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第20話 第四回戦
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「萌音、学校行こうぜ!」
京平は、萌音の家のインターフォンを鳴らした。
萌音の家からは、誰も出てこない。
「おはよう、萌音! 今日は珍しく、俺の方が早かったな!」
だが、京平の目には萌音が映っていた。
京平にしか見えない萌音の幻影が。
「来週、テストだよなー」
「はー、やだやだ。なんか、毎月テストある気がしねえ? 絶対多すぎるだろ」
「そういえば、今日はグラウンド集合だっけ? なんだろ? 体育会……は、まだ先だよな?」
京平は歩く。
一人で。
デスゲームの影響で、街を歩く人間がほとんどいないのが、京平にとっては幸いか。
京平の姿を見た道行く人々は、京平を避けるようにしてすれ違う。
「あ、東君?」
「白石さん、おはよう」
恐る恐る京平に声をかけた青澄は、いつもと変わらぬ返答をする京平に、恐怖を抱く。
表情も、声のトーンも、何もかも変わらない。
先週とは打って変わった穏やかさが、まるで嵐の前の静けさに感じられた。
「え、えーっと……」
「白石さんも、今から学校?」
「え、あ、うん」
「なら、折角だし一緒に行こう。三人で」
が、嵐の正体を、青澄はすぐに理解した。
「え……ええ……」
理解したうえで、京平を否定しなかった。
京平と青澄は、二人で学校へと向かった。
京平は壊れてしまった、というのが、青澄の解釈だ。
青澄から見れば、京平は幼馴染の萌音を失い、同時にいつのまにやら第三回戦でペアを組むくらいに仲良くなった千雪を失っているのだ。
青澄自身もペアの友人を一人失ってはいるが、京平の喪失感はその比でないと理解できた。
少なくとも青澄は、感情が壊れたりはしていないのだから。
グラウンドには、生徒たちが集合していた。
欠席者ゼロ。
遅刻者ゼロ。
「ずいぶん、減ったよね」
青澄が呟く。
元々六百人弱いた生徒数は、第一回戦で三百人弱となり、第二回戦で百人前後となり、第三回戦で四十人となった。
全十五クラスの内、生き残ったのは僅か一クラス分の四十人。
四十人に対してグラウンドの大きさは、余りにも広い。
「……ちーっす」
始業時間となり、今日もすかい君はやってくる。
いつもと違うのは、マラソンをした後かのように疲れて切っており、テンションが低いくらいだ。
誰もが異変を感じるが、誰もすかい君を心配する者はいない。
「……ちくしょう。なんで、このすかい君がルール決めなんて。はあー」
すかい君はとぼとぼ歩いて、集まった生徒たちの前に立つと、力なく手を叩く。
叩いた手を離すと、右手と左手の間から漁に使う網が現れて、あやとりでもしているような格好となる。
「それもこれもあいつの……。はあー」
そして、左手を網から離し、右手で掴んだ網を集まった生徒たちに投げつける。
「ひいっ!?」
生徒たちは魚のように網で捉えられ、すかい君は生徒たちを閉じ込めた網を肩に担ぐ。
途中で網の口が開かないように厳重に縛り、網を持ったまま跳びはねた。
「ぎゃあああ!?」
「ひいいい!?」
網の中では、生徒たちが上下に振られ、左右に振られ、隣の生徒と何度もぶつかる。
すかい君は、屋根を踏んでは次の屋根へと飛び移る。
絶叫マシーンに乗っているような揺れに、数人の生徒が乗り物酔いを起こす。
しかし、すかい君は止まらない。
近づいてくるのは、渋谷。
すかい君は、渋谷の交差点にドンと着地して、網を交差点のアスファルトへ置いた。
生徒たちはぐらぐらする頭を押さえながら、網から這い出し、自分のいる場所を確認する。
渋谷の交差点には、次から次へとすかい君が着地してきて、網を置いていく。
