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第2章 Jewelry Pupil Knight
14.モモと美雨
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「お嬢ー、お嬢?」
辰巳零士は日本庭園の中を歩き回っていた。
バシャッ。
バシャッ、バシャッ!!
水が跳ね上がる音が静かな日本庭園に響き渡る。
「沢山あげるからね。」
少女はそう言って、餌袋の中から餌を出し池に投げ入れた。
池の中にいる鯉達は一斉に餌に向かって集まり、水飛沫を飛ばした。
辰巳零士は少女の声がした池に歩き出した。
池の前に黒のフリフリのワンピースを着たお人形のような見た目をした少女がいた。
辰巳零士はゆっくりと、その少女に近寄り腰を下ろした。
「お嬢、ここにいたんですか。探しましたよ。」
「辰巳、見て!鯉が沢山いる!」
ピンクダイヤモンドの瞳をキラキラと輝かせている。
この少女こそが、辰巳零士が惚れ込んでいる九条美雨である。
「お嬢は鯉を見るのは初めてでしたね。」
「勝手にいなくなってごめんね、辰巳。お話の会に行っちゃったと思ったから…。」
九条美雨はそう言って、目線を下に向けた。
辰巳零士は九条美雨の軽い体をヒョイッと抱き上げた。
「た、辰巳?」
「お嬢を置いて行く訳がないでしょ?俺が一番大事なのはお嬢なんですから。」
「で、でも、みゅーは辰巳のお仕事の邪魔したくない。」
「お嬢が邪魔なんて思った事ないですよ。俺がいなくても親父が話をしてますから。」
「おじいちゃんが?」
九条美雨の言葉を聞いた辰巳零士は頷いた。
「それと、お嬢に会わせたい子がいるんです。」
「みゅーに?」
「はい。お嬢と同じJewelry Pupil の女の子です。」
「みゅーと同じ…。」
九条美雨は辰巳零士の言葉を理解し、考え込んだ。
「だから、ここにみゅーと同じJewelry Pupil の気配?がしたんだ…。」
「あぁ…、だから落ち付かなくてウロウロしてたんですね?」
「う…。」
「大丈夫ですよ。俺がいるんですから安心して下さいよ。」
「うん。」
「じゃあ、そろそろ行きますか?」
「分かった。」
辰巳零士に抱き上げられたまま九条美雨は日本庭園を後にした。
CASE 四郎
モモが急に縁側の方に視線を向けた。
さっきまで、初めて見る水ようかんに興味深々だったのに…。
「どうかしたのか?」
「外にいる。」
モモが言う"いる"と言うのは、Jewelry Pupil の事だろう。
「そろそろ、来るんじゃねーか?」
「ドキドキしてきた…。」
そう言って、モモは俺の腕を掴んで来た。
コイツ、緊張してんのか?
「おい、まさかだとは思うが…。緊張してんのか?」
俺の言葉を聞いたモモは頷いた。
マジかよ…。
緊張の解し方なんか俺は知らねーぞ…。
「おいおい、何も会うだけなんだから。そんな緊張する事ねーだろ。」
俺がそう言うと、トントンッと襖が叩かれた。
「四郎、いるか?」
この声は…、辰巳さんか?
「はい。」
「お前等だけしか部屋にはいないな?」
「いませんよ。星影が人が来ないように色々してくれたみたいですよ。」
「そうか、なら入るぞ。」
辰巳さんはそう言って、襖を開けた。
フワッと金木犀(きんもくせい)の良い香りがした。
ピンクダイヤモンドの瞳が太陽の光に反射してキラキラと輝いていた。
Jewelry Pupil を持ってる子供は美形が多いのか?
