8 / 73
我慢の限界
しおりを挟む
(お腹空いたな……)
いつものようにこっそり浄化の練習をしてベッドに戻った瑛莉は朝食を楽しみに待っていた。
昨晩はエルヴィーラが神殿に出向かなければならないとのことで、別の侍女が付いてくれるはずだった。だがいつまで経っても来る気配はなく夕食の時間がとうに過ぎた頃には瑛莉は諦めてベッドに向かったのだ。
恐らくは引継ぎが上手くいっていなかったのだろう、そんな軽い気持ちでしか考えていなかったのだが――。
「え……」
皿に被せられた銀色の蓋を外せば、真っ白な皿の上には何もなく、瑛莉は思わず声を漏らしてしまった。
エルヴィーラを見ると目を瞠っていることから彼女も知らなかったのだろう。いつも淡々とした表情に驚きが浮かんでいる。
「……確認してまいります」
そう言って出て行ったエルヴィーラは、王子妃教育の時間になっても戻ってくることはなかった。
「本日はお茶会に招待された時の練習をいたしましょう」
運ばれてきたケーキスタンドには一口サイズのサンドイッチやケーキが盛り付けられており、お腹が鳴りそうになる。腹筋に力を込めてやり過ごしているとカップに紅茶が注がれる。
(茶葉が違うのか?)
いつものオレンジ色よりもずっと深い色味にそんな疑問がよぎったが、特に気にしてはいなかった。
「――っ!……苦っ」
勧められた紅茶を一口飲めば口の中に渋みが広がり、吐き出したくなるのを堪えて飲み込んだ。
「まあ、こちらは最高品質の茶葉を使っておりますのよ。飲み慣れていらっしゃらないから仕方ないのかもしれませんね」
(絶対嘘だろ!!)
よくよく見ればワゴンに乗せられたティーポットは2つあり、バロー夫人のティーカップに注がれた紅茶は明らかに瑛莉のものと色が違う。茶葉の量なのか抽出時間なのか分からないが、わざと渋みのあるお茶を準備されたのだ。
口の中をリセットしたくてケーキスタンドに手を伸ばせば、ぱしりと扇子で手の甲を叩かれた。
「勧められる前にみっともない真似はお止めくださいませ。そのように食べ物に執着することは恥ずかしいことなのですよ」
広げた扇子で口元を隠しているものの、意地悪そうな瞳に瑛莉は悟った。
昨晩から食事を与えられていないことをバロー夫人は知っているのだと。
(じゃあもう我慢なんてしなくていいな)
瑛莉の忍耐が限界に達した瞬間だった。
瑛莉はケーキスタンドごと自分の方に引き寄せると、サンドイッチを手に取り直接口に放り込んだ。勝ち誇ったようなバロー夫人の表情が崩れ、ぎょっとしたように目を瞠るのにも構わず瑛莉は食べ物を口に運ぶ。
「ま、まあ!なんて卑しいの!これだから平民は――」
甲高い声で非難するバロー夫人だが、瑛莉は雑音として聞き流す。平民だろうが貴族だろうが食べなければ腹が減るのは当たり前のことだ。
堪りかねたようにバロー夫人が扇子を振り上げるのを見て、瑛莉は冷静にケーキスタンドを片手に席を立てば、狙いが外れたバロー夫人は体勢を崩し食器がぶつかり合う耳障りな音がする。
「バロー夫人、不作法では?」
最後のケーキをお腹に収めて瑛莉が告げると、バロー夫人は顔を真っ赤にして出て行った。
(さて、どうするかな)
空腹が治まった瑛莉はどこか他人事のようにこれからのことを考えていた。
予想通り昼食が用意されることなく、午後の聖女教育が始まった。お茶菓子を食べたとはいえ、量にしてせいぜい薄い食パン1枚と小さなケーキ1個分程度である。
「本日の浄化はお休みさせていただきます」
「……ご体調が優れないのでしょうか?」
これまでになくはっきりと意見を告げる瑛莉に神官は驚きと困惑が入り混じった表情で訊ねる。
「昼食を頂いておりませんので無駄な体力を使いたくありませんの」
そう答えれば返ってきたのは侮蔑の眼差しだ。
「浄化は聖女様の大切なお仕事です。それを無駄などと……。昼食がご不満だからと子供のように駄々を兼ねるのは聖女様の在り方を問われますよ」