網からは、次から次へと高校生たちが、這い出してきている。
生き残った東京都の高校生たちが、渋谷交差点へと集められた。
東京都の高校生の数は、三十二万人。
第一回戦で半数強が死に、十六万人。
第二回戦で六割が死に、六万五千人。
第三回戦で半数強が死に、三万二千人。
「あらー? 全員は、無理だなあ」
もちろん、渋谷交差点の広さに三万人以上が集まるのは不可能だ。
よって、すかい君は、交差点の周囲の道路や公園に高校生たちを蒔いていく。
スペースが足りなければ増やすだけ。
「全員集め終えたー! 疲れたー!」
仕事を終えたすかい君は、全員で空にジャンプし空中の一点に集まった。
そして、ぶつかった瞬間にまざりあって一人になり、まざりあって一人になりを繰り返し、最後には一人のすかい君だけが残った。
残ったすかい君は渋谷の交差点の中心に着地して、口の中から巨大なメガホンを取り出して、大声で叫んだ。
「あ! ああー! 聞こえますかー?」
すかい君に近い者にも遠い者にも、平等に声が届く。
さすがは第三回戦まで生き残った者たちと言うべきか、ざわつきはない。
次はいったい何のゲームなのか、どんなゲームだろうと生き延びてやるという、覚悟を決めた瞳ですかい君の言葉を待つ。
「第四回戦は、難しいルールはありません。名付けて、東京鬼ごっこ。東京に一匹、鬼を放ちます。鬼は、君たちを追いかけて、棍棒で叩き潰していきます。君たちは、鬼から逃げてください。鬼に叩き潰されたら死亡。東京都から出ても死亡。半分が死んだ時点でゲーム終了。生き残った人が、ゲームクリアです」
やる気のない声で、すかい君はだらだらと話す。
というのも、今回京平が決めたのは、鬼が棍棒で高校生を叩き殺す鬼ごっこ、という概要だけ。
鬼ごっこが何を指すのか、公表するルールと非公表とするルールをどうするか、詳細は一切決めていない。
否、京平に決められるほどの正気がなかった
神もまた京平の状態を理解し、ルールを決める役目をすかい君に丸投げした。
それが、前日の夜。
すかい君は、見事完徹で細かいルールを作り上げ、代償として疲労と怒りでやる気を失っていた。
頭の中には、さっさとゲームを終えて帰って寝たい、という思いしかない。
「質問いいですか?」
「駄目」
だから、四回戦にして初めて、すかい君は質問を断った。
質問によって公表しないルールを暴かれ、ゲーム終了時間が伸びるのを嫌がったらだ。
東京鬼ごっこに、時間制限はない。
すかい君はさっさと終わらせたい。
「はいじゃあ、ゲームスタートー」
質問の余地を与えられず唐突に始まったゲームに、高校生たちは驚き、しかしぱらぱらと移動を始める。
鬼が、どこにいるかもわからないし、どんな形をしているのかもわからない。
ゲームの参加者三万二千人に対して、鬼が一匹しかいないと言うことは、ゲームの終了まで何時間を想定しているのかわからない。
半日もかかる場合、食事はどうすればいいのか。
様々な疑問を抱いたまま動き出す。
行動パターンは、大きく三つ。
渋谷の交差点に鬼らしき存在がいないのであれば、現時点では大胆に動いて問題ないと判断し、全速力で遠くへと動く者。
渋谷の交差点に鬼らしき存在がいないのであれば、これから移動しようとしている先に鬼がいるのではないかと判断し、裏道や物陰を利用して慎重に動く者。
「待ってくれ、質問に答えてくれ! せめて、鬼ってどんな格好をしてるのかくらい!」
そして、交差点の真ん中に立ち尽くすすかい君に近づく者。
「ごーお、ろーく」
すかい君い近づいた者たちは、確かに聞いた。
「なーな、はーち」
すかい君が、小さく数字を数えている声を。
鬼ごっこが始まった後に、数字を数える存在は誰か。
訊くまでもない。
鬼である。