この間の女子高生も人形みたいな見た目だったしな。
俺がジッとピンクダイヤモンドの瞳を持つ少女を見
ていると、ポッと赤くなった。
ギュュゥ…。
モモが俺の腕を強く掴んで来た。
「おい、何だよ。」
「四郎、あの子の事を見過ぎ。」
モモはそう言って、俺を睨んだ。
何なんだよ…。
「四郎、こちらが九条美雨お嬢。九条さんのお孫さんだ。」
辰巳さんは美雨と呼んだ少女の肩を抱いた。
2人の間には穏やかな空気が流れているのを感じた。
辰巳さんの美雨と呼んだ少女を見る目が凄く優しくて、側(はた)から見ても大事にしているんだなって分かるくらいだった。
「良いな…。」
「何か言ったか?」
「何でも…ない。」
モモが何かボソッと呟いていたが、何を言っているか聞き取れなかった。
「あ、あの。初めてまして。わ、わたしの名前は美雨です…。」
美雨は真っ赤は顔のまま、モモに向かって自己紹介をしていた。
「あ、わたしはモモです。」
「すごぉい…、お人形さんみたいに真っ白で…綺麗。」
「え?」
美雨の言葉にモモは戸惑いながら短い言葉を放った。
「辰巳!!モモちゃん、すごぉい綺麗!!」
「あははは、お嬢。あんまり興奮すると、モモちゃんが怖がりますよ?」
「あ!!そうだった…。凄く綺麗だったからごめんね?」
美雨はそう言って、モモの手を握った。
モモも嫌がる素振りはなく、美雨を受け入れていた。
「う、ううん…。ありがとう美雨ちゃん、褒めてく
れて…。美雨ちゃんも、凄く可愛い。」
「え?!モモちゃんの方が可愛いよ!!」
「何だか可愛い言い合いしてるなぁ。」
辰巳さんは穏やかな顔をして、モモ達を見ていた。
辰巳さんが変わったって本当だった。
「四郎、何だ?俺の顔をジッと見て。」
「あ、すんません。辰巳さんの雰囲気が変わったと思って…。」
「俺の?あー、まぁな。お嬢の世話係になって心境が変わったんだ。お前の方は…って、変わらずそうだな。」
辰巳さんはそう言って、俺の顔をジッと見つめた。
「俺は何も変わらないですよ。今もボスの命令でここにいますから。」
「いや、お前は変わるよ。この先な。」
「何を根拠に…。」
「まだ出会って2、3日しか経ってねーだろ。その内、分かるよ。俺が変わったんだから。」
辰巳さんの言葉はどこか現実味を帯びていて、何に
も理由なしに言った訳じゃなさそうだ。
「お前にとって、Jewelry Pupil は天使の存在になるのか、それとも悪魔の存在になるのか…。自分の目で確かめて見ろ。」
「天使と悪魔…って。何を言ってるんですか。」
俺はそう言って、モモに視線を向けた。
楽しそうに美雨と話をしている。
「美雨ちゃんとあの人が羨ましい。」
「え?どうしたの?」
「仲良しだから。」
モモはそう言って、四郎に目線を向けた。
「みゅーと辰巳も仲良くなるまで、時間掛かったよ?」
「え?」
「すぐに仲良しになった訳じゃないの。」
「ど、どうやって仲良しになれるかな?」
モモの言葉を聞いた美雨は、暫く考えた後に口を開けた。
「みゅーが死にそうになったから。」
「え?」
CASE モモ
ドタドダドタドタ!!
パァァアン!!
廊下から慌ただしい足音と共に銃声が聞こえた。
足音と銃声を聞いた四郎の顔がスッと変わった。
仕事モードの時の四郎の顔になってる。
「テメェ、どこの組の者だぁぁああ!!」
「ブチ殺すぞ!?」
外から男達の乱暴な言葉飛び交っていた。
「どこかの組みが乗り込んで来たのか。」
そう言って、四郎はいつも持っている銃を取り出した。
「四郎、お前はモモちゃんを守るのが優先だろ。」
美雨ちゃんと一緒に来たお兄さんが四郎に声を掛けた。
「雪哉さんには伊織さんや親父達が付いてる。カチ
コミの理由がJewelry Pupil だったらどうすんだ。」
「Jewelry Pupil の情報が漏れてる可能性は高い。そう言う事ですか。」
「あぁ。念には念を、だ。」
ドタドタドタドタドタドタ!!!
「裏口から乗り込んで来た組の人間が入って来ました!!!」
「目的は何なんだよ!!?」
「星影さんに、これ以上は通すなって言われ…っ。」
パンパンパンッ!!!
誰かが撃たれた音がした。
「辰巳さん、やっぱりJewelry Pupil を狙って来たみたいですね。」
「どこから漏れたか後で聞き出す。」
辰巳と呼ばれたお兄さんは銃を持って、美雨ちゃんの所に来てひざを付いた。
「お嬢。」
「辰巳、行くの?」
「はい。すぐに戻って来ますから"おまじない"してくれませんか?」
おまじない…?
「零士、絶対に帰って来て。」
美雨ちゃんはそう言って、辰巳お兄さんの額にキスをした。
ジャラッ。
辰巳お兄さんの右手首に真っ赤な手錠が付けられていた。
美雨ちゃんの右手首にも真っ赤な手錠が付いていて、鎖はとても長かった。
四郎もその手錠を見て驚いていた。
「この手錠は何?」
そう言って、わたしは美雨ちゃんに尋ねた。
「みゅーと辰巳を繋ぐ赤い鎖。」
「四郎、見せてやるよ。」
辰巳お兄さんはそう言って、銃を構え襖を開けた。
ガラッ。
襖を開けた瞬間、辰巳お兄さんに向かって数発の銃弾が飛んで来た。
ビュンッビュンッ!!
