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プロローグ

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 僕が最初に明確めいかくに覚えている記憶は、母の亡骸なきがら無残むざんに横たわっている姿だった。

 その前のもっと幼い頃の記憶はない。たぶんその時の記憶が鮮烈せんれつすぎて、ぶっ飛んだのだと思う。
ぽかんと石造りの粗末そまつな天井を見上げた母を見て、そいつらは笑っていた。
憎いとか悲しいとかよりも恐怖を強く感じた、それと諦観ていかん
母の腹の中から、白い何かが見えていたが、それが何なのか考えたくはなかった、ただ、そいつらが言った言葉が頭の中をぐるぐると回っていた。

「あーあ、オメガに産まれなかったらこんな目に会わずに済んだのにな」
「てか、腹切るのはやりすぎ、もしかしたらお前の子が腹にいたかもだろ?」
「ぎゃはは、ねーよ多分、前の祭りの時、こいつの相手をした覚えはねえしな」
「ま、オメガだから仕方ないか」

 オメガだとこんな目に会うのか。そんなにオメガは悪い物なのかと、その会話と、母の死の映像が頭の中でぐるぐるまわり、弾けた。
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