「きゅーう」
「お、鬼はすかい君だ!!」
「じゅう」
すかい君い近づいた者たちは、体を百八十度回転させ、すかい君から少しでも離れようと全力で走り始める。
十を数え終えたすかい君は、右斜め上を向く。
すかい君の視線の先には、突然マシンガンが現れ、落下する。
すかい君は落下するライフル銃を手に取って、銃口を逃げる高校生たちに向け、引き金を引いた。
バラララララララ、と無数の銃弾が放たれ、高校生たちの足を貫く。
「ぎゃああ!?」
「いてえ! いてえよお!」
足を貫かれた高校生たちはその場に倒れ、手だけを使って必死に体を動かす。
少しでも、すかい君から離れるように。
すかい君は、足音を立てて高校生に近づき、いつの間にか持っていた棍棒で、倒れる高校生の頭を叩き割った。
ガン。
ゴン。
グショ。
頭部は割れて、頭部の下のアスファルトがへこむ。
東京鬼ごっこの、鬼のルール。
棍棒を使って殺すこと。
棍棒を使わずに殺した相手は、ゲームによって死んだ扱いにはならない。
だから、すかい君はげんなりとしながら棍棒を振り回し、一人ひとり殺していく。
「ちくしょう。棍棒で、なんて余計なルールつけやがって」
もしも、棍棒ルールがなければ、すかい君は爆弾でも落として、半分以上を即座に殺しにかかっていただろう。
とはいえ、面倒なルールにそのまま従うほど、すかい君は馬鹿ではない。
棍棒で殺すという作業を、早く終わらせるルールを二つ組み込んでいた。
一つは、棍棒以外の武器を使えること。
棍棒で殺すことが条件だが、マシンガンで動きを止めてはいけないというルールはない。
そしてもう一つのルール。
東京に、アナウンスが響く。
「五分が経過しました。鬼の数が倍になります」
五分ごとに鬼が倍になるルール。
五分後に、鬼は二匹。
十分後に、鬼は四匹。
三十分後に、鬼は六十四匹。
一時間後に、鬼は四千九十六匹。
棍棒で殺す存在を増やして、ゲームを速く終わらせるためのルール。
京平は、萌音の家のインターフォンを鳴らした。
萌音の家からは、誰も出てこない。
「おはよう、萌音! 今日は珍しく、俺の方が早かったな!」
だが、京平の目には萌音が映っていた。
京平にしか見えない萌音の幻影が。
「来週、テストだよなー」
「はー、やだやだ。なんか、毎月テストある気がしねえ? 絶対多すぎるだろ」
「そういえば、今日はグラウンド集合だっけ? なんだろ? 体育会……は、まだ先だよな?」
京平は歩く。
一人で。
デスゲームの影響で、街を歩く人間がほとんどいないのが、京平にとっては幸いか。
京平の姿を見た道行く人々は、京平を避けるようにしてすれ違う。
「あ、東君?」
「白石さん、おはよう」
恐る恐る京平に声をかけた青澄は、いつもと変わらぬ返答をする京平に、恐怖を抱く。
表情も、声のトーンも、何もかも変わらない。
先週とは打って変わった穏やかさが、まるで嵐の前の静けさに感じられた。
「え、えーっと……」
「白石さんも、今から学校?」
「え、あ、うん」
「なら、折角だし一緒に行こう。三人で」
が、嵐の正体を、青澄はすぐに理解した。
「え……ええ……」
理解したうえで、京平を否定しなかった。
京平と青澄は、二人で学校へと向かった。
京平は壊れてしまった、というのが、青澄の解釈だ。
青澄から見れば、京平は幼馴染の萌音を失い、同時にいつのまにやら第三回戦でペアを組むくらいに仲良くなった千雪を失っているのだ。
青澄自身もペアの友人を一人失ってはいるが、京平の喪失感はその比でないと理解できた。
少なくとも青澄は、感情が壊れたりはしていないのだから。
グラウンドには、生徒たちが集合していた。
欠席者ゼロ。
遅刻者ゼロ。
「ずいぶん、減ったよね」
青澄が呟く。