キンキンキンッ!!
銃弾が辰巳お兄さんに当る事はなく、手錠の鎖が銃弾を止めていた。
「は?ど、どうなってんだよ?!」
「何で?!何で銃弾が当たらないんだよ!?」
日本庭園を覗くと柄シャツを着た男達が数人立っていた。
「お嬢に銃を向けたのはお前か。」
ゾクッ!!
さっきまでの辰巳お兄さんじゃない。
怖い…。
目が真っ黒で、冷たい視線が男達を突き刺さしてる。
美雨ちゃんは辰巳お兄さんをジッと見ていた。
「みゅーがいる限り辰巳は死なない。誰にも負けない。みゅーと辰巳は2人で一つ。」
パンパンパンッ!!
グジャグシャグシャ!!
「うがぁぁぁぁぁ!!」
「あ、あがぁぁぁぁ!!」
辰巳お兄さんが放った銃弾は男達に当たった。
ゆっくりと辰巳お兄さんは1人の男に近寄り、髪を
乱暴に掴み太ももに銃弾を数弾撃ち込んだ。
パンパンパンッ!!
辰巳お兄さんは冷たい表情のまま、引き金を引く。
この人は、怖い人だ。
美雨ちゃんといる時は凄く優しい。
それは、美雨ちゃんが大事だから。
わたしは、四郎の事をここまで大事に思えるのかな…。
「いてぇ…よ。もう、やめてくれよ!!」
「うるせぇ口だな。」
辰巳零士はそう言って、男の口に銃口を差し込んだ。
「うが、うががが!!」
「どこの組みの者だ?あ?さっさと言えや。」
辰巳零士の顔を見た男は体をガタガタと震わせた。
「お嬢に銃を向けたお前を楽には死なせねぇぞ。どこの組の者かさっさと言え。」
「つば…。」
パァァアン!!
男の頭に銃弾が放たれた。
ビシャ!!
辰巳零士の顔に返り血が飛び、陽気な大阪弁が聞こえた。
「危なかったなぁ、辰巳君?」
「二見…、お前が撃ったのか。」
「敵は撃たないといかんやろ?」
そう言って、二見瞬は笑みを浮かべた。
辰巳零士は日本庭園の中を歩き回っていた。
バシャッ。
バシャッ、バシャッ!!
水が跳ね上がる音が静かな日本庭園に響き渡る。
「沢山あげるからね。」
少女はそう言って、餌袋の中から餌を出し池に投げ入れた。
池の中にいる鯉達は一斉に餌に向かって集まり、水飛沫を飛ばした。
辰巳零士は少女の声がした池に歩き出した。
池の前に黒のフリフリのワンピースを着たお人形のような見た目をした少女がいた。
辰巳零士はゆっくりと、その少女に近寄り腰を下ろした。
「お嬢、ここにいたんですか。探しましたよ。」
「辰巳、見て!鯉が沢山いる!」
ピンクダイヤモンドの瞳をキラキラと輝かせている。
この少女こそが、辰巳零士が惚れ込んでいる九条美雨である。
「お嬢は鯉を見るのは初めてでしたね。」
「勝手にいなくなってごめんね、辰巳。お話の会に行っちゃったと思ったから…。」
九条美雨はそう言って、目線を下に向けた。
辰巳零士は九条美雨の軽い体をヒョイッと抱き上げた。
「た、辰巳?」
「お嬢を置いて行く訳がないでしょ?俺が一番大事なのはお嬢なんですから。」
「で、でも、みゅーは辰巳のお仕事の邪魔したくない。」
「お嬢が邪魔なんて思った事ないですよ。俺がいなくても親父が話をしてますから。」
「おじいちゃんが?」
九条美雨の言葉を聞いた辰巳零士は頷いた。
「それと、お嬢に会わせたい子がいるんです。」
「みゅーに?」
「はい。お嬢と同じJewelry Pupil の女の子です。」
「みゅーと同じ…。」
九条美雨は辰巳零士の言葉を理解し、考え込んだ。
「だから、ここにみゅーと同じJewelry Pupil の気配?がしたんだ…。」
「あぁ…、だから落ち付かなくてウロウロしてたんですね?」
「う…。」
「大丈夫ですよ。俺がいるんですから安心して下さいよ。」
「うん。」
「じゃあ、そろそろ行きますか?」
「分かった。」
辰巳零士に抱き上げられたまま九条美雨は日本庭園を後にした。
CASE 四郎
モモが急に縁側の方に視線を向けた。
さっきまで、初めて見る水ようかんに興味深々だったのに…。
「どうかしたのか?」
「外にいる。」
モモが言う"いる"と言うのは、Jewelry Pupil の事だろう。
「そろそろ、来るんじゃねーか?」
「ドキドキしてきた…。」
そう言って、モモは俺の腕を掴んで来た。
コイツ、緊張してんのか?