昼食を食べていないという瑛莉の言葉を最初から信じていないような物言いに、瑛莉は返事をすることなく黙って時が過ぎるのを待つ。先に痺れを切らしたのは神官で、ダミアーノに報告すると捨て台詞を吐いて部屋を後にした。
正直なところ一食、二食ぐらいなら食べなくても特に問題はない。だが次いつ食事にありつけるか分からない状況は瑛莉の飢餓感を煽った。
体力を消費しないようベッドに寝転がって、頭の中で想定を繰り返していくとあっという間に陽が沈む。誰も食事を運んでこないことにもはや驚きも落胆もなく、ただ冷ややかな感情だけが浮かんで消える。
(このままここにいても私は人として扱われない)
平民や貴族という階級の前に、彼らにとって異世界からきた人間は便利な道具扱いでしかないのだろう。表面上は敬っていたとしても、力を隠し無知を装っているだけで簡単に瑛莉を見下す連中ばかりだ。使用人に関しては上の立場から言われれば仕方がないのかもしれないが、それは彼らの都合であり瑛莉には関係ない。
比較的動きやすそうなドレスに着替えて、浄化していない魔石をいくつかポケットに忍ばせる。王宮から出たことはないが、図書館への出入りと窓からの景色でおおよその配置はつかんでいた。
音を立てないように窓を開けて周囲を見渡せば、目に見える範囲に見張りはいない。城の中でも奥まった場所にあり、城壁とは反対方向を向いているのでこちらを警戒する必要はないのだろう。
バルコニーではなく洗面所の窓サッシに手を添えて、瑛莉は慎重に壁のでっぱりに足を掛けた。瑛莉の部屋は3階にあるのだが、全体的に天井が高い建物のためアパートの5階建て程度の高さがある。
運が悪ければ命を落とす高さだが、瑛莉には癒しの力がある。即死しない限りは大丈夫だろうと自分を鼓舞し、ゆっくりと横に移動する。
10メートルにも満たない隣のバルコニーに辿り着いた時には安堵のあまり力が抜けた。瑛莉以外に同じ階層で居住している人物がいないことは確認済で、この部屋の出入口は瑛莉の部屋の前からは死角になる。
あとは慎重に見つからないよう建物から出て城壁を乗り越えれば人目を気にする必要はない。森を抜けて城下街まで4,5時間ほどかかりそうな距離だが、そこまでたどり着けば後は何とかなるだろう。
希望的観測ではあったが目標があることで、前向きな気分になれる。そんな期待を胸に窓を開けて一歩足を踏み入れた瞬間、強い力で瑛莉は室内に引き込まれた。
いつものようにこっそり浄化の練習をしてベッドに戻った瑛莉は朝食を楽しみに待っていた。
昨晩はエルヴィーラが神殿に出向かなければならないとのことで、別の侍女が付いてくれるはずだった。だがいつまで経っても来る気配はなく夕食の時間がとうに過ぎた頃には瑛莉は諦めてベッドに向かったのだ。
恐らくは引継ぎが上手くいっていなかったのだろう、そんな軽い気持ちでしか考えていなかったのだが――。
「え……」
皿に被せられた銀色の蓋を外せば、真っ白な皿の上には何もなく、瑛莉は思わず声を漏らしてしまった。
エルヴィーラを見ると目を瞠っていることから彼女も知らなかったのだろう。いつも淡々とした表情に驚きが浮かんでいる。
「……確認してまいります」
そう言って出て行ったエルヴィーラは、王子妃教育の時間になっても戻ってくることはなかった。
「本日はお茶会に招待された時の練習をいたしましょう」
運ばれてきたケーキスタンドには一口サイズのサンドイッチやケーキが盛り付けられており、お腹が鳴りそうになる。腹筋に力を込めてやり過ごしているとカップに紅茶が注がれる。
(茶葉が違うのか?)
いつものオレンジ色よりもずっと深い色味にそんな疑問がよぎったが、特に気にしてはいなかった。
「――っ!……苦っ」
勧められた紅茶を一口飲めば口の中に渋みが広がり、吐き出したくなるのを堪えて飲み込んだ。
「まあ、こちらは最高品質の茶葉を使っておりますのよ。飲み慣れていらっしゃらないから仕方ないのかもしれませんね」
(絶対嘘だろ!!)