元々六百人弱いた生徒数は、第一回戦で三百人弱となり、第二回戦で百人前後となり、第三回戦で四十人となった。
全十五クラスの内、生き残ったのは僅か一クラス分の四十人。
四十人に対してグラウンドの大きさは、余りにも広い。
「……ちーっす」
始業時間となり、今日もすかい君はやってくる。
いつもと違うのは、マラソンをした後かのように疲れて切っており、テンションが低いくらいだ。
誰もが異変を感じるが、誰もすかい君を心配する者はいない。
「……ちくしょう。なんで、このすかい君がルール決めなんて。はあー」
すかい君はとぼとぼ歩いて、集まった生徒たちの前に立つと、力なく手を叩く。
叩いた手を離すと、右手と左手の間から漁に使う網が現れて、あやとりでもしているような格好となる。
「それもこれもあいつの……。はあー」
そして、左手を網から離し、右手で掴んだ網を集まった生徒たちに投げつける。
「ひいっ!?」
生徒たちは魚のように網で捉えられ、すかい君は生徒たちを閉じ込めた網を肩に担ぐ。
途中で網の口が開かないように厳重に縛り、網を持ったまま跳びはねた。
「ぎゃあああ!?」
「ひいいい!?」
網の中では、生徒たちが上下に振られ、左右に振られ、隣の生徒と何度もぶつかる。
すかい君は、屋根を踏んでは次の屋根へと飛び移る。
絶叫マシーンに乗っているような揺れに、数人の生徒が乗り物酔いを起こす。
しかし、すかい君は止まらない。
近づいてくるのは、渋谷。
すかい君は、渋谷の交差点にドンと着地して、網を交差点のアスファルトへ置いた。
生徒たちはぐらぐらする頭を押さえながら、網から這い出し、自分のいる場所を確認する。
渋谷の交差点には、次から次へとすかい君が着地してきて、網を置いていく。
網からは、次から次へと高校生たちが、這い出してきている。
生き残った東京都の高校生たちが、渋谷交差点へと集められた。
東京都の高校生の数は、三十二万人。
第一回戦で半数強が死に、十六万人。
第二回戦で六割が死に、六万五千人。
第三回戦で半数強が死に、三万二千人。
「あらー? 全員は、無理だなあ」
もちろん、渋谷交差点の広さに三万人以上が集まるのは不可能だ。
よって、すかい君は、交差点の周囲の道路や公園に高校生たちを蒔いていく。
スペースが足りなければ増やすだけ。
「全員集め終えたー! 疲れたー!」
仕事を終えたすかい君は、全員で空にジャンプし空中の一点に集まった。
そして、ぶつかった瞬間にまざりあって一人になり、まざりあって一人になりを繰り返し、最後には一人のすかい君だけが残った。
残ったすかい君は渋谷の交差点の中心に着地して、口の中から巨大なメガホンを取り出して、大声で叫んだ。
「あ! ああー! 聞こえますかー?」
すかい君に近い者にも遠い者にも、平等に声が届く。
さすがは第三回戦まで生き残った者たちと言うべきか、ざわつきはない。
次はいったい何のゲームなのか、どんなゲームだろうと生き延びてやるという、覚悟を決めた瞳ですかい君の言葉を待つ。
「第四回戦は、難しいルールはありません。名付けて、東京鬼ごっこ。東京に一匹、鬼を放ちます。鬼は、君たちを追いかけて、棍棒で叩き潰していきます。君たちは、鬼から逃げてください。鬼に叩き潰されたら死亡。東京都から出ても死亡。半分が死んだ時点でゲーム終了。生き残った人が、ゲームクリアです」
やる気のない声で、すかい君はだらだらと話す。
というのも、今回京平が決めたのは、鬼が棍棒で高校生を叩き殺す鬼ごっこ、という概要だけ。
鬼ごっこが何を指すのか、公表するルールと非公表とするルールをどうするか、詳細は一切決めていない。
否、京平に決められるほどの正気がなかった
神もまた京平の状態を理解し、ルールを決める役目をすかい君に丸投げした。
それが、前日の夜。