「おい、まさかだとは思うが…。緊張してんのか?」
俺の言葉を聞いたモモは頷いた。
マジかよ…。
緊張の解し方なんか俺は知らねーぞ…。
「おいおい、何も会うだけなんだから。そんな緊張する事ねーだろ。」
俺がそう言うと、トントンッと襖が叩かれた。
「四郎、いるか?」
この声は…、辰巳さんか?
「はい。」
「お前等だけしか部屋にはいないな?」
「いませんよ。星影が人が来ないように色々してくれたみたいですよ。」
「そうか、なら入るぞ。」
辰巳さんはそう言って、襖を開けた。
フワッと金木犀(きんもくせい)の良い香りがした。
ピンクダイヤモンドの瞳が太陽の光に反射してキラキラと輝いていた。
Jewelry Pupil を持ってる子供は美形が多いのか?
この間の女子高生も人形みたいな見た目だったしな。
俺がジッとピンクダイヤモンドの瞳を持つ少女を見
ていると、ポッと赤くなった。
ギュュゥ…。
モモが俺の腕を強く掴んで来た。
「おい、何だよ。」
「四郎、あの子の事を見過ぎ。」
モモはそう言って、俺を睨んだ。
何なんだよ…。
「四郎、こちらが九条美雨お嬢。九条さんのお孫さんだ。」
辰巳さんは美雨と呼んだ少女の肩を抱いた。
2人の間には穏やかな空気が流れているのを感じた。
辰巳さんの美雨と呼んだ少女を見る目が凄く優しくて、側(はた)から見ても大事にしているんだなって分かるくらいだった。
「良いな…。」
「何か言ったか?」
「何でも…ない。」
モモが何かボソッと呟いていたが、何を言っているか聞き取れなかった。
「あ、あの。初めてまして。わ、わたしの名前は美雨です…。」
美雨は真っ赤は顔のまま、モモに向かって自己紹介をしていた。
「あ、わたしはモモです。」
「すごぉい…、お人形さんみたいに真っ白で…綺麗。」
「え?」
美雨の言葉にモモは戸惑いながら短い言葉を放った。
「辰巳!!モモちゃん、すごぉい綺麗!!」
「あははは、お嬢。あんまり興奮すると、モモちゃんが怖がりますよ?」
「あ!!そうだった…。凄く綺麗だったからごめんね?」
美雨はそう言って、モモの手を握った。
モモも嫌がる素振りはなく、美雨を受け入れていた。
「う、ううん…。ありがとう美雨ちゃん、褒めてく
れて…。美雨ちゃんも、凄く可愛い。」
「え?!モモちゃんの方が可愛いよ!!」
「何だか可愛い言い合いしてるなぁ。」
辰巳さんは穏やかな顔をして、モモ達を見ていた。
辰巳さんが変わったって本当だった。
「四郎、何だ?俺の顔をジッと見て。」
「あ、すんません。辰巳さんの雰囲気が変わったと思って…。」
「俺の?あー、まぁな。お嬢の世話係になって心境が変わったんだ。お前の方は…って、変わらずそうだな。」
辰巳さんはそう言って、俺の顔をジッと見つめた。
「俺は何も変わらないですよ。今もボスの命令でここにいますから。」
「いや、お前は変わるよ。この先な。」
「何を根拠に…。」
「まだ出会って2、3日しか経ってねーだろ。その内、分かるよ。俺が変わったんだから。」
辰巳さんの言葉はどこか現実味を帯びていて、何に
も理由なしに言った訳じゃなさそうだ。
「お前にとって、Jewelry Pupil は天使の存在になるのか、それとも悪魔の存在になるのか…。自分の目で確かめて見ろ。」
「天使と悪魔…って。何を言ってるんですか。」
俺はそう言って、モモに視線を向けた。
楽しそうに美雨と話をしている。
「美雨ちゃんとあの人が羨ましい。」
「え?どうしたの?」
「仲良しだから。」
モモはそう言って、四郎に目線を向けた。
「みゅーと辰巳も仲良くなるまで、時間掛かったよ?」
「え?」
「すぐに仲良しになった訳じゃないの。」
「ど、どうやって仲良しになれるかな?」
モモの言葉を聞いた美雨は、暫く考えた後に口を開けた。
「みゅーが死にそうになったから。」
「え?」
CASE モモ
ドタドダドタドタ!!
