なんてほんの一握りよ。まあ、私達でも他の仕事に就いた孤児院の仲間よりは稼いでいるけれど、命懸けだし、長く続けられる仕事ではないしね...。やっぱり教育は大事よね。読み書きと計算が出来るだけでも、何か他の良い仕事に付けたかもしれないわ。」

 親がいないという点では私もケイトさんやカラシンさんと同じだ、もっとも私には精霊のお母さんがいた。読み書きや計算も一応できる。ずいぶん恵まれていたんだなと実感した。お母さん、今頃何をしているのかな? お母さんに人間の社会に行けと言われたときは見捨てられたと感じたけれど、ひょっとしたら本当に私の将来を考えてくれたんだろうか...。

 ケイトさんとカラシンさんの次はマイケルさんの話になる。マイケルさんは以前聞いた通り、薬師の家に生まれたそうだ。5人兄弟の長男だったらしい。

「生まれつき身体が大きかったこともあって、ガキ大将だったんス。遊んでばかりいてちっとも勉強しなかったから、親父には叱られてばっかりいたっス。その内に冒険者にあこがれて、親父に薬師なんか嫌だ、冒険者に成るんだと宣言したんス。そりゃ、怒られましたっス。稼業を継がないつもりかって。でも本当は自分で分かっていたんスよ、俺では薬師は無理だって、親父が読んでいる難しい本なんか見るだけで頭が痛くなったっスからね。こんな俺が後を継ぐより、頭のいい弟が継いだ方が良いと考えて家を飛び出したっス。15歳の時ス。それから冒険者になって、ケイトさんとカラシンさんのチームに入れてもらったわけっス。」

「マイケルが入ってくれて私達も助かったわ。やっぱりふたりだけでは受けられない依頼も多いからね。」

「もっともケイトが受けて来る依頼は危ないものが多いけどな。強気すぎるんだよ。いつかの狼退治の時なんか...」

とカラシンさんが言いかけるのをケイトさんが遮る。

「スト~~プ、あの時は悪かったって。まさかあんなに大群で来るとは思ってなかったのよ。どおりで報酬がよかったはずよ。反省してるって。」

どうやら、昔何かあった様だ。でもカラシンさんもケイトさんを非難しているというよりは、からかっているという感じだし。仲は悪くなさそうだ。

 次は私の番かなと思って口を開いた。

「わたし、あかちゃんのとき...」

と言いかけたのだが、どういうわけかカラシンさんが慌てたように口を挟んだ、

「ソフィア、別に無理にいわなくても...」

その時、突然殺気を感知した。咄嗟に防御結界を周りに展開する。しばらくして飛んできた数本の矢が結界に弾かれる。ケイトさん、カラシンさん、マイケルさんの3人も即座に武器を取って戦闘体制に入った。

「けっかいをはった。や、きてもだいじょうぶ。」

と言うと3人が頷く。だが暗くて襲撃者の姿は見えない。どこから狙われているのか分からないという恐怖が私達に襲い掛かる。逆に焚火の傍にいる私達は襲撃者からは丸見えのはずだ。私は焚火に手を翳し一気に冷却して炎を消した。一瞬にして周りを暗闇が覆う。

「いまのうちに、いどうする」

と言うと、3人から承諾の返事が返ってくる。バラバラにならない様に手を繋ぎあってケイトさんを先頭に手探りで草むらの中に入り込む。これで条件は対等になったはずだ。 

「ソフィア、探査魔法で敵を調べられるか?」

とカラシンさんが囁く、そうだよ、その手があった。しっかりしろ私!

「できる」

と答えて探査魔法を発動する。

「てき、にんげん10にん、かこまれてる」

と探査魔法の結果をカラシンさんに知らせる。敵の位置は分かったが、攻撃するのにファイヤーボールみたいに光る魔法を使ったら、私達の居る場所が敵に分かってしまう。攻撃の瞬間は防御結界も解除する必要があるから、こちらの攻撃と同時に攻撃されたら危険だ。光を発しない魔法、もしくは10人を同時に攻撃出来る魔法を使うんだ。

 同時に攻撃と考えて真っ先に思い浮かんだのは、村を襲ったオーガふたりを一瞬で倒したお母さんの雷魔法だ。あれほど強力な魔法は無理だが、雷魔法なら同時攻撃は可能だ。でもあんまり分散すると身体が一瞬痺れる程度で終わってしまうかもしれない。全力で行かないと...。

「カラシン、にんげんをころす、よい?」

オーガを倒した時には何も言われなかったが、今回の相手は人間だ。同族を殺したら怒られるかもしれないと思い確認すると、しばらく間があってから、「構わない」と返事があった。だったらやるだけだ。だが、

「待って、どうするつもり?」

とケイトさんが囁いて来た。

「かみなりまほう、つかう」

「ひとりで全部やろうとしてはダメよ。私達も協力するわ。」

それはありがたい、さすがに10人を一度に攻撃するのは難しいと思っていたんだ。それから4人で攻撃の段取りを相談した。

 まず、私が上空に光魔法の光球を打ち上げる。一瞬にして辺りは昼間の様に明るくなった。打ち上げる瞬間には防御結界を解いたが、すぐに張りなおしたので問題なしだ。周りが明るくなると敵の姿も確認できた。全員が弓矢で武装している。敵の位置を確認すると、すぐにケイトさんが矢を放つ。私はケイトさんが矢を放つ間だけ、結界を歪めてケイトさんの前面の結界に穴を開け、矢が通過するとすぐに閉じる。