すかい君は、見事完徹で細かいルールを作り上げ、代償として疲労と怒りでやる気を失っていた。
頭の中には、さっさとゲームを終えて帰って寝たい、という思いしかない。
「質問いいですか?」
「駄目」
だから、四回戦にして初めて、すかい君は質問を断った。
質問によって公表しないルールを暴かれ、ゲーム終了時間が伸びるのを嫌がったらだ。
東京鬼ごっこに、時間制限はない。
すかい君はさっさと終わらせたい。
「はいじゃあ、ゲームスタートー」
質問の余地を与えられず唐突に始まったゲームに、高校生たちは驚き、しかしぱらぱらと移動を始める。
鬼が、どこにいるかもわからないし、どんな形をしているのかもわからない。
ゲームの参加者三万二千人に対して、鬼が一匹しかいないと言うことは、ゲームの終了まで何時間を想定しているのかわからない。
半日もかかる場合、食事はどうすればいいのか。
様々な疑問を抱いたまま動き出す。
行動パターンは、大きく三つ。
渋谷の交差点に鬼らしき存在がいないのであれば、現時点では大胆に動いて問題ないと判断し、全速力で遠くへと動く者。
渋谷の交差点に鬼らしき存在がいないのであれば、これから移動しようとしている先に鬼がいるのではないかと判断し、裏道や物陰を利用して慎重に動く者。
「待ってくれ、質問に答えてくれ! せめて、鬼ってどんな格好をしてるのかくらい!」
そして、交差点の真ん中に立ち尽くすすかい君に近づく者。
「ごーお、ろーく」
すかい君い近づいた者たちは、確かに聞いた。
「なーな、はーち」
すかい君が、小さく数字を数えている声を。
鬼ごっこが始まった後に、数字を数える存在は誰か。
訊くまでもない。
鬼である。
「きゅーう」
「お、鬼はすかい君だ!!」
「じゅう」
すかい君い近づいた者たちは、体を百八十度回転させ、すかい君から少しでも離れようと全力で走り始める。
十を数え終えたすかい君は、右斜め上を向く。
すかい君の視線の先には、突然マシンガンが現れ、落下する。
すかい君は落下するライフル銃を手に取って、銃口を逃げる高校生たちに向け、引き金を引いた。
バラララララララ、と無数の銃弾が放たれ、高校生たちの足を貫く。
「ぎゃああ!?」
「いてえ! いてえよお!」
足を貫かれた高校生たちはその場に倒れ、手だけを使って必死に体を動かす。
少しでも、すかい君から離れるように。
すかい君は、足音を立てて高校生に近づき、いつの間にか持っていた棍棒で、倒れる高校生の頭を叩き割った。
ガン。
ゴン。
グショ。
頭部は割れて、頭部の下のアスファルトがへこむ。
東京鬼ごっこの、鬼のルール。
棍棒を使って殺すこと。
棍棒を使わずに殺した相手は、ゲームによって死んだ扱いにはならない。
だから、すかい君はげんなりとしながら棍棒を振り回し、一人ひとり殺していく。
「ちくしょう。棍棒で、なんて余計なルールつけやがって」
もしも、棍棒ルールがなければ、すかい君は爆弾でも落として、半分以上を即座に殺しにかかっていただろう。
とはいえ、面倒なルールにそのまま従うほど、すかい君は馬鹿ではない。
棍棒で殺すという作業を、早く終わらせるルールを二つ組み込んでいた。
一つは、棍棒以外の武器を使えること。
棍棒で殺すことが条件だが、マシンガンで動きを止めてはいけないというルールはない。
そしてもう一つのルール。
東京に、アナウンスが響く。
「五分が経過しました。鬼の数が倍になります」
五分ごとに鬼が倍になるルール。
五分後に、鬼は二匹。
十分後に、鬼は四匹。
三十分後に、鬼は六十四匹。
一時間後に、鬼は四千九十六匹。
棍棒で殺す存在を増やして、ゲームを速く終わらせるためのルール。
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