一寸先は闇0

北瓜 彪

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第2章 荒野

おじいちゃんは超能力者!?

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 ガラガラガラ。
 マサのおじいちゃんが吹雪の中から帰ってきた。マフラーに手袋に5枚着プラスコートという完全防備を解きながら玄関に座って靴を脱ぐ。よっぽど寒かったのだろう。
 こんな日は、家族団らんこたつで暖まるのがこの家だ。
 団らんというと、こたつを囲んで車座になり、中心にはみかんもしくはせんべいを籠に入れて置き、周りの人達は会話や昔遊び、新聞やまんが読みをして一時を過ごすーー
 マサの家は、この典型的な団らんをする。おじいちゃん、おばあちゃん、マサ、お父さん、お母さんが揃うと、団らんの始まりだ。

 最初はみんな学校や家の話をしていたが、おじいちゃんは急に超能力の話をし始めた。どうやらテレビで、指先から「小さな竜巻」を出すエスパー少年を見たらしい。
「いやぁ、ワシには無理じゃがなぁ。」
  そう言って人差し指を立てたおじいちゃんが、大声を上げて腰を抜かした。
 なんとおじいちゃんの指先には、オレンジ色の竜巻らしきものがあったのである。

 もっとすごいのは、おじいちゃんがみかんを恐る恐る見つめた時。みかんはちょうど3秒後に皮がシュルシュル剥け始めて、うさぎ型になった。
 その後も、おじいちゃんが手で招くようなポーズをすると、部屋の上空に天体が浮かんだ。太陽の周りを、地球、土星、木星などがくるくる回っている。
 おじいちゃんも家族も、これには種も仕掛けもないとあ然としていたが、ついにおじいちゃんが声を上げた。
 「ワ……ワ……ワ……ワシは超能力者なんじゃああ!」
 おじいちゃんの、感嘆と驚愕の混じった声が、我が家にこだました。
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