 ケイトさんの矢は見事にすぐ近くにいた敵の額に突き刺さった。次の瞬間、周り中から矢が飛んで来るがすべて結界に弾かれる。

「次はあの3人よ、いいわね!」

とケイトさんが大きな声で指示する。

「いくわよ、3...2...1...今よ!」

 今度はケイトさんの矢での攻撃に、カラシンさんのファイヤーボール、マイケルさんの投げナイフが加わる。どれも相手を一撃で仕留めた様だ。私は防御結界の操作係なので攻撃はしていない。3人が攻撃するときに結界に穴を開けるのが役目だ。

「次はあっちよ、カラシン、ぐずぐずしないで詠唱しなさい。」

「いいわね、せーの...はい!」

ケイトさんの合図で結界に穴を開けると、今度も見事に敵を3人倒した。残りは3人。だが残りの敵は悲鳴を上げながら逃げ出した。全員がケイトさんに注目するが、ケイトさんが首を横に振ると攻撃態勢を解いた。

「ソフィアの結界のおかげで何とかなったわね。」

とケイトさんが言う。

「ちょっと可哀そうでしたけどね。敵の攻撃はすべて結界に防がれるのに、俺達の攻撃だけは通過するんですから。」

「いきなり夜襲してくる奴等に同情する必要はないさ。奴等もこれで懲りたろう。」

「山賊の噂は本当だったんですね。」

「そうね、山賊兼農民だけど。」

と、敵の死体を調べていたケイトさんが言う。それからケイトさんは自分の荷物をまさぐっていたが、何かを持って死体のひとつに向かって引き返した。

「ソフィア、悪いけど、これを使わせてもらうわね。」

と言って、手の中にある物を見せて来る。ケイトさんの手の中にあるのは私が渡した回復薬だった。ケイトさんは私の返事を待たず、回復薬を倒れている山賊の口に流し込んだ。どうやら、死体ではなくまだ息があった様だ。しばらくすると山賊の身体が淡く輝き傷が全快する。

「驚いた! 本物じゃない...。」

とケイトさんが呟くのが聞こえた。




(カラシン視点)

 ソフィアの防御結界のお陰で、なんとか山賊を撃退することが出来た。それにしても結界の形をあんな風に自由に変化させるなんて聞いたことが無い。魔族の魔法なんだろうけれど、ソフィアが敵でなくて良かったと改めて痛感した。そういえば、ソフィアは戦闘を始める前に山賊を殺して良いか俺に確認してくれた。自分の命が狙われたのにも関わらずだ。俺はそれが嬉しかった。ソフィアは人間の敵じゃない、そう確信が持てたんだ。

 戦闘が終わって、こんな死体だらけの場所からは移動した方が良いかなと考えていた時。ケイトが山賊のひとりに回復薬を使いやがった。どうやらまだ死んでなかった様だ。だけど、貴重な回復薬を自分達を襲った山賊に使うなんて、いかにもケイトらしい。

 山賊は目を覚ますと、俺達に囲まれていると知って「ヒッ」と短い悲鳴を上げた後、

「い、命だけは助けてくれ! 俺達が悪かった。何でもする。」

と引きつった声で言ってきた。20歳くらいの若い男で、酷く痩せている。服装も汚れてすり切れたみすぼらしいものだ。

「殺しはしないから安心しなさい。で、何であんなことをしたの?」

とケイトが詰問する。

「食い物が欲しかったんだよ。今年は不作なのに役人の奴ら、税だと言ってあるだけ全部持っていきやがった。村には子供達に食べさせるものも残ってねえんだ。」

「なるほどね、それで旅人を襲って金や食料を奪っていたわけね。この辺りの農村は皆そうなの?」

「あ、ああ。今年はこの辺り一帯が不作だ。詳しくは知らないが状況は変わらないだろう。もともと、農業に適さない土地を無理やり畑にしているからな。」

「分かったわ、もう行ってもいいわよ。でも朝になったらお仲間の死体を埋葬してあげてね。」

そう言われて初めて、周りに仲間の死体が転がっていることに気付いた様だ。

「うわぁ~~~~!!!」

と言葉にならない叫びをあげながら、男は走り去った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。 昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。 逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。 でも、私は不幸じゃなかった。 私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。 彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。 私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー 例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。 「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」 「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」 夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。 カインも結局、私を裏切るのね。 エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。 それなら、もういいわ。全部、要らない。 絶対に許さないわ。 私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー! 覚悟していてね? 私は、絶対に貴方達を許さないから。 「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。 私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。 ざまぁみろ」 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

転生調理令嬢は諦めることを知らない

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。  主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。  追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。  2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います

ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」 公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。 本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか? 義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。 不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます! この作品は小説家になろうでも掲載しています

処理中です...