よくよく見ればワゴンに乗せられたティーポットは2つあり、バロー夫人のティーカップに注がれた紅茶は明らかに瑛莉のものと色が違う。茶葉の量なのか抽出時間なのか分からないが、わざと渋みのあるお茶を準備されたのだ。
口の中をリセットしたくてケーキスタンドに手を伸ばせば、ぱしりと扇子で手の甲を叩かれた。
「勧められる前にみっともない真似はお止めくださいませ。そのように食べ物に執着することは恥ずかしいことなのですよ」
広げた扇子で口元を隠しているものの、意地悪そうな瞳に瑛莉は悟った。
昨晩から食事を与えられていないことをバロー夫人は知っているのだと。
(じゃあもう我慢なんてしなくていいな)
瑛莉の忍耐が限界に達した瞬間だった。
瑛莉はケーキスタンドごと自分の方に引き寄せると、サンドイッチを手に取り直接口に放り込んだ。勝ち誇ったようなバロー夫人の表情が崩れ、ぎょっとしたように目を瞠るのにも構わず瑛莉は食べ物を口に運ぶ。
「ま、まあ!なんて卑しいの!これだから平民は――」
甲高い声で非難するバロー夫人だが、瑛莉は雑音として聞き流す。平民だろうが貴族だろうが食べなければ腹が減るのは当たり前のことだ。
堪りかねたようにバロー夫人が扇子を振り上げるのを見て、瑛莉は冷静にケーキスタンドを片手に席を立てば、狙いが外れたバロー夫人は体勢を崩し食器がぶつかり合う耳障りな音がする。
「バロー夫人、不作法では?」
最後のケーキをお腹に収めて瑛莉が告げると、バロー夫人は顔を真っ赤にして出て行った。
(さて、どうするかな)
空腹が治まった瑛莉はどこか他人事のようにこれからのことを考えていた。
予想通り昼食が用意されることなく、午後の聖女教育が始まった。お茶菓子を食べたとはいえ、量にしてせいぜい薄い食パン1枚と小さなケーキ1個分程度である。
「本日の浄化はお休みさせていただきます」
「……ご体調が優れないのでしょうか?」
これまでになくはっきりと意見を告げる瑛莉に神官は驚きと困惑が入り混じった表情で訊ねる。
「昼食を頂いておりませんので無駄な体力を使いたくありませんの」
そう答えれば返ってきたのは侮蔑の眼差しだ。
「浄化は聖女様の大切なお仕事です。それを無駄などと……。昼食がご不満だからと子供のように駄々を兼ねるのは聖女様の在り方を問われますよ」
昼食を食べていないという瑛莉の言葉を最初から信じていないような物言いに、瑛莉は返事をすることなく黙って時が過ぎるのを待つ。先に痺れを切らしたのは神官で、ダミアーノに報告すると捨て台詞を吐いて部屋を後にした。
正直なところ一食、二食ぐらいなら食べなくても特に問題はない。だが次いつ食事にありつけるか分からない状況は瑛莉の飢餓感を煽った。
体力を消費しないようベッドに寝転がって、頭の中で想定を繰り返していくとあっという間に陽が沈む。誰も食事を運んでこないことにもはや驚きも落胆もなく、ただ冷ややかな感情だけが浮かんで消える。
(このままここにいても私は人として扱われない)
平民や貴族という階級の前に、彼らにとって異世界からきた人間は便利な道具扱いでしかないのだろう。表面上は敬っていたとしても、力を隠し無知を装っているだけで簡単に瑛莉を見下す連中ばかりだ。使用人に関しては上の立場から言われれば仕方がないのかもしれないが、それは彼らの都合であり瑛莉には関係ない。
比較的動きやすそうなドレスに着替えて、浄化していない魔石をいくつかポケットに忍ばせる。王宮から出たことはないが、図書館への出入りと窓からの景色でおおよその配置はつかんでいた。
音を立てないように窓を開けて周囲を見渡せば、目に見える範囲に見張りはいない。城の中でも奥まった場所にあり、城壁とは反対方向を向いているのでこちらを警戒する必要はないのだろう。
バルコニーではなく洗面所の窓サッシに手を添えて、瑛莉は慎重に壁のでっぱりに足を掛けた。瑛莉の部屋は3階にあるのだが、全体的に天井が高い建物のためアパートの5階建て程度の高さがある。
運が悪ければ命を落とす高さだが、瑛莉には癒しの力がある。即死しない限りは大丈夫だろうと自分を鼓舞し、ゆっくりと横に移動する。
10メートルにも満たない隣のバルコニーに辿り着いた時には安堵のあまり力が抜けた。瑛莉以外に同じ階層で居住している人物がいないことは確認済で、この部屋の出入口は瑛莉の部屋の前からは死角になる。
あとは慎重に見つからないよう建物から出て城壁を乗り越えれば人目を気にする必要はない。森を抜けて城下街まで4,5時間ほどかかりそうな距離だが、そこまでたどり着けば後は何とかなるだろう。
希望的観測ではあったが目標があることで、前向きな気分になれる。そんな期待を胸に窓を開けて一歩足を踏み入れた瞬間、強い力で瑛莉は室内に引き込まれた。
9
お気に入りに追加
954
あなたにおすすめの小説
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
【完結】聖女として召喚されましたが、無力なようなのでそろそろお暇したいと思います
藍生蕗
恋愛
聖女として異世界へ召喚された柚子。
けれどその役割を果たせないままに、三年の月日が経った。そして痺れを切らした神殿は、もう一人、新たな聖女を召喚したのだった。
柚子とは違う異世界から来たセレナは聖女としての価値を示し、また美しく皆から慕われる存在となっていく。
ここから出たい。
召喚された神殿で過ごすうちに柚子はそう思うようになった。
全てを諦めたままこのまま過ごすのは辛い。
一時、希望を見出した暮らしから離れるのは寂しかったが、それ以上に存在を忘れられる度、疎まれる度、身を削られるような気になって辛かった。
そこにあった密かに抱えていた恋心。
手放せるうちに去るべきだ。
そう考える柚子に差し伸べてくれた者たちの手を掴み、柚子は神殿から一歩踏み出すのだけど……
中編くらいの長さです。
※ 暴力的な表現がありますので、苦手な方はご注意下さい。
他のサイトでも公開しています
聖女の替え玉がんばります!~ぽんこつメイドが聖女に扮してみたら超有能。偽物だけど貴公子達に溺愛されて世直しムーブが捗ります!!~
R・S・ムスカリ
恋愛
聖都の子爵邸で働くダイアナは、失敗ばかりのぽんこつメイド。
ある日、聖女である子爵の娘が行方をくらませてしまう。
娘の失踪をごまかすため、子爵は背丈と顔が瓜二つのダイアナに身代わりを命じる。
替え玉に扮することとなった彼女は、本物顔負けの聖女を演じて世間を騒がせる一方、社交界の貴公子達から熱烈なアプローチを受ける。
しかし、彼らは口にできない秘密と心の闇を抱えていた。
ダイアナは持ち前の明るさと聖女への〝なりきり〟で彼らの心の闇を払い、共に乱れた国家、宮廷、社交界を世直ししていく。
その果てに、奇跡も魔法も使えない一少女のがんばりが、真の聖女ですら成し得なかった世界の理を改革する!!
※恋愛成分よりも冒険成分が多めです。
※中盤からマスコットキャラ(もふもふ)も登場します。
※敵味方ともに人間キャラの死亡退場はありません。
※本作は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアップ+」でも公開中です。
※HJ小説大賞2021後期 二次選考通過作品です。
氷の騎士は、還れなかったモブのリスを何度でも手中に落とす
みん
恋愛
【モブ】シリーズ③(本編完結済み)
R4.9.25☆お礼の気持ちを込めて、子達の話を投稿しています。4話程になると思います。良ければ、覗いてみて下さい。
“巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について”
“モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語”
に続く続編となります。
色々あって、無事にエディオルと結婚して幸せな日々をに送っていたハル。しかし、トラブル体質?なハルは健在だったようで──。
ハルだけではなく、パルヴァンや某国も絡んだトラブルに巻き込まれていく。
そして、そこで知った真実とは?
やっぱり、書き切れなかった話が書きたくてウズウズしたので、続編始めました。すみません。
相変わらずのゆるふわ設定なので、また、温かい目で見ていただけたら幸いです。
宜しくお願いします。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
精霊魔法は使えないけど、私の火力は最強だった
SA
恋愛
精霊魔法が盛んな国の、精霊魔法で有名な家門に、精霊魔法がまったく使えない『技能なし』として生まれた私。
精霊術士として優秀な家族に、『技能なし』でも役に立つと認めてもらいたくて、必死に努力していた。
そんなある日、魔物に襲われた猫を助けたことが発端となり、私の日常に様々な変化が訪れる。
『成人して、この家門から出ていきたい』
そう望むようになった私は、最後の儀が終わり、成人となった帰り道に、魔物に襲われ崖から転落した。
優秀な妹を助けるため、技能なしの私は兄に見殺しにされたのだ。
『精霊魔法の技能がないだけで、どうしてこんなに嫌われて、見捨てられて、死なないといけないの?』
私の中で眠っていた力が暴走する。
そんな私に手を差しのべ、暴走から救ってくれたのは…………
*誤字脱字はご容赦を。
*帝国動乱編6-2で本編完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる