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2019年 8月の作品
赤い糸の向こう側#4
しおりを挟む「神田くんってさ、好きな人いるの?」
あの時の僕は尋常じゃなかった。好きな人に好きな人の事を聞かれたのだから。6年間ずっと好きだった彼女との距離が、最後の半年、偶々隣の席になったのを境に急に縮まった。彼女が頻繁に声をかけてくれる様になり、僕は取り乱し始めた。しかし告白する勇気までは持てなかった。
1ヶ月前、彼女を久しぶりに見かけてから、僕の気持ちは再燃した。彼女の学校で自殺未遂があったと聞いて心配になった僕は再び彼女の家の前に来た。
「神田くん…。」
彼女は外出するところだった様だ。
「久しぶり…。あ…大丈夫だった?秋葉さんの学校、大変だったみたいだけど…」
偶然と何気なさを装って言う。すぐに視線を泳がせてしまったら、また庭の赤い実が目に飛び込んできた。
「ああ…ありがと……。飛び降りた人、マサミちゃんが好きだった人みたいで……ほら、小学校の時、神田くんが好きって言ってた…。」
僕は絶句した。可知正美は、僕が彼女ーー秋葉栞奈の次に気になっていた相手だった。
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