パァァアン!!
廊下から慌ただしい足音と共に銃声が聞こえた。
足音と銃声を聞いた四郎の顔がスッと変わった。
仕事モードの時の四郎の顔になってる。
「テメェ、どこの組の者だぁぁああ!!」
「ブチ殺すぞ!?」
外から男達の乱暴な言葉飛び交っていた。
「どこかの組みが乗り込んで来たのか。」
そう言って、四郎はいつも持っている銃を取り出した。
「四郎、お前はモモちゃんを守るのが優先だろ。」
美雨ちゃんと一緒に来たお兄さんが四郎に声を掛けた。
「雪哉さんには伊織さんや親父達が付いてる。カチ
コミの理由がJewelry Pupil だったらどうすんだ。」
「Jewelry Pupil の情報が漏れてる可能性は高い。そう言う事ですか。」
「あぁ。念には念を、だ。」
ドタドタドタドタドタドタ!!!
「裏口から乗り込んで来た組の人間が入って来ました!!!」
「目的は何なんだよ!!?」
「星影さんに、これ以上は通すなって言われ…っ。」
パンパンパンッ!!!
誰かが撃たれた音がした。
「辰巳さん、やっぱりJewelry Pupil を狙って来たみたいですね。」
「どこから漏れたか後で聞き出す。」
辰巳と呼ばれたお兄さんは銃を持って、美雨ちゃんの所に来てひざを付いた。
「お嬢。」
「辰巳、行くの?」
「はい。すぐに戻って来ますから"おまじない"してくれませんか?」
おまじない…?
「零士、絶対に帰って来て。」
美雨ちゃんはそう言って、辰巳お兄さんの額にキスをした。
ジャラッ。
辰巳お兄さんの右手首に真っ赤な手錠が付けられていた。
美雨ちゃんの右手首にも真っ赤な手錠が付いていて、鎖はとても長かった。
四郎もその手錠を見て驚いていた。
「この手錠は何?」
そう言って、わたしは美雨ちゃんに尋ねた。
「みゅーと辰巳を繋ぐ赤い鎖。」
「四郎、見せてやるよ。」
辰巳お兄さんはそう言って、銃を構え襖を開けた。
ガラッ。
襖を開けた瞬間、辰巳お兄さんに向かって数発の銃弾が飛んで来た。
ビュンッビュンッ!!
キンキンキンッ!!
銃弾が辰巳お兄さんに当る事はなく、手錠の鎖が銃弾を止めていた。
「は?ど、どうなってんだよ?!」
「何で?!何で銃弾が当たらないんだよ!?」
日本庭園を覗くと柄シャツを着た男達が数人立っていた。
「お嬢に銃を向けたのはお前か。」
ゾクッ!!
さっきまでの辰巳お兄さんじゃない。
怖い…。
目が真っ黒で、冷たい視線が男達を突き刺さしてる。
美雨ちゃんは辰巳お兄さんをジッと見ていた。
「みゅーがいる限り辰巳は死なない。誰にも負けない。みゅーと辰巳は2人で一つ。」
パンパンパンッ!!
グジャグシャグシャ!!
「うがぁぁぁぁぁ!!」
「あ、あがぁぁぁぁ!!」
辰巳お兄さんが放った銃弾は男達に当たった。
ゆっくりと辰巳お兄さんは1人の男に近寄り、髪を
乱暴に掴み太ももに銃弾を数弾撃ち込んだ。
パンパンパンッ!!
辰巳お兄さんは冷たい表情のまま、引き金を引く。
この人は、怖い人だ。
美雨ちゃんといる時は凄く優しい。
それは、美雨ちゃんが大事だから。
わたしは、四郎の事をここまで大事に思えるのかな…。
「いてぇ…よ。もう、やめてくれよ!!」
「うるせぇ口だな。」
辰巳零士はそう言って、男の口に銃口を差し込んだ。
「うが、うががが!!」
「どこの組みの者だ?あ?さっさと言えや。」
辰巳零士の顔を見た男は体をガタガタと震わせた。
「お嬢に銃を向けたお前を楽には死なせねぇぞ。どこの組の者かさっさと言え。」
「つば…。」
パァァアン!!
男の頭に銃弾が放たれた。
ビシャ!!
辰巳零士の顔に返り血が飛び、陽気な大阪弁が聞こえた。
「危なかったなぁ、辰巳君?」
「二見…、お前が撃ったのか。」
「敵は撃たないといかんやろ?」
そう言って、二見瞬は笑みを浮かべた。
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