4 / 8
第2章 荒野
おじいちゃんは超能力者!?
しおりを挟むガラガラガラ。
マサのおじいちゃんが吹雪の中から帰ってきた。マフラーに手袋に5枚着プラスコートという完全防備を解きながら玄関に座って靴を脱ぐ。よっぽど寒かったのだろう。
こんな日は、家族団らんこたつで暖まるのがこの家だ。
団らんというと、こたつを囲んで車座になり、中心にはみかんもしくはせんべいを籠に入れて置き、周りの人達は会話や昔遊び、新聞やまんが読みをして一時を過ごすーー
マサの家は、この典型的な団らんをする。おじいちゃん、おばあちゃん、マサ、お父さん、お母さんが揃うと、団らんの始まりだ。
最初はみんな学校や家の話をしていたが、おじいちゃんは急に超能力の話をし始めた。どうやらテレビで、指先から「小さな竜巻」を出すエスパー少年を見たらしい。
「いやぁ、ワシには無理じゃがなぁ。」
そう言って人差し指を立てたおじいちゃんが、大声を上げて腰を抜かした。
なんとおじいちゃんの指先には、オレンジ色の竜巻らしきものがあったのである。
もっとすごいのは、おじいちゃんがみかんを恐る恐る見つめた時。みかんはちょうど3秒後に皮がシュルシュル剥け始めて、うさぎ型になった。
その後も、おじいちゃんが手で招くようなポーズをすると、部屋の上空に天体が浮かんだ。太陽の周りを、地球、土星、木星などがくるくる回っている。
おじいちゃんも家族も、これには種も仕掛けもないとあ然としていたが、ついにおじいちゃんが声を上げた。
「ワ……ワ……ワ……ワシは超能力者なんじゃああ!」
おじいちゃんの、感嘆と驚愕の混じった声が、我が家にこだました。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一寸先は闇 冬・早春の特別編
北瓜 彪
現代文学
「一寸先は闇」シリーズ初の特別編!
雑居ビルの中の一室に店を構える最近話題の占い師・阿佐田しのぶのもとを訪れた主人公の聡美は…。(「デジャ・ヴ」)
意外な結末と共に訪れる衝撃と悲劇。非日常と不思議という冬を越した先、8つの物語はどんな花を咲かせるのか…どうぞお見届け下さい。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
庭木を切った隣人が刑事訴訟を恐れて小学生の娘を謝罪に来させたアホな実話
フルーツパフェ
大衆娯楽
祝!! 慰謝料30万円獲得記念の知人の体験談!
隣人宅の植木を許可なく切ることは紛れもない犯罪です。
30万円以下の罰金・過料、もしくは3年以下の懲役に処される可能性があります。
そうとは知らずに短気を起こして家の庭木を切った隣人(40代職業不詳・男)。
刑事訴訟になることを恐れた彼が取った行動は、まだ小学生の娘達を謝りに行かせることだった!?
子供ならば許してくれるとでも思ったのか。
「ごめんなさい、お尻ぺんぺんで許してくれますか?」
大人達の事情も知らず、健気に罪滅ぼしをしようとする少女を、あなたは許せるだろうか。
余りに情けない親子の末路を描く実話。
※一部、演出を含んでいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる