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番外編~皇妃の戸惑い~【後半】
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皇妃に会いに行ったはずの陛下が、険悪な様子で戻ってきた。
狡猾な狸爺の相手やいけ好かない他国の貴族を相手にしてもこれほどピリピリした雰囲気になることはほとんどない。皇妃殿下と何かがあったことは明白である。
下手に突けば藪蛇になるとネイサンは素知らぬ顔で手元の資料に目を落としたが、聞こえて来た呟きには顔を上げざるを得なかった。
「……シャーロットに、離縁されるかもしれない」
「……何でまたそんなことになったんですか?!」
結婚して半年、まだ新婚と言えるほどの時期だというのに、席を外した一時間ほどの間に何があったというのだろう。
「触れようとしたら……拒絶された。気づかないうちに俺は何かやらかしてしまっていたらしい。……妻の変化に気づかない夫など愛想を尽かされても仕方ないが、あれほど嫌がられるということは……まさか他に想う相手でも出来たのか!」
独り言のように呟きながらも、頭の中では想定される事態が物凄い勢いで駆け巡っているようだ。その内容が危うい方向に傾きかけているのを悟り、ネイサンは口を挟むことにした。
「落ち着いてください。そのようなことがあれば皇妃付きの影から報告があるでしょう」
「彼の方にそのような害虫を近づけてはおりません」
いつの間にか扉の近くに片膝を付いている影の姿に、ネイサンはヒヤリとした。危害を加えられるわけではないと分かっているが、神出鬼没であるためどうも落ち着かない。
「シャーロットの変化に心当たりは?」
「ございますが、ケイシーと約束したので言えません。ご容赦願います」
「どういうことだ?!くそっ、逃げたか」
悪態を吐くカイルと同様にネイサンも問い質したい気分で一杯だった。そもそも陛下の影だというのに、好きな相手を優先させるなどあっていいものなのだろうか。
(陛下も皇妃最優先だし、いいんだろうな……)
諦観とともにそんなことを考えていたネイサンを現実に引き戻したのは、軽やかなノックの音だった。
「ご懐妊時はお気持ちも不安定になりがちだそうですよ」
ようやく泣き止んだシャーロットにケイシーは慰めの言葉を掛けてくれた。ケイシーの言葉と背中をさする手の温もりが心にじわりと沁み込んでいく。
「……カイル様に、嫌われてしまったかもしれないわ」
「そんなことはあり得ません。シャーロット様は陛下に同じようなことをされたらお嫌いになりますか?」
シャーロットのように醜態を晒すことなど想像できなかったが、ケイシーの言わんとすることは伝わったので、首を横にふる。
「悪いことをしたと思ったら謝ればいいんです。そうしたらすぐに仲直りできますよ」
きゅっと胸が締め付けられる感覚は痛みではなく、懐かしさのせいだ。友人だったカイを傷付けてしまった時にもケイシーは同じように諭してくれたのだ。
(ずっとケイシーがいてくれたから)
母の記憶がないからとあれこれ考えてしまったのが馬鹿みたいに思えてくる。母親になる自信はなかったが、シャーロットの側には惜しみない愛情と言葉を掛けてくれる母のような存在があったのだ。
「ケイシーは、私のもう一人のお母様みたいね。ケイシーをお手本にしたら私も良い母親になれるかしら」
九歳しか離れていないのに、母親というより姉と言うべきだっただろうかと思ったが、ケイシーは感極まったように瞳を潤ませている。
「……勿体ないお言葉です」
涙声でそう告げるケイシーに、シャーロットはもう大丈夫だと伝えるために微笑みを浮かべた。
「ロティ……」
部屋に入ってきたカイルだが、ベッドの側に控えている医者の姿に表情を曇らせる。
「カイル様、先程は取り乱してしまい申し訳ございません」
「そんなことはいいんだ。……ロティ、体調が――っ、悪い」
無意識に伸ばした手に気づき、途中で止めたのは先刻の出来事を気にしているからだろう。そんなカイルの手を両手で握りしめると、緊張が和らいでいく。生涯を共にすると誓った人はいつもシャーロットを気遣い、護ろうとしてくれる。
たくさんの人に支えられていることを実感しながら、シャーロットは口を開いた。
「カイル様、子を授かりました」
無言で目を瞠り固まったカイルの様子に少し不安になったシャーロットだったが、その瞳が潤んでいることに気づいて思わず凝視してしまった。
「――すまない。驚いて言葉が出なかった。ロティ、横になったほうがいいんじゃないか?何か欲しい物は?無理をしてはいけないぞ」
驚きに固まっていたことを恥じるかのように僅かに頬を赤らめながら、カイルはそわそわと落ち着かない素振りを見せる。だがその瞳が徐々に歓喜に輝くのを見てシャーロットの胸にもじわりと温かさが灯る。
「ロティ……その触れてもいいか?」
「ええ、もちろんですわ」
壊れものに触れるかのように慎重にそっと腹部に手を当てている。カイルにとっても初めてのことなのだ。
「名前を考えておかないとな」
「まあ、まだ性別も分かっていませんよ」
気が早いと笑うシャーロットに、カイルは真剣な表情で返す。
「名は子供への最初の贈り物だそうだ。良い名前を贈ってやりたいから早めに考えておいて損はない。二人で一緒に考えよう」
優しい眼差しは自分を見つめる父を思い起こさせる。そしてケイシーをはじめ、多くの使用人が同じような温かい愛情を注がれていたことも。
「ロティは明日から公務をしては駄目だぞ。部屋を出なくてもいいように必要なものを全て手配しておくし、明日から滋養のある食事を用意させよう。乳母の候補者探しと、ああ、子供用の衣類もたくさん準備しておかなきゃな」
「……カイル様、少々先走り過ぎではありませんか?」
張り切るカイルを見兼ねたのか、医者が妊娠中の過ごし方について懇々と説明している。おかげで部屋に籠りきりになるのは免れたようだ。
真面目な顔つきながらしゅんとするカイルを見て、シャーロットは小さく笑ってしまった。
(初めから母親や父親になれるわけじゃないのだわ)
最初は間違うことだってあるだろうし、全てが完璧に出来るわけではないだろう。だけどお腹の子がいつも笑顔でいられるように、幸せでいられるようにしてあげたい。
カイルとなら、エドワルド帝国でならきっと大丈夫だろう。
妊娠を示唆された時の戸惑いはすっかり消え失せていて、シャーロットは満ち足りた気持ちで微笑んでいた。
狡猾な狸爺の相手やいけ好かない他国の貴族を相手にしてもこれほどピリピリした雰囲気になることはほとんどない。皇妃殿下と何かがあったことは明白である。
下手に突けば藪蛇になるとネイサンは素知らぬ顔で手元の資料に目を落としたが、聞こえて来た呟きには顔を上げざるを得なかった。
「……シャーロットに、離縁されるかもしれない」
「……何でまたそんなことになったんですか?!」
結婚して半年、まだ新婚と言えるほどの時期だというのに、席を外した一時間ほどの間に何があったというのだろう。
「触れようとしたら……拒絶された。気づかないうちに俺は何かやらかしてしまっていたらしい。……妻の変化に気づかない夫など愛想を尽かされても仕方ないが、あれほど嫌がられるということは……まさか他に想う相手でも出来たのか!」
独り言のように呟きながらも、頭の中では想定される事態が物凄い勢いで駆け巡っているようだ。その内容が危うい方向に傾きかけているのを悟り、ネイサンは口を挟むことにした。
「落ち着いてください。そのようなことがあれば皇妃付きの影から報告があるでしょう」
「彼の方にそのような害虫を近づけてはおりません」
いつの間にか扉の近くに片膝を付いている影の姿に、ネイサンはヒヤリとした。危害を加えられるわけではないと分かっているが、神出鬼没であるためどうも落ち着かない。
「シャーロットの変化に心当たりは?」
「ございますが、ケイシーと約束したので言えません。ご容赦願います」
「どういうことだ?!くそっ、逃げたか」
悪態を吐くカイルと同様にネイサンも問い質したい気分で一杯だった。そもそも陛下の影だというのに、好きな相手を優先させるなどあっていいものなのだろうか。
(陛下も皇妃最優先だし、いいんだろうな……)
諦観とともにそんなことを考えていたネイサンを現実に引き戻したのは、軽やかなノックの音だった。
「ご懐妊時はお気持ちも不安定になりがちだそうですよ」
ようやく泣き止んだシャーロットにケイシーは慰めの言葉を掛けてくれた。ケイシーの言葉と背中をさする手の温もりが心にじわりと沁み込んでいく。
「……カイル様に、嫌われてしまったかもしれないわ」
「そんなことはあり得ません。シャーロット様は陛下に同じようなことをされたらお嫌いになりますか?」
シャーロットのように醜態を晒すことなど想像できなかったが、ケイシーの言わんとすることは伝わったので、首を横にふる。
「悪いことをしたと思ったら謝ればいいんです。そうしたらすぐに仲直りできますよ」
きゅっと胸が締め付けられる感覚は痛みではなく、懐かしさのせいだ。友人だったカイを傷付けてしまった時にもケイシーは同じように諭してくれたのだ。
(ずっとケイシーがいてくれたから)
母の記憶がないからとあれこれ考えてしまったのが馬鹿みたいに思えてくる。母親になる自信はなかったが、シャーロットの側には惜しみない愛情と言葉を掛けてくれる母のような存在があったのだ。
「ケイシーは、私のもう一人のお母様みたいね。ケイシーをお手本にしたら私も良い母親になれるかしら」
九歳しか離れていないのに、母親というより姉と言うべきだっただろうかと思ったが、ケイシーは感極まったように瞳を潤ませている。
「……勿体ないお言葉です」
涙声でそう告げるケイシーに、シャーロットはもう大丈夫だと伝えるために微笑みを浮かべた。
「ロティ……」
部屋に入ってきたカイルだが、ベッドの側に控えている医者の姿に表情を曇らせる。
「カイル様、先程は取り乱してしまい申し訳ございません」
「そんなことはいいんだ。……ロティ、体調が――っ、悪い」
無意識に伸ばした手に気づき、途中で止めたのは先刻の出来事を気にしているからだろう。そんなカイルの手を両手で握りしめると、緊張が和らいでいく。生涯を共にすると誓った人はいつもシャーロットを気遣い、護ろうとしてくれる。
たくさんの人に支えられていることを実感しながら、シャーロットは口を開いた。
「カイル様、子を授かりました」
無言で目を瞠り固まったカイルの様子に少し不安になったシャーロットだったが、その瞳が潤んでいることに気づいて思わず凝視してしまった。
「――すまない。驚いて言葉が出なかった。ロティ、横になったほうがいいんじゃないか?何か欲しい物は?無理をしてはいけないぞ」
驚きに固まっていたことを恥じるかのように僅かに頬を赤らめながら、カイルはそわそわと落ち着かない素振りを見せる。だがその瞳が徐々に歓喜に輝くのを見てシャーロットの胸にもじわりと温かさが灯る。
「ロティ……その触れてもいいか?」
「ええ、もちろんですわ」
壊れものに触れるかのように慎重にそっと腹部に手を当てている。カイルにとっても初めてのことなのだ。
「名前を考えておかないとな」
「まあ、まだ性別も分かっていませんよ」
気が早いと笑うシャーロットに、カイルは真剣な表情で返す。
「名は子供への最初の贈り物だそうだ。良い名前を贈ってやりたいから早めに考えておいて損はない。二人で一緒に考えよう」
優しい眼差しは自分を見つめる父を思い起こさせる。そしてケイシーをはじめ、多くの使用人が同じような温かい愛情を注がれていたことも。
「ロティは明日から公務をしては駄目だぞ。部屋を出なくてもいいように必要なものを全て手配しておくし、明日から滋養のある食事を用意させよう。乳母の候補者探しと、ああ、子供用の衣類もたくさん準備しておかなきゃな」
「……カイル様、少々先走り過ぎではありませんか?」
張り切るカイルを見兼ねたのか、医者が妊娠中の過ごし方について懇々と説明している。おかげで部屋に籠りきりになるのは免れたようだ。
真面目な顔つきながらしゅんとするカイルを見て、シャーロットは小さく笑ってしまった。
(初めから母親や父親になれるわけじゃないのだわ)
最初は間違うことだってあるだろうし、全てが完璧に出来るわけではないだろう。だけどお腹の子がいつも笑顔でいられるように、幸せでいられるようにしてあげたい。
カイルとなら、エドワルド帝国でならきっと大丈夫だろう。
妊娠を示唆された時の戸惑いはすっかり消え失せていて、シャーロットは満ち足りた気持ちで微笑んでいた。
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ああああああさん
誤字報告ありがとうございます😊